地球全体に、空気はどのぐらいの重さあるのかな?

前回は、「山に登るとポテチの袋がプクーっとなるよ、面白いね」などとキャッキャしていましたが、これは物理学的には分かりやすい話で、ポテチ袋のような逃げ場のない場所に閉じ込められた気体分子は、袋の中で一定の圧力を生み出す形になっており、高地へ移動して周りの押す力(=大気圧)が小さくなったら、その分圧力=中から袋を押す力が相対的に大きくなって、袋は膨張する、って話ですね。


ちなみに、前回もそう書いていた「圧力が大きくなって」はもしかしたらやや語弊のある表記だったかもしれないんですけど、これは高校化学や物理でも習った気がする「気体の状態方程式」あたりで出てくる「ボイルの法則」なんかが主張する話で、一定の分子数の気体には、

  • 体積と圧力を掛け合わせると、必ず一定

という特徴があることが知られています。

 

これはまぁ直感的・経験的にも明らかな話で、空気の詰まった袋を、手を使って強引に押し込んで小さくしてやったらかなり大きな空気の抵抗を感じると思うんですけど、これがズバリ、「圧力が大きくなった」ことに他ならないので、「体積を小さくした分、圧力がアップ」=「体積と圧力を掛け算したら、同じ値になる」ってことなんですね。

 

したがって、高地にポテチを持っていき、袋が膨張して体積がアップしたら、その体積アップ分圧力は低下するので、ある意味「外圧に応じて、圧力は弱くなった(その結果、体積が大きくなった)」と考えた方が適切だったかもしれません。


…でもまぁそんなこと考えてもややこしいですし、袋という体積に自由度がない物体がツッパッて、袋に加わる力は確実に大きくなってますから、「相対的に内圧が大きくなった」と考えても問題ない気はしますね。

 

(なお、「空気は重さで圧力を生み出してるんじゃなかったの?ポテチ袋に入っている程度のガスが、そんなに重いってことなんかえ?」と思われるかもしれませんが、これは最初にシレッと但し書きで書いていた、「逃げ場のない場所に閉じ込めた気体分子」ってのが重要といえる感じだといえましょう。

 大気圧は地球全体という、超大規模な系を考えているものなので、それだけ大量の空気があることから重さだけでかなりの圧を生み出している一方、ポテチ袋の場合は、体積が極めて小さいですから、気体の運動だけで、つまり少ない数の分子=全然重さ自体はほとんどないレベルの量の気体だけで、結構な圧力を生み出せるんですね。

 改めて、「体積が小さいと、その分圧力が大きくなる」というのが気体の性質になっています。)

 

またその点に関連して、「気圧は空気の重さっていうけどさ、どっからどこまでの重さをいってるのさ?例えば手の平の上には、上空にある150 kgの重さの空気の厚力がかかる…ってことだったけど、自分より上にある、この世界の上空全ての重さなん?それとも、手の平から真っ直ぐ、手の平サイズの領域の上空のみなんかえ?」なんて疑問が、少なくとも僕は昔めちゃくちゃ思い浮かんだポイントでした。

 

この辺は結局、気体というのは目に見えない上に分子の自由度が高すぎるからかなりややこしい話になってしまっているように思えるのですが(まさに天気予報の気圧配置図のように、場所によっても、また時間によっても変わりますからね)……


一応理論的には、「手の平サイズの領域を、真っ直ぐ宇宙に向かって伸ばした柱の中に含まれる気体の重さが150 kg」となっているんだと思います。


これは計算とデータを参考にすれば明らかで、1気圧というのは1 m2あたりに1.0332×104 kgの質量がかかる(なので、手の平サイズなら150 kgだって話でしたね)という形でしたから、これに地球の表面積5.1×1014  m2をかけてやればよく……

小数点以下の数字を丸めて計算すると、地球全体には約5×1018 kg(500京キログラム)の大気が存在することになりますが、これは以下のページの記述、「地球の大気の重さは?」→「5.5 quadrillion tons(5500兆トン)」にほぼ一致していますね(言うまでもなく、500京キログラムは、5000兆トンです)。

 

www.britannica.com

…まぁ、このデータは多分気圧と表面積から算出されたもので、そりゃ一致するでしょ、って話かもしれないものの、その計算で出るのが「地球全体の空気の重さ」である以上、「ある場所にかかる気圧は、その場所から垂直方向に伸びた空気の柱に含まれる空気の重さによるもの」と考えて良さそうって話だといえましょう。

(ややこしすぎるかもしれませんが(笑)、冷静に考えたらそう言えるのも納得できると思います。)

 

ただ、これに関して、「あれ、でも地球は球体だから、ある領域を垂直に伸ばしてったら、上空で隙間が生まれないか…?」と思えたんですけど、ちょうどそれに関して完璧な説明をしてくれている記事を見かけました。

 

以下の、山賀進さんという元中学高校で教師をやられていた方による、科学的な話の解説記事が色々掲載されているサイトですが…

 

www.s-yamaga.jp


…気圧について、バリ分かりやすく解説されすぎててワロタ(笑)。

 

ここ最近の何回かの記事で書いてきたこと(=空気には重さがある、天気予報の数字は海抜0メートルの値に補正されている、10メートル上昇すると気圧はどれだけ下がるか、などなど)が全て書かれていましたし、その説明も非常に分かりやすい…!

 

この記事貼るだけで十分で、今までつらつら書いていた駄文は一切不要だったんじゃない?…と言える気もしてきましたが(笑)、いずれにせよ、地球の半径と上空までの大気圏の距離とを考えたら、生まれる「隙間」は微々たるものなのでほとんど影響はないといえる、って感じなんですね。

上記山賀さんのサイト、「4.大気の総量」より

(まぁこの図は何の説明にもなってませんが、アイキャッチ画像が他にないこともあり、こういったポイントポイントで気になる部分を、図付きの文章で分かりやすい解説を加えてくださっている本当に良まとめ解説記事に思います……という紹介を兼ねて、参考までにお借りさせていただきました。)


引用記事、このすぐ下には、「水を吸い上げる実験=水柱を立てる実験」で、実際は10メートルに行くことがない理由なんかもまとめられており、まだ触れていなかった水銀柱の話は冒頭から、さらに後半ではパスカルの原理まで触れられているという充実っぷりですが、これらを踏まえて、目に見えるし気体ほどは自由な動きがないためもうちょい分かりやすい気がする水圧の方に話を広げていこうかな……と思っていたのですが、またしてもちょっと時間切れとなってしまいました。


水圧は、気圧より挙動としては分かりやすいとはいえ、「ん~、マジで?!」と思える話の宝庫なので、もう一回ぐらい、グダグダとこの不思議な圧力関連の話を続けていこうと思います。

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