ビタミンB群とビタミンCに触れ、水溶性ビタミンの話を終えていました。
続いてはアルファベットの順番的にビタミンDですが、実はこいつも以前、サプリについてちょいちょい見ていたときに、「サプリ大国アメリカで圧倒的断トツ人気(全米サプリランキングNo. 1)の最高の栄養、骨が強くなるのみならず、とにかく死ににくくなる最強物質」などとべた褒めしていました(特にこの記事→「この栄養はえぇよ~」あたりで)。
ということで、ビタミンの中で一番目玉ともいえる健康物質ビタミンDは、既に1記事分触れていたためもういいでしょうってな具合で、詳しい話は抜きに、ミネラル・水溶性ビタミン記事でまとめていたように、構造と多く含まれる食品だけ簡単にまとめる感じで終わらせちゃいましょう。
そういえばビタミンAは栄養研のページを参考にした食品TOP3に触れていなかったので、ビタミンA, Dと残るE, Kも全て脂溶性ビタミンなので、ついでということで脂溶ファミリーを全部まとめておくとしましょう。
・ビタミンA
レチノール・レチナール・レチノイン酸の変換をまとめた(プラス、皮膚に塗布されたレチノールのほとんどがこの型になるという、レチニルエステル(エステルは、アルコールと脂肪酸がエステル結合でくっついたやつでした。最もよく使われる脂肪酸が、パルミチン酸とのことですね)も含めた)画像を改めて、おさらいとして貼っておきましょう。
多く含まれる食品(1食あたり):鶏レバー(5600 μgRAE=β-カロテンなど、レチノイドに変換されるもの全てを考慮した、レチノール活性を表す量。昔はIUで表されていたようですが、IU×0.3でμgRAEに換算可能とのこと;相変わらず、レバーが桁違いで断トツ!豚レバーも2番手に挙げられています(牛レバーはなぜか挙がってませんが))、うなぎ (かば焼き)(1200 μgRAE)、 にんじんジュース(740 μgRAE)、ほうれん草 (ゆで)(360 μgRAE)など。
そもそものポイントとして、脂溶性ビタミンは、過剰摂取しても尿中に排出される水溶性ビタミンと違い、上限を超えて摂りすぎると体内に蓄積されて危険といわれています。
まぁその辺も既にこの記事(今度こそ、マジで食べてはいけないヤバイやつ)とかで触れていましたが、特に妊娠期の女性でのビタミンA過剰摂取は胎児にとってかなり危ないといわれているものの、よっぽど毎日3食レバーを動物の腹かっ捌いて生で直接口の周り血まみれにしながらニヤァ~っとすするとかしない限り(どんなヤベェ母親だよ(笑))、過度な心配は不要だと思いますが、サプリでビタミンA・カロテン系を集中的に摂取するのはやめた方が安全かもしれませんね。
特にビタミンAが過剰摂取で槍玉に挙げられている印象ですが、健康王ビタミンDも脂溶性ビタミンですから、一応バカみたいに摂り過ぎないようには注意が必要かもしれません。
・ビタミンD
ビタミンDにはD2とD3の2つがありますが(D1は、D2を主成分とする混合物に対して誤って与えられた名称であり、欠番とのことですね)、以前のビタD記事で見ていた通り、より効果が高いとされるものはD3の方ですね(ただ、特に差はないとする報告もある模様)。
僕の飲んでるマルチビタミンも、D3が配合されていました(前回の画像参照)。
それぞれエルゴカルシフェロールとコレカルシフェロールという名前で、構造もいかにも有機化合物という、王者に相応しい物質といえますが(そうかぁ?)、D3の「コレ」は、コレステロールと同じコレですね。
以前脂質関連の記事でコレステロールについて見ていましたが、ビタミンDはこれと同じステロイド核をもつ構造の物質になっています(まぁ、ステロイド4環の構造は、代謝過程で微妙に変換された結果、そのままの形で維持はされていませんが)。
ステロイド系の物質ということで、これぞまさに脂溶性ビタミンという感じですね。
まぁ、もちろん溶解度のデータとかを見ないと正確には分かりませんが、何とな~く、「炭素と水素ばかりの構造だと、水には溶けにくそうだな」(逆に、「-COOHとか-NH2とかが末端にあると、水に溶けることはできそうだな」とか)みたいなイメージをもてるようになっていると、無駄に有機化学講座をだらだらと語っていた甲斐があるってもんですね。
(…って、何気に一度もその辺のメカニズムには触れていませんでしたが、COOHならH+が離れて-COO-になるとか、NH2なら逆にH+がくっついて-NH3+になるとかいった形で、水(H+とOH-とに分かれる極性溶媒)になじむことで溶ける、ってイメージですね。
結局、酸素原子や窒素原子からなる官能基が末端にあると、水に溶けやすいってことです。もちろん全体の構造の兼ね合いもあるので、一概にそうとは言い切れませんけどね(事実、ビタミンDにもOH基が1つ端っこにあるのに水に難溶ですし)。)
多く含まれる食品(1食あたり):しろさけ(焼き)(31.2 μg;べにざけもほぼ同じ量で、分ける必要ある…?って気もしましたが)、うなぎ (かば焼き)(15.2 μg)、あらげきくらげ(油炒め)(11.4 μg;聞いたこともないような名前のきくらげが植物性食品トップですが、これだけが桁違いに多く、他の植物性食品は一桁マイクログラム(どころかほぼ1 μg未満;いくつかのキノコに含まれるだけ)であり、ビタDは動物性食品からの摂取が基本ですね)など。
あとは改めて重要ポイントとしては、コレステロールからのビタミンD3誘導は、日光に当たることで促進されるので、日光浴もとても大事なビタミンD源というのも抑えておきたい点といえますね。
ただ、紫外線は当然害も大きいので、浴びすぎも良くなく、ほんの少し、ごくわずかな時間の日光浴で十分ともいわれていますが。
…って、Wikipediaに、具体的な数字データが載っていたので、引用させていただきましょう。
日本人に最も多い肌の色スキンタイプIIIで、顔と手のひらだけに紫外線を浴びた場合、7月の北海道札幌市、茨城県つくば市、沖縄県那覇市では、10µgのビタミンD生成に必要な日光浴時間は10~20分であり、12月では、それぞれ139分、41分、14分となり大幅に増加する。紫外線が皮膚に有害となるのは、その約2倍から3倍の時間浴びた場合である。
太陽光から完全に隔離されて日の光が一切なくなる潜水艦航海士の方とかは、本当にビタミンDの欠乏が大きな懸念になるといわれているとのことで、健康的な日光浴は本当に大切だということですね。
・ビタミンE
ABCDに比べて、残るEとKは(もちろん必須栄養素であるビタミンな以上、大切な栄養ではありますけど)四天王に比べたら大分マイナー感は否めないかもしれませんね。
個人的には、以前オメガスリー脂肪酸の記事で、一人暮らしを始めてサラダ油を買う際、『デカデカと「オメガ3の力!」とかなんとか謳われているのを見て、いーじゃん!とちょっとお高めのそれを選んだ』などと書いていましたが、そこに「ビタミンE」も併記されていたことを強く覚えています。
そんなわけで、構造もそうだし、名前もリノールとかキャノーラとかそんな感じであることからも分かる通り、こいつは油脂に含まれるやつですね。
これも、多くのビタミン同様、酸化されやすい物質=自分が酸化されることで細胞が酸化されるのを防いでくれる抗酸化物質として知られるもので、これまたいくつかバリエーションがあるのですが、最もメジャーでビタミン活性も強いものが、上記α-トコフェロールと呼ばれるものになるようです。
バリエーションは意外と分かりやすく、上のトコフェロールの脂肪鎖部分に二重結合があるものがトコトリエノールと呼ばれる物質になり、さらにベンゼン環の画像(↓)の位置(R1~R3)にそれぞれメチル基CH3か水素原子Hがつくかで、α, β, γ, δに分かれるため、合計8種類のビタEがあるわけですけど、まぁα-トコフェロールがメインというのは上述の通りですね。
多く含まれる食品(1食あたり):西洋かぼちゃ(ゆで)(4.7 μg)、はまち(生)(4.4 μg)、 子持ちがれい(水煮)(4.2 μg)、アーモンド(フライ味付け)(3.3 μg)など、どれもドングリの背比べ的な量で、やっぱり植物油が一番のビタE源かな、と思います。
・ビタミンK
最後のビタミンはいきなりアルファベットが飛びますが、これはドイツ語で凝固を意味するkoagulationがその名の由来となっているようで、血液凝固因子として知られる物質ですね。
例によってこいつもいくつかバリエーションがありますが、K5まで存在するものの、通常はK1とK2を総称してビタミンKと呼ぶようです。
基本的にはキノン骨格と呼ばれる、ちょうど人間を寝かせたような絵に見える構造(↓)が特徴(この記事でも以前一度チラッと触れたことがあったように、キノン自体はこの画像でいう顔のベンゼン環は含まない、パラ位に酸素がくっついたベンゼン環部を指すものですが)で、同じK1であってもこの骨格自体も変換される感じですけど…
まぁその違いよりも、Rの部分につながる炭化水素・脂肪鎖の種類で、K1かK2か…といった違いがある感じですね。
K1はフィロキノンと呼ばれる物質で、それなりに長い脂肪鎖がつながっていますが(この部分で、仮に還元されて水に溶けやすそうなヒドロキノン型になっても、分子全体は水に難溶=脂溶性になる感じですね)…
一方ビタミンK2はこの鎖部分(繰り返し構造の部分)に二重結合が入ったメナキノンと呼ばれるもので、K1と同じ長さのMK-4、さらに二重結合3つ分長くなったMK-7などがあるとのことです。
まぁ、その辺の構造はマジでどうでもいいですね。
…とはいえせっかくなのでK3以降も見ておくと、K3は片足の部分が欠けたメナジオンというより単純な物質でしたが…
これは天然には存在せず、大量摂取すると毒性が認められる場合があるため、使用は認められていないとのことですね(食品情報を参照している栄養研のページより)。
そしてビタミンK4は、こいつの二重結合でつながった酸素(両手っぽい所)が両方OHになったメナジオール(ちょうど、還元型になっただけともいえる)、さらにその内下の手(4番炭素)がアミノ基-NH2に置き換わったものがK5とのことですが、こんなもん心のそこからマジでどうでもいいでしょう。
不足すると血液凝固の遅延を筆頭に、鼻血、胃腸からの出血などが認められるとのことですが、通常の食事をしている人が不足することはほぼない、特に気にする必要のない必須栄養素って感じですね。
多く含まれる食品(1食あたり):ほうれん草(ゆで)・小松菜(ゆで)同率1位(256 μg)、納豆(240 μg)、しゅんぎく(ゆで)(230 μg)など、こちらは植物性食品の独擅場で、動物性は鶏もも 皮つき(ゆで)(47 μg)と、植物TOP10最下位と同じぐらいのカス含量程度のようです。
ということで、ビタミンについて触れ終わり、これで栄養の話はほぼ全て無事終わった感じですね。
まあまあ、書いてて(まとめていて)面白かったです。
何からこの話になってたかというと、物質の分析からで、見直してみたら戻るポイントはタンパク質の読み方の話(から、金属を読めなかった話になって、ミネラル・ビタミン・光へ…という流れ)だったので、もうマジでどうでもいい気もしますけど、一応もう1つ更に「タンパク質を読む・発展形」の話を簡単にして、そもそものネタ派生元であったソーマチンの合成についての話に順次戻っていきたい次第です。