青い花・英語版で気になった所を挙げていこう:8巻その1

SBF(青い花の英語版)で気になった点を見ていこうシリーズも、ついに最終巻に入りました。

今巻は、項目数的にはそこまで今までより多いという訳ではないものの、一点ずつが結構長くなっている所があったため、複数回(三回とか、前後半のみ以上)に分けて紹介しようと思います。

単なる記事の水増しですね(笑)。

なお、最初のアイテムは、まさかの「ただ自分が英単語の読み違いをしていただけ」という、紹介する意味もまるでない項目なんですけど、まぁそれもネタとして使えるだろうということで、無駄ポイントではあるものの掲載しておこうと思います。

 

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(8) p. 15:"HEY, DIDN'T YOU COME TO THE SCHOOL WITH YOUR HAIR UNITED?"(「ねー 髪を結んで学校に来てなかった?」※読みミスあり)

ちょっと複雑な構造(否定疑問文)なんだけど、原文とは真逆の意味になってると思う。

原文は、"Hey, you came to the school WITHOUT your hair united, right?"(「ねー 髪を束ねないで学校に来てたでしょ?」)なんだけど……

これは同じ意味になり得る?

A. 書かれた通りではないね。英語版は基本的に "you came to the school with your hair untied, right?"(「学校に髪をほどいて来たでしょ?」)という意味である。

しかし、日本語版は、"you came to the school without your hair untied, right?"(「髪をほどかずに学校に来てたでしょ?」)という意味のようだね。

これらは意味が違う。

"with"と"without"だ。

そして、"without your hair untied"(「髪をほどかずに」)は"with your hair tied"(「髪を結んで」)と同じ意味である。


英語版の方が意味が通じるように思う。英語版4巻p. 193/日本語版8巻p. 13から、モギー、やっさん、ポンの3人は、中学1年のときに髪を結んでいたことは明らかだ。

だから、その内の一人が髪をほどいて登校するのは珍しいことで、2年生の誰かがそれを批判するのはもっともなことであろう。


⇒(追加メッセージ:)

(※この返信を書き始めた時点では、まだ自分のミスに気付いていませんでした…)なるほど、じゃあ、日・英は、全く逆の意味になっているね。

つまり、「女子生徒は髪を結ばなければならない」というのが「校則」であり(日本では一般的)、だからこの前のページで、3人はそうしているんだと思う。

そしてこの問題のシーンで描かれているのは、2年生の意地悪な生徒が、たまたま髪を束ね忘れた1年生を見つけては(1年生にとっては迷惑な話だけど、そういうチェック魔の先輩は、実際いるっちゃいるんだ)感情的に叱る…というものだね(つまり、これは繰り返し起こっている出来事の一例、だと思う)。


…って、うわちょっと待った、完全に誤解していた!

書かれている英単語、"untied"(アンタイド;ほどく)ではなく"united"(ユナイテッド;結ばれた)だと思ってた!!(ちょうど、実際自分のメッセージでそう書いてしまっていたように)。


ちょうど運悪く"united"は"tied"(結ぶ)という意味で使えるように思えてしまったからね…(もしかしたらそういう意味では使わないのかもしれないけど、個人的には似ているように聞こえた)。

(いただいたメッセージの最初の段落を読んでも、全く気が付かなかったよ…!)


ということは、基本的には日・英どちらも、意味は同じだったってこっちゃな(要は、お互い同じ説明をしていたということだね、ハハハ!)。

 

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(8) p. 29:既に本編(キャラ索引)で訳注を付けていた点だけど、"AUNT SHIMOZUKA"(「下塚のおばさん」)の下塚は苗字ではなく、あくまでも「下塚に住むおばさん」という意味の方が、普通にあり得そうだと思う。

英語では、そういう呼び方(「(地名)のおじさん」みたいなもの)ってあるのかい?

日本では、非常によく聞く言い回しなんだけどね。

A. 我々アメリカ人は"your uncle from Shimozuka"(「下塚出身のおじさん」)と言うね。

たまに"Shimozuka uncle"(「下塚のおじさん」)みたいな言い方をすることもある:"My younger brother is your Shimozuka uncle, and my older brother is your Yokohama uncle."(「私の弟が下塚のおじさんで、兄が横浜のおじさんに当たる」)のように。


⇒(追加メッセージ:)
なるほど。同じような表現方法を使うこともあるんだね。

だから、キャラクター索引の項目に「下塚(日向子のおば)」とまるで苗字かのように記載するのは若干違和感があったんだけど、まぁ他に方法もないし問題ないかな。

 

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(8) p. 29:"DON'T TALK TO ME LIKE THAT! I'M YOUR MOTHER!"(「そんな風に言わないで!私は母親よ!」)

この最後のコマ、英語では意味が通じるのかな?

というのも、ここで日向子が言ったこと自体はそんなに失礼なことではないと思うんだけど、日本語原文では、「あんた」という言葉(日本語では"you"の失礼な形)を使ったというそのことに対して、母親が「あんたってなによ 親に向かって!!」と怒っているんだ。

でも、その流れを英語で再現するのは無理だろうし、日向子が言ったことはいずれにせよ母親には受け入れられない内容だったので、そのままの翻訳でもいいのかもしれないけどね。


A. 英語でも意味は通じると思う。日向子の顔の様子や文末の「?!」から、日向子が母親に向かって叫んでいるように見える。

そして、もし日向子が叫んでいたのなら、母親の反応も理解できる。

だから、この訳はOKだと思うね。


⇒(追加メッセージ:)ということは、日向子の言葉遣い自体は、やっぱりそれほど意地悪なものではないんだね。(母親を"old bitch"(「クソババア」)と呼んでるレベルの罵詈雑言というわけではなく。まぁ、「あんた」はそこまで失礼じゃないけどね(笑))

でもとにかくそう、状況と日向子の表情からして理解できる文脈になってるなら、全然問題はない感じだね。

 

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(8) p. 34:"I CARE!"(「私が気にします!」)

いつものように日本語では主語が省略されているんだけど、この場面で主語を入れるなら、間違いなくここで新聞部部長は「WE CARE!」(「みんな気になってます!」※注:原文は「知りたいですよ!」ですが)と、weを使う(というか、そういう意図が読み取れる発言。自分の欲求だけではなく、全員共通の希望なんだ、ということを主張する感じで)と思う。

これは一種の自己防衛的な感じでもあるけどね(先生のプライベートを知りたがっているという事実・責任は自分だけでなく、みんなにもあるんだということを示すようなもの)。

A. これは、もっともな読み方だね:彼女は新聞の編集者だから、新聞社のスタッフ全体が、日向子が誰を好きなのかに興味があると主張するのは確かなものだろう。

 

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(8) p. 59:""Dear Fumi..."(原文:「前略」)

これは多分、ふみ宛ともいえるんだろうけど、日本語原文では、そこはハッキリとは書かれず省略されているね。

(日本語では、手記的な話の一般的な導入と同じように機能するので、"Dear"だけでもいいんだ。)


だから、実際最初に読んだときは、個人的には特に"Dear Fumi"だとは思わなかったし、むしろ"Dear everyone"とか、あるいは"Dear readers"(「読者の皆さんへ」)的な意味なのかなって気がしたね(でも、英語だとそれはちょっと変なのかな?)。

(※追記の独り言・注:そもそも原文は「前略」なので、やっぱり誰宛ってこともないのかな、って気がしちゃいますね。)

A. これは興味深い点だね、というのも、次のページの"Sugimoto was amazingly elegant!"(原文:「杉本先輩がなんだかとってもエレガントでした」)と言っているのが誰なのか、実はよく分からなかったんだ。

あきら(ふみに手紙を書いている)かもしれないし、作者(志村)のナレーションなのかもしれない。

英語版の文章の小文字イタリックの体裁は、英語版4巻p. 284の文章("It wasn't odd ...")の体裁と同じであり、この文章は志村が読者に語りかけたもので間違いないと思う。


しかし全体としては、"Dear"を"Dear Fumi"と訳した方が英語としては自然だと思う。

とはいえ次のページの杉本に関する文章は、あきらがふみに宛てた手紙であることを示唆しており、それは確かにもっともなことではあるね。


⇒(追加メッセージ:)ああ、ご指摘にあったその英語版4巻p. 284(日本語版8巻p. 104)も、興味深い所だね。

日本語版のここは、例によって漠然としているからあえてそこには触れなかったんだけど、実は、英語版だと主語に"Akira and Fumi"(「あきらとふみが別れた」うんぬん)が使われているので、これは作者のナレーションで間違いないと思うんだけれども、実は日本語原文では、"no one knew that 'that girl' and 'that girl' had broken up"(「あの子とあの子が破局したなんてことは、誰も…」)という意味の文になっていて、これもやはり神のナレーションとも読めるんだけど、あえて言えば、あきらの独白(読者に向けた心の独り言といった感じ)とも読めるんだ。

(というか、自分はあきらの内省だと思った。)


だから、英語ではp. 284があきらのものであるはずはないんだけど、実は日本語ではp. 59もp. 134(英語版p. 284)も、どちらもあきらの独白である可能性は高いかもしれないね(そしてやはり日本語では"Dear Fumi"という意味はなく、単に「みんなへ」みたいなノリの、あきらによるメッセージ、見た/感じたことの報告のようなものではないかと思う(英語では変かもしれないけど、日本語・漫画ではごく自然な表現な気がするよ)。

 

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…という感じで、毎度細かすぎる点にこだわりすぎというキライもある上、今回は最初に書いた通り、ただの勘違いネタまでありましたけど(笑)、これでまだ全体の1/3も消化していないので、上述の通り続きはまた小分けにして見ていこうと思います。


続いて「青い花で学ぶ英語」コーナー、今回は、6巻の温泉回から…。


言うほど学べる話でもないですが、個人的にずっと気になっていた点です。

温泉のドボーンとかは、英語だとどう表すのでしょうか…?!

早速チェックしていきましょう。


なお、以後のこのコーナーは、個人的に気になっただけの点で、Frankさんに質問したわけでもなく、単に独り言を述べて終わりな感じですね。


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青い花で学ぶ英語】

(6) p. 26, 30他:"KAPLOOSH" "KASPLASH"(\どぼん/ \ドボン/)

まぁ温泉のドボーンに限らず、日本語ほど擬音語や擬態語、いわゆるオノマトペが豊富にある言語も他にないとよくいわれているように思いますけど、オノマトペ強者の我々からすると、このKAPLOOSH(カプルーシュ!)なんかはまだマシに思える表現ですね。

KASPLASHの方も、申し訳程度にKAが頭についているものの、基本的に水がしぶきを上げる音は英語だと"SPLASH!!"で表され、これはいわば日本語でいうと、水しぶきが跳ねる状態を「シブキッ!」と表しているようなもんですから、レベルが低すぎて呆れてしまう状況だといえましょう(笑)。

(まぁsplashならまだ実際の音にちょっと近いものの、基本的に英語だと音を表すのには専用の用語がなく、単にその様子を表す単語を置くだけというゴミみたいな表現が多いと聞きますもんね。
 例えば同じ水でいうと、水滴がポタポタ落ちる様子(この「ポタポタ」に相当する英語が存在しないわけですね)なんて、”drip"(ドリップ)を用いると聞いたことがありますから(青い花には登場しなかった気もしますが)、風情もへったくれもないとはこのことでしょう(笑)。

…って、よく考えたら、ポタポタに慣れすぎたせいで「dripはねーべ(笑)」と思ったものの、もしかしたら非日本語圏の人にしたら、「ポタポタもねーよ(笑)」なのかもしれないですけどね(笑)

 また関連して、普通は専用の用語があることを逆手に取った音の面白表現も日本語では可能で、例えば『宇宙兄弟』で見た、シャワーを浴びる音が「シャワー」、その後シャツとズボンを着る音が「シャッ」「ズボンッ」、牛乳を飲む音が「ギニュッ、ギュニュッ」みたいだったのには笑いました(笑))


まぁ、日本のアニメや漫画文化が繊細なのはそのおかげ……とまでは言わないまでも、こういうのを子供の頃から自然に言葉で表すことに慣れている我々は、やっぱり状況描写なんかに繊細なものがあるんじゃないかな、と思った点でした。

言うまでもなく、他にも沢山のオノマトペが作中には登場しますが、いかにショボイ表現になっているか、また機会があったら取り上げてみても面白いかもしれませんね。


あぁあと今回の「KA」で始まる音といえば、銭湯・温泉の描写でよく用いられる「カポーン」、これ個人的にめっちゃ好きなんですけど、割と謎音であるものの妙に説得力のあるこいつ、これ実は偉大なる高橋留美子さんが最初に使った音である、って聞いたことがあります。

ルーミックキッズであらせられる志村さんも、もしかしたら温泉回でカポーンを使われているのかな、と思ったら残念ながら作中で使われてはいませんでしたが、食べ物を食べる際の「ひょいぱく」とかも高橋留美子さんの手によるものだったと思いますし、センスのいい人はやはりそういう表現力ひとつ取っても凄まじいものがあるって感じですね!

(あぁ、あとは、一切音がなく静かな様子「シーン」は、これは手塚治虫さんによるものだと記憶しています。音のない様子を文字で表す…マジで偉大な発明…!)。


音がない紙の上の話なのに、まるで音が聞こえてくるかのように楽しめるのが、漫画の素晴らしさに思えてなりません……という浅い結論でまとめておきましょう(笑)。


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放浪息子』10巻表紙、https://www.amazon.co.jp/dp/B009727MN0より

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