目に関する医療的なネタから、白目・赤目と来て、前回は「サーファーズ・アイ」こと、翼状片(よくじょうへん)なる、眼球にできてしまう肉片隆起を見ていました。
今回は予定通り、その記事で「似て非なるもの」として挙げられていた、瞼裂斑(けんれつはん)を見て行こうと思います。
英単語は言うまでもなく、日本語ですら全く耳慣れないものですが、そこまで深刻ではなかった翼状片よりもさらに影響は(見た目的にも)軽微ということではありますけれども、どんなものなのか、早速上記HEALTH LIBRARY記事に参りましょう。
瞼裂斑(Pinguecula)
瞼裂斑は、白目の部分にできる、黄色く隆起した無害な増殖物です。日光、風、および埃にさらされることによって生じると考えられています。隆起の他によく見られる症状としては、目の充血、炎症、ドライアイが含まれます。必要に応じて薬で不快感を和らげることが可能です。手術は、目の外観が気に入らないのでなければ、通常は必要ありません。
概要
瞼裂斑とは何?
Pinguecula(ping-gweh-kyuh-luh(ピングウェーキュラ)と発音します)は、目の結膜にできる黄色く盛り上がった増殖物です。結膜は、白目の部分を覆っている透明な膜です。
結膜は通常、白目の内側、鼻の近くにできます。しかし、目の反対側にもできることもあり得ます。
瞼裂斑は、タンパク質もしくは脂肪もしくはカルシウム、またはそれら3つが全て組み合わさった沈着物です。形は小さく、円形または三角形で、ほとんど目立たないこともあります。何年もかけることで、大きくなることもあるかもしれません。
瞼裂斑は深刻なの?
瞼裂斑は無害な増殖物であり、危険ではありません。ガンではありません。ほとんどの症例において、痛みや不快感は通常ありません。ほとんどの方にとって、切除や治療の必要はありません。
瞼裂斑にかかるのはどんな人?
瞼裂斑は、目を保護せずに屋外で長時間太陽の下で過ごす方には、誰にでも起こる可能性のあるものです。その可能性は年齢とともに高くなります。中高年およびそれより高齢の方々に多くみられます。
瞼裂斑はどのくらい一般的?
瞼裂斑は一般的な症状です。80歳代までには、ほとんど全ての方に何らかの瞼裂斑の徴候が見られます。
瞼裂斑が視力に支障を来たす可能性はある?
通常、瞼裂斑は視界の中心の外側に生じます。あり得なくはありませんが、通常は視界を遮るほど大きくなることはありません。また、失明にもつながりません。
瞼裂斑は自然に治る?
瞼裂斑が自然に消えることはありません。唯一の除去法は、手術になります。
翼状片と瞼裂斑の違いは何?
どちらも目の結膜にできる増殖物です。日光、風、あるいは埃にさらされることが両者共通の原因と考えられています。
- 瞼裂斑とは、黄色または白色の盛り上がった増殖物です。結膜上に留まり、角膜と重なることはありません。通常、症状はなく、取り除く必要もありません。
- 翼状片とは、血管がたくさんある肉質の増殖物です。小さいままであり続けることもあれば、成長して角膜上へと広がり、視力に影響を及ぼすこともあり得ます。このため、瞼裂斑よりも深刻であると考えられています。
瞼裂斑炎とは何?
瞼裂斑炎(Pingueculitis)とは、炎症が存在していることを意味します。これが発症すると、瞼裂斑は涙液膜に支障を来たすようになります。灼熱感、かゆみ、目に何かが入った感じなどを含む、ドライアイの症状が現れます。
症状と原因
瞼裂斑の徴候と症状は何?
瞼裂斑の最も一般的な症状は、眼球の結膜にできる、黄色っぽい小さな斑点や隆起です。
その他の症状には以下が含まれます:
- 目の充血、炎症、かゆみ、または腫れ
- ドライアイ
- 目に砂や粒子が入ったような感じ
- 涙目
こういった症状には、軽いものから重いものまであり得ます。瞼裂斑は片目にも両目にも起こる可能性があり、同じ目に複数個できてしまうこともあり得ます。
瞼裂斑の原因は何?
結膜の変化により瞼裂斑が引き起こされます。その結果、小さな黄白色の隆起ができるわけです。変化の理由は完全には分かっていませんが、原因には以下が含まれ得ます:
- 太陽の紫外線(UV)に長期間さらされること(最も一般的な原因)
- 風や埃による目の炎症
- 加齢
診断と検査
瞼裂斑はどう診断されるの?
かかりつけの眼科医が、通常の眼科検査で瞼裂斑を診断することが可能です。担当医が、細隙灯を使って、その増殖物を詳しく調べることでしょう。細隙灯とは、眼球に明るい光の細い線(「スリット」)を当てる、顕微鏡の一種です。眼科医が目の前側と内部を見るのに役立ちます。
瞼裂斑はどう治療されるの?
症状が目の不快感を引き起こしていない場合は、治療の必要はほぼないでしょう。瞼裂斑が不快感を引き起こしている場合、かかりつけの眼科医が以下のような処置をとるかもしれません:
- 市販の眼軟膏、または処方の潤滑(湿潤)点眼薬もしくは人工涙液をお勧めする。
- 目の充血や腫れを抑えるために、短期間のステロイド点眼薬や眼軟膏を処方する。
手術が必要なのはどんな時?
以下のような場合、手術について担当医と話し合うことになるかもしれません:
- 不快感があまりにも強い、または炎症が続いている。
- 角膜に近付きすぎて、視力に影響を及ぼしている。
- コンタクトレンズの装用が不快、または不可能になっている。
- 眼球にある増殖物の見た目が気に入らない(美容上の理由)。
手術を受けても、再び増殖してくる可能性があることを心に留めておいてください。
アルゴンレーザー光凝固術とは何?
アルゴンレーザー光凝固術は、瞼裂斑を除去するための、手術に代わる別のアプローチ法です。麻酔点眼薬を点眼して目を麻痺させます。高出力レーザーで厚い瞼裂斑を取り除き;低出力レーザーで薄い瞼裂斑を取り除きます。
治癒するまでの間、抗生物質のステロイド外用点眼薬を点眼することになるでしょう。
どちらの除去方法―手術かレーザーか―がご自身の目の瞼裂斑に最も適しているかは、かかりつけの眼科医にお尋ねください。
予防
瞼裂斑を予防するために何ができる?
以下のことをすれば、瞼裂斑になるリスクを下げられる可能性があります:
- 紫外線から目を守るため、日なたではサングラスとつばの広い帽子を着用する。サングラスは紫外線Aと紫外線Bの両方を99~100%カットするものにしましょう。ラップアラウンド型(目の周りを包み込むタイプ)がベストです。曇りの日であっても着用してください。
- 埃や乾燥の酷い場所で働く場合は、保護メガネを着用する。
- 炎症を抑えるために、人工涙液で目を潤す。
見通し/予後
瞼裂斑になった場合、どのような結果が予期される?
瞼裂斑の予後は良好です。通常は深刻な問題を引き起こすことはありません。瞼裂斑を患うほとんどの方は、治療の必要はありません。症状がある場合、薬で治療することが可能です。視界が遮られたり、ぼやけたりするほど瞼裂斑が成長した場合(稀なことです)、かかりつけの眼科医がそれを取り除くことができます。
受け入れる
いつ医師に連絡すべき?
瞼裂斑にかかったと思われる場合、または視力の変化に気付いた場合は、かかりつけの眼科医に診てもらってください。また、薬を使用しているにもかかわらず瞼裂斑があって目に不快感がある場合は、かかりつけの眼科医にご連絡ください。受診することで、担当医が診断を確定し、目の健康状態全般をチェックし、薬を変更または修正することが可能となります。
クリーブランド・クリニックからのメモ
瞼裂斑は目にできる無害な増殖物にすぎないことを知っておくと安心するかもしれません。通常、視界を妨げることも、治療を必要とすることもありません。もし不快感が続いてしまうようであれば、かかりつけの医療従事者が処方薬や市販薬をお勧めしてくれます。治療を受けても目に不快感が残る場合や、見た目が気になる場合は、手術という選択肢について、かかりつけの医療機関に相談してみてください。
貼られていた症例画像で見てもほとんど分からないレベルでしたが、まぁ何となく高齢者の目にあるデキモノみたいなやつは想像できますね。
ほとんどの場合、一切の健康被害や症状がないとはいえ、老化の象徴のようで、これもやっぱりなるべくならできないことを望みたいですねぇ~。
やはり最大要因は紫外線ということですが、日本人的には何となくサングラスとかカッコつけてるようにしか思えず、かけづらい気もするものの、特に尋常じゃない日差しの真夏、まさに記録的な猛暑である今なんかは、日傘やサングラスも重要なのかもしれません。
…まぁとか言って僕はしないですけど(笑)、本当に炎天下で何かしらの屋外作業をずっとされているような方は、帽子やサングラスは必需品な気もします。
どなた様も紫外線には十分ご注意ください。