面白い反射

脊索動物門に入る前段階として、そもそも脊索 (せきさく) とは何じゃらほいという話から、その進化版といえる脊椎 (せきつい)、そして似たような用語である脊髄 (せきずい) の話へと入ろうとしたところで時間切れとなったのが前回でした。

 

早速続きに参りますと、ズバリ、「脊髄とは一体何なのか…?」という点に関していえば、脊椎が骨そのものを指す言葉であった一方、脊髄というのは神経の束というものになっています。

脊椎は「骨が積み重なって柱のように長いものである」というのは前回触れてみた…までもなく、どなたもご自身の体から明らかな話なわけですけど、脊髄=神経の束も管状のもので、まさに、硬い脊椎によってガードされている、脊椎と並走する形で伸びている長いもの(平均的な成人の場合、約40~45 cm)という感じですね。

 

看護知識の学習サイト・看護rooに、大変分かりやすい解剖断面図があったのでお借りさせていただきましょう。

https://www.kango-roo.com/learning/2833/より

脊椎は5つのパートに分かれていましたが、脊髄も同じように部位ごとにグループ分けされて呼ばれることが多いですけど(下の方は脊椎の部位とは少し対応がズレていますが)、いずれにせよ脳から伸びているのが神経ですけれども、ちょうど柔らかい脳が頭蓋骨で保護されているのと同じように、柔らかい脊髄神経は脊椎によって守られていると、そうなっている形です。

 

そんなわけで、「脊椎損傷」であれば運動能力に障害までは発生しないのですが(もちろん痛みなどはあるわけですけど)、事故のダメージなどが大きく、内部にまで衝撃が加わり「脊髄損傷」にまでなってしまうと、これは神経がズレてしまって脳からの信号が各部に届かなくなりますから、「立てなくなる・半身麻痺」などといった運動能力の欠損につながってしまうわけですね。

まぁどちらも体の重要な部位なわけですけど、より繊細で傷つけたら大きな影響を受けてしまうのは、当然ながら保護されている脊髄の方であるといえる形になっています。

 

脊髄といえば、これは中学理科でも習うでのどなたも聞き覚えがあることでしょう、ズバリ「反射」で活躍する部位ですね。

(もちろん、普段脳で考えたことを全身に伝えるための経路でもあるので、「反射でだけ活躍」というわけではないですけど、「脊髄さんが自我を出すのは反射だ」って感じでしょうか。)

 

反射については、またまたちょうどいい画像があったので看護rooの解説記事からお借りさせていただきますと、こんな風に…

https://www.kango-roo.com/learning/2164/より

…教科書では、何かバウムクーヘンみたいな形の脊髄が描かれて、そこから神経が伸びている絵が描かれがちで、「脊髄って、胃とか肝臓みたいに、こういう形の器官なのかな?」とか勘違いしがちに思えるんですけれども、まさに今しがた見ていた通り、これは決してこういう形の物質として存在しているわけではなく、あくまでも長い柱の断面図だったんですねぇ~。

 

まぁそもそもそんな勘違いをしたかすら記憶にないぐらい、別にこんな絵を見ても何とも思わなかったことの方が多いと思いますが(例によって、中高生の頃なんて、大して意味も分からずただテストで答えられればいいやと思って棒暗記することが多いですしね、僕がそうであったように(笑))、(他に描きようがないものの)脊髄というとこういうイラストになってるのはやや誤解を招くもので、あくまで背骨に沿ってその内部に伸びている管だと、そのイメージは重要かもしれませんね。

 

また、「勘違いしやすい」でいえば、「反射」というものも日常で用いられるそれと、医学用語のそれとは微妙に違いがあるもので、勘違い(誤用)されやすいものになっています。


医学用語における反射というのは、以下のウィ記事にある通り……

ja.wikipedia.org


『特定の刺激に対する反応として意識される事なく起こるもの』とされています。

 

ここで大事なのが「無意識に起こる反応」ということであり、例えば誤用されがちな用語の「条件反射」などで、

「もう~、この子はお菓子の袋の音を聞いたら条件反射でかけつけてくるんだから…」

…という形での使い方、これは完全に誤りなんですね。

 

反射は「無意識に起こるもの」なので、「お菓子の袋の音を聞いたら、条件反射で近づいてくる」というのは、意識的にお菓子を食べに来ているのであり(流石に、何か別のことをしていたのに、ポテチ袋の音が聞こえたら無意識で瞬間移動してくる子供はいないと思います(笑))、これは正確には「条件反射」とは呼ばず、まぁ単なる「学習行動」ってやつだといえましょう。

 

条件反射の例としては、最も有名なのが「パブロフの犬」で、まぁ説明不要かと思いますが、以下の条件反射のウィ記事にある通り…

ja.wikipedia.org

 

  1. イヌにメトロノーム(ベル・ホイッスル・手拍子・足踏みと言う説もある)を聞かせる。
  2. イヌにえさを与える。イヌはえさを食べながらつばを出す。
  3. これを繰り返す。(上記の二つのプロセスを条件付けという)
  4. すると、イヌはメトロノームの音を聞いただけで、唾液を出すようになる。


…ということで、お菓子の例と違うのは、唾液を出すという行為が意識して行うものではなく、無意識で発生する生理反応だということにある感じですね。

 

まぁ、「だから何だよ、イヌもお菓子の子供も似たようなもんだろ」とは思えるんですけど(笑)、一応、定義として「反射」というのは不随意的に起こる反応であるため、用語を正確に使うならお菓子の例には使えないと、そういう話でした。


(他の例としては、「梅干しを見ると唾液が出る」というのも代表的な条件反射ですね。

 ちなみに今さらですが、条件反射というのは学習によって獲得したものなので、先天的には備わっておらず、例えば僕は梅干しなんて食べませんから、「梅干しを見て唾液……出ねぇよ(笑)」としか思えませんし、そんなのを代表例に挙げたくもないのですが、実は「無意識」という条件があるので、「条件反射」ってそれ以外にはあんまりいい例が存在しないのが実際となっているように思えます。)

 

一方の先天的な反射としては、ちょうど看護rooの図にあった「膝蓋腱反射」が有名所でしょう。

 

これは中学理科で習った通り、ヒザにある腱をハンマーなどで軽くコツンと叩くと、別に脳が考えて「足をピョコンとしよう」などと考えていないのに、脊髄が信号を送ることで運動神経に働きかけて足が動く…というものなわけですけど、脚気の検査でおなじみ、ビタミンB1が不足して脚気の症状を示すとこの反応が見られなくなるので、栄養不足の時代には検査としてよく使われる重要なものだったようですけど、飽食の現代において脚気なんてかかるわけないので、実際あんまりピンと来ない例な気もします。

 

より分かりやすい例はやっぱり、熱いヤカンを触ったら、「熱い!」と感じた瞬間に、意識する前に手を離す…という屈曲反射がありますけど、これはまさに、手で触って感覚神経に伝わった信号が、神経の走っている腕→背中→脳へと渡り、そこからまた脳→背中→腕の運動神経へ「手を離せ!」と送られる通常の反応ではあまりにも遅すぎて生命の危険につながりかねないため、その信号経路を一部ショートカットして、背中にいる脊髄先生が脳とは独立に「離せ!」という信号を送るという形になっており、結果凄まじく速い反応速度で手を離すことができるという、仕組みとしても意義としても大変分かりやすいものになっている感じですね。

 

反射というのはこれ以外にも非常に多くのものが知られているのですが、ちょうどこの屈曲反射について、個人的に面白いと思えるものがあるので紹介してみましょう。

 

まぁ、「膝蓋腱反射の腕版」って感じなんですけど、僕は中高生の頃から、まぁ姿勢があんまり良くないからかもしれませんけど何だか首や肩どころか腕まで結構凝るタイプで、ことあるごとに自分で体の各部をモミモミとしているんですけど、あまりに腕の色んな部位をモミモミした結果、気付いたら腕の特定の部位を押せば特定の指が無意識にピョコンと反応するやり方まで編み出してしまったのです…!

 

まぁ画像がないと説明が難しいですけど、一番分かりやすいので言うと、手のひらを顔に向けるようにして、力を抜いて腕を立てるようにしまして(まぁ腕の向きはどうでもいいですが)、大体ヒジの少し上・体の外側に位置している腱というか筋肉を軽く「ゴリッ」としてやるとあら不思議、中指がピョコンと外側(向こう側)に跳ねるんですねぇ~。


もう一つ分かりやすいので言えば、同じ姿勢で今度は腕の内側・手前側の、これはまさに内ヒジの関節に近い部分(少し上=手に近い方)を「グイッ」と抑えてやると、薬指(広く押すと中指も)が、今度は内側にピョインと無意識で動きまして、これが我ながら何とも可愛くて面白いのです(笑)。

 

実際僕はあまりにも何度もやり過ぎてプロ級の指ピョコ達人であり(笑)、他人の腕でも余裕で可能で、あんまり筋張ってない太っている人や女性でも、「うーん、ここかな?」という感じで一発で確実に「ピョコン」と無意識指ムーブを経験させてあげることができますので、どうしても自分でできない方はご連絡ください(笑)(いや直接会わないとできないので、実際は連絡をもらった所で難しくはありますが(笑))。

 

そういえばこれ、どこの腱なのかなぁ、と思って、なぜか京都府が公開されていた解剖図を見てみたら…

https://www.pref.kyoto.jp/chikousai/documents/1166408247050.pdfより

…多分、中指の外跳ねは「長橈側手根伸筋」で、薬指の内跳ねは「橈側手根屈筋」ですね!

 

流石はウィッキー先生、各個別記事もありましたが…

ja.wikipedia.org

ja.wikipedia.org


…あれ、でも冷静に考えたら、これは腱ではなく筋肉を直接押して、物理刺激を加えているだけなので、脊髄を介して行われる反射とはまたちょっと違ったかもしれませんね(笑)。

 

まぁ反射とは関係なくても、この話をしてみたかったのでヨシとさせていただきましょう(笑)。

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