青い花・英語版で気になった所を挙げていこう:7巻その2

日本語版7巻の後半戦、英語版を見ていくシリーズもそろそろ佳境に入ってきてしまいました。

早速気になった点を紹介していきましょう。

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(7) p. 92:おっと、大きなミスを発見。

このページで描かれている家の表札は、MANJOMEではなくMOTEGIだね。

登場しているお母さんは、モギーの母親だし。

A. 気が付かなかったよ。そう、これは間違いなく誤植の章に載せるべきミスだね。

(表札の"MOTEGI"は7文字ではなく6文字なので、本来のMOTEGIの方が楽な表記だったというのも面白い)。

⇒(追加メッセージ:)次のページがすぐにふみの家のシーンになるので、ここはあえてふみの帰宅を描写しているという感じで、実はふみの家だった可能性も…?

…と一瞬考えたけど、"...ride again?"(「また送ってもらったの?」)とか、"pardon us"(「おじゃましまぁす」)とか、後はとにかく母親の顔からしても、これはモギーの家で間違いないね。

(※…というメッセージをFrankさんに送信しましたが、よぉ考えたら、色々検証するまでもなく、日本語版の表札は【茂木】なので、明らかに翻訳のミスでしたね(笑)。)

 

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(7) p. 97:日本語版のエピソードタイトルは"A girl in the mirror"(「鏡の中の少女」)なんだけど、SBFでは大分違うように見受けられるね……と、待った、これも元ネタがあるのか!

邦題で検索すると、これ(↓)だね。

en.wikipedia.org

A. つまり、"A Girl in the Mirror"は、アメリカ映画「The Best Little Girl in the World」の邦題ってことなのかい?それなら納得だ。

しかし……より興味深いのは、なぜ志村はこのエピソードに、重度の摂食障害(拒食症と高脂血症)を患う10代の少女を描いた映画のタイトルをつけたのだろうか、ということだ。

⇒(追加メッセージ:)そう、「鏡の中の少女」は映画の邦題であり、43話の日本語原典エピソードタイトルでもあるので、100%間違いなくこの映画を指しているね。

多分、映画のストーリーやテーマは全く関係なくて、志村さんは「鏡の中の少女」という響きそのもの(日本語だと、神秘的であると同時に、とても興味をそそられる良い響きのフレーズ)を気に入ったか、このフレーズそのものが今回のエピソードにふさわしいと思ったんじゃないかと思うね。


(※追記注:)…と、メールを返信した時はそう思っていたんですが、今改めて調べ直してみたら、この映画自体の邦題は見つからない感じですねぇ…。

何を見てそう断言したのか、思い出せません(笑)。

ただ、この映画の原作小説は、『鏡の中の少女』となっているのが見つかりました。

www.amazon.co.jp
といっても今調べるまでこの小説の存在は知らなかったので、気軽に「映画の邦題だよ」と返信してしまったのは、このエピソードタイトルが、日本語だと「鏡の中の少女」、英訳版だと「The Best Little Girl in the World」なのは間違いないので、まぁ流石に無関係な英訳はつけないだろ、と思ってのことだったかもしれません。


まぁいずれにせよ、本当に志村さんがこの小説(映画)を元にエピソードタイトルを付けたのかは、幾分疑問が残るかもしれませんね。

(多分、タイトルの英訳は、翻訳チームの独断によるものなんじゃないかな、という気がします。
 しかしもちろん、一応作者の志村さんに「これが元ネタでいいのか?」というチェックはあったのかもしれないですけどね。)

 

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(7) p. 165:"Their eyes may widen in surprise... and the nuns may raise their eyebrows in disapproval... but no one will get suspended or expelled."(「シスターたちは驚いて目を見開き…不服そうに眉をひそめるかもしれない……が、誰も停学や退学にはならないであろう」)

考察記事本編の訳注でも指摘してたはずだけど、これは元の日本語と少し違うかな。

原文のナレーションは、"Their eyes may have widened in surprise... BUT the nuns did not get angry... or suspend or expel members of the drama club."(原文:「目を丸くされることはあっても  目くじらをたてて怒りだすシスターや  停学や退学に追いこまれるということもなく」)となっているので、語られている事実は、日本語版と英語版でちょっと差異があるね。

 

(既に指摘済みの点ということもあり、特に返信コメントはなし)

 

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(7) p. 168:"uncomfortable"(「(ふみちゃんといると)気分が悪い」)は、元の表現と比較すると、ややネガティブすぎるように思えるかな。

原文は"ticklish"(くすぐったい ※注:これがまさに原文で使われている言葉)や、"embarrassed"(恥ずかしい・決まりが悪い・気まずい)的な意味の単語が使われているよ。


A. 問題は、"ticklish" も "embarrassed"も、この文脈では全く自然に見えないということだ。

"Ticklish"は、くすぐられた人が強く反応する様を表すのによく使われるので、読者を混乱させるかもしれない。

一方、"embarrassed"は、社会的規範を違反した(やってはいけないことをやったのがバレるなど)ような文脈で使われることが多いかもしれない。

実際、"uncomfortable"以上の言葉は思いつかないね。


⇒(追加メッセージ:)
なるほど。"uncomfortable"は、非ネイティブスピーカーにとっては、ちょっと自分勝手でネガティブすぎる(「不快」というイメージから、ふみと一緒にいることが「迷惑/嫌だ/気分が悪い」みたいに聞こえる)印象で、日本語版本来の表現とはちょっと違うような気がしちゃうんだけどね。

実際の単語を直訳すると"ticklish"なんだけど、もしこれが自然ではないなら... "obscure"(不透明・ぼんやり・朦朧)なんかが近いかも?

(まぁこの単語にネガティブなニュアンスがあるかどうかも分かんないけど、とにかくここでのあきらの言葉は非常にニュートラルな表現で、ふみと一緒にいることに対してネガティブな感情は全く感じられない、あきらの優しさが表れてる台詞に思えるよ。)


⇒(追加の回答:)そもそも"uncomfortable"という言葉は、英語ネイティブの人にとっては、それほどネガティブな言葉ではないと思う。

でも、もう一つ代案として考えるなら、"weird"とかだろうか。"It's sort of ... weird."(「なんだか...変な感じ」)。でも、これは強すぎるかもしれない。

もう一つの可能性は、"off" 単独の利用であろうか、このように:"Things were kind of ... off."(「なんだか…[入っていない=しっくりこない](的なイメージ?)」)。"off"はより中立的な言葉だが、より自然に使うのは難しいように思えるね。


(追加の独り言:)uncomfortableも、日本語の「不快」に引っ張られてイメージが悪かったですが、「しっくりこない」と考えれば、Frankさんも「必ずしもネガティブなワードではない」と仰ってますし、まぁそこまで突っかかるほどおかしな表現ではなかったかもしれませんね。


ちなみに、weirdは、個人的にはこっちに来るまで全く見慣れない英単語でしたが、これは普段からかなりめっちゃ使いますね。

「何かおかしいね」「変だね」と気軽に言いたいとき、「ウィアード」と頻発する感じです(より中学レベルで身近な気がするstrangeは、まぁそれも普通に使いますけど、より「奇妙」感が強すぎる単語な気もするので、日常的に「変」と言いたい場合は、やはりweirdさんの出番だといえましょう)。

ちなみに一生覚えられなさそうなスペルの単語ですが、どこかで見た「weにthirdとかのirdが組み合わさってウィー・アードと覚えれば忘れないね」とという覚え方が大変ナイスで、以後迷うことがなくなりました。

 

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…そんなわけで、日本語版7巻相当にあたる英語版(4巻前半)で気になったポイント・誤植は以上です。


青い花で学ぶ英語」コーナーは、大分ネタ切れではあるんですけど、よく考えたら記事の長さはもう十分すぎる以上長すぎるし、しばらくは小出しにして、英語版の気になる点・ミスを見ていくシリーズが終わったら、最後残ったものをそれだけ単独で見ていこうかなと思います。

要は記事の水増しですね(笑)。


とりあえず今回は、気になる表現としてメモしておいたのに、ブログ記事でなぜか触れ忘れてしまっていたイディオムを1つ、日本語版5巻にあたる部分から、せっかくなので今回ネタ増しとして、触れておこうと思います。


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青い花で学ぶ英語】

(5) p. 83:"On the double!"(「急いで!」)

あーちゃんが兄に言っていた「ゴムを燃やせ!」("burn rubber")も「急げ」という意味のイディオムでしたが(「急いで出かける・車を飛ばす」というのが近いと思いますけど)、こちらも、「急いで!」の意味の慣用句ですね。

使われているシーンは、鹿鳴館劇中の、"KIMONO ASSISTANT! ON THE DOUBLE!"(「着物係 急いで―」)の所なので、本当に差し迫って「大急ぎで!」を意味するフレーズといえましょう。


この熟語の由来は軍隊用語のようですが(軍において、"double time"で「駆け足!」とのこと。ちなみにdouble timeは音楽でも「2倍の速度で」という意味があるようなので、音楽に造詣が深い方には馴染みがあるかもしれませんね。しかし、「時間を2倍」というと、むしろ「ゆっくりなのでは?」とも思える気がしちゃいますけど、逆に「急ぐ」意味になるというのも面白いです)…

…ぶっちゃけ非ネイティブにはいきなり「オンザダブル!」とか言われても、「は?何をダブルだ!!」と余計混乱を招くだけな気がするので、本当に急いでいるなら「ハリーアップ!!」とか素直に言ってくれよ!…と思いますけどね(笑)。

(いやまぁ日本語でも、「巻きで!」とか謎の用語を使いますし、その他、子供でも「ソッコーで来いよ!」とか、僕は小学生の頃このフレーズを初めて聞いたとき「いや『即来い』なら分かるけど、ソッコーて何やねん。速攻でも即効でも、副詞として使うのはおかしいだろ(笑)」とか思ったことを強く覚えてますけど、案外謎の言葉でも、雰囲気と言い方で全然意味は通じるのかもしれませんね。
 明らかにピリついてる現場で、「オンザダブル!」といわれて、「ダブル?二つ用意しろってこと?あるいは二倍の時間をかけてでも慎重にやれってことか?」とか、思うわけないですしね(笑))

 

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アイキャッチ画像に使わせていただいている英語版の志村さん作品の表紙、とうとう尽きてしまいましたが(これに関しても、一点Frankさんから面白い話を聞いていたので、また機会があれば触れさせてもらおうかと思います)、放浪息子は英語版の出ている8巻まで使わせてもらっていたので、せっかくだし続きを日本語版からお借りしようかなと思います。

そもそも宣伝のためには日本語版の方がいいですしね、青い花に限らず放浪息子もその他全ての作品どれも素晴らしすぎるので、読まれたことがない方はぜひお手に取られることを、強くオススメです!

放浪息子』まだ英語版のない9巻表紙、https://www.amazon.co.jp/dp/B009727MSKより

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