夏はなぜ洗濯物がすぐ乾くし、冬は乾きにくいのか…?

前回は湿度について、これは結局、

「その温度の空間に、気体でいられる水分子の量は決まっている。その『限界量』(=飽和水蒸気量と呼びます)と比べて、何パーセントの水が気体として漂っているか」

…を表した数字が、そのまんま湿度だということだという話なんかをしていました。

 

したがって、湿度100%の場合、もちろんよくしがちな誤解である「水中」を意味しているわけでは決してないものの、その空間にはもう水が蒸発するゆとりが一切存在しないため、例えば洗濯物を干しても決して乾くことがなく、永久に湿ったままとなります(実際完全に湿度100%を保ち続けるのも難しいので、ちょっと落ちた隙を付いてその分水が飛ぶ可能性はあるものの、厳密に湿度100%を維持するならば、洗濯物は永久に乾きません)。

水をタップリ含んだ物質というのは雑菌類が増える恰好の温床となりますから、洗ったのにどんどん雑菌が棲み付いてクサくなっていってしまう…という、生乾き臭の漂う終わってる衣類になってしまうわけですね。


(まぁ湿度100%の日というのは基本的に雨なので、そんなときに洗濯物を干すことはないといえるものの、例えば部屋干しとかででもそうだといえましょう。

…もっとも、夏の湿度100%なんて不快極まりないので、部屋は部屋で、冷房・除湿を行うことがほとんどでしょうから、部屋の中の湿度100%もそれはそれであんまりないかもしれないものの、特に冷房をかけず、外気とほとんど同じ湿度になってる梅雨時の部屋とかは、一向に乾かずヤベェニオイになりがちという感じですね。)

 

ただもちろん、真夏の快晴状態であれば、結構湿度が高いジメジメ日でも流石に洗濯物は一瞬でカラッと乾くわけですけど、これはいわば、前回見ていた「冬のくちびる」と似たような状況といえまして、空気よりも布の方が熱を保持する効率が圧倒的に良いため、外で干してる衣類は日光の熱を受けて、室温よりもずっと高い温度になっている…というのは経験からも明らかといえるように思います。


そうすると、例の蒸気圧曲線から明らかな通り、温度が上がれば水の蒸気圧は上昇の一途を辿りますから、洗濯物に含まれる液体の水分子は「これはアチぃ!こんだけアツけりゃオレらは液体のままではいられねぇ、気体となって飛び出していくぜ!!」と、仮に外気全体の湿度が100%に近い蒸し蒸しの日であったとしても、洗濯物の温度は局所的に「液体がもっとたくさん気体になれる状況」が生み出されているといえるため、水が気体となって飛んでいくことは十分可能といえるんですね。


もちろん本当に湿度が完全に100%な空間だったら、蒸発した瞬間また液体に戻されてしまうともいえるものの、日光の力で衣類が温かくなっているような状況では、まぁ気温も上がってくはずですし湿度100%維持はまずないんちゃいます?…と思えますから…

(少なくとも、水が気体となって飛び立つ衣類表面の温度は、全体の外気温より高温なため、外気全体が保有可能な水蒸気量と比較して、まだ飛べる余裕があるはずですね)

…夏の晴れた日というのはやっぱり、洗濯物を乾かすのに絶好の条件だといえましょう。


(当然、開放された外ならともかく、もしも密室に近い部屋とかだったら、洗濯物から水が飛んだらそのぶん湿度が上がる=より蒸し蒸しが悪化して不快極まりない状況になる、って感じですね。

 もしも体温の方が低い部屋だったら(もう生命の危機があるのでそんな部屋にいるのはオススメできませんけど(笑))、気体になって飛んだ水分子は、まさに身体で冷やされて液体に戻るという、「身体にまとわりつくレベルのジメジメとした不快さ」がある感じといえそうです。)

 

逆に、冬場は乾燥していても洗濯物が乾きにくいというのは、これは純粋に、気温が低いと飽和水蒸気圧(水蒸気量)が圧倒的に低く、水が飛んでいく力(=蒸気圧)が極めて小さいからなんですね。


改めて、冬場にくちびるや皮膚が乾燥するのは、我々の身体は冬の外気と比べてかなりあったか~い温度であり、その温度だと蒸気圧は結構高い&周りの水蒸気量はすこぶる少なくて湿度も低いというダブルパンチで、身体の表面からガンガン水が飛んでいってしまうため…という話でした。

 

なので、実は洗濯物の温度を上げてさえやれば、冬場の濡れた洗濯物は、夏よりも圧倒的に早く乾くことになるわけですけど(→外気の水分量=湿度が低いため。当然、その空間が飽和水蒸気量に近ければ近いほど「気体へのなりやすさ」は落ちていくわけですね、あくまで水分子というのは「液体⇔気体」が行ったり来たりでバランスを取っている形なので)、まぁただでさえ寒い冬に、洗濯物ごときのために貴重な熱を庭やベランダなんぞに回してたまるかよ…って感じなので、洗濯物さんには申し訳ないけれど冬の凍える庭先に放置して、少しずつじんわり水分が飛んでいくことを期待する人が多い、って感じだといえましょう。

 

まぁ今時は乾燥機を使う人も多いと思うので、冬場は乾燥機で即乾ということも多いかもしれないのものの、乾燥機が高熱で衣類を乾かすという仕組みになってるのも、全く同じ理由=水蒸気圧を上げて、水を液体から気体に変えて飛ばすため、ってのがその理由となるわけです。

(…ってまぁ、「温度高い方が水はすぐ乾く」なんて、あえて仕組みを語らなくても小学生でも直感で知ってる話ですけどね(笑)……改めて、それはなぜかと言ったら、蒸気圧曲線にその秘密が隠れていた、という話でした。)

 

ちなみに僕は、東京で一人暮らしをしていた頃は洗濯物をベランダに干しており、乾燥機なんて使ったこともなかったし絶対要らねぇと思ってましたけど、実は、こちらへ来てからは完全に乾燥機の軍門に下ってしまいました。

 

というのも……ってこれ、以前書いたことがあると思ってたので「今回はもう使えないな、ネタ水増しが出来なくて残念…」と思っていたのに、「洗濯物」「干す」とかで検索しても何も出て来ませんでしたから、何気にブログで書いたことはなかったみたいですね…!


そんなわけで鉄板ネタに触れてみますと、実はアメリカって、(まぁ、アメリカは州が1つの国みたいなものなので、州によるとは思えますが、恐らくほとんどの場所で…)絶対に洗濯物や布団を外に干すことをしないんですよね。


多分、景観のアレか何かで、洗濯物や布団を干すのは違法…とどこかで聞いたこともあるぐらい、少なくとも人目につく場所で洗濯物が干されているのを見たことは、マジでただの一度もありません。

もう何というか文化的にそうなっているので、基本的には全家庭に洗濯機や冷蔵庫と同じレベルで乾燥機が備え付けられており、恐らくどんなに広い庭を持っていても、洗ったらそのまんま乾燥機に放り込む(あるいは洗濯乾燥一体型かもしれませんが)ことで即乾燥までさせちゃいますから、「洗濯物を干す」という概念がヤツらには存在しないんですねぇ~。

 

そんなわけで、「乾燥機反対派・お日様の下で干すべきだろ派」の僕も、こちらへ来て泣く泣く乾燥機なんぞを使う羽目になったわけですけど、使ってみるとこれ、やっぱ便利なんすよね(笑)。

 

梅雨時は油断したら(特にタオルとか乾き辛いものが)例の生乾き臭を放ってしまうことも一人暮らしの頃はあったものの(幸いシャツとかは気をつけていたので、公害に近い衣服生乾きマンではなかった…と思いたいですが(笑))、これは当然、(先ほども書いていた通り)中々水が飛ばず、微生物は水さえあればガンガン繁殖していく(まぁ実際はあらゆる生物は水以外に栄養も必要ですけど、洗濯物に残留した皮脂や、洗剤だって普通に有機物ですから、微量の残存洗剤成分なんかでも微生物カスには十分なんですね。まさに、ヤツらは「実質、水分さえあればバチクソ増えていく」と考えて問題ないでしょう)…というのがその理由ですから、雑菌が増える前にさっさと高温で乾燥させてしまえば、100%絶対に悪臭は発生しません。

(むしろ、乾燥はかなり高温で行われるので、洗浄後のさらなる除菌効果さえ期待できる感じですね。)

 

面倒くさがりなのか合理的なのか分かりませんが(多分両方(笑))、アメ公さんたちにとっては「洗濯物を干す」という行為が時間の無駄にしか思えないのでしょう、乾燥機大国アメリカという感じで、実際まぁ、ガス代電気代に目を瞑れば、乾燥機は極めて合理的かな、とは思えますね。

 

…僕はすっかり「洗ったもんはお日様の下に干す」という日本人の魂を失ってしまいました、罵ってください(笑)。


でも、使う前は懸念していた衣類へのダメージとかも、正直全然ないですし…

(まぁ、あるっちゃあるんでしょうが(フィルターに糸くずは溜まるので)、「靴下を履いていて、擦れてその内穴が空く」みたいな、着用することでのダメージの方が普通に全然大きいと思えますね。

 もちろん、材質によっては縮むこともありますけど、僕はそんな凝った材質のもんを着ることがないのでセーフ、って感じです(笑)。

 一応、乾燥機にはそういうセンシティブな衣類用のコースもあるので、ダメージを抑えたい人はそういうのを使っている感じではないかと思います)

…特に科学技術の発展で今時のものはホントに電気代とかもそこまでかからない優れものが多いでしょうから、洗濯機の買い替えとかを検討されている方は、使ったことがなくても、この際乾燥機デビューされるのはオススメかもしれません。

 

…って、いきなり乾燥機の宣伝とか「何の回やったんやコレ…?」って感じですが(笑)、まぁ洗濯物の乾きなんかも当然蒸気圧曲線が関係したものだったのです、という、湿度つながりの脱線ネタでした。

 

あと、前回書きそびれた結露の話とかも書こうと思ってましたが(まぁこれはむしろ雨より分かりやすい例なので、今さら感もありますけど)、ちょっとまた時間がない状況が続いているので(最近ずーっとそればっか言ってますが(笑))、次回も1つ、湿度に関連して思いついた脱線ネタに逸れてみようかなと思っています。

 

アイキャッチ画像は、それっぽい洗濯物・物干しのいらすとをお借りさせていただきましょう。

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