目にまつわる色々を知っておこうシリーズ、白目・赤目、翼状片(よくじょうへん)、瞼裂斑(けんれつはん)を経て、前回はショボい目薬こと人工涙液について見ていました。
今回もすこぶる時間がないため、人口涙液記事でも触れられていた「ドライアイ」なんかも興味深かったのですが、これまたピンクアイとほぼ同じぐらい無駄に長い記事だったため、それらより幾分短めであった、ドライアイの逆、涙が止まらないという、ウォータリー・アイの方を見ていこうかなと思います。
専門用語ではEpiphoraというようですが、どんな症状なのか、早速参りましょう。
流涙症(涙目)(Epiphora (Watery Eyes))
涙は目を潤滑にし、保護してくれています。しかし、涙の量が多すぎる―あるいは涙が上手く排出されない―と、医学的に定義される涙目である、流涙症(りゅうるいしょう)になることがあるかもしれません。
概要
流涙症とは何?
流涙症とは、涙目になることの医学用語です。
通常、涙は目を潤滑にし、保護してくれています。流涙症は、何かの原因で涙が大過剰量作られたり、あるいは本来あるべき量が目から排出されなくなったりした場合に起こるものです。
流涙症は多くの原因で起こり得ますが、その多くは治療の必要はありません。一時的な症状であることもありますが、重篤な眼感染症や涙管閉塞のサインであることもあり得ます。常に目に涙が浮かんでいたり、目が見えにくかったりする場合は、かかりつけの医療機関を受診してください。
流涙症は誰が影響を受けるの?
どんな方でも流涙症にかかる可能性があります。ほとんどの方が、一生の内、どこかで涙目になります。
頻繁に起こる流涙症―慢性流涙症―は、赤ちゃんや50歳以上の成人に多くみられます。
流涙症は身体にどんな影響があるの?
涙目になることが、流涙症により受けるであろう最も明らかな影響です。片目だけ涙目になることは、片側性流涙症と呼ばれることが時々あります。両目が同時に涙目になっている場合は、両側性流涙症です。
流涙症の原因によっては、以下を含む他の問題も、目の内部または周辺に生じることがあるかもしれません:
- 目の痛み
- かゆみ
- 目の充血
- 視界の曇りまたは不明瞭さ
- 副鼻洞性頭痛
症状と原因
涙目の症状は何?
流涙症の症状には以下が含まれます:
- 目が濡れすぎたり、水っぽく感じる。
- 涙が顔を伝う。
- 泣いたり笑ったりしていないのに、目に涙が溜まる。
何が涙目を引き起こすの?
涙目は通常、目や涙系(※涙の生成機構)に影響を及ぼしている、別の問題や症状のサインです。流涙症の最も一般的な原因には、以下が含まれます:
- アレルギー
- 眼瞼炎
- 涙管の詰まり(鼻涙管閉塞)
- ドライアイ
- ものもらい
- 霰粒腫(※ものもらいに似た、まぶたにできるデキモノ)
- 眼瞼内反症
以下を含む眼の外傷もまた、流涙症の原因となり得ます:
- 煙や大気汚染などの環境刺激物
- 角膜の擦り傷(角膜擦過傷)
- 汚れ、破片、化学物質、または目に長時間触れた異物
ピンクアイ(結膜炎)や副鼻腔炎(蓄膿症)のような感染症も、涙目を引き起こすことがあり得ます。
診断と検査
流涙症はどう診断されるの?
かかりつけの医療従事者または眼科専門医が、眼科検査で流涙症を診断することになります。色の着いた目薬を点眼し、涙の出方を見ることがあるかもしれません。通常、涙が数分で目薬と色素を洗い流します。もし洗い流されない場合は、涙管が詰まっている可能性が出てきます。以下のような画像検査が必要になるかもしれません:
涙管や副鼻腔に問題があると考えられる場合、担当医が、内視鏡―先端にライトのついた細長い管―を使って鼻腔内を観察することもあるかもしれません。
管理と治療
流涙症はどう治療されるの?
涙目の治療方法は、その原因によって様々です。多くの方は、何も治療しなくても自然に治る、一時的な流涙症を経験します。
どのような治療が必要かは、担当の眼科医が説明してくれることでしょう。最も一般的な治療法には、以下が含まれます:
- 薬物療法: アレルギーや感染症が原因で流涙症が起こっている場合は、治療薬が必要となります。ドライアイ症候群のような症状の場合は、人工涙液や処方薬の目薬が処方されることもあるかもしれません。
- 異物の除去: 目の中に何かが入っていたり、何かが目に当たって傷つけたりしている場合は、担当の眼科医がそれを取り除いたり、傷を治療したりしてくれることでしょう。異物が目を酷く傷つけてしまった場合は、手術が必要になることもあり得ます。
- 涙管の詰まりの除去: 涙管が詰まっている場合は、担当の眼科医が涙管を開くことになります。生理食塩水で涙管を洗浄し、詰まりを洗い流すことが可能です。必要であれば、プローブ(※探針的な器具)を使用して手動で涙管を開くこともできます。涙管が、生理食塩水でもプローブでも除去できないもので損傷したり詰まったりしている場合は、涙管を開く手術が必要になることがあります。
- 目やまぶたの修復:目やまぶたの形状が原因で流涙症が起こっている場合は、担当医による修復が行われることでしょう。いくつかの症例では、手術が必要な場合もあるかもしれません。
流涙症の症状にはどう対処すればよい?
流涙症の症状の対処法については、かかりつけの医療従事者が教えてくれることでしょう。薬を処方された場合は、必ずその通りに服用するか、言われた通りの頻度で使用するようにしてください。
感染症のために抗生物質が処方された場合は、特にです。たとえ症状が改善しても、担当医が処方している限り、必ず抗生物質を服用する必要があります。抗生物質を服用しきらないと、感染症が再発したり、悪化したり、体の他の部位に広がったりする可能性があるかもしれません。
目を決して擦らないでください。余分な涙を乾かすために、ティッシュやタオルなどを使う場合、決してそれらで眼球に触れないでください―目を傷つけたり、涙目の原因を悪化させてしまうかもしれません。
予防
涙目のリスクはどうやって減らすことができる?
涙目の原因によっては、防ぐ方法が存在しない場合もあるかもしれません。空気中の何かによって目が刺激されている場合や、アレルギー症状がある場合は、涙目を避けることはほぼ不可能でしょう。
目を痛める可能性のある作業や活動には、適切な装備―保護メガネやゴーグルなど―を着用するようにしましょう。
可能であれば、アレルギーの引き金となるものを避けてください。
将来的に涙目を予防できるかもしれない方法について、かかりつけの医療従事者に相談してみてください。
見通し/予後
流涙症がある場合、何が考えられる?
ほとんどの流涙症は一時的なものです。アレルギーの季節や、異物が目に入った後に治るまでの間だけ、涙目になることもあるかもしれません。しかし―たとえ治療が必要な場合でも―涙目は良くなるものだと考えてください。何が原因で涙目になったかによって、何が予期されるか、かかりつけの医療従事者に相談してみることをお勧めします。
流涙症からの回復中は、仕事や学校を休む必要がある?
ほぼ間違いなく、流涙症からの回復中に仕事や学校を休む必要はないでしょう。眼球の損傷を修復する手術が必要な場合や、涙目が視力に影響している場合は、仕事を休んだり、授業を欠席する必要がもしかしたらあるかもしれません。
手術後に身体活動を再開する前に、担当の医療従事者または外科医に相談してください。
受け入れる
いつ医療機関を受診すべき?
以下のような症状のいずれかがある場合は、かかりつけの医療機関を受診してください:
- 目の痛み
- 腫れ
- 眼にしこりやこぶがある、または感じる
- 目に常に涙が溜まっている
- 視界に変化がある、または涙目でよく見えなくなる
外傷を受けたり、突然片目または両目の視力が低下した場合は、救急外来を受診してください。
医師にどんな質問をすべき?
- 涙目の原因は何ですか?
- どのような検査が必要ですか?
- 治療は必要ですか?
- 薬はいつまで飲むべきですか?
- 将来、流涙症を予防するにはどうしたらよいですか?
その他のよくある質問
流涙症(epiphora)と流涙(lacrimation)の違いは何?
Lacrimation(流涙)とは、目に涙が自動的に分泌される、健康的な保護機構のことです。涙は目を潤滑にし、保護します。
涙系を構成する涙腺は2つあります。両目の外側の上隅にある主涙腺は、目に入った異物を洗い流すために涙を産み出します。また、泣いているときにも涙を作ります。副涙腺は上下のまぶたの裏にあります。こちらは目を潤す涙を産み出しています。
流涙症とは、涙が過剰に出る、または涙目になることを指す医学的な定義です。涙が多すぎるか、目の中の涙が正しく排出されないために起こります。
クリーブランド・クリニックからのメモ
笑っているとき、泣いているとき、あるいは今年のアレルギーの季節と戦っているときとは関係なく―時々涙目になるのは自然なことです。しかし、いつも目が潤んでいたり、涙がいつものように排出されないと感じたら、ひょっとすると流涙症に罹っているかもしれません。
ご自身の症状について、かかりつけの医療従事者または眼科専門医に相談してみてください。どんな治療が必要であっても(もし必要であれば、ですが)、完治し、クリアな目を取り戻せるはずです。
特にこれといった原因もなく、突然涙が溢れて止まらなくなってしまうという、一時的なものではあれど結構恐ろしい症状ですね。
画像がなかった&「Epiphora」で検索してもあまりいいものがなかったので、日本眼科医会の解説記事から、分かりやすいものをお借りさせていただきましょう。
まぁ、クリーブランド・クリニックの記事なんて見ずとも、信頼できる医療機関・学会の情報なんて日本語でもいくらでもありますから、普通に↑のリンク記事とか見るだけで十分だったとも言えるんですけど(笑)、それを言っちゃあおしまいなので、世界最先端の医療機関の記事を見ておくのも話のタネにはなるということにしておいてください(笑)。
上記眼科医会のイラスト&説明を見ると、流涙症の原因は、「涙道の詰まり」が原因であることが多いみたいですね。
もちろん対処のしようはないわけですけど、「単に排泄部位が詰まってしまっただけなのかも」と考えれば、いざ涙がなぜか零れ落ち続ける状況になっても慌てずに済みそうです。
必要ならお医者さんの力を借りるのがベストといえましょう。