タンパク質が減り始めたらヤバい

前回クレアチンのサプリについて、その効能や用法用量に関する注意点を、クリーブランド・クリニックの丁寧な解説記事からそのままパクらせていただいていました。

 

まぁパクっておいてなんですが、あの手の説明記事は、何となく漠然と「~という可能性もある」だけで、二言目には「医師に相談しましょう」と言ってばかりの、正直全然おもんない記事でしたけど(笑)、まぁ、医療機関としてはそれが最も誠実な姿勢といえますから、逆に信頼できる情報だったともいえるかもしれません。

 

いずれにせよ、クレアチンというのは食事以外にも自分の体内で合成されて、筋肉のみならず、脳機能の改善にも効果がありえる可能性がなきにしもあらずっぽいようなことも知られている…みたいな、まぁ断定を避ける形ではあったものの論じられていました。

 

まず、名前だけ見て構造についてはあまり詳しく見ていなかったその「クレアチン」ですが、これは実は非常に小さな、わずか炭素4つから成る低分子なんですけれども、ポイントとしては「カルボキシ基-COOHとアミノ基-NH2を持つ」というもので、何てことはない、それと全く同じ特徴を持つ、「アミノ酸」にそっくりなやつなんですね。

 

「生体内で自然に生合成される」というのはまさに、2つのアミノ酸が組み合わさって作られるというもので……

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/クレアチンより

↑のクレアチンのウィ記事にある通り、実際、20種類のアミノ酸のメンバーである、グリシンとアルギニンとがくっついてできるというものなのでした。

 

おさらいですが、アミノ酸ってのは1つの炭素原子の4本腕に、水素・カルボキシ基・アミノ基の3つと、後はアミノ酸ごとに異なる「側鎖」と呼ばれるカタマリがくっついているものであり…

グリシンは一番小さい、側鎖にも水素原子がくっついているやつ、そしてアルギニンは、「塩基性アミノ酸」というのが特徴でしたけど、アルカリ性を示すアミノ基っぽいのが更にいくつも側鎖部にあるというもので、その様子は↑の構造式からも分かると思いますが…

(炭素は折れ線の頂点にある形で省略されますし、炭素に直接つながった水素も図からは省略されるので慣れるまでは分かりにくいものだと思えますけど、まぁ炭素の腕は4本で、4本伸びていなかったら、残りには水素がくっついてる、って感じですね)

…一方のクレアチンは、カルボキシ基-COOHがつながっている炭素原子にアミノ基-NH2が直接つながっているわけではないので、定義上、こいつはアミノ酸ではないわけですけど、少し離れた位置にはアミノ基も存在しますし、まぁアミノ酸の兄弟みたいなもんだといえましょう。

 

タンパク質ってのは20種類のアミノ酸が大量につながったものですし、そもそもクレアチンも上述の通りアミノ酸から作られるものですから、果たしてクレアチンをあえてサプリで摂る意味はあるのか……タンパク質=プロテインをしっかり摂れば十分なのでは…?と思えるものの、まぁそうは言っても、上図にある通り、クレアチンを合成するのにも2段階の反応が必要でそれなりに手間がかかるものですから、恐らく直接摂るに越したことはないといいますか、まさに前回見ていた通り、意味がなくはなさそうだし、本当に直接瞬発力につながる物質なのは間違いありませんから、プロのアスリートは積極的に摂取しているもののようです、って話ですね。

 

ちなみに、これまで散々、

「生きるのにはエネルギーが必要で、そのエネルギーとはATPという分子に蓄えられるものであり、生物は呼吸をすることでATPを合成しています。

 ちなみに、呼吸の基本は糖の分解ではあるものの、脂肪を使うこともあり(=エネルギー効率は高いが、反応速度は低め)、さらにはクレアチンを使うこともあります(=エネルギー効率は悪いしすぐ枯渇するけど、反応速度が鬼高)」

…といったことを書いてきましたけど、ここでふと、「三大栄養素って、炭水化物・脂質・タンパク質じゃなかった?タンパク質だけ仲間外れだけど、こいつは何なん?何が三大なん?」と思われた方もいらっしゃるかもしれませんが、これはズバリ…!

 

まぁ「似た形のクレアチンがタンパク質の代わりに使われているのです」だったら分かりやすかったきもするもののそういうわけでは全然ないんですけど、そもそもタンパク質ってのは、アミノ酸が組み合わさって凄まじく色々な機能を発揮できるスーパー分子であり、身体そのものを構成しているのはもちろん(皮膚も、髪も、筋肉も、どれもタンパク質からできている)、代謝を行うための酵素や、その他あらゆる生体反応を円滑に行うための酵素ももちろんタンパク質からできているもので、詰まるところ「生きる」ってのは「タンパク質を合成すること」に他ならないといえるわけですね。

 

それを踏まえると、それを作るため…というかエネルギーを使って作りたい目的物質であるタンパク質を、エネルギーを作るために消費してたら本末転倒じゃん、って話なわけで、基本的に人間は貴重なタンパク質様ではなく、エネルギーとして使うためだけに存在するといっても過言ではない、炭水化物(糖)や脂肪をエネルギー源(←ATPを合成するための)として用いているのです…と、そういう形になっているのでした。

 

とはいえもちろん、細胞呼吸という名の炭水化物分解経路や、β酸化といった脂質代謝経路があるように、タンパク質にも、「ATPを合成するための分解経路」は存在しており、あまりにも体内から栄養が無くなってしまったら、タンパク質を使ってATPが作られることもあり得ます。


当然、なくなってもすぐに死にはつながらない、筋肉なんかからまず分解されていく…という形で、機能性の重要な酵素なんかが犠牲になることはないとはいえますけれども、あくまでそれは緊急時のみで、タンパク質ってのは基本的に、

「消化してアミノ酸にまで戻してやった後、遺伝子DNAのレシピ通りに、また自分に必要なタンパク質を作る材料とする」

…という、別の(自分にとって必要な)タンパク質を合成するための「材料」として使われることがメインの用途だといえるわけですね。

 

まぁそんな長々ととりとめなく語らずとも、検索したら我らが大塚製薬(の工場のようですが)による「栄養の基礎知識」なる解説記事に、大変分かりやすい図とともに説明が載っていました。

 

www.otsukakj.jp

 

図をお借りすると、こんな感じで…

https://www.otsukakj.jp/healthcare/iv/nutrition/より

 

代謝(エネルギー獲得)の基本はまさにグリコーゲングルコースが大量につながった、代表的な炭水化物・糖)であり、普段は食事で得られた糖を使って我々は必要なATPを作っているわけですけど…

絶食をするとわずか1日程度で体内のグリコーゲンは尽きてしまい、そうすると今度は「いざ」という時のために蓄えられていた、超エネルギー効率の高い脂肪が使われて生きるためのエネルギー(ATP合成)が賄われるわけですけれども、脂肪のみならず同時に筋肉=タンパク質も使われていくようですが、使いやすいタンパク質である筋肉も落ちきってしまい、骨と皮だけの、もうこれ以上使えるエネルギー源がいよいよ尽きてしまうと、ついに体の中にある、生きるのに大事なタンパク質も分解され始めて、そうなるともう遠くない先に、画像には「nitrogen death(窒素死)」などとありますが、まぁ有り体にいえば餓死してしまうわけですね。

 

当然、髪の毛を作るためのエネルギーも材料となるタンパク質ももう完全不足状態で存在しないため、髪は真っ白(あるいはどんどん抜けていく)、肌もボロボロのカサカサになってしまうわけですけど、上記記事によると「体重が健常時の70%にまでタンパク質が失われるともう死が見える」ということで、本当にタンパク質というのは重要であるとともに、そこに手を付けなくて済むよう、効率良くエネルギーを合成できる糖や脂質なんかもバランスよく毎日摂取するようにしましょう…ってのが、医学的には推奨されている形になっているのでした。

 

まぁ、とはいえ飽食の現代においては、誰がどう考えても栄養は逆に「摂りすぎてしまって良くない」方が圧倒的に多いとはいえるわけで、タンパク質喪失に悩むことなんてほとんどないとはいえるとは思いますが……

いずれにせよ、ダイエットであれ増量であれ、バランスよく健康的な食事が大事だというのは、まぁ当たり前すぎて何の情報量もない話ですけど、忘れてはいけない大原則ですね、って話だといえましょう。

 

といった所で今回もいい分量になったのでこの辺で一区切りにしようと思いますが、もうちょい脱線ネタに逸れられそうなので、次回も関連ネタでお茶を濁させていただこうかと思います。

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