食べたら太る唯一の原因が、コレ!

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前回は、「太りにくくする心がけ」第二弾として、「食べる順番に気をつけよう」ということを長々クドクドと語っていました。

ちょうど毎回大変ご丁寧なコメントをいただけるアンさんからも「ダイエッターには、食べる順番の意識なんてのぁ常識よ!」というメッセージをいただいていた通り、この辺はもう、今や多くの人にとって先刻ご承知の、当たり前すぎる話だったかもしれませんね。


しかし、「サラダを最初に食べるとよい」ということは常識でも、恐らくほとんどの方にとって「なぜなのか?」という点については「いや知らんけど。みんなそういっとるし…」程度のあやふやな理解に留まっているのではないかと思うのです。

もちろん、「血糖値を緩やかに上げるんだろ?」という点まで抑えられている方も中にはいらっしゃるとは思いますが、その場合も、「じゃあなぜ血糖値上昇が緩やかになると太りにくい・健康的なの?」と問われると、淀みなくペラペラと早口で解説できる方は、そう多くはないのではないかと思います。

この辺のキーワードとしては、血糖値に加え、グルコースとかインスリンとか糖尿病とかも絡んできますが、どれも、名前だけはどっかで聞いたことがあるけど、何のこっちゃって話の方がほとんどだと思うんですよね。


別にそんなこと理解した所で太りにくくなる・痩せやすくなるとかいうことは全く1ミリもないわけですけど、まぁ知らないより知ってる方が多分何かいいので(メカニズムを理解してサラダを最初に食べるのと、何も理解してないけど何となくいいらしいからそうするのとには、実質別に何の違いもないので、知ることで得られる何か具体的なメリットを挙げようと思ったけれど実際特に何もなく、「何かいい」としかいえないんですけどね(笑))、興味はあるけどその辺があやふやな方はぜひご覧になってみてください、って感じですね。

ちなみに、僕は専門家ではないんですけど(実際、こないだの健康診断結果記事でも書いていた通り、血糖値の数字がいくつだから大丈夫とかいくつから危険水域とか、そういう医療保健学的な話は全くモグリです)、とはいえしかしまぁ一応近い分野といえる生命科学の専門家として、なるべく分かりやすく解説してみるといたしましょう。

(厳密性よりも、全く知識のない方でも「分かった気がする」と納得してもらえそうな形を目指して、分かりやすさ重視でいきたいですね。
…書き終わってみたら、「分かりやすい」というより「しつこい」だけのような気もしてきましたが…)

 

・血糖値とは

こないだから話に出してる血糖値、結局これは何のことやねん、という話ですが、これはズバリ、血液に溶けているブドウ糖の濃度(血液100ミリリットルに、どれだけの糖が存在するか)のことです。

「血液って何だよ」は流石にないと思うので省きますが、「ブドウ糖」については、まぁ英語でグルコースで、糖界の代表であり、一番小さい基本的な糖である、全ての糖は体内でこいつに変換されると考えてもらって構わない、とても偉いお糖様ですね。

どんなものなのか(分子構造的な話)については、以前、「楽しい有機化学講座」というあんまり楽しくもなかった一連のシリーズのこの辺の記事(↓)から何度か触れていましたけど…

con-cats.hatenablog.com
…まぁ構造とかはマジでどうでもいいでしょう。


とにかく、糖といえば砂糖をイメージしちゃいますが、なぜか生体内では砂糖よりブドウ糖の方が重要で、こいつがマジで糖の代表選手なので、血糖値という場合、ブドウ糖の量のことをいうのです、ということをまずは抑えておけば……と、まぁ長々と触れたものの、ぶっちゃけこれは正直別にどうでもいいですね。

砂糖だろうとブドウ糖だろうと今一連の話の流れを理解する上ではあんまり関係ないので、糖についての深追いは不要だったかもしれません。

でもまぁとにかく一応、血の中には糖が溶け込んでいる、ってことなのです。

(ちなみに砂糖を分解するとブドウ糖になり、甘さも失われるので、普通の人の血液に溶け込んでいるブドウ糖程度だと、別に血は甘くは感じないんですね。
 むしろ、より多量に存在するヘモグロビンに結合した鉄イオンの影響で、血液は何となく鉄っぽい、金属っぽい風味があるわけです。まぁ血の味も金属の味も、あんまり詳しくはイメージできないかもですけど(笑)。)


血液には当然糖以外にも色んなものが大量に溶け込んでいるわけですけど、健康診断で教えてもらえる「血糖値」という数字では、自分の血の中に糖(ブドウ糖グルコース)がどれだけ存在するかを表してくれている、ということなんですね。
(他にも、血中ヘモグロビン濃度とか、コレステロール濃度とか、色々ある中の一つ、ってことです。)


この「糖」というのは体の中で何に使われているかというと、もちろん、あらゆる生命活動のエネルギー源

機械は電池とか、コンセントにぶっ挿すことで得られる電気の力とか、あるいはガソリンを爆発させて生まれる力とかで動くことができますが、人間は電池やガソリンを直接は使えません。

では我々はどうやって日々歩いたり喋ったり(=筋肉を動かすことで実行可能)、ものを見たり考えたり(脳神経系の電気信号を伝えることで実行可能)しているのかというと、ズバリ、ブドウ糖を分解して発生するエネルギーを使っている、ってことなんですね。
(この、ブドウ糖を分解してエネルギーを生み出す反応のことを、「呼吸」といいます。)


なぜ僕たち人間はコンセントにつながることなく、ワイヤレスで自由自在に動けるのか…?

ぶっちゃけ当たり前すぎていうまでもないことですけど、それは、食べ物を食べて、そこに含まれる糖を分解するときに発生するエネルギーを動力源としているから、ってのがその仕組みだったわけです。

(1つの糖からは微量なエネルギーしか生まれないけれど、毎日沢山の食べ物を食べることで、生活に十分なエネルギーをゲットしている……ここで、エネルギーを摂りすぎると、賢い人体は「余った!捨てるのももったいないから、脂肪として体内に蓄えといたろ」と、溜め込む方向に舵を切るんですね。余計なお節介すぎる(笑)。そのまま捨ててくれよ(笑)。

 なお、なぜ糖の分解からエネルギーが得られるかは、高校生物で簡単に、大学の生化学(代謝)でより詳しく学びますが、まぁ今はどうでもいいでしょう。)


そこで新たな疑問として、まぁそんなこと改めて考えたこともないとは思いますが、なぜ食べ物を口から入れてお尻から出すだけで、指先や足の先といった全身の筋肉を動かしたり、体のてっぺんにある頭(脳)でモノを考えたりすることができるのか?

食べた食べ物、体の隅っこに全く移動してなくない?…などと冷静に考えたら思えなくもないと思うのですが……

それを解決しているのが、ズバリ、血液&血管

全身の細胞が元気に生き続けられるのは、全身に張り巡らされた血管を、エネルギー源である糖の溶け込んだ血液が走り回っているからに他ならないんですね。


結局、「血液って何なの?」というのは、普段は意識もしない話だと思うんですけど、これは簡単にいえば、全身の細胞に「おやつだよ~」と、食事で摂取した糖分を配達してくれる、栄養配達員であるとみなしてしまえばOKでしょう。

これこそが、血液さんのもつ、最重要な第一の役割と考えて問題ありません。
(もちろんいうまでもなく、血液にはまだまだいくらでも他に大事な役割がありますけどね。
 同率一位ぐらいに重要なのは、その「エネルギーを生み出す反応」である「呼吸」に必要なもう1つの物質、糖と酸素の「酸素」を運ぶ役割でしょうか。)

道路が壊れて、お店に商品を配達してくれるトラックが来れなくなってしまったら、すぐにお店がすっからかんになって営業が続けられないのと同じように、栄養配達員である血管が詰まったら人間は一瞬で死んでしまうわけですけど、それぐらいに血液&血管というのが重要なものだということは、改めていうまでもない話ですね。


…って待てよ、このペースで終わるか…?

まぁでもこの辺は重要だし、ちょっと詳しめに語らせてもらいましょう。


ちなみにブドウ糖は、基本的にはから血管に出荷されます。

食べ物というのは糖が大量につながった多糖類の形で存在していることが多いわけですけど(参考:例の糖関連のネタから、この辺りの記事とか→もっといっぱいつながろうよ)、人間は口から食べ物を食べますが、歯で大まかにバラバラにした後、更に胃の中にて消化酵素の力でガンガン分解して、引き続き腸でも分子レベルでの分解が行われますけど(これを「消化」といいます。この時点で、最初沢山つながっていた多糖も、最小のブドウ糖にまで分解されているということですね)、消化の結果生まれたこの大量のブドウ糖は、小腸の細胞で、血液に「はいよ!糖だよ!!全身で使ってね」と渡されることになるわけですね(これを「吸収」といいます)。


そんなわけで、食べたものは上(口)から順に小さく分解されていき、真ん中(腸)あたりでブドウ糖が血液に乗り、全身へと輸送されるという話でした。

いうまでもなく、ここでどのぐらいの糖が血液に入るかで、血糖値というものが決まるわけですね。

(「いや『糖は腸で吸収されます』っつっても、何でよ?どうやってだよ?なぜ他の場所では吸収されないわけ?」という疑問ももたれるかもしれませんが、これは、一言でいえば、小腸の細胞表面には「ブドウ糖輸送マシーン」みたいな特別な分子が大量に並んでいるから、ってのがその理由ですね。

「いやマシーンって何だよ…」と思われるかもしれませんが、これは以前の記事で何度も出ていました、「特別な機能をもつ生体分子」といえばもちろんあいつ、我らがタンパク質でできてる物質なわけですけど、今回はそこが本題ではないので深入りは避けましょう。

 いずれにせよ、小腸の細胞ではこの「ブドウ糖輸送タンパク質」を合成する遺伝子スイッチが強く入るようになっているため、ちょうど消化も終わったこの場所で、都合よくブドウ糖が血液に輸送されやすくなっている、ということですね。

(「なぜ小腸だけでこの遺伝子スイッチが強く入るの?」…それは、「そうなるのが一番都合よかったので、生物がそういう風に進化したから」ともいえますが、究極的にはもう「誰にも分からない。生命の神秘だね」としかいえない話でしょう。))


…と、血液にどうやって糖が溶け込むかの説明で異様に長くなっちゃいましたが、話を少しずつ進めていきましょう。

血糖値に関してですが、そうですねぇ、例えば水に砂糖をジャンジャン溶かしていくとどうなるか、これはどなたも想像に容易いと思うんですけど、ズバリ、糖を溶かせば溶かすほど、水はどんどんドロッドロの液体になっていくのはイメージできますよね。

あまりにも糖濃度が大きいと、ハチミツみたいになるわけです。

まぁ先ほど「砂糖とブドウ糖は違う」と書きましたが、物質としては近いものなので同じように考えられますから、当然、血液だって同じ感じになります。

よくドロドロの血・サラサラの血とかいいますけど、結局、ブドウ糖が沢山溶け込んでいる血液=高血糖の人の血は、極端にいえばコップ一杯に砂糖1 kgを溶かしたような感じで、ドロドロとしたものになるわけですね。


いうまでもなく、血液というのは心臓ポンプで全身を駆け巡り続けている液体ですから、これがドロドロだと、よりポンプをしっかり押さないと循環しなくなりますし(高血圧)、強く押す必要が出れば出るほど血管が破れる可能性も高くなるし(動脈瘤破裂など)、そもそもドロドロだと当然血管が詰まりやすくなるし(脳梗塞など)、高濃度の液体に晒され続けたり最悪溶けていた成分が沈着したりすることで血管の壁が分厚く硬くなる(動脈硬化)など、高血糖というのはそれだけでもうヤバさの塊だということは自然とご理解いただけることでしょう。
(もちろん、血のドロドロさには、他にコレステロールとかも大いに関係してきますけどね。でも、血糖値も非常に大きな因子です。)


かようにヤバい高血糖、では、血糖値を下げるために、体の中ではどんなことが行われているのでしょうか?

ここで出てくるのが、インスリンなんですね。


インスリンとは

インスリンも、名前はどこかで聞いたことがあるけれど、何のこっちゃよぉ分からん物質ではないでしょうか。

こいつはズバリ、一番大きい区分でいえばこれまたタンパク質、つまり、アミノ酸がズラーっとつながってできた物質にすぎません。

しかも、サイズとしても割と小さめで、ヒトのインスリンはわずか51個のアミノ酸がつながった分子なんですけど、こちらは世界で初めてアミノ酸配列が完全に解明された、歴史的な分子なのです。
(=51個のアミノ酸のつながり方が明らかに。具体的には、グリシン-イソロイシン-バリン-…というようにつながっている感じですね。)


何気に、以前の記事で、このインスリンの配列を決定したサンガーさんについても取り上げていましたが(その功績で、ノーベル賞受賞)…

con-cats.hatenablog.com
…まま、今回はその辺の話は置いておきましょう。


結局インスリンもタンパク質の一種で、先ほども書きましたがタンパク質ってのは特別な機能をもった生体分子のことなんですね。

このインスリンも、たかがアミノ酸が51個つながっただけの小さい分子にもかかわらず、実は、生物にとって尋常じゃなく大切な機能をもっているのです。

それこそがズバリ、「血糖値を下げてくれる」役割!


高血糖状態は上述の通りどう考えても体に悪いので、我々人間(まぁ哺乳類などその他大型動物もそうですけど)は、食事を食べて血糖値が上がったら、しっかり下げる必要が出てくるわけです。

(もちろん糖分は全身の細胞の栄養源・おやつなので、血糖値が上がること自体は悪くはないというか生物にとって避けて通れないことなんですけど、特に現代の飽食の時代においては、食事で必要量以上・過剰な糖分を摂取することが多いですから、必要なエネルギーがしっかり全身に行き渡った後は、意図的に血糖値を下げてやらないと、普通に無意味に高血糖状態が続いてしまいがちなわけですね。)


そんな危ない高血糖ドロドロ血液をまともな状態に変えるべく、人体には、血糖値を下げる仕組みが備わっているのです。

それが何を隠そう、我らがインスリン


膵臓(すい臓)で作られたインスリンは、これまた血液に乗って全身を流れますが、血糖値が通常時より高い状況だと、血糖値を下げてくれるのです!

(※これも「どうやって?」と気になると思いますが、これまたちょうど、ずっと前、「遺伝子のスイッチ」的な話で触れたことがありました。

con-cats.hatenablog.com
リンクカードに画像もちっちゃく表示されていますが、インスリンを細胞がキャッチすると、東京の地下鉄より複雑なこの「シグナル伝達経路」図に示されている通り、大量の数の遺伝子スイッチがONになったりOFFになったりして、ざっくりいうと本当に種々様々な「血糖値下げ隊」タンパク質が動き始めて、あれやこれやで血糖値を下げる方向に全力で動き出す…って流れですね。
 詳しくは、大学の生化学・分子生物学で学ぶ話なので、割愛しましょう。)

 

凄いぜインスリン!!

高血糖は血液ドロドロ血管ベトベトで放置したらヤバイやつだからね、ついつい食べ過ぎてしまった後に、爆上げしてしまった血糖値を下げてくれるとは、こりゃ助かる。

…と、「高血糖状態を防いでくれるのか、インスリンはいいやつだなぁ」などと考えた人……バッカモーン、短絡的過ぎる!!(いきなり何だよ(笑))


血糖値を下げてくれるのはいいんですが、血糖値を下げる=血液に溶け込んだ糖分を抜き出すということで、その抜かれた糖分は一体どこへ…?

いうまでもなく、体内に存在する糖がいきなりどこかへ雲散霧消するとかいう都合いい話は存在しませんから、どこか別の場所に移動させてやる必要があるわけです。

…で、これはズバリ、主に脂肪という形に変えられて、体の至る所……お腹や~二の腕や~太ももや~顔なんかにもつくぞ~という感じで、血液内にいたブドウ糖は、脂肪細胞に受け渡され、脂肪として体に蓄えられるということなんですね。


流石にそう聞けば、「いや、血糖値が下がるんならいいじゃん。だって高血糖って危ないんでしょ?」などというお気楽なおバカさんはいらっしゃらないことでしょう。

結局、インスリンが頑張ってくれちゃうせいで、我々の食べたものは消化・吸収を経て脂肪に変えられ、お肉として体に貯まり、世の中の多くの人を悩ませている肥満・おデブという状態につながってしまうということなんですね。


つまり、有り体にいえば、インスリンデブ製造分子ということで、こいつのせいで、食べたものが「身によくつく」となっているのです。

要は、インスリンさえしゃしゃり出てこなければ、どれだけ食べても体に脂肪がつくことも、体重が増えることすらなかったといえるんですね…!

逆に、古来より多くの人に嘆かれ続けた「なぜ食べたら太るのか?」という問い……これは、一言でいえば、インスリンが栄養を脂肪に変えてるから(笑)」という、何か笑いマークをつけたくなるぐらいに、諸悪の根源は全てこいつにあったというわけなのです。


インスリン、要らねぇ~!(笑)

こっちはどんだけダイエットに苦しんでると思ってるんだ!

インスリンとかいうゴミカス、とっととこの世(自分の体内)から絶滅してくんねぇかな?

…という声が聞こえてくるかのようです。


では、インスリン製造装置である、すい臓をぶっ殺してみましょう!

(ちょっと血糖値は増えるけど)やったねシュガーちゃん、これでもう二度とお腹に脂肪がつく生活とはサヨナラだよ!

…その代わり、この世からもサヨナラバイバイだよ…!!


…そう、すい臓を取っ払って、一切インスリンが生まれてこないようにしたら、脂肪がつかなくなるどころか、結果的に今体についてる脂肪もガンガン分解されていくようになるんですけど、もちろんそれは歯止めが一切きかない死への行進ともいえるわけですね。

まともな栄養貯蔵が出来なくなってしまう結果、どれだけ食べても骨と皮だけになるまで全身の脂肪も筋肉も分解され続けて、速やかに衰弱死するコースが待っているのです。
(まぁインスリンゼロの状態で食べまくったら、血糖値無限上昇コースで、衰弱する前に血管がどうにかなってアウトの可能性の方が高いと思いますが…)

すい臓がんで亡くなられたスティーブジョブスさんの最期は、もうゲッソリとやつれた大変痛ましい姿であったことを覚えていらっしゃる方もおられることでしょう。


…その辺はちょっと極端な話すぎたかもしれませんが、結局、インスリンは現代人の敵ではありますけど、それは肥満という観点に関してのみであって、これがないと血糖値は上がりっぱだし、もしもインスリンの機能が弱まってしまったら、ズバリ、それだけで糖尿病になってしまうのです。

何だかんだ、この子は憎まれ役を買って出てくれているといいますか、「いなくなって分かる、あいつの大切さ」みたいな、普段迷惑ばっかかけてるように思えたのに、実は裏では誰よりも自分のことを守ってくれていた…って感じの、一番カッケェやつのパターンともいえるんですね。


なお、「糖尿病」は、その名前のユニークさで小学生でも知っている病気ですが、これ実は、体内の糖分濃度が高くなりすぎて、尿にまで糖が染み出てしまう「こともある」ことから付けられた名前にすぎず、実は、尿の成分どうこうはあまり関係なく、まさにずっと見ていた血糖値の大きさで診断がなされる病気である点に注意が必要かもしれませんね。

ja.wikipedia.org

(上記Wikipedia冒頭より:朝、空腹時に測った血糖値が126mg/dl 以上、また食事の有無問わず血糖値が200mg/dl 以上、この両方を満たした場合は「糖尿病」の確定診断となる。)


ちなみに、日本人に比べて、アメリカ人にはとんでもないレベルの肥満の人が大量にいるのはどなたもご存知のことかと思われますが、これはズバリ、「インスリンの強さが違うから」で説明がつく話になっています。

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http://himasoku.com/archives/52170800.htmlより、このレベルの肥満の方も、本当に結構見かけるレベルでいるのがアメリカです)

…あれ、この話も、ずっと前、遺伝子・タンパク質などを見ていた記事のどこかでもう軽くチラッと触れていた記憶もあったのですが、ブログ内検索してみても、見当たらないですね…。

あぁ、そうだ、一番面白いネタだから、以前いきなり始めていた「分子生物学入門講座」は、最後この辺の話に戻って終わりにしよう、と思って、取っておいたのでした。
アミノ酸飲料から脱線して始まって、タンパク質合成まで一連の分子生物学的話を終えたら、最後「例えばインスリンは…」みたいな感じで…。)

その入門講座も、インスリンではなくソーマチンというギネス級の激甘物質の合成の話の途中でいきなり話が逸れたまま保留状態になっていますが、まぁいつか必ず戻るといたしましょう。

 

(話を戻して)なぜ日本人にこのレベルの肥満体がほぼ全くいないかといいますと、これは簡単で、日本人は、そこまで太る前に、糖尿病になって死んでしまうからなんですね。

それはなぜかといいますと、日本人(まぁアジア人全般ですかね)のインスリン分泌能力が、アメリカ人(まぁ白人全般でしょうか)のそれより遥かに弱いから、の一言に尽きるわけです。


これはデータからも完全に示されていまして、前回も紹介した糖尿病関連の記事に、分かりやすいグラフが載っていました。

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https://cuisine-kingdom.com/diabetes/より

このように、健常者・糖尿病(その境界型)のどの区分でも、日本人のインスリン分泌量は白人のそれより圧倒的に少ないんですね。

これはつまり、我々は、インスリンが圧倒的に少ない=食べたものを脂肪に変える力が弱い=太る才能がない、ということで、先ほどのバーバパパみたいな体型になれる資格がない、ってことなわけです。

フゥ~↑ その才能、なくてよかった、いらねぇ~!(笑)


なお、このグラフは日欧の糖尿病の性質の典型的な違いも如実に示してくれており、日本人は、境界型(青)→糖尿病(赤)となるにつれ、インスリンの分泌そのものがなくなってしまう形…

(=インスリンが作られない=血糖値が高いまんま=糖尿病発症で、色々な健康被害が発生し、最悪の場合は死に至る…ということ)

…一方、白人の方は、糖尿病の人の方が、むしろインスリン分泌量が上がっている!(時間が経っても落ちない!)

これはどういうことかというと、欧米人は、インスリン分泌はマジで最強で、ドバドバ出る一方、むしろあまりにも出すぎて、逆にインスリンを受け取る方の分子がバカになってしまい、どれだけ出てもインスリンが効かなくなってしまう(=インスリン抵抗性の獲得)…という流れで血糖値のコントロールが不可能=糖尿病になってしまう、という傾向があるんですね。


なぜ日本人と白人にそこまで分泌量に違いがあるのか、それは、まぁ先ほどの記事にも解説がありましたが、昔・太古の時代の食生活がそれに影響を与えているのではないかとかいわれていますけど、まぁなぜ我々の髪が黒くて、欧米人は金色っぽいのか、みたいなのと同様、ハッキリした理由は不明でしょう。

一方、そうなるメカニズムとしては、例えばインスリン合成の遺伝子スイッチが入りにくいとか、スイッチが入って合成されても、作られたインスリンが分解されやすくなっているとか、まぁ色々な原因が考えられますね。

でもこれも、ハッキリした原因は分かっていないのではないかと思われます。


これは逆にいえば、日本人でも、例えばインスリンを血管内に注射し続けるとかすれば、誰でも簡単にバーバパパになるぐらいに太ることは楽勝で可能なのです。
(もちろん、インスリンの力でガンガン血糖値が下がってしまうので、沢山食べなきゃいけませんが…。
 当然のことながら、低血糖というのも、むしろ高血糖以上に危険なのはいうまでもありません。
 全身の細胞が生命活動をするのに必要な糖分が血液の中にないと、筋肉を動かすことすらできなくなる=心臓も止まっちゃう、ってことですからね。)

結局、日本人に肥満が少ないのは、もちろん日本食が優秀というのもありますが、実はそれ以上に、インスリン分泌力が弱い=太る才能に恵まれていないから、ともいえるんですね。

これは一見嬉しいことですが、同時に、「インスリンが弱いのに普段から血糖値上げまくってると、すぐにすい臓がイカれてしまい、糖尿病になりやすい」ともいえるので、しっかり注意したい所ですね。

 

ちなみに、インスリンに話を戻すと、「血糖値を上昇させるタンパク質」は人間の体内に数種類存在するのですが、「血糖値を下げてくれるタンパク質」は、このインスリンわずか1つしか存在しません。

これは、人類(生物)の長い歴史というのは、基本的に常に栄養不足との戦いでしたから、とにかく全身の細胞はいつも栄養が足りていない=「糖分が欲しい!」状態であり続けたわけで、生物にとっては「血糖値を上げるタンパク質」の方が生き残るためには遥かに重要(=全身を動かすために、とにかく使える栄養、すなわち血液に溶け込んだ糖分が必要!)だったことが関連しているといわれています。

「血糖値を上げる役目もち」が複数いるのに、「血糖値を下げる役目もち」がインスリンわずか1つしか存在しないという、そういう偏った形で進化したのは、「生きる上で本当に必要なのは、血糖値を上げること」というのがその理由なのでしょう。

人類は化学肥料の開発(=人類の歴史を最も大きく塗り替えた偉大な発明とすらいわれる、「水と石炭と空気からパンを作る方法」でおなじみ、ハーバー・ボッシュ法)でついに食糧問題を解決し、飽食の時代に入ったわけですが、皮肉にも、栄養状態が良くなりすぎたせいで、血糖値を下げるのが苦手な人類は糖尿病に苦しむことになるのであった……というお話ですね。


…と、無駄に長くなりましたが、最後まとめといいますか、結局なぜ血糖値を緩やかに上げると太らないことにつながるかという点に触れておしまいとしましょう。

まぁ今までの話を総合すれば明らかかと思いますが、血糖値が一気に上がると、すい臓がそれを察知して、「あ、一気に血糖値が大きく上がった!インスリン作らなきゃ…」と、インスリンをドバドバ合成し始めるんですね。

そうすると、もういうまでもなく、血液にインスリンすなわち「脂肪作り隊」が大挙してやってきて、血液の中のブドウ糖をじゃんじゃん脂肪に変換してしまうので、太るということなのです(そのおかげで血糖値は下がるけど)。

これが、食べる順番を意識して低GL値の食品から始めてもっとゆっくりの血糖値上昇であれば、すい臓ももっとのんびりと、そんなに大量のインスリンを一気に合成する必要もなくなるので、インスリンもそんなに一気にドバッと放出されないし、すい臓への負担も軽いわけですね。


この「負担」というのも大事なポイントで、お酒を飲みまくっているといつか肝臓が死ぬのと全く同じように、血糖値爆上げですい臓に「ヤッベ、血糖値いきなり上がった!インスリン全力合成!」と全力を出させ続けると、疲弊してどんどん合成能力が落ちてしまい、結果、必要になっても必要量のインスリンが作られなくなって血糖値コントロールが不可能になり、糖尿病…というコースが待っているんですね。

だから、「太る太らない」とかいうケチくせぇ話のみならず、糖尿病という現代の大病を予防するためにも、血糖値をゆっくり上げるようにするのは非常に大切な話なのです、というのが触れておきたかったポイントでした。


今までで多分一番ぐらい長くなってしまいましたが、次回はちょっと毛色を変えまして、一時的に全く別のネタに脱線してみようと思っています。

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