一方通行のこともあるよ

前回の記事で、タンパク質と糖(さらには脂質も)との密接な関係、いわゆるアミノ酸代謝糖新生について、画像を貼って名前を見た程度でしたが、チラッと触れていました。

 

まず名前についての追加脱線ネタとして、「糖新生」ってのは当然、最重要シュガーであるグルコースブドウ糖)を新たに生産する、ってそのまんまの意味でしかない反応なのですが、こちらは英語だとgluconeogenesisで、「グルコ/グリコ」が糖、「ネオ」が新、そしてgenesisは前回「gen」=「産み出される」的な語源と書いていましたが、それと同根の語で、こちらは「起源 (origin)・誕生 (birth)」といった意味であり、これはもうそのまんま逐語訳的な「糖・新・生」という名前になっている感じですね。


まぁそんな名前の細かい点はあまりにもどうでもいい話ですけど、そこにも触れておこうと思っていたのに触れていなかったので、記事水増しも兼ねて触れさせていただきました。

 

早速続き本題の、各分子の和名も併記した画像を再掲しておきましょう。

https://ja.wikipedia.org/wiki/糖原性アミノ酸より


そしてまたしても全く1ミリも本題と関係ない話に脱線してみますと、↑の図のアミノ酸名の文字色はで分かれているわけですけど、これ、僕は色弱ではないので判別できますし、実際に「色覚に異常がある場合、どの程度同じように見えてしまうのか」は分からないんですけれども、これはあんまりいいカラーバリエーションではない気がしますね。

 

色弱の方の場合、どちらも区別のつかない似たような茶色っぽくなってしまうという話なので、2色使う場合は青とオレンジみたいな選び方の方がいいと聞きます。

 

これに関して、ちょっと前に話題になっていた(ちょうど年も変わったので、もう2年も前の話になりますが)ポケモン最新作の人気キャラにナンジャモちゃんという子がいるらしいんですけど、(僕はポケモンSV未プレイなので、ネットで話題になってることしか知りませんが…)この子が、ほぼ彩度の同じ水色とピンクのツートンカラーの髪で、色弱持ちの絵師の方が自作のファンアートを描いて塗りをした場合、単色になってしまうことが大いにある、いわゆる「色弱キラー」なキャラだ…なんてネタを見たのが強く印象に残っているのですが……

 

togetter.com

 

…ちょうど↑のまとめ記事の中ほどにあるように、

「このツイート(=ナンジャモが色弱キラーうんぬんについて初めて触れたと思しきつぶやき)で初めてナンジャモの髪が2色なのを知った」って人が結構居る……

というポストに対し、ご丁寧に綺麗な2色塗りの公式ナンジャモちゃんを貼りつけて、

実際公式絵は単色ですね

とリプライを送っている方がいて、その後、「え?この写真ですよ?まさかこれも2色なの…?」と本当に驚かれている様子に、「あぁ…」と、上から目線の同情とかそういうわけでは決してないんですけど、何というか本当に心から悲しい気持ちになってしまいました。

 

この違いが分からないと、世界はどれだけ鮮やかさに欠けるように見えてしまうんだろう……という、「可哀想」と書くのも本当におこがましいのですが、ピンクと水色の差が分かる方が世界はもっと楽しいし、どうか区別がつけられるようになってもらえたら嬉しいなぁ…的な、まぁそんな話は以前もしたことがあり、「色覚異常矯正メガネ」なんかの話もずーっと前の記事(↓)で書いたことがありましたけど……

 

con-cats.hatenablog.com

 

この記事で貼っていた「色覚補正メガネをプレゼントされたダンディーなパパ」の動画、僕は未だにめちゃくちゃ好きなので、またペタリと貼らせていただきましょう。

www.youtube.com

 

…初めて世界にカラフルな色がついて思わず顔を紅潮させて泣いてしまうパパ……いつ見ても感動です。

 

……と、本当にいきなり全く何の関係もないネタに脱線してしまいましたが、色分けうんぬんについてはマジでどうでもよく、先ほど緑で書かれていたリシンとロイシンだけが「ケト原性」でしかないアミノ酸であり、こちらはアセチルCoAに変換されて、糖新生ではなく脂肪酸代謝で用いられるという違いがあります……なんてことに前回触れていました。

 

リシンとロイシン以外にもアセチルCoAに変換されるアミノ酸はあるんですけど、他の奴らはクエン酸回路の中間産物にも変換され得るので、糖新生経路に乗っかってグルコースになる道もあるといえるものの…

…改めて、リシンとロイシンだけはケト原性経路しかない(というか、アセチルCoAにしか変換されない)ので、これらはグルコースになることはできない…って感じになっています。

(もちろん、アセチルCoAはクエン酸回路に入ってクエン酸にもなるので、それが回り回って糖新生経路の物質であるオキサロ酢酸にまで変換されれば、そこで糖新生経路に入れるといえなくもないため、「絶対ならない」ってわけではないと思いますけど、基本的にアミノ酸を分解して生まれたアセチルCoA(なお、↑の画像にはありませんが、アセト酢酸という分子に変換されることもあります)が直接糖新生経路に入ることはなく、普通は脂肪酸代謝に使われることになる形ですね。)

 

まぁその辺の細かい違いというかグループ分けは、僕も全アミノ酸が何に変換されるかなんて全く覚えちゃいませんし(実際、リシンとロイシンって、それぞれ塩基性アミノ酸・脂肪族アミノ酸で性質も全く違いますし、なぜそうなるのかはかなり理論立って覚えるのが難しい、よぉ分からん組み分けになっている感じだといえましょう)、本当にどうでもいいっちゃどうでもいい(=知識として覚える必要はないと思う)感じかなと思います。

 

そんな感じで、純粋なケト原性アミノ酸は2つしかないわけですけど(他のアセチルCoAになる組は全員両刀)、リシンとロイシンは何気に割と前に見ていたアミノ酸の含有量順の記事でまとめていた通り(↓)…

 

con-cats.hatenablog.com

 

…タンパク質の中にかなり多く含まれるメジャーアミノ酸ではあるので、意外と「糖になれないアミノ酸」の割合も多いっちゃ多い感じですね。

 

もちろん他の18種のアミノ酸は、全て糖新生経路に乗ってグルコースに生まれ変わることができるので、完全にタンパク質しか食べなくても血糖値は維持できるわけですけれども、まぁでもやはり血糖値不足になるのはちょっと危ない食生活といえますから、体の中の糖分が不足してしまわないように、炭水化物も適宜摂るようにするのが個人的にはいいんじゃないかな、って気がしてなりません。

 

(まぁその辺は専門ではないので、あんまり声高には主張できませんが…)

 

…と、こないだから糖原性だの糖新生だのよぉ分からん話をごちゃごちゃとしてしまっているわけですが、これは最初に触れたときにチラッと書いていた通り、原則として、普通に解糖系の経路を逆に登っていくだけだという感じになっています。


先ほどの糖新生の画像は肝心の解糖系経路が矢印で省略されていたので、より細かく描かれているこちらの図も再度お借りしておくと……

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/細胞呼吸より

…まぁこの左側にある流れが解糖系でしたけど、「原則として」と書いていた通り、実は完全に逆行していくわけではないんですけどね。

 

最初に貼った画像をよく見ると分かる通り、そもそも最終産物のピルビン酸から1つ前のホスホエノールピルビン酸という反応、ここは、解糖系だと重要エネルギー分子であるATPも作れるお得なステップなわけですけど、実はこの反応は一方通行であり、「ATPのエネルギーをやっぱり返すから、ピルビン酸をホスホエノールピルビン酸に戻して」ってわけにはいかない形になっています。

 

以前の記事で割と何度か「酵素ってのは、両方向の反応を触媒できるんですね!」とか書いていたんですけど、まぁ厳密にいえばそうなんですが、現実的にいえば、

「一方の反応に比べて、逆向きの反応を進めるために必要な活性化エネルギー・構造変化・安定性などなどの各種要因による障壁が極端に大きく、事実上、逆方向には反応が進まない」

という酵素反応も普通に沢山存在し、この「ピル→ホスエピ」の反応も、まさにそうなっている感じなんですね。

 

ピルビン酸をホスホエノールピルビン酸(長いので、「ホスエピ」はまぁふざけた略称にも程があるので(笑)、以下、より学術的にPEPと略しましょう)に変換するためには、これまた最初の画像をよく見れば分かる通り、クエン酸回路の最後というか最初の起点物質となるオキサロ酢酸に一度変換し、オキサロ酢酸をPEPに変換していく…という迂回作業が必要になってくる形になっています。

 

そうすると、「PEP→ピルビン酸でATPが作れるんだから、ピルビン酸→オキサロ酢酸→PEPという感じで戻してやれば、ATPを無限合成できるのでは?永久機関の完成じゃん!」と思われる方もいらっしゃるかもしれないんですが(まぁいないと思いますけど(笑))、これはズバリ、そうは問屋が卸さないに決まっていて、以下PEPのウィ記事(↓)にもまさに化学反応式の記述がある通り……

 

ja.wikipedia.org

 

GTP + オキサロ酢酸 → GDP + ホスホエノールピルビン酸 + CO2

…とこのように、オキサロ酢酸→PEPの変換には、GTP(まぁATPではないものの、同じように3つ目のリン酸結合に高いエネルギーを蓄えている、エネルギー分子ですね)をGDPに分解してエネルギーを取り出す必要があるため、エネルギー収支的には全く貯金は生まれない感じになっています。

 

ちなみに↑の記事の反応式のすぐ横に記載されていた通り、この反応が糖新生律速段階(一連の流れのある反応の中で、最もスピードが遅く、全体の流れが「こいつ待ち」になるステップのこと)のようで、GTPのエネルギーも必要ですから、アミノ酸から糖を作るためには、ここで一番頑張る必要がある形になっているみたいですね。


なお、解糖系全体ではATPの収支は(グルコース1分子あたり)「+2」だったわけですけど、糖新生を走らせるためには、全体で「ATP:-4」「GTP:-2」となっており、エネルギー収支的には圧倒的に借金になっている(=戻した糖を消化して得られるエネルギーよりも、断然多いエネルギーを使わないといけない)ということで、解糖系⇔糖新生の関係のことを、往復することで結果として何が変わるわけでもないのに、無駄にエネルギーだけを消費するということで「無益回路」とも言うわけですが…

 

ja.wikipedia.org

 

…改めて、血糖値の維持は生物にとって極めて重要なことなので、血糖値がめちゃくちゃ小さくなってしまったら、自らの血肉=タンパク質などを分解して、多少エネルギーの無駄遣いをしてでも糖新生を行って体内のグルコース濃度を維持しなければいけない、という感じなわけですね。

 

…と、結局糖新生も最初の1ステップしか見られていないんですけど、色覚異常うんぬんの話に無駄に逸れたこともあり、時間切れとなってしまいました。

 

あと残りの糖新生の経路も同じように、「一部の反応で一方通行の部分もあり、迂回する必要があります」だけでもう本当に特に語ることもないんですけど、例によって新しい話題を考える時間もない日が続いてているので、やっつけ仕事的に糖新生の残りのステップも次回見ていこうかなと思います。

 

特に画像もなかったのですが(PEPはまだ使ったことがなかったんですけど、まぁその分子構造を貼るのも今さら過ぎるので却下しました)、そういえばこれも触れようと思っていた、「各アミノ酸自身がどうやって糖新生・ケトン体合成用の各分子に変換されるのか」という反応について……まずは、割と一番単純な経路といえるロイシンの画像を、「アミノ酸代謝」に関するウィ記事よりお借りして、また次回以降機会があったらこの辺も詳しく見てみようかなと思います…と予告的な画像を貼っておしまいといたしましょう。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/アミノ酸の代謝分解#ロイシンより

…一番簡単なタイプの経路でこれ……ややこしいっ!!

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