快楽物質にも詳しくなろう

それでは今回も、前々回の愛情ホルモン「オキシトシン」、前回の幸福ホルモン「セロトニン」に続き、快楽物質「ドーパミン」(どれもホルモンとしての作用も神経伝達物質としての作用もあるはずですが、ちょうど順番にホルモンとしての機能が強いオキシトシン→両方とも強いセロトニン→圧倒的に神経伝達物質としての性質が強いドーパミン…という形になってる気がしますね)について、世界を代表する医療機関・我らがクリーブランド・クリニックの解説まとめ記事を勝手に翻訳紹介させていただくといたしましょう。

 

個人的にはやっぱり「人生はドーパミンが分泌されてこそでしょ」なんて思えるものの、あんまりそう主張するとヤベェ奴になりそうなのでまぁそれは言いすぎかもしれませんが…って所にしておきたいですけど(笑)、噂の興奮・快楽物質の紹介記事を早速見ていこうと思います。

 

改めて、原文はこちら、Cleveland Clinicの記事ですね(↓)。

 

my.clevelandclinic.org

 

 

Dopamine(ドーパミン

ドーパミンは、脳内で作られる神経伝達物質です。「報酬系」としての役割を果たす他、記憶、活動、意欲、気分、注意などなど、多くの身体的機能に関与しています。ドーパミンレベルが高すぎたり低すぎたりすると、パーキンソン病、レストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)、注意欠陥多動性障害ADHD)といった各種疾患につながることが知られています。

ドーパミンとは何か?

ドーパミンは、モノアミン神経伝達物質の一種です。脳内で作られ、化学的な情報伝達物質として働き、脳内の神経細胞や脳と身体の他の部分との間でメッセージを伝達しています。

ドーパミンはホルモンとしても働きます。ドーパミンエピネフリン、ノルエピネフリンは、主要なカテコールアミン(分子構造の一部が同じであることに基づくグループ)となっています。これらのホルモンは、各腎臓の上にある小さな帽子型をした分泌腺である、副腎で作られます。また、ドーパミンは、脳の視床下部から分泌される神経ホルモンでもあります。

 

ドーパミンの体内での役割は何?

ドーパミンは多くの身体機能に関与しています。

神経伝達物質として、ドーパミンは以下のようなことに関与しています:

  • 運動
  • 記憶
  • 快楽的報酬と動機づけ
  • 行動と認知
  • 注意
  • 睡眠と覚醒
  • 気分・情緒
  • 学習
  • 授乳

ホルモンとしては、ドーパミンは血流に放出されます。ドーパミンは「闘争か逃走か」反応に少なからず関与しています。闘争・逃走反応とは、危険から逃れる必要がある場合のような、知覚的または現実のストレスがある状況に対する、身体の反応のことを指しています。

ドーパミンはまた、以下のような性質もあります:

  • 血管の弛緩(低用量では、血管拡張作用)または、収縮(高用量では、血管収縮作用)を引き起こす。
  • ナトリウム(塩)と尿の体外排出を増加させる。
  • 膵臓でのインスリン産生を減少させる。
  • 消化器官 (GI)(腸)の内容物の動きを遅くし、GIの内壁を保護する。
  • 免疫系におけるリンパ球の活性を低下させる。

 

ドーパミンが人間に幸福感をもたらす仕組みは?

ドーパミンは「快感」ホルモンとして知られています。人間に快楽の感情を与えてくれるのです。また、快楽を感じる際に、何かをしようというモチベーションも人間にもたらしてくれます。

ドーパミン報酬系の一部です。このシステムは、進化的な見地から言えば、生きるために必要なこと―つまり食べたり飲んだり、生存競争や繁殖競争をしているときに報酬が得られるように設計されています。人間として、私たちの脳は報酬系ドーパミンを放出する行動を求めるよう、遺伝子的に組み込まれているのです。何か楽しいことをしているとき、脳は大量のドーパミンを放出します。気持ちよくなり、人はその気分をもっと味わおうとするわけですね。

このような理由で、ジャンクフードや砂糖は大変中毒性があるのです。大量のドーパミンが脳内に放出されることで、自分が世界の頂点にいるような感覚を覚え、その体験を繰り返したくなってしまうわけです。

 

ドーパミンの量が適切であれば、どんな気持ちになる?

ドーパミンのバランスが適切であれば、以下のような気持ちを感じることでしょう:

  • 幸福感
  • やる気・意欲がある
  • 注意力がある
  • 集中している

 

ドーパミンの量が低いと、どんな気持ちになる?

ドーパミンレベルが低いと、こう感じるかもしれません:

  • 疲れた
  • やる気が出ない
  • 不幸感

また、次のようなこともあるかもしれません:

  • 記憶の喪失
  • 情緒の揺れ動き
  • 睡眠障害
  • 集中力に問題
  • 性欲低下

 

ドーパミンの量が高いと、どんな気持ちになる?

ドーパミンレベルが高いと、こう感じるかもしれません:

  • 多幸感

  • エネルギーが湧いてくる

  • 強い性的欲求

ドーパミンレベルが高いことによるマイナス面は、以下のことが挙げられます:

  • 睡眠障害
  • 衝動を制御する力に乏しい
  • 攻撃的になる

 

ドーパミンレベルの高低と関連する健康状態は?

多くの病気がドーパミンレベルの高低と関連しています。しかし、まだ解明されていないことも多いです。例えば、ドーパミンレベルの高低が病気を引き起こすのか、それとも病気がドーパミンレベルの変化を引き起こすのか?その答が両方という可能性はある?さらに混乱に拍車をかけているのは、ドーパミンのような単一の神経伝達物質の働きを、脳や体内の他の神経伝達物質や他の化学物質と切り離して考えることができないことにあります。多くの物質は、互いに影響し合っています。沢山のことが起こっているわけですね。

とはいえ、ドーパミン濃度の高低が認められる病気もあります。

ドーパミンレベルの低さに関連する疾患:

ドーパミンレベルの高さと関連する疾患:

  • 躁病
  • 肥満
  • 中毒症

ドーパミンレベルが高い場合と低い場合の両方に関連する疾患:

  • 統合失調症統合失調症のいくつかの症状―妄想や幻覚などは、脳の特定の部位でドーパミンが多すぎるために起きている可能性があります。その他の症状―意欲の欠如などは、脳の別の部位でドーパミンが十分でないために起こっている可能性があります。

 

ドーパミン拮抗薬とは何?

ドーパミン拮抗薬(アンタゴニスト)とは、脳内のドーパミン受容体(受け取る側の神経細胞上に存在)に結合してブロックする薬のことです。これはつまり、情報が伝達される次の神経細胞ドーパミンを受け取るのをブロックするまたは止めるということを意味しています。抗精神病薬の多くはドーパミン拮抗薬です。

ドーパミン拮抗薬は統合失調症双極性障害、吐き気や嘔吐の治療に用いられています、

ドーパミン拮抗薬の例としては、以下のようなものがあります:

 

ドーパミン再取り込み阻害薬とは何?

ドーパミン再取り込み阻害薬とは、ドーパミンを放出した神経細胞ドーパミンが再び入り込み、再吸収されることを防ぐ薬です。このおかげで、より多くのドーパミンが、脳内においてより多くの神経細胞で利用できるようになります。

ドーパミン再取り込み阻害薬は、うつ病ナルコレプシー睡眠障害、居眠り病)の治療や、喫煙、過食、暴飲暴食などといった中毒・依存症の克服に用いられます。

ドーパミン再取り込み阻害薬の例としては、以下のようなものがあります:

  • うつ病用:ブプロピオン(ウェルブトリン®)
  • ナルコレプシー用:モダフィニル(プロビジル)
  • コカイン中毒用:ブプロピオン、ノミフェンシン、ベンズトロピン(コゲンチン)、マジンドール
  • 禁煙用:ブプロピオン。

 

レボドパ(Levodopa)とは何?

レボドパはパーキンソン病の治療に使用されています。パーキンソン病で見られる運動症状の原因はドーパミンの消失です。レボドパが(体の他の部分ではなく)脳に届くように、レボドパはカルビドパと併用されます。レボドパが脳に到達すると、ドーパミンに変換されます。

 

レクリエーショナル・ドラッグ(嗜好用薬物)中毒におけるドーパミンの役割とは?

嗜好用薬物は、脳の神経細胞が情報を送受信することを妨害します。マリファナやヘロインのような薬物は、天然の神経伝達物質に類似した物質です。アンフェタミンやコカインのような他の薬物は、天然の神経伝達物質を大量に放出させたり、これらの神経伝達物質のリサイクルを妨げます。

嗜好用薬物は、脳の「報酬系」を過剰に刺激します。薬物への暴露を何度も繰り返す内に、脳の特定の部分の感受性が低下し、薬物以外からは同じような快感を得られなくなります。また、同じ効果を得るためには、より大量の薬物を摂取しなければならなくなることも多いです。同時に、薬物の効果が切れると、脳の別の領域が不安やイライラといった離脱症状に敏感になり、別の理由―この不快感から解放されたいという目的で、薬物の使用を求めるようになります。つまり、依存症というのは、複数のメカニズムから発症する悪循環なのです。

現在研究者たちは、ドーパミンの役割は多幸感を直接引き起こすことではなく、快楽体験を記憶し、繰り返すことを強化させる因子として機能していると考えています。つまり、薬物がドーパミンを急増させるのは、その経験を記憶するように脳に働きかけているということなのです。脳は薬物使用と、日常生活の全てや薬物イベントを取り巻くその他の合図とを結びつけてしまいます。そのため、薬物を使用した場所に戻ると、薬物が欲しくなってしまうのです。

 

自然な方法でドーパミンレベルを改善するには?

ドーパミンを自然に増やす治療法を試してみるのもよいかもしれません。ドーパミンのような神経伝達物質に対する食べ物の影響については、さらなる研究が必要です。

  • マグネシウムチロシンを多く含む食品を積極的に摂りましょう。これらはドーパミン生成のための構成要素になっています。チロシンアミノ酸の一種です。体内で吸収された後、脳に運ばれ、そこでドーパミンに変換されます。ドーパミンを増やす食品としては、鶏肉、アーモンド、リンゴ、アボカド、バナナ、ビーツ、チョコレート、緑葉野菜、緑茶、ライマメオートミール、オレンジ、エンドウ豆、ゴマとカボチャの種、トマト、ウコン、スイカ、小麦胚芽などが知られています。
  • 幸せな気分になったり、リラックスできたりするような活動をしましょう。そうすることで、ドーパミンレベルが上昇すると考えられています。例えば、運動、瞑想、ヨガ、マッサージ、ペットと遊ぶ、自然の中を散歩する、本を読むことなどが挙げられます。

 

クリーブランド・クリニックからのメモ

ドーパミン神経伝達物質であり、ホルモンの一種でもあります。ドーパミンは、活動、記憶、快楽の報酬や意欲など、多くの重要な身体機能に関与しています。ドーパミンレベルの高低は、いくつかの精神疾患や神経疾患と関連しています。ドーパミンが健康状態とどのように関連し、他の神経伝達物質やホルモンおよびその他の化学物質とどのように相互作用しているのかについては、さらなる研究が待たれています。ドーパミンのレベルが高い、または低いと思われる症状がある場合は、医療機関を受診してください。症状を確認し、必要な検査を行い、病状が発見された場合の適切な治療計画を決める手助けをしてくれます。

 

…やはり病院だけあって、医学的見地に則った、疾病や薬に関する話が中心でした。

 

食事に関しては、チョコとかアーモンドなんかがドーパミンを増やしてくれると聞くと、「これはやる気を出すために必要だから!」と、お菓子を食べる罪悪感が減るかもしれませんね(笑)。

 

例によってドーパミンの分子構造については以前の記事で既に見ていたため、今回もバカの一つ覚えで、どんなサプリがあるのかを検索してみるとしましょう。

まぁ「ドーパミンのサプリ」って、何か怪しいドラッグっぽくてヤバそうな気もしますが(笑)、しかし、結構あるみたいですねぇ~。

https://www.google.com/search?q=dopamine+supplementより

一番左側にある「BRAIN FOOD(脳の食べ物)」ってのも直球すぎて笑えましたが、どうもやる気や意欲がない場合には、こういうものを摂取してみるのも効果的かもしれないですね。


今回も我らがネイチャーメイドがありましたけど、何気に前回と同じ5-HTPが挙げられていて、「いや君ドーパミンではないじゃん(笑)」と思えましたが、まぁ似たような神経伝達物質関連としてキーワード設定されて挙げられてるといった感じでしょうか。

 

セロトニンドーパミンは、似てはいるもののやはり似て非なるものなので、注意した方がいいかもしれませんね。

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