話が逸れに逸れた結果、誰しもが毎日必ずお世話になる泌尿器関連の話を見始めていましたHEALTH LIBRARYシリーズ、おねしょ、夜間頻尿と来て、前回は溢流性尿失禁という、尿がジワ漏れし続けるという絶対かかりたくない嫌すぎる疾患のまとめ記事を参考にさせてもらっていました。
他の泌尿器系の記事も見てみたいけど、めっちゃ長いんだよなぁ…とどうするか迷っていたのですが、何気に前回の記事に「ケーゲルと呼ばれる運動をして、予防しましょう」という記述があり、しかもリンク付きで詳しい解説記事まで用意されていました。
これは初見でしたが、天下のクリーブランド・クリニックが言うなら間違いありません、極めて効果的だと思われるので、今回はこちらを取り上げさせていただくといたしましょう!
とはいえ検索してみたら、何気に日本語版のウィ記事まである結構知られたものだったようですけど…
…しかもこのウィ記事で参考にされていた引用記事は、ライバルの世界最高医療機関、メイヨー・クリニックの記事が引っ張られていたのですが、クリ・クリ記事には分かりやすいイラストまであって、中身もMAYO記事より断然詳しい感じであったので、いつも通りクリクリHEALTH LIBRARYの記事をお借りさせていただこうと思います。
ズバリ、こちらですね(↓)。
Kegel Exercises(ケーゲル体操)
ケーゲル体操は、骨盤底筋を強化するのに役立ちます。骨盤底筋というのは、おしっこの流れを止めるために使う筋肉です。この筋肉を鍛えることで、おしっこが漏れたり、誤ってガスやうんちを漏らしてしまったりするのを防ぐことができます。膣がある人にも、ペニスがある人にも効果があります。
ケーゲル体操とは何?
ケーゲル体操(骨盤底体操とも呼ばれます)は、骨盤底筋を強化するのに役立ちます。骨盤底筋は、膀胱、腸、膣といった、骨盤内の臓器を支えています。骨盤底筋は、臓器を固定すると同時に、おしっこやうんち、また性交などの身体機能も支えています。ケーゲルは、骨盤底筋を強化するために、骨盤底筋を引き締めたり緩めたりすることで行われます。
ケーゲルを実行することで、以下のような問題に効果があります:
- 尿失禁(おしっこが漏れる)
- 切迫性尿失禁(緊急なおしっこの必要性)
- 便失禁(うんちが漏れる)
- 骨盤臓器脱(骨盤臓器が膣の中に垂れ下がったり、膨らんだりすること)
ケーゲルはまた、性的健康を改善し、オーガズムを向上させるのにも役立ちます。男性または出生時に男性に割り当てられた人(AMAB)も、女性または出生時に女性に割り当てられた人(AFAB)も、ケーゲル体操の恩恵を受けることが可能です。
ケーゲル体操の実際の効果は?
ケーゲル体操は、骨盤底筋の 「フィットさ」を保つのに役立ちます。ウェイトリフティングで体の他の筋肉を強化するのと同じように、ケーゲル体操は骨盤底筋を強く保つ方法なのです。ケーゲル体操は、膀胱や腸をよりよくコントロールすること、および骨盤底筋が弱くなるのを防ぐことが可能です。
骨盤底筋が弱いと、おしっこやうんちが漏れたり、誤ってガスが出てしまったりすることがあり得ます。骨盤底筋は、加齢に伴い、あるいは妊娠、出産、手術などによって弱くなることがあります。
ケーゲルはどんな人に必要?
骨盤底筋に負担をかけるようなことは何でも、骨盤底筋を衰えさせ、骨盤内臓器を支える力を弱める原因になり得ます。また、特定の健康状態やライフイベントによって、骨盤底筋が弱くなることがあります。そういった状態やイベントには、以下のようなものが含まれます:
- 妊娠
- 帝王切開を含む出産
- 肥満(BMIが30より大きい)または過体重(BMIが25より大きい)
- 骨盤エリアの手術
- 加齢。骨盤底の筋肉、それから直腸や肛門の筋肉は、加齢とともに自然に弱くなっていきます。
- 排便時の過度の緊張(便秘)や慢性的な咳
- 運動(特にジャンプ、ランニング、重いものを持ち上げること)
ただし、ケーゲル体操は全ての人に向いているものではありません。ケーゲルをしすぎたり、する必要のないときにケーゲルをしたりすると、筋肉が緊張しすぎたり、固くなりすぎたりすることがあります。
妊娠とケーゲル体操
妊娠している方は、妊娠中にケーゲルを行うと分娩が楽になることがあります。これは、陣痛や分娩時に、骨盤の筋肉をよりコントロールしやすくなるから、というのが理由として考えられます。また、以下のことにも役立ちます:
- 膀胱のコントロール
- 胎児の体重を支える筋肉の強化
- 尿失禁あるいはおしっこの漏れ
- 経腟分娩時のいきみ
- 分娩後の会陰治癒
骨盤底筋はどうやって見つければいいの?
骨盤底筋を見つけるには、トイレに座っているときにおしっこの流れを止めてみてください。ただし、どのように感じるかが分かるまでで、この動作はやめてください(そうしないと、この止めたり始めたりする動作が感染症につながる可能性があります)。ガスが出ないようにするイメージでもよいでしょう。
また、膣に指を挿入し、膣の周りの筋肉を引き締めることでも可能です。指の周りに圧力を感じるはずです。こういった動作を試しているときに内部で「持ち上がっている」と感じる筋肉が、ケーゲル体操で鍛える筋肉と同じものです。
骨盤底を、子供の頃に遊んだことのあるUFOキャッチャーゲームのようなものだと想像してみるのもいいかもしれません。UFOキャッチャーでは、金属の爪が下に伸びて開きます。一旦開いたら、おもちゃやボール、お菓子の箱をつまみ、その後また閉じます。景品を取り囲むように爪が閉じると、爪は閉じたままスタート位置に戻ります。こうした爪を閉じて上に引き上げる動作が、ケーゲルとほぼ同じなのです。
ケーゲル体操はどうやってやるの?
ケーゲル体操は、骨盤底筋を持ち上げて、そのままの体勢を維持し、その後リラックスさせることで行います。一度に数回のケーゲルを行うことから始め、その後、各「セッション」(またはセット)で行うケーゲルの時間と回数の両方を、徐々に増やしていきます。1日に少なくとも2~3セットは行うようにしましょう。
以下のステップに従ってケーゲル体操を行います。ケーゲル体操は骨盤底筋を強化します。
ケーゲルのスケジュール例
ケーゲルの日課を始めるときは、少しずつ慣らしていくことを忘れないでください。すぐに5秒や10秒間のケーゲルができるようになるとは思わないようにしましょう。また、すぐに結果を期待することもできません。
以下は、ケーゲルの始め方のスケジュール例です:
- まず、骨盤底筋の位置を確認します(上記の手順で)。
- 骨盤底筋を3秒間引き締めることから始め、次に3秒間緩めます。これが1回のケーゲルです。
- これを10回繰り返してみましょう。10回がきついと感じたら、強くなるまで5回に減らしてください。これを1セットと呼びます。
- 朝に1セット、夜にも1セット行いましょう。
- 筋力がついてきたら、この回数を増やしてみましょう。例えば、3秒キープして3秒リラックスする代わりに、5秒ずつキープしてリラックスするなどです。
- 次に、連続10回まで回数を増やします(まだ10回でなかった場合)。
- 最後に、ケーゲルの回数を1日2回から3回に増やしましょう。
理想は、1セットにケーゲルを10回(キープとリラックスを5秒間ずつ)、1日3セット行う形です。
正しくケーゲルができているかどうか、どう判断すればよい?
ケーゲルは痛くありません。ケーゲルをしてお腹や腰、頭が痛くなる場合は、息を止めているか、間違った筋肉を引き締めている可能性が高いです。
骨盤底筋が上手く見つけられなかったり、痛みや不快感がある場合は、間違ったケーゲルのやり方をしている可能性があります。医療機関に相談すると良いかもしれません。
正しくケーゲルをしていれば、数週間かけて徐々に症状が改善されていくはずです。例えば、おしっこがあまり漏れないようになるといったことがあり得るでしょう。
骨盤底が強いかどうか知るにはどうすれば?
骨盤底が強いといえるサインには、以下のようなものが含まれるかもしれません:
- 「突発的な事故」が全く、またはほとんどない。
- 頻繁におしっこやうんちをしたくならない。
- 腸や膀胱をコントロールできていると感じる。
- 簡単にケーゲルができる。
ケーゲルはどれくらいの強さで締め付けを行えばいいの?
ケーゲルが効いていると感じられる程度に、引き締めたり、絞り込めたりする必要があります。ただし、内もも、背中、お尻、お腹の筋肉を締め付けないように注意してください。これらの筋肉を締め付けることは、正しく体操が行われていないことを意味します。
また、息を止めるほど強く締め付けるのもいけません。ケーゲル中は、普通に呼吸を続けましょう。いつもの呼吸パターンを維持するために、声を出して数を数えるのもよいでしょう。
ケーゲルは座ってするのと立ってするのとどちらが良い?
ケーゲル体操は、寝たままでも、座ったままでも、立ったままでもすることが可能です。骨盤の筋肉が弱い場合は、最初は横になって行うと良いでしょう。
ケーゲルは何秒間引き締めるべき?
初めの内は、自分にとってかなり簡単だと思えるケーゲル体操だけを行いましょう。例えば、1回3秒のケーゲルを1日2セット、5回ずつ行うなどです。筋力と持久力がついてきたら、少しずつ回数を増やしていきましょう。理想的なのは、5秒間ケーゲルをキープし、5秒間筋肉をリラックスさせることです。これを10回まで、少なくとも1日2~3セット繰り返しましょう。
ベストなケーゲル体操とは?
「ベスト」なケーゲル体操というものはありません。正しく行えば、全てのケーゲルは有益です。ケーゲルは座っても、立っても、横になってもできます。自分が最も心地良いと感じるものを選びましょう。どの姿勢でも、ギュッと力を入れて引き締め、持ち上げることに集中しましょう―骨盤底で何かをつまむようなイメージです。
ケーゲル体操が上手くできないのはなぜ?
ケーゲル体操で困難に直面する場合、医療従事者が、バイオフィードバック・トレーニングや骨盤底筋への電気刺激を試してみることを勧めてくるかもしれません。
バイオフィードバックでは、医療従事者が膣に電極を挿入します。担当の医療従事者がケーゲルを行うように指示し、正しく筋肉が締められているかどうかがモニターに表示されます。
電気刺激を使えば、ケーゲル体操がどういう感覚なのかを再現することが可能です。電気刺激では、担当の医療従事者が、骨盤底筋に小さな電流を流します。その結果、筋肉が電流に反応して収縮します。
ケーゲルが上手くできなかったり、自分が正しい筋肉を使っているかどうか定かではない場合は、遠慮せずに医療機関に相談してください。お役に立ちます。
ケーゲルボールとは何?
ケーゲルボールとは、膣の中に装着する特別な器具です。ケーゲルエクササイザーと呼ばれることもあるこの器具は、ほとんどが丸い形や円形のもので、骨盤底筋の調子を整えるのに役立ちます。タンポンを挿入するのと同じように、ケーゲルボールを膣の中に入れます。骨盤底筋がケーゲルボールを所定の位置に保持し、その間に日常生活を続けます。ケーゲルボールの装着は、1日数分から始め、徐々に装着時間を長くしていきます。
変化を実感するにはどのくらいかかる?
6~8週間後に、結果が見られると期待できます。変化を実感できるまでの時間は、ケーゲル体操をどれだけ継続的に行っているか、また筋肉がどの程度弱っているかによって異なります。
男性でもケーゲル体操はできる?
特定の健康状態あるいは性的な健康状態にある男性やAMABも、ケーゲル体操をすることで恩恵を受けることが可能です。男性やAMABの方へのケーゲル体操には、以下のような効果があり得ます:
クリーブランド・クリニックからのメモ
ケーゲルは骨盤底筋を強化するのに有効な運動です。骨盤底筋が弱くなる理由は沢山あります。おしっこやうんちが漏れる、または必要もないのにおしっこがしたくなるなどの症状は、骨盤底筋が弱っている徴候です。少しずつ、1日に数回ケーゲルを行うことで、徐々に慣らしていきましょう。ケーゲルについてよく分からない場合や、正しく出来ているか不明な場合は、遠慮なく医療機関に相談してください。
…「骨盤底筋の見つけ方」の所で、「あのぅ~、膣がないんですけど…」と思っていたら、どうも基本的には女性向けの体操ではあるみたいですね。
しかし、男性にとっても意味のあるものなことは間違いないようで、しかも、寝たままのみならず、座っていても立っていても可能という手軽さは素晴らしい!
実際、手順も簡単ですし、要は骨盤底筋を締めて緩める動作を繰り返し行えばいいということで、尿がダダ漏れになる前に、予防の意味で習慣化するのがいいかもしれませんね。
(まぁ、その習慣化が一番難しいとも言えるわけですが…)
もちろん予防のみならず治療・改善にも使えますから、将来尿が漏れてしまう時に備え、「そういうトレーニングがあった」と覚えておくだけでも意味がありそうですね。
ぜひ、試してみたい限りです。