湿度とは…なぜ冬は口唇や皮膚がカサカサに?

前回湿度の話を見ていくつもりが、その前段の話、蒸気圧うんぬんについてごちゃごちゃ語っていたら時間切れになってしまっていました。

 

蒸気圧の説明もグダっていたのでそこから行こうと思っていたのですが、何気にちょっと時間がなさすぎる日が続いているので、もっと取っ掛かりやすい所から、まずは湿度の話で分かりやすい部分から攻めていこうかと思います。

 

蒸気圧の細かい話はともかく、水というのは「ある温度の空間で気体として存在できる量」に限界がありまして(まぁそれを決定するのが気体分子の作る圧力であり、その限界時の圧力を「飽和水蒸気圧」と呼ぶのでした)、その限界を迎えている空間=気体となった水分子が、飽和水蒸気圧を形成している空間では、液体の水は決して気体になることはできないわけですけど、その状況を「湿度100%」と呼んでいるということでした。


改めて、「それ以上液体の水分子が気体となって空間に飛び立てない」だけで、空間が液体で満たされているわけでは決してないんですね。


そして、気体というのは圧力と温度が決まれば分子の数・量も自ずと決まりますから、飽和水蒸気圧のグラフは、そのまま「その空間に存在できる水分子(気体)の重さ」にも変換可能になります。


まぁ「気圧」で見るか「量」で見るかの違いしかないので、単なる捉え方の違いといいますか分かりやすさの違いでしかないんですが、飽和水蒸気圧グラフを飽和水蒸気量の軸(目盛り)と併記してくれている図が、こないだも「気圧」の話で紹介させていただきました、非常に分かりやすい解説をしてくださっている山賀さんによる「大気と海の科学」記事で貼り付けられていたので、またまたお借りさせていただきました。

https://www.s-yamaga.jp/nanimono/taikitoumi/kukichunosuijoki.htmより

 

より分かりやすいこのグラフ右側の目盛りを使って、湿度について考えていくとしましょう。

 

例えば気温20℃のときは、空気中1 m3に、17.3グラムしか気体の水分子が存在できません。

(ちなみに、詳しい数字はグラフからだと読み取り辛いですが、心眼で読み取ったわけではなく(笑)、記事内にキリのよい温度での実際の飽和水蒸気圧・量を記した表も用意されていたので、それを参考にしただけです(笑))

 

もちろん液体の水はいくらでも無限に(といっても、一辺1メートルの立方体の中なので、1000リットルがMaxではありますが)存在できるものの、水蒸気=気体の水分子は、20℃の1立方メートル空間中には、17.3グラムしか存在できないわけです。


それ以上、例えば強制的に水蒸気をその空間に突っ込んでやっても、そいつは即座に液体に戻されてしまうだけなんですね(その仕組みは、結局水蒸気圧による気液平衡を考える必要があるわけですけど、これはもう「そうなってる」で問題ないといえましょう)。

 

で、もちろんそれは「存在できる最大量」であり、それ以下しか気体の水分子が存在していないことも往々にしてあり得ます。

 

ちなみに、「存在できる最大量・限界量」といっても、飽和水蒸気圧というのは、「その水がその温度で自動的に形成する圧力」ともいえますから…

(なので、大気圧と飽和水蒸気圧が一致したら、水はもう液体ではいられず、全てが気体になっていく=沸騰するわけですね)

…言い換えると、放っておけば液体の水分子は必ず飽和蒸気圧を形成するまで蒸発していくわけですけど、そうすると、「じゃあ何で飽和蒸気圧以下の水蒸気しか存在しないなんてことがあるの?」と思われるかもしれませんけれども……

これはもちろん、「その空間に、もう気体になれる液体の水分子がいないから」ってのが一番に考えられますし、それ以外にも、例えば海のように大量の水がある場合だったとしても、「気温は20℃だけど、水温は12℃なので、液体の水自身は『12℃における飽和蒸気圧形成分』までしか気体になれないから、『気温20℃における飽和蒸気圧』には届かない」なんてこともありそうですね。


比熱が違うので、気温と水温が違うことは往々にしてあり得ることだといえましょう。

 

まぁそれはちょっとややこしい話なのでともかくとして、例えば20℃の部屋の中(1立方メートル空間)に水蒸気が8.65グラム存在している状況だったとしたら、これは、最大許容量17.3グラムの半分なので、この状況を湿度50%と呼ぶという形になってるんですね。

 

で、ここからが現実的な話として、気温が上がると飽和水蒸気量はグングン上がっていくことがグラフからも見て取れると思います。

例えば気温5℃の場合、飽和水蒸気量は6.81 g/m3……仮に湿度100%だったとしても、1m3の空間にわずか6.81グラムしか気体の水は存在できないわけです。


このとき、部屋を暖房で暖めるなどして、室温を20℃にしてやったらどうなるでしょうか?

20℃の飽和水蒸気量は17.3グラムだったので、5℃で湿度100%だった部屋は、6.81/17.3=わずか39.36%程度の低湿度になってしまうんですね!


もちろん、元の寒い部屋が湿度100%なんてまずないでしょうから、湿度50%であったといたら、温度を上げた際、さらに半分の約20%……カラカラの空気に早変わりしてしまうんですね!

 

これがズバリ、冬に部屋が乾燥してしまう仕組みだったのでした。


低い気温ではそもそもの水(気体)を保有できる限界がある→気温を上げると、その限界が一気に上がるうえ、元々少ない水(気体)しか空気中に存在しませんでしたから、液体の水が余裕で気体になれるようになる……

つまり、大量の水分でできているという話だった我々の身体から、主に皮膚表面や、他にもくちびるといった粘膜の先端も被害が大きいことでしょう、冬場にエアコンで空気だけ暖めたような部屋にいると、水が飛んで行き続けてカッサカサのガッサガサになってしまう、ってことなんですね!


ちなみに、冬は別に暖房を使わなくても、外に出るだけでも乾燥するじゃん、って話ですが、これも話は単純で、別に室温・気温が上がらなくとも、我々はそれなりに高い体温を保持していますから、例えば外気温4℃とかでもくちびるの周りの空気は暖められて、局所的に「あ、暖かくなった!自分、気体にならなきゃ…(使命感)」と、飽和蒸気圧の差・および周りの水蒸気圧(水蒸気量)の小ささにより、くちびるに含まれる液体だった水分子はソッコーで気体となってガンガン空気中に逃げていってしまう、って感じなわけです。

 

それを防ぐためには、例えばマスクをして、「ある程度水分は飛ぶけど、マスクの内部はもう飽和水蒸気圧レベルで水(気体)がいるから、無限に飛び続けることはないよ!」という状況を作るなどがいい対策といえるわけですね。

(あるいは、水分の蒸発を防ぐ保湿剤(こないだ見ていたグリセリンとかが使えますね)入りのリップクリームを塗るのも、水が飛んでっちゃうこと防止に効果的でしょう。)

 

では、「暖かい空気を冷やしたら、飽和蒸気圧は逆に一気に下がって、液体に戻されるのけ?」と思えるかもしれませんが、これはまさにその通りで、その一番よく見る例がまさに「雨」で雨ってのは暖かい空気が冷やされて、水蒸気だった水分子が液体に戻って地上に降り注ぐものだったのでした。

…とはいえ雨は上空での出来事なので分かり辛いとも言えるためより身近な例を挙げてみますと、エアコンの室外機で水がポタポタ出ているの、あれがまさに「空気中に含まれていた水(気体)が、部屋が冷えた結果これ以上気体ではいられなくなって液体になった成れの果て」の代表例といえますね!


機械内部での、それなりに分かりやすい仕組みが我らがパナソニックの解説記事に図示されていたので、参考までにリンクを貼り付けておきましょう。

jpn.faq.panasonic.com

…といった所で、「冬の肌乾燥の理由」という季節はずれの話になってしまったので無理やりエアコンの話にもっていった感もありますが(笑)、飽和蒸気圧(飽和水蒸気量)曲線を見れば、冬乾燥しやすい、および夏ムシムシしやすい(まぁこれは、単純に水が気体になれる上限がアップするためですね)ことの理由を、それなりに理論立って理解することが可能といえましょう、というお話でした。

 

…まぁ正直、基本的過ぎてこんな偉そうに長々する話でもなかったかもしれませんが(笑)、子供の頃の僕はそういう仕組みも知りませんでしたし、これは知っておくとタメになる話であるように思えます。

(とはいえまぁでも、そんなの知らなくても直感的に乾燥を防ぐにはどうすればいいのか(古来より行われてきた、ヤカンに水を入れて加熱し、部屋の中に応援水蒸気を追加しまくるなどなど)とかは、自然に誰でも対策を取れる話なわけですけどね(笑))


では、次回はまた、圧力シリーズの話を少しずつ進めていこうと思います。

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