DNA・タンパク質

このDNAは何個つながって出来ているんだい?

「具体的に姿を見ないとイメージも湧きませんよね」とか言いながら、「DNAというものがどんな見た目をしているのか」を紹介していたのが前回の記事(↓)でしたが、ただの白いモヤモヤという情報量ゼロすぎる物体で、よぉ考えたらあんなのを見たところで何か遺…

DNAの見た目は?

前回の記事ではこれまた唐突に、分子生物学・遺伝学入門のニュ(いやそれは「基本のキ」でしか使わない言い方で、何かおかしいだろ(笑))的な話として、DNAの関連用語のおさらいをしていました。 長々と書いていた割に、ほぼ文字だけだったこともあり結局あ…

(おさらい)遺伝子や染色体について死ぬほど分かりやすく…

「X染色体について知っておこう」シリーズ(別にそんなシリーズでもなかったですけど(笑))、前回はターナー症候群について触れていました。 こちらは、XO(前回引用していた記事によると、「X0」と書く方が普通なのかもしれませんが、僕はXO(ゼロではなく…

「働かない」のと「存在しない」のは違う

前回は、具体的な数字を使ったX染色体不活性化時期の推定と、不活化メカニズムに関する研究紹介の2点をまとめていたのですが、記事初稿、ここ最近はギリギリの時間で一通り書き終えてアップし、その後しばらく別の作業に追われてしまって放置して、時間がで…

Xの運命はどうやって決まるのか…?

前回の記事では、X染色体を2本持つ女性のみで起こる現象、ライオニゼーション(X染色体の不活化)について、「いつ起こるの?」という問に対し、 「実はハッキリとはまだ分かっていないけど、発生のかなり初期、たった1つの受精卵が数回分裂して、細胞が32個…

Xの運命はいつ決まるのか…?

引き続きライオニゼーションこと「X染色体の不活化」について気になる点をもうちょい深掘りしていこうと思います。 まず、「父親からもらったX染色体か、母親からもらったX染色体か、女性の細胞ではどちらか一方がランダムに不活性化されている」というその…

ライオニゼーション!

改めて簡単に前回のおさらいをしておきますと、 「女性はX染色体を2本持つが、細胞の1つ1つは完全ランダムに、どちらか一方だけが機能している(他方は不活化されている)」 …ということで、実は女性の体というのは、「父由来のX染色体が機能している細胞」…

女性はモザイクだった…?

前回の記事では、男女の違いの例として性染色体を取り上げ(まぁ「違いの例」というか、それが「男女の違いの全て」ともいえるわけですけど)、 「女性はX染色体を2本持つが、実は2本あるどちらか一方のX染色体は、機能しなくなっている」 「その結果、X染色…

男は女の出来損ないだった…?

前回の記事では、フェニルケトン尿症やアルカプトン尿症(黒尿症)といった遺伝子疾患の例から、病気として発症しやすい遺伝子・しにくい遺伝子というのは普通にある感じになっているのです……ということをツラツラと説明していました。 その中で、性染色体の…

病気になりやすい・なりにくいの違いは?

ここ最近唐突に深入りし始めていたアミノ酸の代謝経路について、前回は芳香族アミノ酸(あの、いかにも有機化学っぽい六角形リング付きの化合物のことですね、「芳香族」というのは)であるフェニルアラニン・チロシンが、アセチルCoAへと変換される道のりを…

必須である理由

前回は、唐突に最後、生物のテストあるあるな問題を出すことで、偉そうに一人で悦に入っていました(別に悦には入ってなかったですけど(笑))。 そんなわけで、そちらの答え合わせから参りましょう。 問題に必要な、フェニルアラニン・チロシン代謝経路マッ…

たった1つがダメになるだけで…

それでは前回に引き続き、今回もアミノ酸代謝経路について、ごくごく簡単に見ていくといたしましょう。 …と、前回の記事では、最後アイキャッチ画像にも使っていました、アミノ酸を糖に変換するために最も重要なステップといえる、「窒素を含むアミノ基 -NH2…

どのように生まれ変わるのか…?

最近それしか言ってませんが(笑)、あまりにも時間がなさすぎる日が続いているため、今回も適当に取ってつけたようなネタ、例の「アミノ酸が糖に生まれ変わる反応」こと糖新生について、各アミノ酸個別の具体的な経路をペタッと貼り、一言二言それっぽいこと…

そんなに都合いいものは存在しない

糖新生の残りの反応について、「単純な解糖系の逆行ではないものが、まだあります」として、解糖系の最終ステップであるピルビン酸→ホスホエノールピルビン酸(PEP)以外にもそういう「不可逆反応ゆえ、迂回する必要アリ」というものがあるため持ち越しまし…

一方通行のこともあるよ

前回の記事で、タンパク質と糖(さらには脂質も)との密接な関係、いわゆるアミノ酸代謝と糖新生について、画像を貼って名前を見た程度でしたが、チラッと触れていました。 まず名前についての追加脱線ネタとして、「糖新生」ってのは当然、最重要シュガーで…

糖かケトンか

前回、かなり中途半端になってしまった「糖新生」、および「アミノ酸代謝」といわれる類の、 「アミノ酸(アミノ酸が何十何百とつながったのが、髪にもなるし爪にもなるし皮膚にもなるし血にもなるし色んな機能を持った酵素にもなる有能分子・タンパク質でし…

新しく作り直そう

平和なお正月が幕開けしたかと思いきや、北陸地方を中心に、結構な規模の震災に見舞われたというニュースを目にしました。 まだ詳しい状況は分からない部分も多いわけですが、家屋の倒壊などの様子もインターネットに流れていましたし、真冬に避難などの不便…

脳はどのぐらいエネルギーを使うのか?

エネルギーにまつわる脱線話も、そろそろネタが尽きてまいりました。 とはいえもう1つだけ、ふと浮かんだ気になる点があったため、そこだけ触れてもう一記事だけ見繕ってみようかと思います。 こないだのクレアチンサプリの記事で、クレアチンの摂取は「筋肉…

美味しいものを食べようよ

ここ最近の記事では唐突に呼吸、すなわちエネルギー合成についてウダウダと語っていた形ですが、前回は三大栄養素の内、タンパク質は「燃料」というよりも自分自身の体を作り出す「材料」としての意味合いが強いのです……なんてことを書いていました。 (ちな…

タンパク質が減り始めたらヤバい

前回はクレアチンのサプリについて、その効能や用法用量に関する注意点を、クリーブランド・クリニックの丁寧な解説記事からそのままパクらせていただいていました。 まぁパクっておいてなんですが、あの手の説明記事は、何となく漠然と「~という可能性もあ…

サプリもあるよ、クレアチン

呼吸から発展して、いわゆる細胞呼吸と呼ばれる、グルコース分解を起点とする3経路の他に、より高効率のエネルギー生産につながる脂肪酸を分解することもあり、さらにはより即効性のあるエネルギー獲得につながるクレアチンリン酸が用いられることもあります…

どれも大事なエネルギー三種

前回の記事では、代表的なエネルギー獲得手段である糖代謝(解糖系・クエン酸回路・電子伝達系)、更にはそれとちょっと違う(具体的には、前半の非酸素消費系の反応が異なる)脂質代謝(β酸化)に加え、もう一つの重要なエネルギー産生物質といえる「クレア…

エアロビとは

呼吸=糖を使ったエネルギー生成の話から発展し、最近は脂肪の代謝についてちょこちょこ見ている感じです。 前回は、脂肪酸を少しずつ分解していく、「β酸化」なるプロセスを見ていたわけですが、ここで1つ、こないだもちょっとだけ書いていた… 「よく『脂肪…

β酸化とは

前回の記事では、「散々見てきた炭水化物=糖=グルコースを起点とした呼吸よりも、脂質を使ったエネルギー合成の方が実は凄まじいエネルギー効率を誇るのです」…などという話をしていました。 その話の中で、糖よりもよっぽど効率が良いのに、「我々はなぜ…

脂肪を燃やすと……

もう大分長いこと触れてきた呼吸についての話も(振り返ってみたら、ちょうど1ヶ月もグダグダと書いていたようです)、一通り反応経路の最初から最後まで見終えていた形ですね。 具体的には、エネルギーを得る基本はやはりブドウ糖つまりグルコースから始ま…

そして酸素が使われる…

前回は、呼吸の真骨頂・電子伝達の4ステップの内、3番目の複合体「ユビキノール-シトクロムcレダクターゼ」なるイオンポンプ酵素をごく簡単に見ていました。 ついに、大変複雑な電子伝達系(でもよく考えたら、反応自体は難解でも、主役となる複合体は4-5つ…

どこにでもいるのが、コキュー

電子伝達系で働く4つのポンプについて、「実はひっそりポンプじゃないやつも混じっていました…」というのが前回見ていたナンバー2、「複合体 II」ことコハク酸デヒドロゲナーゼ(脱水素酵素)でした。 早速、続くナンバー3の方を見て参りましょう。 https://…

役立たずかと思いきや、縁の下の力持ちだった…!

あまりにも細かい…というか酸化還元がじゃんじゃん絡んでくるので難解であり、正直面白みに欠ける話になっているのですが、凄まじい効率を誇る電子伝達系について、実際に電子が伝達されていく様子(の模式図)なんかを順に見始めていたのが前回でした。 (…

ミトコンドリアと複合体

ここ最近は呼吸の醍醐味ともいえる、圧倒的な数のエネルギー分子ATPを合成できる電子伝達系について見ている形です。 その主役ともいえる、しゃもじ型(まぁしゃもじってより、前方後円墳みたいに描かれるといった方がより近いかもしれませんが)のATP合成酵…

チャネルとポンプ

あらゆる生物が生きるのに必要なエネルギーであるATPを非常に高い効率で産み出せるATP合成酵素(ATPシンターゼ)は、何と回転しているのです!…という、まぁ正直「あっそう」レベルかもしれない話(笑)を、前回の記事で軽く見ていました。 とはいえこれは実際…