前回からまた新しいご質問に入っていましたが、ほとんど質問内容とは関係ない、「超純水はどのぐらいキレイか」という点を見て終わっていました。
まだまだ面白い内容が続いているので、早速続きに参りましょう。
なにかが溶け込んだ水、いわゆる水溶液っていうやつ…？のことについての質問ではありましたが、液体でも水溶液でないもの、水でない(水分子が含まれない)液体も当然あるかと思うんですけど、
例えばオレンジジュースなんかだと、、まぁどうなるのかは全く見当もつきませんけど笑、濃縮還元していない100%果汁のものでもやっぱり水溶液になるんですか？
⇒前回、「ほとんど水とは思えない、牛乳なんかも水に色々なものが溶けただけのものなんですね」などと書いていましたが、それの延長上の話ですね。
例に挙げていただいた「100％果汁」の場合、「果汁が100％なんだから、それは果汁以外の何者でもないはずじゃねーか！水ではないってことだろ？」と思われるのも自然なことではあるものの、実はこの果汁という名前の液体も、水に糖分とかカロテンといった色素分子とか色んなものが溶け込んだだけの、単なる水溶液だったという罠みたいな話になっているのです。
例えば、もう「バレンシア」と聞くだけでオレンジジュースが頭に浮かぶ、バレンシア原産（実際はスペインの都市ですね）のオレンジの栄養成分表を、果物ナビという果物情報お役立ち情報まとめサイト(↓)からお借りさせていただくと…
説明のためにスクショも撮らせていただきましたが、可食部100グラム中の含有量の内、なんと88.7グラムもの圧倒的大部分が、水分＝H2O分子でしかなかったんですねぇ～。
当然、絞って果汁状にしてもそれは同じことで、美味しいオレンジジュースは、実はほぼ9割水を飲んでるようなものだったといえ、残り1割の成分が色や味や栄養を足して「オレンジジュース」らしくしてくれている、って話でしかなかったわけです。
ちなみに前回話に出していた、栄養タップリの牛乳はどうなんでしょうか…？
個人的には、流石にオレンジジュースの方がより水に近いといいますか、ミルクの方がもっと色んなものが含まれてそうに思えますけど、果たして……
こちらは、全国飲用牛乳公正取引協議会の栄養成分表からお借りしました（なかなか水分を載っけてくれていない成分表もある中、こちらは水分も含めてコップに描かれた親しみやすいイラストだったので、ありがたい限りです）。
ギャヒョーン！
なんと、牛乳は100グラム中90グラムが水分とのことで、まさかの、牛乳はオレンジジュースよりも「もっと水」だった！！
…って、微妙すぎる差で、冷静に考えたら牛乳は液体ですけどオレンジは一応固体ですし、そもそもそんな大げさに驚くようなことかよ、って話ですけど(笑)、結局栄養の王者牛乳ですら90％が水分でできているってことで、世の中の有機物・生命（オレンジもミルクも、生き物由来の物質ですね）が、いかに水とともに生きているかがご理解いただけるのではないかと思います。
そう、この地球上で一番大事な分子は何かと問われたら、地球を地球たらしめている、生物が宇宙で（現在知られている限り）唯一存在している惑星でいられる理由は、間違いなく水の存在が全てといえますから、水ほど重要な分子は存在しないと断言できましょう。
そう考えると、世界一栄養の少ないカス野菜としてギネス認定されているとしばしば話題にのぼるキュウリ先輩なんかは、かけがえのない水を多く含むものとして、もっと敬意をもって接した方がいいといえるのかもしれません……
なお、そんなキュウリの成分をチェックしてみたら…
上記、我らが文科省がまとめてくれていた成分表によると、キュウリ100グラム中に含まれる水分は95.4グラム……
こんなもんほぼ水じゃねーか、やっぱりキュウリってカスだわ(笑)
…とお約束の流れにしようと思ったんですけど、ぶっちゃけ牛乳で90グラムが水分でしたから、むしろ言う程全然違わねーじゃねーか…！(笑)
カロリーも、オレンジ42 kcal、ミルク69 kcalに比べたら、キュウリさんの14 kcalは多少は見劣りするものの、もっと「100グラムで1キロカロリー未満」とか情けねぇ数字だと思ってたら、むしろ案外栄養あるじゃないっすか！
タンパク質もバッチリ1グラムも含まれてますし、キュウリは結構偉大な野菜といえそうですね！！
…まぁ、買ってまで食べようとは思いませんけど(笑)。
（ってまぁ僕が自ら買って食べる食品は非常に限られているので、そんなこと言ったらオレンジも買ってまで食べませんし、キュウリ先生を悪く言うのはお門違いかもしれませんが……
そういえば、僕は子供の頃マジで野菜が全くダメで、一切一口も食べなかったレベル（出されても、器用に取り分けて残すほど）だったんですけど、初めて「あ、これなら大丈夫かも！」と思えたのがキュウリの塩もみ丸かじりだった記憶もありますし、ある意味僕の恩人ともいえる気がしてきました。
キュウリが恩人って、カッパかよ、って気もしますが(笑)）
結局、さっきも書きましたけど生命の基本は本当に水で、これも初めて聞いたときは全く信じられませんでしたけど、成人男性で体の約60％、成人女性で約55％が水であるということで、「えぇ？俺ら、半分以上も水でできとったの？チャプンチャプン(笑)」とか思えたものですが…
（参考：大塚製薬の豆知識記事に、分かりやすい画像付きで紹介されていました↓
…新生児にいたっては80％が水分ということで、もうこんなのほぼオレンジじゃん、まさかの、赤ちゃんはオレンジだった…？！）
もちろんそれ以外の「残りの成分」がその「水」の状態がどうなるかを大きく決めており、同じ80％が水分でも、色々溶け込むことによって、赤ちゃんとオレンジぐらい違う物質ができあがる、ってことなんですね。
というわけで、果汁100％とか言いつつ、実は「水分90％」といっても過言ではない（他の果物では、水分90％超えのものもいくらでもありました。まさかの、いちごなんかも水分90％なんですね！）感じなので、オレンジジュースはその残り1割程度の成分にお金を払っていると考えると、ちょっと虚しい気もしてしまえますが、そういうのは考えたら負けってやつだといえましょう(笑)。
（って、今でこそ水なんてタダみたいなもんですけど、未来はその貴重な水源が減って、水が何よりも貴重な資源になることも、もしかしたらあるかもしれません……
いつまでも周りに水があふれている緑豊かなこの星を守るべく、地球環境を大切にしたいですね（フワッとしすぎてて、何を大切にすれば水資源を守れるのかも知りませんけど(笑)））
あ、最後に、アンさんのコメントにもあった濃縮果汁還元、これ、僕は高校生の頃まで何のことか知りませんでしたけど、同級生が説明してくれて初めて「へぇ～、そういうことか」と納得した覚えがありますね！
これは結局、果汁を絞って得られた液体が当然「果汁100％」なんですけど、そこから水分を飛ばして、例えば100 mLの果汁を20 mLにまで体積を減らした形で出荷し…
（果汁は最初に見ていた通り、そのほとんどが水だからこそできる芸当なわけですね。
当然、体積が小さい方が運搬も楽ですし、保存にも便利（場所という意味でも、濃縮されて浸透圧が大きくなることで、微生物の繁殖を防げるという二重の意味でも）なので、現実世界では汎用されている形になります）
…この水分を飛ばした濃縮果汁に、ジュース製造工場で改めてキレイな水を足すことで100 mLの液体に戻せば、それがまさに濃縮果汁還元100％ってことなわけですね。
つまり、このとき例えば50 mLにまでしか戻さなければ「果汁200％」という、100％以上の謎液体が生まれるわけですけど、そうすると半分しか作れませんし、どう考えても消費者にとっては「果汁100％」という方が魅力的に響く（あとはまぁ、濃すぎて普通に美味しくないのかもしれませんね）でしょうから、そんな商品は普通は市販されていない、って感じですかね。
（100％を超える謎ジュース、割と飲んでみたくはありますが(笑)）
ちなみに、「濃縮果汁還元」は、「何か謎のプロセスを挟んでいて怪しい…やっぱり生が一番！」と感じる方は多そうですけど、ウィッキー先生の記事(↓)によると…
…栄養価はほとんど変わらないと考えていいみたいですし、僕ももうジュースなんて長年飲んでませんが、学生の頃飲んだ「濃縮果汁還元」って表記のあるものも、別に普通に美味しかった印象しかないので、企業的にはやっぱりコストの面で助かるものでしょうから、そんなに毛嫌いするものでもないんじゃないかな、って気がしますね。
（まぁ、「濃縮還元ではどうしても香りが損なわれる」なんて記述もありましたし、同じ値段なら無駄な行程をはさんでいないストレート果汁の方がやっぱりより魅力的かな、って気はしちゃいますけどね…！）
では、続きのご質問は、また次回見ていこうと思います。
