青い花・英語版で気になった所を挙げていこう:5巻その2

例によってSBF(英語版『青い花』)の気になった点シリーズ、日本語版5巻相当の後半戦に、早速参りましょう。

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(5) p. 126:"YOU SHOULD GO NOW."(「今すぐ家に帰ってあげて」)

全然大したことない点なんだけど、ここでふみの母親は、"now"(今)ではなく、将来(千津が一人暮らしを始めた後)について、"please go home often because your mother is worried."(「お母さんが心配するだろうから、ちょくちょく帰ってあげてね」)と言っているんだ。

 

A. 翻訳についてはあまり語ることはないが、そうするとこのページでは、ふみに対する千津の年齢についての情報が追加されているかもしれないね。

私は当初、SBF 3巻p. 128(日本語版5巻p. 126)のやり取りは、千津の家族が引っ越してきた所で、英語版127-28・日本語版125-6ページでは、千津はまだ高校1年生なのではないかと思っていた。

しかし、英語版p. 128・日本語版p. 126の話が、実は千津が自分のアパートに引っ越した時の話だとすると、千津は高校3年生で卒業を間近に控えているはずとなる。ということは、二人の年齢は7歳ほど離れているわけだ。(ふみが小5、千津が高3(※英語メッセージでは、grade 12と書かれていましたが)である。)

これは、思っていた以上に年齢差があることになるね。


⇒(追加メッセージ:)
あ、そうそう、考察本の本編で二人の年齢の話がなされていたときは深く考えなかったんだけど、これは台詞から100%確実に明らかで、この場面で千津は高校卒業(18歳)、ふみは小5=11歳だから、2人の年齢差は7になるね。

 

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(5) p. 128 :"NO, I DON'T WANT TO INTRUDE..."(「そんな、悪いから邪魔したくないよ」)

上と同じで全く大したことはないんだけど、千津はここでふみからの夕食の誘いを受けて、日本語では"well, then I'd like to!"(「じゃあお邪魔になろう!」※注:原文は「えー それじゃ悪いなあ」ですが、まぁあえて英語に直訳するなら、こっちの意味の方が近いと思います))という意味合いのことを言っているんだ。

 

A. 面白いね。ふみは続いて、"Don't worry! Actually, your mother requested it!"(「気にしないで!実は、千津ちゃんのお母さんから頼まれてるから!」と言っているし、SBFの英訳の方が、続く会話と整合性があるように思えるけどね。英訳では、千津は万城目家の負担になりたくないと礼儀正しくしているが、ふみは千津を安心させているわけだ。


⇒(追加メッセージ:)
そうそう、ただもっと正確に言うと、日本語版オリジナルの千津の台詞は「うーん、それは悪い気もするけど、でも、それじゃあぜひ!」というニュアンスの発言だから、日本語でも続くふみの言葉(原文:「いいのいいの おばさんにも頼まれてるもん」)との繋がりに問題はない形になっている感じだよ。

 

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(5) p. 130:"ALL THE BOYS ARE TOO IMMATURE."(「男の子はみんな幼すぎ」)

非常に些細な違いだけど、千津はここで、"All the boys around 5th grade are too immature."(原文:「小5くらいじゃ男子も全然子供だもんね」)と、英訳文よりかなり限定的なコメントを述べているんだ。

A. ん?千津ではなくふみだよね?小学5年生といえば、ふみであろう。

この場合、「5年生の」という言葉を付け加えると、吹き出しには収まらないように思えるね。


⇒(追加メッセージ:)

へぇ~、めっちゃ面白いね!実は(英文だとここはふみの台詞に思ったのかもしれないけど)これは、日本語だと、100%確実に千津の発言であることが明らかだといえるよ(語法から判断可能)。

発言の内容は、上に書いた通りで、一般的な事実について語っている、ってことだね。


⇒(追加の回答:)
あぁ、そういうことなら、これは大変面白い。

もし千津が「5年生の男の子はみんな未熟すぎる」と言っているのなら、千津は基本的にふみに対して「あなた(ふみ)は5年生の男の子(同い年)より年上の人と付き合った方がいいよ」と言っていることになる。

これは、千津が自分とふみの年齢差を正当化しようとしていると見ることもできるといえよう。(年下の女の子には年上の少女からの指導が必要だという、考察本で触れていた吉屋の言葉も思い出されるね。)

 

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(5) p. 145:"AS A FEW FRIENDS WHO HANG OUT!"(少人数の友達同士でつるんでいるだけ!」)

これは"The school downgraded the drama club to an informal union."(「学校が演劇部を非正規の同好会に格下げした」)という意味も含まれる?やっさんはここでそれに言及しているよ。

 

A. 記載された英文は、日本語原文の直訳なのかな?もしそうなら、公式英訳と一致すると思う:松岡の「演劇部」はいかなる意味でも本当のクラブではない、という記述だね。


⇒(追加メッセージ:)
ああ、質問の記述が不十分だったかもしれないけど、聞きたかったのは、SBFのやっさんのこのコマの発言が、上の文の意味(ちなみに、これがまさに、同じコマの日本語原文の意味だね。※原文:「同好会に格下げになっちゃったけど…」)を含んでいるのか、ということだったんだけど、でも、どうやら実際には直前の吹き出し部分の台詞("WE'RE NOT SO MUCH A CLUB...")含め、英文にもちゃんとその意味は含まれているようなので、良しとしよう。

 

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(5) p. 151:これまた非常に小さなことだけど、駅の掲示板に、日本語の文字が残されているね。

作中、唯一の日本語かもしれないね。

(ちなみに、△印は江ノ島止りの列車、Xマークは稲村ヶ崎止りの列車と書いてあるよ。)

A. (5) p. 152の看板にも日本語は残ってるね。

恐らく翻訳チームは主に、やりやすく、読み手にとって何らかの意味のある英文との入れ替えを行ったのではないかと思う。


⇒(追加メッセージ:)
おお、すぐ次のページにもあったとは、気がつかなかった(笑)。

…と、質問を送った時はこれが最初の日本語だったけど、追って読み進めていたら、6巻にも、もう一つめちゃくちゃ大きなものを発見したよ。

また6巻のポイントで送るとしよう。

 

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(5) p. 173:"Kazuo Ogatsuka"

これは質問ではないけど、重大なミスだね。

*OgatsukaではなくOgatsu(オガツカヅオさんだから、紛らわしいことは紛らわしいんだけど)が正しい表記。

しかし、人名に誤りがあるのは失礼に当たるし非常にまずいので、これはちょっと良くないかもね。

A. これは第2版の「付録:誤植」の章で取り上げよう。

 

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(5) p. 174:"YES! I LOVE THE FEEL, AND THEY COME IN THICK AND THIN!"(「うん!感触がいいし、太いのも細いのもあるよ!」)

これ、作者・志村さんの言葉だと思うよね?でも、実はこれは友情出演・青木さんの言葉で、日本語原文ではむしろ、志村さんに、"Then!! What about those beautiful lines? Do you distinguish between using a thin and a thick pen?"(「じゃあ!!あのキレイなタッチは!?細いのと太いのを使い分けてるの!?」)と質問をしているんだ。

A. 実は、読み返してみたら、これは志村の言葉ではなく、青木の言葉であるような気がしてきた。私の読みでは、この会話は次のようになる:

青木はまず、志村に「Gペン丸ペンのどちらを使っているのか」と聞く。すると志村は、青木に「シグノというペンを知っているか」と聞く。青木は「知っている!でも…」と答え、アシスタントたちとともに驚きの声を上げる。察するに、漫画家は普通、変哲のないボールペンではなく、Gペン丸ペンといった絵を描くためのペンを使うのが通常だからであろう。

そして、青木は、シグノペンの細い太いについてのコメントを付けるのである:このコメントが示唆しているのは、志村が使っているのは普通のボールペンだが、太さの違うペンを使い分ければ、さまざまな太さの線を描くことができる、ということだろう。志村は戸惑い(次のコマの「?」マーク)、そして志村はシグノの「0.38」(ミリ)しか使っていないと言う。

つまりこの話のポイントは、a) 志村は普通のボールペンで絵を描いている、b) そのボールペンにはたくさんの太さがあるにもかかわらず(Amazonによると、0.28ミリ、0.38ミリ、0.5ミリ、0.7ミリ、1ミリ)、志村は0.38ミリしか使っていない、ということなのである。

英語でも比較的分かりやすい話だと思う。

でも、日本語の原文である、いただいた英文を使った方が分かりやすいというのは同感だ。その方が、志村がどうやって普通の万年筆だけで「美しい線」を描けるのかについて、青木が興味を持っているということがより明確になるからね。


⇒(追加メッセージ:)
あぁ、そう解釈もできるのか!

非常に明快だね。

件の「YES!…」は志村さんのコメントだと思っていたけど(青木さんはシグノにいい印象を持っていなさそうなので、"I LOVE THE FEEL"も変な気がしたから)、ご説明のように解釈すれば、意味は通っているようにも思えるね。

 

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(5) p. 175:"I BET YOU USE THE GOOD STUFF!"(「あなたは、いいモノを使ってるんでしょう!」)

これも上と似たような感じだけど、ここで青木さんは、志村さんとではなく、アシスタントと話をしているので、"I bet she uses..."(「志村さんは、…」)とした方がいいように思えるね。

A. ここは、日本語原文でも、誰のことを話しているのか曖昧なのかい?


⇒(追加メッセージ:)
日本語では、"I guess the paper is great quality!"(「紙がいいんだと思う!」※原文:「紙ちゃう!?紙がもうなんやめっちゃいいやつで…」) と、(話しかけてる相手の)主語が省略されてるから確かに曖昧っちゃ曖昧だけど、文脈(それと口調)から、青木さんがアシスタントに話しているのは明らかだね。

 

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…そんなこんなで5巻の気になったポイントはこのぐらいでしたが、青い花本編の内容部分では「ミス」というまでのものはなかったものの、やっぱり結構英語化に伴い変わっている点もあって面白かったですね。’


最後に「青い花で学ぶ英語」コーナー、今回も、5巻から取り上げてみましょう。

 

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青い花で学ぶ英語】

(5) p. 45:"BREAK A LEG."(「頑張って!(良い舞台を!)」)

僕はこのイディオムというか言い回しを知らなかったので、ちょっと険悪なムードになった康ちゃんが、主役を演じる京子に「脚を折れ」と呪いの言葉をかけてるのかと一瞬驚きましたが(まぁ日本語版の元々の台詞を知っているので、そんなわけはないんですけど(笑))、ズバリ、このフレーズは、特に舞台で今からパフォーマンスをする演者に向けて「頑張ってね!」という時にかける、お決まりの応援文句だそうです。

面白いですね!

こちらの解説記事(↓)によると…

www.todayifoundout.com

多くの慣用句よろしく、このフレーズもハッキリした由来は不明との事ですが、昔は祝福の言葉をかけると逆に悪魔の目が向けられることになると考えられていただかで、真逆の不幸の言葉をかけるようになったのがその始まりとも言われる…とかそんなことが書いてありましたけど、知らないと「え?舞台から転げ落ちろとでも?!」と驚きの台詞になってしまうので、知れて何よりでした。
(まぁ、舞台で演じることなんて、間違いなくもう一生ないですけどね(笑))


ちなみに康ちゃんに続いて、兄も後ほどモギーにこの言葉をかけるので、舞台上演前とかは、本当に誰でも使う常套句という感じですね。

(この言葉の後、二人っきりでのいい雰囲気にドキドキ期待したモギーが、まさかの「あきらのことよろしく」というクソコメを食らって渋い顔をするこの場面が僕は好きなんですけど(笑)……兄、マジでそーいう所だぞ!(…って、一応別れることになったわけではないからまだ良かったのかもしれませんが、これは、乙女心とは無縁の男目線からでも、絶対やっちゃいけないことってのは分かるぜ、兄よ!))

 

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(5) p. 107:"GOOSE BUMPS"(「かっこよすぎてぞくぞくしちゃいました!!」)

SBFを読んでいて、「おっ、これは『鳥肌』だね!この表現知らなかったけど、『グース(ガチョウ)のでっぱり』なんて、まさにそのままじゃないの」と思ったら、原文ではまさかの鳥肌という単語は使われていなかったんですけど、これはもう調べるまでもなくそのままですね。

(なお、該当の英文台詞は、"YOU WERE SO GOOD THAT I GOT GOOSE BUMPS!!"(「鳥肌が立つほど素晴らしかったです!!」))


必ずしも肌がゾワッとポツポツになるのは鳥の肌だけでもない気がしますが、日本語も英語もまさに同じというのも面白いです。

(まぁ、なぜガチョウが代表なのか謎ですけどね(笑)。より身近なチキンバンプの方が、えぇんちゃいます…?と思ったら、そういえばバンドのバンプBUMP OF CHICKEN)、そういう意図のバンド名ではないとされてますけど、「欧米圏では、鳥肌と勘違いされることもある」という記述も見たので、鳥肌のつもりで間違えてチキンと言っちゃっても、通じはするのかもしれませんね。
(まぁ、間違えるなら、日本人なら「あー、バードスキン?」とか言っちゃいそうですけどね(笑)。あるいは関西人の場合は、サブイボで、「あー、コールド…ibo?」となってしまうかもしれませんが(笑)。))

 

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(5) p. 171:"HIGH-LO!"(「4649~」)

これはpun(ダジャレ)だよね?

日本語原文だと、ここで青木さんは「4649」と言い、これはあいさつの「ヨロシク」と発音が同じなんだ。

ただこの言い回しが面白かっただけだけど、一応、これが"Hi"にかけたダジャレだと思うので、そこの所を確認したいと思って。

A. そうだね、ダジャレだね("Hello/Hi"の)。

ちょうど"high five"(ハイタッチ)のように手を挙げていることも、よりイメージにマッチしているといえよう。


⇒(追加メッセージ:)
あぁ、あいさつの「ハイ」に付け足して「ハイロー」かと思ったら、ついでに「ハロー」とも音が近いし、更にハイファイブとまでかかっているとは、むしろ英語の方がより良い表現(ダジャレ)になってるといえるね!

 

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では次回は6巻へ参りましょう。

アイキャッチ画像は、とうとう放浪息子の英語版表紙は全部使わせてもらってしまったため(といっても、英語版である意味はないので、放浪息子の日本語版をお借りしても良かったんですが、とりあえず英語版を優先して、「志村さんの作品は、こんなにいっぱい英語版があるよ」と宣伝したく存じます)、今回は志村さんの連載中かつこれまた各国語版が出版されている傑作、『おとなになっても』("Even Though We're Adults")の表紙で飾らせていただこうかと思います。

英語版『おとなになっても』1巻表紙、https://www.amazon.com/dp/164505957Xより

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