熱は振動する分子を介して伝わるけれど…

ここ最近脱線して見ている湿度シリーズ、前回は「超高温のサウナの中で人間が過ごせるのは、湿度が低いから」ということに触れていました。


湿度というのは結局、「空気中に含まれる気体の水分子の量」ですから(%の数字としては、「含有限界量からの比」ですが)、湿度が低い空間というのは「存在する分子の量が少ない」ということなので、突き詰めると、普通に「湿度が低いと、その温度でぶつかってくる分子の絶対数が少ないから、温度が高くてもいける」ってことに過ぎないという話でした。

 

(もちろん空気中には水分子以外にも窒素・酸素(その2つで99%)、あとは微量の貴ガスや二酸化炭素なども含まれるわけですけど、それらは基本的に一定の量であり、最も変動するのは水蒸気なので、湿度が極めて重要、って形ですね。)

 

ポイントとしては、何もないように見える空気中にも実は気体の分子が無数に漂っており(とはいえ液体より圧っっ倒的に少ないですが)、気温というか熱というのはあくまでもその空間にいる分子が生み出しているものであり、我々が熱を感じるのは、その空間あるいは触った物体からの分子アタックを受けているからに過ぎない、って点が挙げられるといえましょう。


なので、真空中は熱が伝わりません

まぁそもそも真空ってのが日常生活であんまり目にしないものなので、そう言われても何のこっちゃって話かもしれませんけど、「目に見えないもの含め、本当に何もない空間」のことですね。


「真空」という名が付くもので一番身近なものは恐らく「真空パック」的なもので、家庭でも布団圧縮袋みたいな、掃除機で空気を吸ってぺしゃんこにするものが挙げられるでしょうか。

掃除機程度で真空が作れるかはともかく、仮に完全に空気を除けるとしたら、真空中には分子が存在しないので、パックの中は熱が……と思ったものの、まぁ真空状態になっても、パックの中にはぺしゃんこになった布団やパック内に保存された食品といった物質が存在するので、普通にパックそのものからその物質へと熱は伝わりますから、これはあんまいい例えじゃなかったですね。

 

真空状態でも形を維持できる、頑丈な箱などを用意した場合、密閉した箱から空気をバキュームして真空状態を作ってやれば、箱の内部の空間には何もないので熱というものも存在しなくなる…ってことですね。


(とはいえもちろん、「真空中に熱は存在しないというなら、じゃあ真空の箱の中は絶対零度なの?水を入れておいたら、水はカチコチに凍る…ってコト?」と思われるかもしれませんがこれはそういうことではなく、まず水は、ここ最近見ていた蒸気圧というものがあり、真空状態=水分子を押さえつける圧力が一切周りにない状態だと、全て沸騰して気体になってしまうわけで、凍るどころか気体になって飛んでいってしまう感じになっています。

 「じゃあ沸騰することのない、水を入れていた容器なんかは冷えて凍るのかい?」というとこれもそうではなく、なぜなら真空状態を作る外側全体の箱そのものは外界と接しているわけで、その容器の外側の世界の熱が箱を形成する分子にも伝わり(箱と容器は接しているので、接しているもの同士の熱は当然伝わります)、箱の上に置いてある容器にも当然、外界の熱が順番に伝わってくるからですね。

 そもそも水が沸騰している時点で、その容器の内部には水蒸気が飛んでいることになるので真空にはなり得ないわけですけど、まぁ水を入れずに、単に何らかの物質を入れて、その箱の中から空気を掃除機みたいな吸引機で吸い出して真空状態を作っても同じ話で、結局は外界と真空空間を区切っている箱を介して熱が伝わりますから、真空空間でも「熱を持つ物質が存在」することは可能になっているわけです。)

 

「じゃあ何かの物質を、真空にした箱に触れさないように、上手いこと浮かせたらどうなるの…?」とも思えるかもしれませんが、地球上には重力があるのでそれは不可能な話で、それならばと、「重力をほとんど無視して浮かぶことのできる気体だったら?」とも思えますが、気体があったらその空間は真空ではないわけで、条件に反する感じですね。

「いや、風船みたいに、上手いことプカプカ漂えるものならどうよ…?」とも思えましたが、周りが真空だと、ちょうどこれもこないだ見ていた、山の上に持っていったポテチ袋がパンパンに膨らむのと同じように、外圧がゼロだと体積は無限大に増加する=風船は破裂してしまいますから、やっぱりそれも難しい気がしますね。

…たださらに考えを進めてみたら、まぁそんなものがあるかは分かりませんが、仮に破裂も膨張もせずプカプカ浮かぶことが可能なものがあったとしたら、その物質の温度は真空容器中でどうなるかといえば……っていうかずっと「真空中には熱がない」=「絶対零度となり凍る」という前提というか流れの話を進めてしまいましたが、そもそも真空中では「熱が伝わらない」ってだけなので、普通に最初にその容器に入れて浮かべた状態の温度が、他の何者にも伝わらずにその物質に存在し続けることになるだけといえるので、「温度が変わらないまま存在するでしょう」ってのが答になりそうですね。


あくまで、「真空の空間(=何もない空間)に熱は存在しない」であり、何か物質があればそれは分子のカタマリですから、そいつらは普通に各構成分子が振動して熱を持っているものであることは当然だといえましょう。

 

…って、何か一人で疑問を投げかけて一人で勝手に無理だと言ったり前提が変だと言ったりという、謎の自問自答になっている感じですが(笑)、じゃあ重力のせいで物質同士の接触とか考える必要があってややこしいなら、そもそも重力がない所ならどうよ、ってんで、話を宇宙空間にもっていけばこれは単純明快で、まさにどなたもご存知のことでしょう、宇宙空間は真空であり、ほぼ絶対零度の空間になっているんですね!


「外部の熱が容器を介して…」って話は、宇宙空間では考える必要がないですから、全てが真空の宇宙空間は、やはり熱というものが存在しない、無の空間といえる形になっているわけです。

 

しかしそうすると、非常に大きな疑問が生じることになると思うんですけれども、「真空中は熱が伝わらないというのなら、じゃあ太陽の熱が地球に伝わるのは何でなん?」というのは大変ナイスな疑問点といえましょう。


これはズバリ、ベネッセの子供用まなびQ&Aサイト(↓)に分かりやすくまとめられていましたが……

 

hiroba.benesse.ne.jp

熱は伝導・対流・放射で伝わるもので、分子同士の接触で伝わるものが前二者である一方(「伝導」が主に固体、「対流」が主に液体と気体を介してのものだと思いますが、究極的にはどちらも分子の接触なので、個人的にはあまり意味のある違いに思えない気もしますね)…

実は、それ自身は具体的な物質ではない、いわゆる電磁波というものは真空中でも意に介さず飛び続けることができるものでして、太陽からの熱は電磁波に乗って(まぁその書き方もアレかもですが、電磁波そのものがエネルギーを持っている…とでも言いますか…何て言えばいいんでしょうね……電磁波ってのが何とも定義しがたい難しいものだ、ってのは、ちょうどこないだの↓の記事あたりから始まる一連の電磁波シリーズで見ていた通りですね)…

 

con-cats.hatenablog.com

…と話が脱線しましたが、例の考え出したら理解できなくて苦しむことになる「電磁波」というものであれば、何もない真空中すら通って伝播可能なので、太陽エネルギーはその「放射」という形で無事地球にまで降り注ぎ、地球のあらゆる分子の熱運動を作り出してくれている…ってことなのでした。

 

…うーん、今回も、本来予定していた脱線ネタではなく、ふと書いてしまった「真空中では熱は伝わらない」という話から、何とも浅いというか中途半端な内容に広がっただけで時間切れになってしまいました…。

(そもそも「真空中では熱は伝わらない」というのも、「いや電磁波は伝わるなら、熱も伝わるって言っていいのでは?」とも思えますけど、まぁ電磁波はあくまでそれ自身はエネルギーであり、狭義の「熱」ではない気もしますし(まぁこれも定義による気がするものの、「熱」というのはあくまで分子運動から発生するエネルギーでしかないと思うので)……って最後まで「まぁこれは…まぁ…」みたいなぼんやりした物言いが続いて恐縮ですが、基本的には「熱は真空中では伝わらない」と考えて問題ない気がします。

…ま、「放射熱は真空中でも伝わる」と書かれることも多いので、やっぱり微妙極まりない話な気もしますけど、「微妙なネタだな」と気付いたときには、もう戻る時間が残ってませんでした(笑)。

 実際、当初熱の伝達に「分子接触」しか考えていなかったのは間違いないので、「放射」を失念していました誠にごめんなさい……という謝罪記事とさせていただきたい次第にございます(笑)。)


次回はもうちょい分かりやすく意味のある話をしていけるよう頑張ります。

 

アイキャッチ用の画像も全く考える時間がなかったので、「忘れててごめんな」というお詫びに、放射を産み出すやつらに貼られる「放射能マーク」を貼っておしまいとさせていただきましょう。

https://ja.wikipedia.org/wiki/放射能より

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