もっといっぱいつながろうよ

単糖、二糖、オリゴ糖…ときて、糖が大量に多数つながった、多糖類!

これは正直、複雑すぎて分子レベルの構造とかを見るのは厄介なんですが(見ても何のこっちゃよぉ分かりませんし)、あまりにも身近な物質なので名前ぐらいは中学理科でも登場するやつらですね。

恐らくおなじみの物質でしょう、まずは有名所を3つほど簡単に見ていきましょう。

16. デンプン

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https://ja.wikipedia.org/wiki/デンプンより

重要度★★★★☆

甘さ:無味・無臭

まずは、下手したら赤ちゃんでも知ってる有名物質、デンプン!(いや流石に赤ちゃんは知らないだろ)

Wikipediaトップの画像はただの白い粉、化学式は「さまざま」と、情報量ゼロにも程がありますが、まぁ実際高分子化合物の特徴として、「どの程度つながったものか」は分子によりマチマチなので、ズバッと「こういうもの」ということはできない、ある意味これもやや漠然としたシロモノなんですね。

具体的には、グルコースがひたすらつながり続けた物質です。

平均して500個程度グルコースがつながったものが多いようですが、数千個とかつながった高分子デンプンも普通に存在するとのことですね。

「糖は、手をつないだら甘くなくなる」と何度か書きましたが、まさに手をつなぎにつなぎまくったこいつは顕著であり、デンプン自体は完全に無味・無臭の、少しの甘さもない、つまらん物体に成り果てます。

片栗粉をイメージすると分かると思いますが、本当に味もへったくれもないただの白い粉なわけですけど、その片栗粉というのがまさに、主にジャガイモ由来のデンプンの別名になる感じです。

ちなみに、デンプンは「ワンチャン英語の可能性あるか…?」とも思えるものの、やっぱりこれは純度100%の日本語「澱粉」で、英語ではスターチ (starch) と呼ばれます。

この言葉からピンとくる物質、コーンスターチとして知られるのは、当然、そのまま日本語に直しても明らかなようにトウモロコシ由来のデンプンですが、日本ではあんまりなじみがない気がするものの(って、僕が料理をしないから知らないだけで、料理する方にはクッソ重要なパウダーなのかもしれませんが…)、世界的には最も生産・消費されているデンプンが、このコーンスターチとのことですね。

また、近年最もよく知られているデンプンとしては、やはり、キャッサバ由来のデンプンが挙げられましょう。

キャッサバ由来のデンプン、そのお名前は?

Wikipediaによるとまさかの漢字表記も存在していて、「答必膃加」と書かれるようですが(まぁただの当て字ですけどね)、そう、こいつが何者かといいますと、定期的に大ブームを引き起こすものの、残念ながら今回のブームは多分もう過ぎ去ってしまったであろうと思われる元・人気者、タピオカ

そんなわけでタピオカというのは実はただのデンプンなので、タピオカ自体に味はなく(甘いのは、ドリンクが甘かったり、それをタピオカ自体が吸ったりしてるだけ)、単に感触を楽しむだけの物質ですが、デンプンはグルコースがじゃんじゃかつながった物質なので、タピオカはカロリーお化けといわれている感じですね。
(まぁ別にそんなこといったらお米だってグルコースがじゃんじゃんつながったデンプン質ですし、そんないうほどヤベぇカロリーモンスターってわけでもないと思いますが。)


…と、そんな感じで、一口にデンプンといっても、食感や性質は色々あるわけですが、そのバリエーションの源としては、グルコースが何個ぐらいつながったものかということと同時に、どのようにつながっているか、つまり「枝分かれの有無」が大きな影響を与えることが知られています。

これ、中学校でも習いましたっけ?

当然、構造は習わなかったはずですが、用語だけは覚えさせられたような気がしますね。

直線でつながり続けるアミロースと、枝分かれ構造を有するアミロペクチンです!

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https://ja.wikipedia.org/wiki/デンプンより

具体的には、まさに画像を見ると明らかなように、アミロースは、グルコース六角形のちょうど左端&右端の頂点に位置する4番炭素と1番炭素がつながってできるもので、左右両端に位置する炭素が手を結ぶという感じですから、まっすぐつながっていけることは想像に容易いですね。

一方、アミロペクチンは、1番炭素と、六角形リングから出っ張った最後の炭素である6番炭素(CH2OH)がつながるやつが時々混じりまして、これまた画像の構造を見ても明らか、立体的な枝分かれ構造が生まれるという感じですね。

デンプンはα-グルコース(左上6番炭素の位置から始めて反時計回りに、上→下→上→下→下にOHがつながってるタイプですね)がつながってできるものなので、これらは「α-1,4グリコシド結合」「α-1,6グリコシド結合」と呼ぶ、なんてこともこないだちょろっと触れていましたが、まぁ具体名はともかく、その1,6で枝分かれしたアミロペクチンを多く含むものほど、よりモチモチした性質になることが知られています。

(ちょうどお米でいうと、アミロペクチンが80%程度のものを「うるち米」、アミロペクチンが100%のものを「もち米」と呼ぶ感じですね。)

アミロペクチンは大体グルコース20個がつながるごとに1つ枝分かれがあるといわれていますが、これもモノや場所によって異なる感じですね(高分子は、基本的に色々パターンがあって曖昧です。)

まぁデンプンもその他まだまだ色々ネタはありますが(色で分かりやすいからか、絶対に中学校で覚えさせられる、ヨウ素デンプン反応とか。こんなの覚える必要あんまりない気もしますが…)、その辺にして次の多糖に移りましょう。
 

17. グリコーゲン

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https://ja.wikipedia.org/wiki/グリコーゲンより

重要度★★★★☆

続いては、グリコーゲン

これもみなさまご存知でしょう、お菓子のグリコの社名の語源ともなった、いわば「動物のもつデンプン」で、植物が作るデンプンと同じく、グルコースが大量につながっただけの分子です。

デンプンとの違いは、主に動物が作るか植物が作るか以外に、枝分かれのあるアミロペクチンよりさらに頻繁に枝分かれ構造を有するという点がありますが、まぁぶっちゃけデンプンもグリコーゲンも、物質的にはほとんど同じものです(どちらも、結局、グルコースが大量につながったもの)。

グリコーゲンは、まぁ僕たち人間も当然もってるものですけど、その役割はエネルギーの貯蔵ですね。

エネルギーの貯蔵といえば脂肪もありますが、グリコーゲンは実際のエネルギー源として使える唯一の物質であるグルコースが直接つながったものなので、「即使える形のエネルギー貯蔵庫」ということで、特にアスリートの方たちにも注目されている物質といえましょう。

グリコーゲンは肝臓と、それから筋肉に貯蔵されますが、この筋肉内のグリコーゲンを増やすことを目的としてカーボローディングと呼ばれるトレーニングなんかもよく行われているようですが、僕はその辺は全く専門家ではなくモグリなので、詳しくは上記Wikipediaのリンクやその他専門情報をご覧ください。

一応関連事項に軽く触れてみると、筋肉には、速筋白筋と呼ばれる瞬発力に特化した筋肉と、遅筋赤筋と呼ばれる持久力に特化した筋肉とがありますが、これは、グリコーゲンの含有量によっても性質が分けられています(白筋の方がグリコーゲンが多い)。

ラソンなどの持久力が必要となる運動では赤筋がより重要ですが、赤筋にはグリコーゲン含量が少なく、長期間の運動ではどうしても即エネルギーに変えられる形の優秀なグリコーゲンがなくなってパフォーマンスが低下してしまうため、これを改善すべく、カーボローディングなどで、グリコーゲンをより多く蓄えられるようトレーニングしよう……といった意図のもので、これはとても効果的な科学トレーニングのようですね。

ちなみに僕は完全に速筋優位型で、瞬発力を要する運動は結構得意ですし、例えば短距離走なんかはクラスで5本の指に入るぐらい速かったですが、逆にマラソンはクラスで下から5本の指に入るぐらいゴミカス級の遅さだったので、恐らく、グリコーゲンが足りていないのでしょう。

健康のためにも、その辺を鍛えていきたい限りですね(まぁ、口だけで、多分な~んにもしませんが(笑))。

18. セルロース

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https://ja.wikipedia.org/wiki/セルロースより

重要度★★★★☆

こちらも、細胞壁の成分として、中学生にもおなじみの物質でしょう。

デンプンの直線成分アミロースと同じく1,4結合ですが、こちらは、β-グルコース(左上から、上→下→上→下→上と、バランスよくOHが配置された方)同士がつながった形になります。

些細な違いですが、こっちの方がより安定した構造であり、食物繊維として水にも一切溶けることなく存在できる形ですね。

細胞壁なんてのは植物を形作っている物質そのものですから、このセルロース最大の特徴は、何といってもその存在量で、こちら、「地球上で最も多く存在する炭水化物」として知られている物質になります!

アマゾンの森林とか、その他山に生えてる木とかを想像すれば、そりゃ確かにセルロースが一番いっぱいあるわな、という想像もできるように思います。

高校化学では、このセルロースから、さらにレーヨンという強く美しく便利な再生繊維が作られることなんかも学びますが、まぁナイロンみたく、これも高分子化合物の繊維の一種にすぎないので、改めて触れる必要もないでしょう。


以上が有名な多糖類ですけど、当然他にもマイナーな多糖類はいくつか存在します。

適当にちょっとだけ紹介してみましょう。

19. アガロース

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https://ja.wikipedia.org/wiki/アガロースより

重要度★★☆

こちらは何てこともない物質なのですが、例によって自分がよく使うので話に出してみました。

何かというと、寒天

これを使って、例の酵母(いつもいいご質問をいただけるアンさんから、「酵素とか酵母とか、やっぱりどうしても分かりにくい…。酵母は、糖のこと?」といったコメントをいただきましたが、酵母というのは微生物のことで、英語ではイースト (yeast)、パン作りとかで耳にする気がする「イースト菌」そのものですね)を培養するためのプレート(培地を固めた、硬質なゼリー状のプレートみたいな感じ)を作ったりしています。

…まぁ、寒天とアガロースは厳密には少し違って、アガロースは寒天をゼリー化させるのに重要な主成分であり、アガロースの純品は寒天から不要な成分を除いて精製したものになりますから、結構お値段お高めの物質です。

というわけで、実際は、酵母を育てるため(プレート作り)程度の実験で純アガロースを使うのはもったいなさすぎるので、もっと安いただの寒天(アガロースだけを精製したわけではない)を使ってるんですけどね。

純品のアガロースは、これも水に溶かしてレンジで温めて液状にした後に、型に流し込んでゲルを作り、電気の力でDNAをゲル内部に走らせて大きさに分けて分析する……みたいな実験で使いますが、言葉で書いても分かりにくいだけなので、興味のある方は、検索したら出てきた、とてもよくまとめてくれている実験機器メーカーATTOの解説ページを、ご覧いただければと思います。

www.atto.co.jp
とても丁寧で分かりやすい記事ですが、まぁ、やったことない人がこれを読んで理解できるかというと、まず間違いなく何のこっちゃよぉ分からん感じで終わるだけではないかと思えちゃいますけど、とにかく、分子生物学・生化学系の研究で、(以前これも言葉だけ紹介していた)タンパク質を流すSDS-PAGEとともに、めちゃくちゃ日常的にやられまくっている基本実験です。

僕も、もう何万枚のアガロースゲルを流したことでしょう…。

ということで、このアガロースという多糖(ガラクトースと、とても珍しい脱水素ガラクトースなるものがつながったものだったんですね。めちゃくちゃ多用してる割に、構造は全く知りませんでした)は、寒天ゼリーとして食べる用途もあり、また一方で遺伝子研究で超汎用される側面もありの、案外万能物質なのでした。
 

20. イヌリン

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https://ja.wikipedia.org/wiki/イヌリンより

重要度★★

可愛い名前の化合物暫定チャンピオン(ネコリンがないので、繰り上がり王者)のイヌリン、以前触れたときは「構造は複雑なので見なくていいでしょう」と保留にしていましたが、こんな感じの、フルクトースがつながって、末端には申し訳程度にグルコースも1分子だけつながっているという面白い構造の多糖だったんですね。

特に名前以外にさしたる話もないですが(生命科学代謝の授業・腎吸収で出てくる…という、こないだ話したネタ以外)、こういう多糖も存在している、という話でした。

 

…と、今回は糖がいっぱいつながった多糖について軽く見てきましたが……ちょっと今回時間がなかったので最後は駆け足で一言二言書いただけになってるんですけど、後ほどちょっと加筆修正しておこうと思います(まぁ、今回に限らずいつも、アップしてからちょいちょい加筆したり目に付いた誤字を直したりしてるんですけどね)。
(→追記:色々書き足しましたが、まぁあんまり、大した話もなかった感じです。それは今回に限らずかもしれませんが(笑)。)

次回は…まだもう少し糖についてオマケ程度に語ろうかなと思っております。

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