難しい立体認識

前回の記事では、有機化合物の構造の話から、鏡に映さないと重ね合わせられない関係=右手と左手のような関係の分子=キラルなエナンチオマーについて語りがてら、面白い話として、ブドウ糖にはD体とL体があり、L体はどれだけ食べても全く代謝回路が駆動せず、結果として太らない糖なのです、みたいなことに触れていました。

 

この立体異性体について、もうちょい詳しく見てみるとしましょう。

 

前回も、「4本腕に全部異なるモノがくっついた炭素原子を不斉炭素原子などと呼び、不斉炭素原子があれば必ず重ね合わせられないキラル分子が存在する……かと思いきや、実はそうならないこともありました」などと書いていたんですけど、ごちゃごちゃ分かりにくく言葉で説明するよりも、具体例を見ていくのが一番ですね。

 

有機化学といえば、薬学がスペシャリストともいえますが、専門薬学系の学習サイトに完璧な解説が画像付きで掲載されていたので、もうこちらのリンクをペタッと貼って「ご自由にお学びください」っていうのが一番早い感じかなとも思えてきました(笑)。

 

kusuri-jouhou.com

 

…というのも、以前「僕は、物理苦手民でした」と、サイフォンの話が出た辺りで書いたことがありましたけど…

(そういえば途中状態になっているサイフォンの解説も、すっかり先延ばしになっていますが、いつか戻りたいと思っています、いつか…(笑))

…まぁ何となく文章とかからもお察しレベルかもしれませんが、いわゆる文系理系の区分でいえば、僕は一応大学受験でのコース分けでは理系になるわけですけれども、空間認識の力とか、論理的思考力とか、一応後天的なトレーニングで幼少期・学生時代よりは多少はできるようになったとはいえ、持って生まれた能力みたいなものは、完っっ全に文系思考(であり、志向)……暗記科目の方が得意だったし、数学とか物理とかは教わらないと解けない(図形問題とか、難解な物理は習っても苦手)…

…という感じであった一方、国語とか、他者の気持ちを察するのとかは(そういうのが一般的に苦手とされる、理系男子とかと比べると)圧倒的に得意で、そういう書き方は偏見の極みかもしれないものの、完全に女性脳タイプだと、我ながら強く感じています。

(おっさんが堂々と「自分は女性的な思考でぇ…」とか書くのはキモイにも程がありますけど(笑))

 

ということで、普通にこの辺の立体認識系は、バチクソ苦手なんですよねぇ~。

 

流石に解説を見れば、言われている通りのことを理解することはできるものの、少なくとも僕は自分でこの手の理論を体系だって構築できる人間では絶対にないなぁ…などと思えてなりません。

 

そんなわけで、解説をほぼなぞるだけの形になってしまいますけど、早速上記学習サイトからポイントの画像だけお借りさせていただくと……

 

https://kusuri-jouhou.com/chemistry/chiral.htmlより


そう、「不斉炭素原子があるけれど、鏡像関係にはならない」ものが存在する代表例として、ここに並んでいる2,3-ジブロモブタンという分子がよく挙げられているの、見たらすぐに「あったあった」と学生時代を思い出せました。

 

詳しい話に入る前に、なぜ4本腕に違うモノがくっついているのに鏡像関係にならないかというポイントとしては、ズバリ、「モノは全部違うけれど、対称性がある」という場合に発生する事象でして、「全部違うのに対称性があるとは?」と思われるかもしれませんけどそれが上の図を見ると分かりやすいポイントで……

 

まぁどれでも同じですが、とりあえず図の(a)の構造で見てみますと、2,3-ジブロモブタンは「ブタン」だけあって炭素4つの分子ですけど、下から2つめの炭素(上から2つめでも同じですが)に着目すると、この炭素には、

  1. 水素 -H
  2. 臭素 -Br
  3. メチル基 -CH3
  4. 残り上全体のカタマリ -C2H4Br

…という4つの完全に異なるモノがくっついているといえるので、この炭素は不斉炭素原子になるわけですけど、実は全体で見ると、まさに「上から2つめの炭素でも同じですが」と先ほど書いていた通り、2番と3番の炭素はそれぞれ4つ違うモノをもっているとはいえ、こいつら自身には全く区別がなく、全体として対称性が備わっている形になっているんですね。

 

この対称性が、鏡像関係を崩す要因になっていると、ズバリ言えばそういう話なのでした。

 

具体的な話に入る前に、そもそもこの展開図みたいな描き方も、こないだ見ていた「黒い太字三角」と「点線的なクサビ形」の表記よりも直感的に分かりづらくて、ヘボ空間認知力マンには腹立たしいことこの上ないんですけど(笑)、ズバリこれはフィッシャー投影式と呼ばれるもので…

 

ja.wikipedia.org

 

…詳細はこのウィ記事(↑)にある通りですが、概念図だけお借りすると……

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/フィッシャー投影式より

…あぁ~分かりづらい!(笑)


こういうのをスッと頭の中で置き換えられるような男になりたかったのですが、まぁ僕は今でもやっぱりじっくり考えないとできない感じなんですけれども、いずれにせよ、基本的には左右方向が上、上下方向が下にくる形のものを平面に投射している形ですね。


何となく「紙と同一平面上に位置するものはないの?」とか思えるものの、まぁ細かいことは僕もボンヤリしてますし、気にしないでいいでしょう(笑)。

(まぁ「同じ位置にない」のは、正四面体ピラミッドの分子を手に取れば分かる通り、そう置かないように配置すればそれは普通に可能なだけですけどね(笑))

 

ジブロモブタンの分かりやすい図に戻ると、ズバリ、図にも説明書きが併記されている通り、(a)と(b)は鏡像関係にあるもので、決して重ね合わせられない右手と左手のような関係にある奴らなのですが、(c)と(d)は、実は回転させたら全く同じ形に重なり合うので、こいつらは鏡像異性体ではないんですね。

(そしてこれをメソ体と呼びます。

…まぁ、そう解説されてるから知った顔でそう書いているだけで、あんまり「回転させたら全く同じ形に重なり合う」の自信はあんま自分の頭だけだと持てないですけど(笑)。)

 

更に複雑な例ですと、メチル基の一方にOHがついて上下の対称性が崩れた場合の例もあり……

 

https://kusuri-jouhou.com/chemistry/chiral.htmlより

こちらは、(a)と(b)、そして(c)と(d)もエナンチオマー=鏡像関係にあるものである一方、(a)と(c)や(d)、そして当然(b)と(c)や(d)も、立体的に異なる重ね合わせのできない構造になっているものの、鏡に映したら一致する関係ですらなくなっているため、これは「エナンチオマー」とは呼ばず、立体異性体のもう一つの区分「ジアステレオマー」などと呼ばれる関係になっている感じなんですね。

 

大変難しい話であり、僕も「言われたらまぁ分かるけどさ……だから?」としか思えないこともあり、時間も尽きてしまったので(時間を言い訳に(笑))今回はひとまずこの辺で勘弁してやる(させていただく)といたしましょう(笑)。

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