そういえばタマゴを加熱したら固まるのはなぜ?戻すことはできないの?

前回は、「あまりにもキレイすぎる水を飲むとお腹を壊すのか?」という話で、まぁ結論は「飲んだことないので分かりません」とかいうクッソ中途半端なものでしかなかくて恐縮でしたが(笑)(ただ、個人的にはやっぱり、超純水をがぶ飲みしてもお腹を壊すことはない気がするけどなぁ…と思えます。口の中や消化管を通る仮定で、最早キレイな水でもなんでもなくなると思えるので)、今回も引き続き、水ネタに参りましょう。

 

完全に段落の途中だったので当然ですが、こちらもアンさんよりいただいていたコメントになります。


毎度感謝の限りにございます…!

 

例えば、液体のオレンジジュースと固体のオレンジで比べてみても水(水分子)の割合は変わらないということでしたよね?

イメージとして、水の割合が大きいと、みずみずしいというか柔らかいというか、固体より液体に寄るというか、そういう風に思えてしまうんですけど、でも水分子といっても固体の氷も同じH2Oになるわけですし、そのイメージが間違っていることもわかってはいますが、、水の場合は温度で変化するじゃないですか?

だからどうとまではわからないですが、水溶液は液体ですけど、オレンジジュースを凍らせたら当然固体になって、でも水分はやっぱり90%近くあって、きゅうりは固体なのに95%もあって、恐らくそれを絞って液体にしても同じなんでしょうけど、、それを言うなら液体になりようがない人間の水分が約70%っていうのも、どう考えればいいかわからないです。(普段特に考えることはないですけど笑)


水分子が多いということは、どういうことなんでしょう?


『それ以外の「残りの成分」がその「水」の状態がどうなるかを大きく決めており…』


『溶け込んでる中身によっては、常温でも液体ではない水分も普通に存在する』


などと書かれていましたので、その事実自体はなんとなくはイメージできるような気もしますが…

 

これ、考えない方がいいんだろうなって、書いてて思いました。消そうかな、っていうレベルで笑

(そのまま送りますが、考えない方がいいよ!と言ってもらって大丈夫です笑)

 

⇒確かに、

「ほとんどが水分なのに固体ってどーゆーこと?牛乳は水分が9割で、容器なしでは形を保てない液体だけど、キュウリは95%超が水分なのに棒状の固体とか、おかしーじゃねーか!」

…というのは実際不思議極まりないんですけど、とりあえずこれは、骨格的なものを作れる高分子や(食物繊維とかが代表例ですけど、これは主に、植物本体を形作るセルロースとかデンプンとか、ずっと前の楽しい有機化学講座シリーズの↓の記事なんかで見ていた、多糖類ってやつですね)…

con-cats.hatenablog.com

…あとは多糖以外にも、「生体内の超有能機能分子」でおなじみのタンパク質なんかも、ものによってはカッチリした構造体を形成できますし、そういった炭水化物・タンパク質など代表的な生体高分子以外にも、低分子化合物でも粘度のある物質とかはありますから(まさにグリセリンなんかはドロリとしていますね)、そういうやつらも物質の「形作り」に一役買っているのでしょう……

まぁ本当に実際何がその形を生み出しているかは千差万別なので一概には「これ」といえないものの(まぁ上述の通り、「色んなものが協力し合って」ですね)、結局は水以外のそういう脇役が固体化を実現しているといえるのは間違いなく、実際ホンの少し溶かすだけで、水を(室温でも)カッチカチにしてしまう力もあるのが、そういった分子たちなんですね。


例えば、DNAのゲル電気泳動でよく使う「アガロース」という高分子多糖、僕も毎日レベルで使っていて、物質自体は例によって有機シリーズのこの記事(↓)とかで触れたことがありましたが…

con-cats.hatenablog.com

よく使うのは1%ぐらいのアガロースゲルなんですけど、まぁ1%だから言わずもがなの当然ですが、100 mLの水に1グラムのアガロースを加えて、レンジでチンして溶かし、冷める前に型に流し込んで「コーム」(櫛 (くし) のことですね)を挿して、冷まして固まったそのゲル(のコームで空けた穴)にDNAとかを加えて、電気の力でDNAのサイズごとに分けることで解析……みたいな実験ですが、1%でも市販のゼリーよりかなりカッチリした固体になりますし、2%のアガロースとかになるともう、「カッチコチやなこれ!」と思えるぐらいの、人間の肉より遥かに弾力性のない「固体っ!(「かたいっ!」の発音で(笑))」としかいえない感じになりますから、これなんて98%という「ほぼ全部じゃん」と思えるレベルの水分量のくせして、実際は超硬すぎゼリー(あくまでゼリーなんで、プラスチックみたいな完全な剛体ではなく、折り曲げたらパキッと割れるぐらいですけどね)になるといえるわけで、本当にモノの状態なんて「溶けてる物による」としかいえない話なんですね。


あぁ他にも面白い関連話として、「タンパク質もあるよ」という例でいえば、「固体を加熱したら液体になる」というのは中学以来…というか小学生でも経験として誰でも知ってる話だと思うんですけど(氷を温めたら融けて水になるし、鉄とかでも、熱し続けたら真っ赤なドロドロの液体になるのは常識)、しかし僕はあるとき気付いてしまったのです……


「あれぇ~っ?そういえば、タマゴって、最初ドロドロだったものが、加熱したらゆで卵で固体になるじゃん!

 固体→液体の流れが完全に逆やんけ、まさかタマゴはこの世の法則を無視した、宇宙から侵略してきた異常な物体だった可能性が微粒子レベルで存在…?!」


…と!!

 

まぁ、これは単に、「タンパク質が熱で変性するから」という説明がされるもので、記事タイトルにもしたぐらいですし、ちゃんと説明してみようと思ったのですが、今回もまたちょっと、絶望的に時間がなさすぎたこともあり、そもそもこの手の話はネット上にいくらでも解説記事がありますから、トップに来ていた日本化学会によるキッズ向け記事のリンクを貼って説明に変えさせていただくといたしましょう(↓)。

 

kdc.csj.jp

…まぁ、子供騙しとは言わないまでも、あんまり分かりやすい説明になっていない気もしたので(勝手にリンクして、勝手にダメ出しするとかクズにも程がありますけど(笑))ごくごく簡単に補足しておくと、タンパク質ってのはこれまたずーっと前の記事で何度も触れていた通り、アミノ酸が1つずつ順番につながったものでして、環境によって容易に取る構造が変わるものになっています。


熱を加えると、常温の条件ではゆるく手を取り合っていたようなアミノ酸同士の結合が切れたり、逆に全く別のアミノ酸同士の間で強固な結合ができたりして、構造が変わってしまうんですね。


この構造変化は不可逆的なもの(一度形成したら、ほどくのが不可能)なので、一度ゆで卵に変性したタマゴは、どなた様もご存知の通り、冷やしても半永久的にゆで状態のままなのですが、とはいえ、あくまで「結合」や「全体構造」が変わっただけなので(=アミノ酸の並び自体は変わっていない)、何とかしてその結合などを上手いことほどいてやれば元の生卵っぽいやつに戻すことは理論上可能といえるのです。

これは以前ニュースにもなり話題になってた気がしますが、酵素(もちろんこいつもタンパク質ですね)の力で、ゆで卵を生卵に近い状態にまで戻すことに成功した…って報告も、既に実際にあるんですね…!(科学ニュース系のこちらの記事(↓)など参考)

 

tabi-labo.com

…あれ、この話、以前の記事で触れたことありましたっけ…?

ちょっと今それを調べる時間すらないですが、これはまさに、「卵が固まったのは、あくまでタンパク質の構造が変わっただけ」ということの分かりやすい証左といえそうです。

 

なお、タンパク質の構造を変えるのは熱だけではなく、一連のこのシリーズの元ネタであったpHなんかも大いにタンパク質の構造に影響を与えるもので(だからこそ、タンパク質のカタマリである我々人間にとって、pHはとても大切なんですよ、って話でもありました)、例えば牛乳に酢を入れて酸性にすると、まぁそんなことやったことある人はいないかもですが、これは牛乳の中のタンパク質が強く変性して、タンパク質成分が変性し、条件によっては固まったり、場合によっては分離してタンパク質が沈んで透明な牛乳スープになる…とかもあるかもしれませんけど、多分チーズを作るのはこういう反応も使っているのではないかと思いますが、いずれにせよ状態が大きく様変わりするんですね。


結局これも水に溶けている物質の反応ということで、主役は水というよりもむしろ溶けている分子の方になるわけですけど……

 

…と、また例によってまるでご質問の方には触れず、脱線のみの話に終始してしまっているものの、申し訳ないことにまたしても時間が完全に切れてしまったため、続き(どころか、その脱線タマゴ話すら極めて中途半端状態だったので、またその辺から含め…)はまた次回にまわさせていただこうと思います。


アイキャッチ画像を選ぶ時間もなかったので、それっぽいタマゴのいらすとをお借りしましょう(まぁ、仮に時間があっても、今回はこれぐらいしかネタはなかったですが(笑))

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