しっとり・あったか・ねっとり…肌を守ってくれるいい成分!

一連の水以外の(=水分子を含まない)液体シリーズとして、今回は、エタノール、そして前回食用油に続き、記事タイトルに挙げていた「保湿・保温・増粘性」をもったナイスな液体、グリセリンについて取り上げようと思っていたのですが……

 

そういやグリセリンはずーっと前の「楽しい有機化学講座」で取り上げたことがあったもので(まぁエタノールも、油系もそのシリーズで取り上げたことはありましたが、それらは化学的な性質メインでしたしね、液体としての話はそんなに見ていませんでしたが、これは…)、その記事はこちら(↓)になりますけど……

 

con-cats.hatenablog.com

…書こうと思ってたネタ、ほぼ全部既に触れてしもうとった感じですねぇ…!

 

グリセリンとグリセロールという名前の違い、英語での発音、何気に中学理科でも「脂肪酸グリセリン」でおなじみの分子であること、そして、「液体ではあるものの、水飴のような粘りが特徴で…」という話から、一番メインのネタとして取り上げようかなと思っていた、化粧品や軟膏・クリーム系の製品でよく使われているのです……みたいな全てのネタが、(まぁ自分で書いたものなので、自分が書こうと思ってたネタとガチ被りなのは当然ですけど)完全丸被りすぎて、書くことなくなってしまいました(笑)。

 

とはいえまたしても、ちょっと果てしなく時間のない状況が続いていまして、無理やり、↑の記事では触れていなかったネタを混ぜつつ、似たような話の繰り返しになりますが、今回はグリセロールの話を少ししてみるといたしやしょう。


ちょうど、↑の記事ではグリセロールそのものがどんな物質なのかの画像はありませんでしたから、日本語版のWikipedia記事にいい画像はなかったものの、英語版にかなりいい感じのものがあったので、まずは見た目から参りましょう。

https://en.wikipedia.org/wiki/Glycerolより

英語だとやはり、記事URLにもそちらが使われている通り、「Glycerin(e)(末尾のeはつくこともつかないこともあり、特に英米の違いというわけでもなさそうです)」よりも「Glycerol」の方がよく聞くかな、って気がするものの、まぁそれは僕が生化学の研究系にいるからかもしれず、日本同様、化粧品やその類の成分表示では、Glycerin表記も目立つのかもしれません。

(実際、今手元にある、ずーっと前に卒業してった学生がくれたハンドクリームを見てみたら、「Glycerin」とありましたね!)

 

まぁ名前はともかく、画像の説明文にある通り、「グリセロールは、ヘアジェルなどの製品に含まれる成分である」という感じで、まぁ温度によりますけど、この画像は「100%グリセロールよりどう見ても固そうだし、もうちょい何かの成分も一緒に加えられて、固められてるのかな…?」とは思えるぐらい、純品のグリセロールは何というか、もうちょい形を保ち辛い、まさに先ほども書いていた「水飴」ぐらいの(…ただ、水飴やハチミツよりは、もうちょい固い気はすっかな…って感じで、どちらもドンピシャではなくどっちつかずかもですが(笑))、いずれにせよシャビシャビの液体では決してなく、ドロッとしたゲル状のスライム的液体、って感じですね。

 

ちなみにこのグリセロールもエタノール同様、水と任意の割合で混ぜることができる=溶解度はいわば無限大といえる物質で、100%グリセロールから0.0..1%グリセロールまでどんな割合のものも作れるわけですけど、当然、水に近付くにつれ粘度のないまさに普通の水のような液体に近付いていく感じで、大体10%グリセロールを割ったぐらいから急激に水っぽくなっていく印象があります。

(20%だとかなりトロ~っとしているけれど、10%を割ったら、注意深く液体を見ないと、ほとんど普通の水に思えてしまうぐらい粘性はなくなる……って感じですね。)


ちなみにグリセロールは不凍液にも用いられるぐらい、「凍らない・結晶化しにくい」ということも有名で……と、何気にそのネタも、↑の記事の次のネタ(↓)で完全に触れてましたね、例の、「グリセリン結晶化に関する都市伝説」として…!

 

con-cats.hatenablog.com

面白そうなタイトルにしただけあって、この記事は未だに結構検索エンジンからアクセスのある優良記事になっていますが、まぁそれはともかく、ここでも触れていなかった点として、生命科学実験で使う酵素の類は当然液体に溶けた形で売られていることが多いんですけど、酵素=タンパク質は熱に弱いことがあり、-20℃(冷凍庫の温度ですね)で保管する必要のあるものが多いのですが、もちろん、単なる水溶液だと、冷凍庫の中に入れておくとカチカチに凍ってしまうわけです(冷凍庫だから、当たり前)。


しかし溶液が凍ってしまった場合、その一部を吸い取って使うことができませんし、それ以上に、酵素(タンパク質)というのは地味にかなり繊細な輩で、凍結融解を繰り返すと、それだけで構造がぶっ壊れて機能が無くなってしまうヤツも非常に多いんですね。

 

そのためにどうしているかというと、市販の酵素は、50%グリセロールに溶かされているのが基本で、この場合、-20℃に入れても決して凍ることがなくなるため、低温で保管しながらも、液体状態が保たれるため使いたいときはピペットで必要量吸い取ることが可能になっている…という上手い仕組みになっているのです。

 

…うーん、上記2記事で触れていなくて、書こうと思ってたネタはそのぐらいですかねぇ……。

 

そもそもの「溶媒」ネタとしては、

「ハンドクリームやヘアジェルみたいな、ドロッドロした液体は、どうやって作るかイメージできますでしょうか…?

 そう、あのドロドロは、基本的にグリセロール(化粧品の成分表示の場合、ほぼ『グリセリン』だと思いますが、同じものです)を混ぜて作製されているものだったんですね!」

…みたいな感じで話を進める予定だったわけですが、既に「ハンドクリームで使われてる」ってネタは最初のリンク記事で画像付きで触れていたため、断念していた形でした。

 

とはいえ、「マジでグリセリンが使われてますよ」ってことを示すべく、別の商品の成分表示なんかも、最後記事水増しのために触れてみましょうか。

 

ふと思いついたのが、昔ながらの、信頼と伝統の塗り薬である「オロナインH軟膏」…

 

www.otsuka.co.jp

…これ、ほぼ全てのキッズが、「オロナミンC」の「オロナミン」と勘違いしがちなネーミングだと思うんですけど、まさかのまさか、これ、どっちも大塚製薬の商品だったということで、似ているのも当然というか、むしろこいつらは兄弟ネーミングみたいな感じだったんですね…!

 

www.otsuka.co.jp

オロナミンC大塚製薬の商品というのは、TV CMで散々流れているので知っていましたが、オロナインの方はあんまCM見ない気がしますし、これが大塚製薬の商品ってのは知りませんでしたよ、いやぁ本当にタメになる記事ですねぇ~!

…って自画自賛するためだけに、無理やりオロナインに触れてみた感じでした(笑)。

 

ちなみにリンクカードのチューブは全然見覚えがなく、「あれ、オロナインも時代の流れで、デザインが変わっちゃったのかな…」とちょっと寂しい気もしていたのですが、サイトを見てみると、箱、および丸型円筒状の古典的なタイプの製品は、まさに「これこれぇ~!」と思えるあのオロナインで、昭和世代の僕は安心しましたよ(笑)。

 

https://www.otsuka.co.jp/ohn/より


そして、気になる成分の方ですが、当然、グリセリン配合で、あのクリーム状の粘性のある軟膏は、これのおかげで形成されている、といえる感じですね。

https://www.otsuka.co.jp/ohn/より

(とはいえ、より固めな、程よい粘度を出すため、およびその他薬効を得るべく、他にも粘度の高い物質も混ぜられている形のようです。

 「ポリソルベート80」は、この辺の化合物に親しい方なら名前からも察しがつきますけど、高分子の糖脂肪鎖で(↓)…

 

ja.wikipedia.org

…他にも、ワセリンなんかも、これまた有名な、グリスみたいな油ですね↓)

ja.wikipedia.org

ワセリンについても、これも結構生命科学実験で使いますし、実際研究室に常備されているのでちょっと脱線してみようと思ってたのですが、大した話があるわけでもなく、時間も完全になくなってしまったので、また次回以降、ネタが他になかったら触れてみようかな、と思います。

 

では、今回もあっさりめの話に終始してしまいましたが(取り扱ってる分子はネットリとしているのに(笑))、次回へ続く形とさせていただきましょう。

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