糖かケトンか

前回、かなり中途半端になってしまった「糖新生」、および「アミノ酸代謝」といわれる類の、

アミノ酸アミノ酸が何十何百とつながったのが、髪にもなるし爪にもなるし皮膚にもなるし血にもなるし色んな機能を持った酵素にもなる有能分子・タンパク質でした)がエネルギーとして利用される場合、それぞれどう変換されるか」

…について、一枚絵だけ紹介して終わりになっていたため、早速続きから参りましょう。

 

ごちゃっとしていて分かりにくい…ようでよく見てみたら案外大したことない、その画像の再掲からさせていただきますが……

https://ja.wikipedia.org/wiki/糖原性アミノ酸より

…まぁ単語のみなので別に大したことはないものの、せっかくなので各分子の日本語名を添えたイラストも作ってみました。

上図、日本語を追加

…余計ごちゃっとしただけで逆効果だったかもしれませんが(笑)、何気に、全てこれまでの呼吸シリーズで登場してきたことのある分子ですね。

 

四角の枠内にいるのが20種のアミノ酸で(いくつかは、変換先の候補が複数ある感じですね。和名が添えられていないやつは、別の所にもいる形です)、それ以外は解糖系・クエン酸回路で出てくるやつらになっています。

 

まず、真ん中の黄色い四角枠に入ったもの、これは日本語を添えませんでしたが、こちらは「Legend」となっていますけれども……

「レジェンド」って日本語でも最早誰でも知ってるレベルの英単語で、カタカナ語で使われた場合の意味としてはもちろん「伝説」なんですけど、こういった類の論文・図表で用いられた場合、「伝説」とは全く関係ない、いわば「凡例」という、「図表内の項目の紹介や説明」を意味する用語になるんですね。


「Figure legend」という形で、論文を読むと必ず目にする単語なので、研究者にとっては「レジェンド」といえば「伝説」より「図の説明」という意味の方がむしろ馴染み深いわけですが……

(まぁ日本語でも「説明」とか「凡例」とかではあまり呼ばず、最早カタカナで「レジェンド」と呼びますけどね。ちなみに、「伝説」の「レジェンド」って「レジェンド」と「ジェ」にアクセントがつくと思いますけど、我々研究者が「フィギュアのレジェンド」(ちなみにフィギュアは「図」ですね)と呼ぶ場合、「レジェンド」と、平坦な発音で読むことが圧倒的に多いと思います(むしろ、普通に日本語読みすると、そこまで意識しなくても「レジェンド」が少し強くなると思うので、平坦といっても意図的に「ジェ」を少し弱く、「ド」を少し強く「レジェン」って感じの……例えて言うなら「アボカド」に近い音ですかね?)

…って、こんだけ長々と書いておいてなんですが、別に研究者のカタカナ読みが音として正しいわけでは全くなく、英単語としては実は「ジェン(ド)」ってイントネーションなんですけどね(笑)。)

 

…と、例によってしょうもない読み方うんちくで長くなりましたが、レジェンドについては、何気にWikipediaの図の枠外に既に掲載されていた形で……

アミノ酸の凡例としては、茶色(まぁ赤な気がしますけど(笑))がGlucogenic糖原性、緑がKetogenicケト原性、そして紫がその両方になり得るというもので、まぁまた名前に関するエトセトラからいきますと……

「〇〇ジェニック」っていう言葉は、まぁまさにレジェンドに記載されている通り、この場合「〇〇原性」となり、「gen」が「原」という同じ読みの言葉になるというナイスなネーミングだと思えますけど、基本的に「gen」ってのは「産み出される」というのが語源的な意味で、そこから「適切に生じる」みたいな派生意味も生まれる形で……

「なんとかジェニック」で最近一番聞く気がする言葉は「フォトジェニック」なんかではないかと思いますけど、こちらは「写真写りの良い、画面映えのする」って意味でSNSなんかで使われがちな言葉だといえましょう。

(元々は「photoをgenする」で、「光を発する」=「発光性の」という意味の言葉だと思いますが、SNS時代ではもう「映える」って意味オンリーになってるぐらいですかね?)

 

(あぁ英語・日本語に関するこぼれ話でいえば、先ほど「レジェンドは『伝説』ではなく、全然関係ない『凡例』という意味」などと書いていましたが、「伝説」もよく見たら「伝えて、説明する」って漢字ですし、それを踏まえると「凡例」という言葉が意味する中身と、文字が意味する内容という上では非常に近しい部分がある気もしますね。

 一見全く異なる言葉に思えるものの、「伝説のスター」的な伝説と、図の説明に用いるレジェンド(凡例)が、日本語だと読みは全く違う漢字で表されるけれど、漢字の持つ意味まで考えると大変近いものがある……というのは、中々面白いですね。)

 

…と、またどうでもいい名前の豆知識で長くなってしまいました。

 

本題に戻ると、こんな感じで、アミノ酸は「どのような経路で、エネルギー源であるグルコースへと変換されていくか」という点から、3つに分けられる形になっているわけですね。

 

…と言っても、緑の「ケト原性」(これも何か中途半端にカタカナが残って違和感のある、何とも情けない名前に思えますが(笑))は1グループしかないからともかく、赤の「糖原性」は、何気にどの物質に変換されるかは5パターンにも分けられるので、

「言うほど『糖原性』ってグループ分けする意味もあんまなくない?」

などとも思えるんですけど、一応、「糖原性」のアミノ酸解糖系かクエン酸回路に含まれる物質に変換されるもので、「ケト原性」の方はちょうど解糖系とクエン酸回路の境目に位置する物質であったアセチルCoAに変換されると、まぁいわばそんだけの違いって感じですね。

 

(参考までに、既に何度もお借りしていますが、もっと分かりやすかった呼吸の一枚絵画像を再掲させていただきましょう。)

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/細胞呼吸より

まぁぶっちゃけアセチルCoAも、解糖系の最終産物ピルビン酸が変換されてそのまんまクエン酸回路に入っていく物質ですし、別にこいつだけそんな仲間外れにすることなくない?…と思えるといいますか、実際ケトグルタル酸とか、以前見ていたように(↓)…

 

con-cats.hatenablog.com

 

…これ自身、普通にケトンの一種といえるじゃん、じゃあケトグルタル酸に変換される、グルタミン酸(そして、アルギニン・プロリンヒスチジン・グルタミンの4種は、まずグルタミン酸に変換されて、その後糖新生プロセスに入るので、こいつらも同じですね)だって「ケト原性」と呼んでもいいんちゃいますのん?

……なんて気もするんですけれども(全然しないかもしれませんが(笑))、まぁここでいう「ケト原性」ってのは、↓のウィ記事にもある通り……

ja.wikipedia.org

 

…まぁさっきも書いていたましたが、こちらは1種類の目的地しかなく、アセチルCoAに変換されるものをそう呼ぶんですけれども、脂肪酸代謝のときに見ていたように(↓)…

 

con-cats.hatenablog.com

 

…アセチルCoAってのは何気にβ酸化によって生じるものであり、代謝学においては「解糖系とクエン酸回路の中間にいるやつ」というよりむしろ「脂肪酸代謝で大量に生成されるもの」というイメージの方が強いものとなっていて……

…しかも、そしてそのβ酸化では途中でケトン体が発生する形でしたから、まぁ「アセチルCoAに変換されるもの」は「脂肪酸代謝経路により密接に関連する」とみなす形で、他とは別の呼び名がついている、ってだけな感じですね(まぁ、それなら「シボ原性」みたく、「脂肪」を使った方が、糖との対比にもなるし分かりやすい気もちょっとしちゃいますけど(笑))。

 

全然大したことない話をエライ長々と書いてしまいましたが、まぁ正直ぶっちゃけ、そんなグループ分けはかなりどうでもいいといえましょう。


いずれにせよ、どのアミノ酸も変換されることで糖・脂肪酸代謝経路である例のステップのどこかに落ち着き、この経路を逆行していく形でグルコースを再建することができると、そうなっているという話になるわけです。

 

…と、正直もう別に詳しく見るほどの話も残っていない気もしますが、年も明けたというのに例によってあまりにも時間のない日が続いているため、せっかくなので糖新生についてもう少し詳しく見ていく形で、もう1記事ぐらい水増し感覚でこしらえてみようかなと思っています。

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