ミトコンドリアと複合体

ここ最近は呼吸の醍醐味ともいえる、圧倒的な数のエネルギー分子ATPを合成できる電子伝達系について見ている形です。

 

その主役ともいえる、しゃもじ型(まぁしゃもじってより、前方後円墳みたいに描かれるといった方がより近いかもしれませんが)のATP合成酵素については、「回転する」「この反応だけを見るとイオンチャネル(受動的な輸送)っぽいけど、イオンポンプ(能動的な汲み出し)として使われることもある」などということを最近の記事で見ていました。

 

電子伝達系は、このATP合成酵素の他に4つの複合体が関与しており、具体的にはそれぞれ電子を伝達していくとともに水素イオンの汲み出しを行っているイオンポンプになっているわけですけど、今回はその4つの複合体、何の捻りもなく「複合体I~IV」と名付けられていますが、そいつらを見ていくといたしましょう。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/電子伝達系より


…なお、ATP合成酵素も、全く同じようにミトコンドリアの内膜に埋まっているタンパク質であり、これを「複合体V」と呼ぶこともあるわけですが、例によって名前はどうでもいいですね。

「ATP合成酵素」どころか、「回転しゃもじ」ですらいい気がします(それは流石に良くないですけど(笑))。

 

ちなみに今さらの話ですが、「ミトコンドリアって何やねん」という話は、まぁまた別の機会に触れようかなとも思っているんですけれども、せっかくなのでごくごく簡単に触れておきますと……

まず、物質としては二重膜に包まれた小さなボールみたいな小部屋であり、機能としては呼吸専用の装置、まさにこの細胞呼吸第二第三のステップ(クエン酸回路・電子伝達系)が行われる場というのがその存在意義というかアイデンティティであり、まぁあんまりいい例えには思えませんけど、細胞内の発電所みたいなもんなわけですね。

 

生きる上でのエネルギーは、基本的にこのミトコンドリアでほとんど作られているものだといえましょう。

 

もちろん「細胞小器官」と呼ばれるだけあってどの細胞にもあるものであり(「ミトコンドリア」という細胞があるわけではなく、細胞の中に「ミトコンドリア」という小部屋が多数存在している感じですね)、基本的に細胞は自給自足でATPを作る形になっているわけですけれども、あまりにも一気に大量に消費するようなことがあれば(筋細胞などが大きく運動する場合とかですね)外部から供給されることもあるかと思いますが、例えば赤血球なんかにはミトコンドリアは存在していないなど、「ミトコンドリアを持たない細胞」もある感じになっています。

 

なぜ赤血球にはミトコンドリアがないのか…?

(それどころか、赤血球には遺伝子DNAの保管庫である核すらありません)

…その理由は赤血球に聞いてみないと分かりませんけど、まぁ合理的に推測すると、とにかく全身に酸素を運ぶことが至上命題である赤血球は、なるべく多くの酸素を保持できるように、酸素を運ぶ機能以外は全捨てするように進化した(その意味で、「酸素を消費する場」であるミトコンドリアは、赤血球にとって最も不要なものだといえましょう)…といえるのかもしれませんね。

 

なので、赤血球自身は(寿命が短い細胞であることが有名ですけど、核すらない&寿命が短くても生きていることには変わりがないので、赤血球自身も細胞という形態を維持するためにエネルギーが必要なわけですが)高効率のエネルギーを産み出すクエン酸回路&電子伝達系を動かすことができず、ショボいエネルギー生産反応である解糖系に頼るしか術がありません。

 

血糖値(=血液の中のグルコース濃度)があまりにも低すぎると、人間は生きられないわけですが…

(参考:『血糖値が 30mg/dL 以下になると、けいれん発作、低血糖昏睡に至り、治療が遅れると死に至ることがあります。』湘南中央病院の解説PDF記事より)

…それは取りも直さず、赤血球は解糖系に頼らざるを得ず、解糖系はグルコースを起点として始まる反応だから……というのが理由として大きく存在しているものではないかと思います。

 

まさにその旨の解説記事が、また別の病院、きよしクリニックのページにあったのが目に付いたので参考にリンクを貼らせていただきますが(↓)……

kiyoshi-clinic.com

 

…まぁ、現代で低血糖が原因で倒れる(つまり餓死)なんてことはまずないとは思えるものの、歴史的には生物というのは低血糖と戦い続けなくてはいけなかった時代が長く続いており、我々人間も、血糖値を上げるホルモンは大量に持っているのに、血糖値を下げるホルモンはインスリンのわずか1種類しかないというのも、またホルモンの話にでも脱線したらしようと思っていた生物学の基礎知識ですね。


(なので、飽食の時代で、血糖値が高くなることが多くなった現代人にはむしろ、「血糖値を下げる力が弱い」のがネックとなり、糖尿病他様々な現代病の一因ともなっている感じだといえましょう。)

 

…と、複合体の話に脱線するつもりがミトコンドリアの話になりましたが、あえて無理くり脱線したのには理由があって、複雑な反応を司るステップだけあって、複合体の話、あまりにもクソおもんなさすぎるんですよね(笑)。

 

まぁ面白くないというか、難しすぎて、あえて触れて意味がありそうな話でもないと言いますか、僕自身、ウィ記事に書かれていること以上に広げられる豆知識も特になさそうですし、特に書くことがない……ってのがその理由ですけど、まぁほぼ記事もそれっぽい長さに埋まったことなので、申し訳程度に今回は複合体Iだけ見ておくといたしましょう。

 

「複合体 I」という名前にはなっているものの、それはニックネームというか略称であり、電子伝達系のウィ記事にもある通り、実体は「NADH:ユビキノン還元酵素 (水素イオン輸送型)」という巨大タンパク質(名前も無駄に長い(笑))になっています。

 

ja.wikipedia.org

 

上記ウィ記事のサムネイルにもなっている、例の「タンパク質のリボン構造」は見たところで特に何も分からない、大して何の意味もない絵でしかないので、電子伝達系の記事にあった、機能の概略図のイラストをお借りさせていただきましょう。

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/電子伝達系#複合体Iより

 

NADH」「ユビキノン」は何気に以前話に出てきた通り、補酵素の一種、いわばビタミンの一種なわけですけど(キノンの方は、コエンザイムQ10ですね、また出てきました)、こいつらは酸化還元が行われやすい体質をしているわけですが、名前にもある通りNADHから水素が取れて(水素を失う=酸化される)、同時に遊離する電子が最終的にユビキノンに受け渡されて(電子を受け取る=還元される)、還元型ユビキノン(=ユビキノール)が膜の中を伝わり、別の複合体へ…

…という感じですけど、巨大酵素だけあって行われる実際の反応はもうちょい細かく、種々の物質が絡んでくる途中状態が存在するものであり、順番に見ていくと……

画像にFMNとあるこちらは「フラビン」で、NADHと同じくクエン酸回路なんかでも顔を出していたFADの兄弟分子なのですが(FADは例の「A(アデニン)」がくっついているものである一方、FMNは「アデニンなし」になっています)、まずはこいつがNADHの酸化によって還元された後、得た電子をさらに別の分子「鉄・硫黄クラスタ(英語だとFe-S centers)」に伝えていき(要は、今度はFMNが酸化され、鉄硫黄クラスターが還元される感じですね)、最終的にこれがキノン(画像では「Q」)に伝わっていくというのが細かい反応で……

さらに、その過程でこの酵素はポンプとしての機能を発揮し、水素イオンが膜の外へ汲み出される形になっている…

…という流れになっているわけですが、これはもう、あまりにも複雑すぎるので、深入りは不要といえましょう。

 

とにかく、「酸化還元が色々起こり、水素イオンや電子が伝わっていく」と、それで十分ですね。

(というか、詳しく書いている時間がまたしても完全になくなってしまいました(笑)。)

 

以後、II~IVもほぼ同じような感じですが、せっかくなので名前の紹介程度だけ、また次回見ていこうかなと思っています。

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