ビタミンB!!(前半6つ)

唐突に始まっていたビタミンシリーズ、光と色の感知に役立つビタミンAを終え、続いてはビタミンBにいってみましょう。

しかし、ビタミンB群と称されるこいつら、無駄に数が多いんですよね…。

今でも必ずビタBとして分類されるものが8種類以前の記事で、医薬基盤・健康・栄養研究所の解説記事の表を貼っていました)、それから以前はB群とされながら今は別物と分けられているもので4種類の、計12個もあるんですが、まぁ共通するのは「水溶性であること」「主に炭水化物からエネルギーを取り出す反応(代謝)で補助的な役割(例によって、メインで働くタンパク質を補助するという意味で、補助ではあるけど基本的に必須です)をもつ物質」という点で、構造的には結構バラバラな(というか共通点は特にない)物質の集まりになっています。

水溶性であるため、過剰摂取しても基本的には尿から排出されますから、よっぽど、例えばビタミン錠剤の瓶丸々一本3か月分とかを一気に毎日飲み続けるみたいなバカなことをしない限り過剰摂取の心配などないことがほとんどですし、こんなもんガンガン摂取していって問題ないと思います。

どれもぶっちゃけ「代謝に働く重要な栄養素」と一言で表されるものですし、12種類、ビタミンB1~B12まで、今回もミネラルのときと同様に医薬基盤・健康・栄養研究所の解説記事に掲載されている多く含む食品データなんかをまじえながら、ごく簡単に一言二言ずつまとめる形で一気に終わらせちゃいましょう。

それぞれ、具体的な物質名→構造画像をWikipediaより引用→多く含む食品を、医薬基盤・健康・栄養研究所の解説記事から3つぐらい抜粋…の形ですね。


ビタミンB1

チアミン脚気のやつ!

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https://ja.wikipedia.org/wiki/チアミンより

鈴木梅太郎さんが発見(というか単離)して、オリザニンと名付けたものの、日本語での発表だったためビタミンという名前に負けてしまった例のやつですね(この記事で触れていました)。

これが不足すると、脚気になることが知られている重要栄養素です。

もちろん脚気以外にも、代謝全般で重要な役割を担っていますけどね。

ただくどいですが、ビタミンというのはそれ自身が機能をもっているわけではなく、特別な機能をもった働き者生体分子であるタンパク質に結合することで、そのタンパク質の働きをサポートする形で使われているものですね(ちょうど後の段落でも触れていますが、その意味で補酵素とも呼ばれています)。

具体的には、チアミンは脱水素酵素や脱炭酸酵素、他にもアルデヒド基転移酵素など、特にアルコール発酵や呼吸で使われている酵素をメインにサポートしていることが知られています。

なので、発酵といえばこいつといえる生物・酵母に多く含まれるとよくいわれますが、以下の食品データでは、酵母関連(パンとかお酒とか)は挙がっておらず、圧倒的なのが豚さんブーブーでした(しかも、他の部位より、特にヒレだけが桁違いに多いようです。なぜヒレなんでしょうね…?)。

多く含まれる食品(1食あたり):豚ヒレ(焼き) (2.09 mg;断トツ)、うなぎ(かば焼き)(0.60 mg)、玄米めし(0.24 mg)など


ビタミンB2

リボフラビン:ビタミンG(成長因子Growth factorとして知られていたことから)とも呼ばれる(呼ばれていた)。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/リボフラビンより

FMN(フラビンモノヌクレオチド)やFAD(フラビンアデニンジヌクレオチド)という名称というか化合物で、大学の代謝学で、めっちゃ出てきます。

FMNはリボフラビンにリン酸がついただけですが…

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https://ja.wikipedia.org/wiki/フラビンモノヌクレオチドより

FADはそこにさらにAMP(アデノシン一リン酸)がついた形です。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/フラビンアデニンジヌクレオチドより

酸化還元(呼吸で行われる化学反応)で電子のやり取りに超絶重要な役割を果たす、クッソ重要物質ですね。

まぁ細かい代謝の話はあまりにも面白くないので省略しますが、とにかくエネルギーを生産する上で(=すなわち生きる上で)最も重要な物質の一つといえましょう。

ビタミンGと呼ばれていただけありますね(まぁ、他のビタミンB群も、基本どれも似たようなエネルギー生産に働く役割なんで、むしろ全部ビタミンGxで呼んでもいいのでは?って気もしますけどね)。

多く含まれる食品(1食あたり):豚レバー(1.44 mg;豚・牛・鶏レバーが断トツのTOP3です)、うなぎ(かば焼き)(0.59 mg)、納豆(0.22 mg)など


・ビタミンB3

ナイアシン:別名ニコチン酸

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https://ja.wikipedia.org/wiki/ナイアシンより

ニコチンというと、タバコに含まれる中毒物質をイメージするかもしれませんが、こちらはそれとは別物(もちろん名前が似ている通り、構造も似ている物質ではありますが)で、毒性もなく、代謝で働く超重要物質です。

(ニコチンの構造はこれ↓。ちょっと…いや結構違う)

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https://ja.wikipedia.org/wiki/ニコチンより

先ほどのフラビン同様、NAD(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド)(や、それにリン酸のついたNADPなども登場。さらにそこに(FADと同様)酸化型のNAD、還元型のNADHなどがあって、ややこしい)という形に姿を変えて、代謝学では主役級に出てきまくります。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドより

これら似たような名前の酸化還元補酵素は、解糖系で働いているのはNADだけとか、FADには水素が2つ付く余地があるとかいった細かい違いもありますが、まぁ、その辺の細かい話どころか、大まかなこいつらの分子レベルのメカニズム含め、特に深追いするほどの話でもないでしょう。

多く含まれる食品(1食あたり):たらこ(生)(20.0 mg)、鶏むね 皮つき(焼き)(17.0 mg)、かつお(生)(15.2 mg)など、動物性食品の独壇場で、植物性食品トップは玄米めし(4.4 mg)と、動物性TOP10にも一切及ばないレベルでした。
 ニコチンはタバコの葉に独占的に含まれてる印象の物質だから植物っぽい印象の化合物なのに、全然違うものですね。


・(ビタミンB4)現在は欠番

(アデニン):まさかの欠番B4は、このブログではもうおなじみ(そうでもない?)、DNA・ヌクレオチド塩基の1つAの、アデニン!

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https://ja.wikipedia.org/wiki/アデニンより

アデニンが昔はビタミンBに分類されていたことがあったとは知りませんでしたねぇ~(Wikipediaにもちゃんと記述がありましたが)。


欠番B群は医薬基盤・健康・栄養研究所の解説記事には項目がなかったので食品情報も欠番としますが、ビタミンB群ではなくなったもののアデニンもいうまでもなく最重要物質の1つ(っていうか、DNAそのものですから、むしろビタミンなんぞより遥かに重要ともいえる)なので、全生き物に欠かせない栄養素です。

ただ、何度か書いている通り、アデニンはプリン体と呼ばれる物質なので、こちらは特に最近は過剰摂取の害が叫ばれていますね。
(アデニンに含まれるリングがプリン骨格と呼ばれる構造だからそう呼ばれている感じですね。ちなみにその名の由来の、プリンという化合物がこれ↓

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https://ja.wikipedia.org/wiki/プリン_(化学)より

…アデニンは、画像にもあった通り、こいつの6番炭素にアミノ基-NH2がくっついただけの、6-アミノプリンと呼ぶこともできるということですね。)

ということで、健康診断でプリン体を控えたほうがいいといわれている方には、なるべく摂らない方がいい物質といえるかもしれません(食塩同様、生理学的に最重要成分ではあれど、美味しいものには何にでも含まれがちなので、避けた方がいいタイプ、って感じですね)。

ビタミンB5

パントテン酸CoA(補酵素A)の構成成分として有名!

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https://ja.wikipedia.org/wiki/パントテン酸より

コエンザイムAって、多分どなたでも聞いたことのある物質ですよね…?

…って、あぁ、健康食品系で超有名なのは、コエンザイムQ10か…。

まぁ、どちらも同じコエンザイム補酵素ですが、補酵素というのはズバリ(上でもチラッと書きましたが)それ自身は機能をもたないけど、別の酵素と結合して特定の機能を発揮する手助けをしている物質で、ぶっちゃけいっちゃえばビタミンは全部補酵素の一種ともいえるんですけどね。

CoAことコエンザイムAは、一応高校生物でも「アセチルCoA」(CoAにアセチル基CH3CO-がつながったもの)という形で習ったと思いますが、これも呼吸反応で超絶大切な役割を果たしている(さらに、脂肪酸合成とかでもめっちゃキーとなる物質)、ドチャクソ重要物質です。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/補酵素Aより

でもまぁこちらも分子レベルの反応とかはどうでもいいでしょう。

ナイアシンパントテン酸(CoA)も、そっちの名前の方が圧倒的に通っているので、「ビタミンBx」という名ではなく、それぞれの物質名で呼ばれることの方が多いタイプですね。

どちらも、栄養成分表示で目にしたことがあるのではないかと思います。

多く含まれる食品(1食あたり):鶏レバー(生)(4.00 mg;でも、レバー生って正気か?)、子持ちがれい(水煮)(2.58 mg)、納豆(1.44 mg)など


・ビタミンB6

ピリドキシン:これは、今までのやつとは違い、物質名より「ビタミンB6」という名前の方が遥かに有名というか名が通ってる気がします。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/ピリドキシンより

皮膚炎や口唇炎や貧血予防に絶大な効果をもつといわれており、栄養剤系でもB6はめっちゃ目にしますが、代謝学でこいつを学んだ記憶は特にないですねぇ。

…あぁでも、ピリドキシン-5’-リン酸 (PNP) 、ピリドキサール-5’-リン酸(PLP)、ピリドキサミン-5’-リン酸 (PMP) とか、教科書で見たような記憶もあるようなないような…?

ま、栄養成分としてめちゃくちゃ重要なことには変わりないですね。ビタミン剤のパッケージでよく見る、ビタミンB6です。


多く含まれる食品(1食あたり):豚ヒレ(焼き) (0.76 mg)、びんながまぐろ(生)(0.66 mg)、バナナ(0.38 mg;植物代表だけど、動物性食品のTOP10以下と、こちらも動物性食品が圧倒的に強い感じ)など

 

…と、12個全部一気に終わらせようかと思っていましたが、案外いい量になったので、半分に分けて残りは次回という、例のごとく記事の水増しでいかせていただきましょう。

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