湿度はどうやって測るんだろう?

前回前々回の記事では温度計についてつらつらと語っていましたが、今回は湿度計についてちょろっと見てみようかと思います。


まぁ正直、湿度計なんてほっとんど見たことないレベルですし、そもそも知ったところで「で?」としか思えないどうでもいいデータにも思えるわけですが…

(とはいえ、冬場は「湿度 5%」とか、どう考えても小さいな…と思える数字が目に見えて分かると、「加湿しよう」と思えそうですし、完全なる役立たずではないと思えますけどね)

…馴染みのあるなしはともかく、賢い人類はどうやって湿度=目に見えない空気中の水蒸気の量を測っているのだろう、ってのが気になりました。

 

馴染みがないながらも、個人的にうっすら印象のあるものとして、多分理科便覧とかに載ってたからぼんやりイメージがあるように思えるのですが、「乾湿計」ってやつがパッと頭に浮かびましたね。

乾球と湿球だかを用いることで、左に温度、右に湿度を表示するような、二連の温度計が並んでるようなものだった気がしますけれども、検索してみたら、非常に分かりやすい解説が第一科学の公開されている記事に見つかりました。

 

www.daiichi-kagaku.co.jp

そう、まさに、「乾球温度計」と「湿球温度計」が横並びに並んでいるもので、上記記事の画像はちょっと小さすぎたので、モノタロウの人気ランキングNo.1のアイテムから画像だけお借りしますと…

 

https://www.monotaro.com/g/00103523/より

 

↑の画像をよく見たら分かる通り、実は、どちらも温度を測ってるだけで、直接湿度を測ってるわけではなかったんですね…!

 

温度しか見ていないこれが湿度計として使える仕組みとしては、まさに上記の解説記事で書かれているわけですけれども…

まず「乾球温度計」の方は普通の温度計で、こちらが単に現在の気温を示している一方、「湿球温度計」の方は、湿らせたガーゼが巻かれていて、もちろん湿らせたガーゼからは水分が蒸発していきますから、そこで蒸発熱が奪われる=温度が本来の気温よりその分だけ下がるという形になるわけです。


蒸発のしやすさ、つまり「液体の水の、気体になりやすさ」は、完全にその空間の湿度(=既に空間内に存在する気体の水の量)に依存しますから、「湿球温度計がどのぐらい冷えたか?」で、「ガーゼの水分がどのぐらい飛んだか?」すなわち「部屋の湿度がいくらか?」が導き出せると、そういう仕組みになってるんですねぇ~。

 

…って、理屈は分かるものの、正直、「ガーゼ…?湿らせる…??それってガーゼの巻き方とか湿らせ方とかで、めっちゃ誤差出るんちゃいますのん…?」なんて気がしちゃいますけど、その辺も上記記事でちゃんと言及がされていまして…

まぁ湿らせ方については、十分な水を容器に入れたら、毛細管現象で水が上がってきて常に一定の湿り方になるように設計されているようで問題ないようですけど、しかし蒸発レベルについては普通に、風の影響を受けたり、水やガーゼが汚れていたら値が大きく狂うという、やっぱりかなり誤差もありそうな、すっげぇ古典的な仕組みだったようです(笑)。

 

ですがまぁ、わざと汚したりして、あえてテスト的におかしな感じで測定しても誤差は5%程度のようで、大体の湿度を知るにはこういった古典的な装置でも十分だとはいえそうですね。

 

というかそもそも「蒸発熱なんて、そんなにハッキリ分かるものなの?コップに水を入れておいて、蒸発していっても、別に水は冷たくならんやん」という気もしますが(少なくとも僕は何となくそう思えてしまいます)、これは本当にバカにできないものですよ。

例えば消毒用アルコールを身体に塗ったらめちゃくちゃスッとしますし、全身ズブ濡れの服を着て真冬の木枯らしの中を歩いたら生命の危険に陥るぐらいヤバいレベルで身体が冷えそうだ…というのはどなたも容易にイメージできるのではないかと思いますが、どちらも完全に液体の蒸発熱が身体から熱を奪っていくからというのがその理由なんですね。


もちろんコップの水が微量蒸発していく際は、液体の水は比熱も大きいですしそうそう簡単には残った液体部分の温度は変わりませんけど、やはり自分の身体で実感するのが一番分かりやすいでしょうか…

例えば濡れたティッシュを腕にペタッとやったら、真夏でも「なんか涼しいぃ~」って思えると思うんですが、これは別に水自体が冷たいというより、普通にティッシュに含まれる程度の水だとすぐに体温まで温まりますけど、温まってからも体感結構ヒンヤリし続けることからも明らかな通り、これはまさしくティッシュが乾くまで蒸発熱として腕の熱が奪われ続けるからという話なわけです。

(まぁそんなバカげたことされた人もあまりいないかもしれませんから、謎な例だったかもしれませんし(笑)、普通にもっと身近な、さっきのアルコールの例だけで十分じゃん、って気もしますが(笑))

 

ちなみに、これも第一科学の解説記事にありましたが、当然湿度100%のときは(最近の記事で何度も見ていた通り、それ以上水分子が気体になる余裕がないため)水の蒸発は一切起こりませんから、湿度が100%のときに限り左右の乾球・湿球温度計の値は完全一致し、湿度が低くなるほど=水が蒸発しやすくなるほど、湿球側の温度が低くなるという仕組みという感じですね。

 

先ほどのモノタロウ画像にもあった通り(ちょっと低解像度で分かりにくかったですが)、乾湿計の真ん中には「湿度表」が掲載されていて、「乾球温度が○℃で湿球温度が○℃なら、大体湿度○%」という早見表が載っているようです。

 

とはいえ細かい値までは載っていないでしょうし(もっとも、こういう古典的な計器で、そこまで細かい厳密な数字はそもそも分からないとはいえそうですが)、より簡便に知るには、例によって我らがCASIOなんかが用意してくれている、乾球温度・湿球温度による湿度計算ツール(↓)なんかを使うと、一発ですね!

 

keisan.casio.jp

例えば乾球温度が34℃で湿球温度が27℃と入力してみたら、湿度は58.187%と出てきました。

真夏の蒸し暑い日なら、ちょうどそのぐらいの差になる、ってことですね。

 

とはいえ改めてこの乾湿計、「水を入れておくって、水腐りそうだし、何日に一回継ぎ足さなアカンのやろ…ガーゼも交換せんとアカンのかな?巻き方は結局どうするのがベストなん?色々面倒そうだぜ…」と思えますし、これは本当に、古典的な湿度計測器といえそうですね(直接湿度が分かるわけではない(=早見表や、計算する必要あり)という不便さもありますし)。

 

もっとマシな湿度計、他には何があるんだろう、と調べてみたら、「はかり商店」のブログ記事(↓)に、めちゃんこバッチリまとめられていました。

 

hakari-shouten.com

流石は「No. 1はかり専門サイト」を標榜するだけあって、温度計の方もバッチリまとめられていたので、正直色々な温度計に関する前回・前々回の記事を書いた意味はほぼなかったですね(笑)。

 

まぁ温度計はともかく、湿度計としてまず挙げられていたのが、「毛髪湿度計」!

 

https://hakari-shouten.com/html/wp/column/2145/#i-7より

 

人間の髪の毛は、湿り気が増えると伸び、湿り気が減ると縮む性質があり、この髪の毛の伸び縮みを使って、湿度を測るのが毛髪湿度計です。


髪の毛の伸び縮みは、てこで大きくされて、指針を動かします。


若い女性の髪を用いて作られ、フランス女性の髪(金髪)が良いとされています。

 

…面白い仕組みですねぇ~!!

なんと、人間の毛髪の伸び縮みで湿度を測定する(しかも「フランス女性のブロンドがいい」とか、好みがうるせぇな(笑))という、これはナイスな装置だといえましょう。

 

そう、髪の毛ってのはタンパク質(主にケラチン)で出来ており、「水分の量によって分子レベルの結合が変わる」ってのはよく知られた話で、こちらの美容サイト(↓)にもイメージ図が掲載されていましたが…

 

www.lebel.co.jp

 

https://www.lebel.co.jp/laboratory/column/100888/より

まさにここでも登場(以前、水を分子レベルで見ていた時に何度も出ていました)、水素結合によって髪の毛は分子レベルで微妙に構造が変わり、伸び縮みするという形になってるんですね。

(ちなみに、パーマというのはより強力な共有結合である、ジスルフィド結合の形成で行われ、これは湿度変化程度では影響を受けない、半永久的な構造変化ですね。)

 

まぁ僕は結構サラサラ髪の持ち主なので、「湿気のせいで髪が広がっちゃうよ~」という経験はないのですが、髪質によっては、かなり実世界で実感される方もいらっしゃる話ではないかと思います。

実物は見たことがありませんが、面白い仕組み……とは思えるものの、これも正直、髪の毛の個人差とか劣化とかで、あんまり正確ではないような…って気がするかもしれませんね。

 

もっと工業的なものは何かないのかと続きを見てみたら、結局前回に引き続きまた出て来ました「バイメタル式湿度計」と「デジタル湿度計」が先ほどの「はかりブログ」で紹介されていましたけど、これは結局、湿度によって性質が変わる感湿剤を用いているという話で、ぶっちゃけ「湿度を検知できる、そういう物質がある。それを使うだけで、あとは温度計と同じ」で終わりの話になりそうですね(笑)。

 

そんな感じで湿度計は、「ガーゼや毛髪を使ったものがある、面白い」という発見のみでしたが、1つ、途中気になった点に触れておしまいにしましょう。

 

これはこないだ不快指数(のアメリカ版、ヒート・インデックス)の話でも出ていましたが、湿度には絶対湿度相対湿度というものがあり、先ほどのはかりブログにもカシオの計算ツールにも登場していました。

(ちなみに気になった点として、先ほどのカシオのページではRelative humidity (RH) が「関係湿度」と訳されていましたが、流石にそれは誤訳とは言わないまでもあんまりいい訳じゃないですね(笑)。ここのrelativeは「絶対・相対」のことなので、「相対湿度」の方が普通に適切な表記といえましょう)。

 

これに関して、実はこないだも見ていた絶対相対湿度ネタの補足で触れておこうと思っていたものに、インフルエンザウイルス感染に関する話がありました。


地味に「はかりブログ」の記事でも触れられていた話だったんですけど、このウェザーニュースの記事(↓)もとても分かりやすかったので、こちらの表をお借りしようと思います。

weathernews.jp

相対湿度というのは分かりやすい、よく見る「湿度○%」のあれですが、それに比べて絶対湿度は目にすることの全くない指標といえるものの、実は、ウイルス感染には絶対湿度もかなり重要な因子になってるんですよ、ってお話ですね。

 

改めて、絶対湿度ってのは「その空間に実際に存在する水蒸気の量」で、相対湿度は「Maxその空間で含むことの出来る水蒸気量からの比」だったわけですが(相対湿度が低いと、「液体の水分子が気体になる余裕がある」ってことで、「乾燥している」って話になるわけですね)…

もちろんその「乾燥度合い」=相対湿度も極めて重要なのですが、気温が低いとMax水蒸気量そのものがかなり小さくなるため、仮に湿度が高くても、実際に存在する水蒸気の量はかなり小さくなるという話から、低い気温だと仮に見かけの湿度(相対湿度(%))が高くても、ウイルスに感染しやすい状態だといえるのでご注意を、って話なんですね!

 

こちらが各気温での絶対・相対湿度の対応表です(↓)。

 

https://weathernews.jp/s/topics/202002/280095/より

この通り、「気温10℃・湿度100%」ってのは、(見かけの湿度は超高いものの)実は実際に空間中に存在する水蒸気量でいうと「気温25℃・湿度40%」とほぼ同じレベルであり、「感染注意」だといえる…ということになるわけです。


要は改めて、「気温が低いほど、見かけの湿度が高くても、実際に含まれる水蒸気量はしょぼいので注意しましょう」という、まぁ直感的にも「そりゃそうでしょうね」って気もする点ですが、絶対湿度もやはり意味のあるものだったのです、って話でした。

(ちょうど、サウナは湿度が極めて低いけれど結構ムワッとする…というこないだのサウナ記事で書いていた話と同じことですけどね。)

 

では、湿度ネタはこの辺にして、次回は水圧の話に戻っていこうかな、と思います。

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