美味しいものを食べようよ

ここ最近の記事では唐突に呼吸、すなわちエネルギー合成についてウダウダと語っていた形ですが、前回三大栄養素の内、タンパク質は「燃料」というよりも自分自身の体を作り出す「材料」としての意味合いが強いのです……なんてことを書いていました。

 

(ちなみに炭水化物(糖)はまさしく「燃料」であり、基本的にはこいつらを使うことで細胞が活動するための燃料というかガソリンというかエネルギー=ATPを合成しており、一方、脂質も「貯蔵用の燃料」という意味合いが強い(もちろん、脂質は「細胞の膜形成に必要」など、貯蓄燃料以外の用途もあるわけですけどね)感じで……

…それを踏まえると、「燃料」だけ摂っても「材料」が不足してしまうと生きていくために必要な自分自身を形成するモノ(=それが、酵素や多機能分子である、タンパク質)が作れませんから、だからこそ栄養指導のマニュアルでは「高タンパク質の食事を心がけましょう」などと言われがちだという話なわけですね。)

 

まぁ、糖質制限ダイエット的なものについては、僕の専門は分子生物学でありマクロな生理学・栄養学はモグリなのであんまり適当なことはいえませんけど、もちろん理論上は前回も書いていた通り、タンパク質を分解することでATPを合成することも可能ですから、タンパク質だけ摂っていれば「生きるための材料も豊富で、しかも燃料も賄える」という感じで、理論上は生きていくことはできるわけですが……

…とはいえ生物は非常に効率の良い「糖の分解・脂質の分解からエネルギーを産み出すメカニズム」を進化させてきたわけで、タンパク質だけからエネルギーを産み出すのはやや効率が悪く(実際、成人に必要なエネルギーを完全にタンパク質のみで賄うのは、相当困難なはずです)、臓器に多大なる負担をかけるようにも思えますし…

(改めて、僕は別にそこら辺の専門家ではないので具体的なデータは持っていないものの、まぁ直感的には何というか、「せっかく持ってる効率の良い代謝経路を使わないともったいない気がする」って感じもあるかもしれませんね)

…幸い僕自身はボディビルディングをしていたりダイエットが必要だったりといった状況ではないので、少なくとも僕自身はあえて糖質制限はしたことがないし、しようとも思わない感じだといえましょう。

 

もちろん、短期的な身体作りやダイエット効果なんかは、同じ量あたりで持っている熱量もタンパク質の方が控えめですし、糖質・脂質制限をすれば間違いなく目に見える効果があるとは思えますけどね、でもやっぱり、「お米を食べたい・パンやパスタを食べたい・油を使ったジューシーなものを食べたい」という欲求を満たすことそれ自体も極めて重要なことだと思いますし……

(まぁ僕自身はその手の「あぁ、〇〇が食べたい!」的な欲求は全くなく、常に毎日誇張抜きに全く同じものを食べ続けてるんですけど(笑)、幸い全部好きなものを食べてる感じで、全く我慢してるわけではない(=玄米やらシリアルやらで、炭水化物も普通にバクバク食べています)…ってのは、ずーっと昔の、一番最初期の自己紹介記事なんかで書いていた通りです↓)

con-cats.hatenablog.com

 

…あぁ、それに関して、ちょうど似たようなことを、ついこないだ話題になっていたツイートを読んだ時にふと、本当にちょうど最近考えていたばかりでした。

大変趣深い良いポストですし、まぁツイ消しされることはないと思いますが、元ツイ含め、新聞の寄稿文を撮影された画像自体もお借りさせていただきましょう。

 

https://twitter.com/sakichisato/status/1739589412894498850より


中村文則さんの寄稿文ということですが、売れっ子小説家だけあって、素晴らしく味わいのある逸文ですねぇ~。

 

僕は合理主義者で、「食事なんて栄養が摂れればえぇねん、むしろ健康につながらないものを食べる意味、なくない?」などと思っていたわけですが…


(…といっても↑でリンクを貼った記事でも書いていた通り、「味にこだわりは一切ない、もしも完全固形食みたいなのがあれば、それだけ毎日摂取したい」レベルの過激派では決してなく、味も踏まえて食べるものを選んでいるのは間違いないですけど、やっぱり優先順位は「栄養と手間」で、食べる意味が特にないお菓子とかは全く口にしない、って感じの方が正確です)


…これ多分、人間ってそんな単純なものじゃなくって、美味しいものを食べたときに得られる満足感……というと漠然としているものの、結局それだって神経伝達物質が実際に脳内で分泌されることで健康的な肉体の維持に寄与しているものだといえますから、そういう「美味しいな」という気持ちって、マジで全くバカにできないどころか、肉体的な栄養と同じぐらい重要なものなんじゃないかな……なんて、この年になって、こないだ↑のツイポスを見ていたときに、ふと感じたことでしたねぇ~。

 

散々「食には全くこだわりません」とか書いてる僕ですが(さっきからクドいですけど)、それは毎日飽きずに美味しいと感じて食べられるものがあるからそう言っているだけで、例えばマジで自分の食べたいものが一切食べられないメシマズ国家とかに根を下ろして生活しているような場合、同じぐらい高タンパクな良い栄養を摂取していたとしても、多分ストレスで今よりずっと健康的な状態ではきっといられない……もちろん精神的な面のみならず、仮に同じ栄養を確保できていたとしても、肉体的にもずっと不健康な状態になってたんだろうな…なんて気がしてなりません。

 

というわけで、もちろん「好きでやっている・別に辛いと感じない」みたいな状況であれば他人がとやかく言う話ではないんですけど(ある意味僕も、マジで毎日同じものを食べている、食事制限してるみたいなもんですしね(笑))、「本当は〇〇を食べたいな」「我慢するのは辛いけど…」みたいな食事制限というのは、もちろん何らかの明白な意図があって一時的に実施しているとかなら別ではあるものの、漠然と「健康のために」みたいな感じなのであれば、

「ストレスを見ないふりするのも、健康には良くないんじゃないかな」


…と強く思うといいますか、


「好きなものを食べて得られる満足感はバカにできないと思うよ。むしろ、それをひたすら我慢してまで得られる幸福って、何なんだろうね…?」


…と感じるとでもいいますか、要するに「心の栄養もとても大切だと思う」みたいなことを、数日前中村さんの素晴らしい寄稿文を見て、ちょうどここ最近考えていた話だった……みたいな感じでした。

 

とはいえまぁ、僕は幸い「なぜか、高タンパクで健康的なものが、味まで大好き」「油分より水分の方が断然、圧倒的に大好き」という幸運な体質の持ち主だったから無責任にそう言えるだけで、「脂っこいもの・糖分ドバドバな美味しいスイーツ」が心の底からお好きな方の場合、やっぱり飽食の現代においては、「ストレスを抱えないのが大事って何か変なおっさんが言ってた」みたいなことを言い訳にして気が済むまで食べまくるのは、純粋に肉体的な健康にはマイナスもあると、そうは言えてしまうかもしれません。

 

結局、「バランスの良い食生活が大事です」という、当たり前すぎて情報量ゼロの話に帰着してしまいますけれども、よっぽどそんなアスリートを目指すとかでもなければ、あんまり栄養うんぬんにピリピリするより好きなものを食べる方がメリットが多いような気がします…ってのが結論ですかね。

(お菓子とか、個人的にはうっすら「ふんだんな糖と脂肪とで人類の健康を害すだけで、この世に存在する意味あるのか…?何でみんなそんなマイナスしかない無駄なもの買うんだろ??」などと不遜なことを思い続けていたんですけど、むしろ心の栄養に目がいかない自分が一番未熟だったと、そういう気付きを得た…みたいな話ですね。)

 

…と、本当は別の関連ネタに脱線する予定だったんですけど、ふと思いついた「ホットドッグの思い出」の名文のおかげで、一記事埋まった感じとなりました。

気付いたらまさかの大晦日ですけど、どなた様も良い年末年始をお過ごしください。

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