100℃でピッタリ一致!

元々は英語スラングのBasicという単語から脱線していた「水の状態」的なシリーズ(basic=塩基性という意味もあるため)、ここ最近は僕自身全く詳しいわけでもない圧力に関する話を見ており、前回は高気圧の楽園・死海と比較すべく、東京の気圧データなんかに触れていました。

 

ネタはいくらあっても助かりますから、今回はそのデータ表にあった「湿度」についてちょっと脱線してみようかと思います。

 

まぁ湿度は、特に数字を意識するまではないものの、日常生活でも特に夏の今の時期ですと「蒸し蒸しする」、逆に冬なら「乾燥する」という感じでかなり暮らしに密着した概念ではあると思えますが、これも意外と何なのか正しく理解されていないパターンが多いように思えるため、今回簡単におさらいしていくといたしましょう。

 

よくある勘違いとして、例えば真夏に時々「本日は湿度が100%です」なんて聞くこともある気がしますけど、これ、「いや湿度100%って、それ水中じゃん(笑)」などと思えてしまうものの(少なくとも僕は小さい頃そう思えて不思議でした)、これは(当たり前ですが)そういうわけではないんですね。

 

あまり数字を意識されない方は、「いや湿度100%なんてあり得るの?」と思われるかもしれませんけれども、前回も見ていた気象庁データ、東京の今月の記録では月頭の93%が最大でしたが、「過去のデータ見てけば、まぁあるっしょ」と思ったら、まさにワンクリック、「前年」を押して出てきた2022年7月の16日に早速ありましたね、その日の平均湿度100%の日が…!

 

気象庁昨年の東京の7月気象データより

右から3つ目が湿度ですけど、堂々「100」がいますね。

(一応、日没後21時前には、この日の最小値「98」を記録していたようですけど、日中ずっと湿度100%だったのは間違いないでしょう。不快ッ!!)

 

まぁ流石に湿度100%ともなると、一応ほぼ確で雨が降っている日であることがほとんどなため、この日も小雨がぱらつく日……かつその前の4日間はずっとかなりの大雨が降っていた日だったようですけど、改めて、湿度100%=街中すべてが水の中に沈没した、ってわけでは当たり前ですが全くないんですね(笑)。

 

湿度というのは結局なんなのかというと、「その空間が保有できる水蒸気(気体となった水)の最大量の内、何%の水蒸気が含まれるか」であり、実は液体の水はあまり関係なく、あくまで「空気中に含まれる気体の水の量」を考えている話にすぎないんですね。

 

まぁこれまた「目に見えない気体バージョンの水」を考えている話なので、結構分かり辛い話になってしまうわけですけれども、ちょうどここ最近の記事で状態変化や圧力の話もしていたので、順にざっと仕組みを解説してみましょう。

 

この世界の常温だと、水は液体であることが普通なわけですが、実はミクロのレベルだと、水分子というのは常に、気体となって水中から飛び出すものもいれば、逆に空気中を漂っているものがまた水中に飛び込んできて液体の仲間入りすることもあるという、いわば平衡状態になっています。

 

とはいえ、湿度が100%でもない限り、必ず気体となって飛び出ていく方が多くなるので、コップの水を部屋に放置したら蒸発して少しずつ液量が減っていきますし、何かを洗って拭いた後、ホンの少し残った水滴なんかは気付いたら乾いていなくなるんですね。

 

もちろん、これは水がこの世から消えてなくなったわけではなく、液体が気体に姿を変えて空気中に飛び立っていっただけであり、部屋のどこか、あるいはもう家の外に旅立っていってしまったかもしれないものの、この世の中にはその水分子は目に見えない気体の形で漂っていることになるわけですけどそれはともかく…

 

基本的に水分子というのは、何もしがらみがなければ一番自由に振る舞える形である気体となって我が物顔で世界を飛び回りたいわけですけど(例によって、エントロピー的に、そちらの方が分子にとって自然な状態なので)、ではなぜ液体になっているかというと、これはやっぱり、

大気圧が水分子を押さえつけて、(以前チラッと書いていた水素結合やらの分子間力が働いて、水分子同士がある程度お互い同士を引っ張り合うことで、固体ほどカッチリ固定されてはおらず、ある程度自由な移動・変形はできるけれど気体ほど完全に無秩序に空間を飛び回るまではいかない)液体という形で落ち着いている

…ということになっているといえるわけです。

 

ただ、大気圧の押さえつける力も完璧ではないので、液体表面付近にいる水分子(液体)の中には、大気圧の押さえつけ&仲間の水分子からの引っ張り合いという魔の手を逃れ、「あばよっ」と空気中に気体分子として独立飛翔していくヤツもいるのです、という話になっています。

(逆に、気体として飛び回っていたのに、ついついめちゃくちゃに飛び回りすぎてまた液体の方に突っ込み、仲間の液体水分子に引っ張り込まれて液体に戻るヤツもいる…ってのは先ほど最初に書いていた通りですね。)

 

…ってまぁその辺はあんまり重要ではないものの一応湿度というか「飽和水蒸気圧」なんかを知る上で抑えておく必要のある話なので触れた形でしたが、改めて、水というのはどんな気温でも必ず気体になるヤツもいれば液体に戻るヤツもいるという、平衡状態を取っているというのがポイントになります。

 

そして、「気体になるのと液体になるの、どちらの方が多いか」というそのバランスこそが、湿度というものを決定付ける…というかそれが湿度そのものだということになるんですね。

 

そう聞くと、「え?液体の水が気体になるのは、100℃なんじゃなかったっけ?」と思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、100℃というのはもちろん水が沸騰する温度ですけど、蒸発とは少し違う話になってくる……というか、ある意味沸騰というのは「強制蒸発」ともいえる感じかもしれませんね。

要は、沸騰というのは「押さえつける大気圧の力と、水が気体として飛び出していく力(勢い)とが完全に一致した」という状況で、いわば「全ての液体水分子が、液体ではいられなくなり、全員が気体として飛び立っていく状態」のことといえるわけです。

 

そう、「水の気体になりやすさ」を決めるのはまさに温度と圧力で、温度が高いほど運動が活発になる=仲間の引っ張る力を振り切って気体になるやつが多くなるといえますから、それを押さえつけるのに必要な圧力は大きくなるといえる……言い換えれば、周りの圧力が、その「水の気体分子になって飛び立つ力」を抑えきれなくなると、水の液体⇔気体バランスは、完全に気体側への一方通行となる、ってことなんですね。

 

うーん、文字だけの説明だとちょっと分かりにくい気もするので、図も交えた方が分かりやすいかもしれません。

その「温度と圧力」の関係を表したのが「蒸気圧曲線」といわれるグラフで、恒例のWikipedia先生の蒸気圧曲線の図は単位がTorr(トル)という分かりにくいものだったため、もうちょい分かりやすい「Paパスカル)」表記の図を、水のポンプなどを製造されているスペック社の解説記事からお借りしましょう。

 

https://speckjapan.com/houwaより

 

そう、まさにこの通り、横軸の温度が上がれば上がるほど、気体になる水分子が多くなる→気体分子というのはビュンビュン飛び回ることで「圧力」を生み出しますから、水分子(気体)の作る気圧=蒸気圧ってのはガンガン大きくなるのです。


先ほど「大気圧と、水が気体になる勢いがつりあったら…」みたいなことを書いていましたが、大気圧が蒸気圧に負ける(一致する)と、水分子は最早液体でいられず、全てが気体になるといえるんですね。

 

…ってうーん、これだと正直ちょっと話の流れがあんま良くないというか、「沸騰」という現象のための説明であって、今回見ていく予定の湿度の話とはあんまり関係ない側面が強い気もするので、仕切り直してちょっと違う角度から説明してみますと…

  • 水分子は、常に気体になったり液体に戻ったりしている。

  • 温度が高いほど水分子は活発に飛び回るため、より沢山の水分子が気体になれる。

  • しかし、その空間で気体になれる水分子の数には限界がある。その限界量は、空間の温度によって完全に決まっている。

  • その限界時に水分子(気体)が作る圧力のことを「飽和蒸気圧」といい、飽和蒸気圧を作るほど気体になっている水分子が多い状況では、水分子はそれ以上気体になれない(液体に戻る)。

 

…って方が、湿度の話に持っていく上ではより分かりやすい説明になっている感じですかね。

 

つまり、あらゆる気体分子はその飛び回っている空間内で圧力を形成するわけですけど、水分子は気体と液体を行ったり来たりする(=極めて液体になりやすい)という性質上、ある程度気体になりすぎると、「お前調子に乗りすぎ」と、周りの空気分子が作る「気圧」の力もあって、強制的に液体に戻されてしまう、ってわけなのです。


その時の「気体水分子」が空間内で形成する圧力を「飽和蒸気圧」と呼んでおり、これがまさに、その温度の空間が抱えることのできる気体水分子の最大量が存在している=湿度100%の状況だといえることになるんですね。

 

…と、これを踏まえて、湿度に関するより具体的な話に入ろうと思っていたのですが、またしてもちょっと完全に時間切れ………

 

なので、苦し紛れに「沸騰」の方の話だけしておくと…

大気圧=1013 hPa(倍数単位を「100万倍」の「M(メガ)」に直すと、「h(ヘクト)」は「100倍」なので、10万1300 Pa=グラフにある「約0.1 MPa」になる感じですね)と水の飽和蒸気圧が完全一致する…すなわち、「大気の押さえつける力」と「水の『これだけの圧力になるまで気体になりますよ~』という力」とが完全に一緒になる温度が、まさに100℃だったんですね!

 

したがって、水は100℃になったら液体ではいられず気体になっていくという話で、「大気圧と飽和蒸気圧が一致するのが、ちょうど水の沸点100℃なんだ、キリがいいね」と思えるかもしれないものの、これは完全に因果関係が逆で、実は「両者が一致する温度を、水の沸点=100℃と定めた」と昔の偉い人がそう定めただけなのでした。


「ちょうど0℃で水が凍るって、都合よく出来てるね」ってのと全く同じで、「いや、人間がそうなるように『温度』の数字を決めたんす」という、よくある勘違いの一種・因果の誤謬ってやつですね(笑)。

 

…と、流石にもうちょい深入りしたかったものの、今回は本当に完全に時間切れ・タイムアップとなってしまったので、中途半端ですがこの辺で……

(初稿アップ後、一部説明がめちゃくちゃだった部分を修正しておきましたが、何か本当にごちゃついた流れになってしまいましたし、また次回、改めて蒸気圧も含めて湿度に関する話を見ていこうと思います。)

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