ビタミンについて見ていこう

ミネラルについて一通り見終えた所で、続いては五大栄養素の最後の一角、ビタミンについて簡単に見ていきたく存じます。

まぁ、例によって日本人の食事摂取基準(2020年版)に体系的にまとめられていますし、Wikipediaでも網羅的に詳しい情報がばっちり載っているので、それ見るだけでいいじゃん、って気もするのですが(というか、そこに載ってる情報をまとめているだけのようなものですし)、一応適宜小ネタも挟みつつ、より分かりやすく親しみやすい形でまとめていければいいな、という意図の記事ですね。
(単に劣化コピーになってるだけの気もしますが…。)


ということでビタミンについて…。

一口にビタミンといっても、そこにはAやらBやらCやら色々あり、欠乏したら良くない大切な栄養である…なんてことは赤ちゃんでも知ってるわけですが、そもそもこいつらは一体何物なのか?

ズバリ、ビタミンをグループたらしめている最大の共通項は有機物であること、あとは生物の生育に必須だが自分では合成できないこと、および低分子であることなどが挙げられますが、はっきりいうと、物質的には有機物であることぐらいしか明確な共通点のない、「その他」グループといえましょう。

つまり、五大栄養素はまず有機物と無機物に分けられますが、無機物という括りに含まれる栄養素はミネラル(炭素・酸素・水素・窒素以外の元素)でした。

で、ミネラル以外の4つはどれも有機物(4本腕をもつ炭素がつながってできた物質)であり、ここに含まれるのが三大栄養素である炭水化物タンパク質脂肪、そしてそれ以外の、ぶっちゃけチマチマしたその他大勢たちをまとめてビタミンと呼んでいる、というそういう図式なわけですね。


これまでの説明で、なんとな~くではあっても、ぼんやりとそれぞれの物質としての大きさの違いはイメージいただけるのではないかと思います。

つまり、「五大栄養素を、小さい順に並べなさい(平均的な大きさで)」という問題があったらどう考えていけばいいか、という話ですが、結局、物質のミクロレベルでの大きさの順番=「原子だけ、原子がつながった分子、分子がつながった高分子」というイメージと、それぞれの実際の物質とを結び付けて見られるかどうか、ということになるわけですね。

まず明らかなのが、ミネラルでしょう。

これは、ここ何回かクドクド見ていた通り、ある元素そのもの、つまり原子が1個ポンとあるだけのイメージですから(鉄原子とか、ナトリウム原子とか。もちろん、何度も書いていた通りミネラルは化合物として存在することがほとんどなわけですけど、例えば塩化ナトリウムであれば塩素とナトリウムが結合してるだけなので、結局原子2つ分とかその程度、ってことですね)、これが最小です。

有機物を思い出すと、炭素が4本の腕でじゃんじゃか手をつないでできあがっているものでしたから、原子数個で完結しているミネラルは、五大栄養素の中で断トツで小さいやつらなのは明らか、ってことですね。


続いてはビタミンです。

これの構造はまだ一度も見ていませんが、「低分子」と書いた通り、基本的には適当に炭素がリングを形成してあとチョロチョロっと申し訳程度に官能基が付いているみたいな、そんな感じのものが多いわけです。

(上述の通り、別に構造に特徴があるわけではなく、「その他」的な寄せ集めグループなので、一概にはいえませんが、まぁ大体そんな感じの低分子といえると思います。)

一番有名なビタミン、「ビタミンといえば?」という質問を街の人に聞いたら恐らく90%以上の人が答えるであろう、ビタミンCの構造を、例として出してみるとしましょう。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/ビタミンCより

ねっ?

詳しくはまたいずれ見ていきたいですが、ビタミンってのは結局こんな低分子有機化合物にすぎないわけです。

そしてミネラルもビタミンも、基本的には生体内で様々な機能を発揮しているタンパク質様の補助をする、サポート成分として存在しているのが基本です。

その辺の機能面に関しても、また追って簡単に見ていく予定です。


大きさ順の続きとしては、次はまあ脂肪(脂質)でしょうね。

頭が良くなるので有名なDHAことドコサヘキサエン酸とか、覚えてらっしゃるでしょうか。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/ドコサヘキサエン酸より

こいつは炭素が22個つながったやつで、脂質はこういった感じの脂肪酸グリセリンを介して3本とかつながった物質ですから、まぁ高分子ではないけれど、ビタミンよりは大きい分子といえましょう。


その次はタンパク質ですね。

これは、アミノ酸が何十個何百個とつながってできた高分子物質ですから、かなりのデカブツです。

すっかり横道に逸れて放置状態になっている超甘タンパク質・ソーマチンなんかは、200アミノ酸程度がつながってできた物質でした。

もちろんそれよりもっと小さいものもあれば大きいものもありますが、平均すると、タンパク質はそれなりの数のアミノ酸がつながった高分子ということですね。

ちょうど、アミノ酸1つがまぁビタミンと同程度の低分子物質ですから、それが多数つながったタンパク質は、やはり有能な働き者だけあって、結構大きい分子なわけです。


最後は炭水化物(糖)ですが、これは実は難しい所ですね。

というのも、糖は以前何度か触れていた通り、基本は単糖にはじまり、2つつながった二糖、複数つながったオリゴ糖、大量につながった多糖…と、ものによって大きさがバラバラになるからですね。

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https://ja.wikipedia.org/wiki/グルコースより

糖の王様・単糖のグルコースであれば、正直、こんなもんもうほぼビタCと同じようなもんなわけです(一応、グルコースはC6H12O6で、ビタCはC6H8O6なので、辛うじてグルコースが微妙に大きいですが)。

しかし、この地球上に最も多く存在する有機物は植物の細胞壁を作るセルロースであり、セルロースグルコースが5000個とかそんぐらいブワァーっとつながりまくったものなので(これももちろん植物やその状態によりますが)、まぁ平均すると、やはりこいつが一番でかいといえましょう。


…と、各分子の大きさ比較というしょうもない導入だけでいい分量になってしまいましたが、まぁこういう点は案外語られておらずイメージももててない人が多いようにも思えたので、実際に自分の口にするものが具体的にどうなっているのか(ミクロのレベルではどんな大きさなのか、みたいな)を理解することは悪くないでしょう、という意図のもと、まとめてみた感じでした。

まぁ、それがイメージできた所で、実際の原子の大きさ(比較ではなく、絶対的なサイズ)なんてあまりに小さすぎて具体的なイメージが浮かぶわけでもないですし、分子が小さかろうがなんだろうがどうでもいいというか、結局食べているものはそれらが大量に集まったものに過ぎないわけですから…
(例えば10グラムの塊を食べた場合、純ビタミンCのサプリなら約300垓個(垓(がい)=京(けい)の次)のビタC分子を飲んだことになる一方、ソーマチンタンパク質だったらその1/100程度の約2垓個のタンパク質分子を食べ、グルコースが5000個つながったセルロースだったら約740京個の食物繊維分子を食べたことになる…という、ただそれだけ。同じ10グラムの塊を食べたことには、何も違いがない)
…大きくても小さくても大して関係ない、って話かもしれないんですけどね。

 

せっかくなので最初の導入として、大きさ以外に名前についても見ておきましょう。

ビタミンはAとかCとか適当すぎる名前が付いているわけですが、これはまだ詳しい分子構造が知られていない頃に、仮の名として付けられたものがそのまま今でも使われている、という形になります。
(個別の名前について、詳しくはおいおいまた見ていきましょう。)

元々はVitamineで、「生きる」「必須」といった意味(vitalとかと同じ語源ですね)のvit(a)-に、アミン(可愛い名前についての記事でみていた、アミノ基をもつ有機化合物)と同じ性質をもつことからamineをくっつけて付けられた名前だったのですが、後にビタミンは必ずしもアミンではないということが明らかになり、「アミンじゃありませんよ」ということをハッキリとさせるべく、Vitaminという末尾のeを抜いたスペルに変更された…という逸話はWikipediaにも記載されていました。

ビタミンの名前といえば、日本語が世界公用語でなかったばっかりに…という残念さの鉄板ネタとして挙げられるのが、オリザニンですね。

実は世界で初めてビタミンを単離したのは鈴木梅太郎さんという偉大な研究者で、当時多くの人(特に軍人など)が悩まされている病気であった脚気を予防すべく米ぬかを研究し、米ぬかの中から現在でいうビタミンB1が有効成分であることを突き止め、これを単離・抽出し、イネの学名Oryza sativaにちなんで、鈴木さんはOrizaninと名付けたのでした。

しかし、発表したのが日本語で発行されている論文であったため、世界的にはこの存在が認められず(認知されず)、翌年、ヨーロッパ各国で研究をしていたカシミール・フンクさんが同じ物質を発見し、Vitamineと名付け、これが世界的に広まっていった…という日本人的にはちょっと残念な歴史があるわけですが、まぁ正直、慣れてしまった今となっては、オリザニンよりビタミンの方が何かカッコいいし、そっちで良かったんちゃいます?って気もしないでもないですね(いやでも、オリザニンCとかも、何か栄養ドリンクっぽくていいかもしれませんが(笑))。

幸いWikipedia英語版にも、ちゃんと「世界で初めてビタミンを単離したのはUmetaro Suzuki」との記述がありますし、名前は普及しなかったけれど、世界的にもSuzukiさんが第一発見者というのはきちんと歴史を知ってる人には知られていると思うので、このエピソードは「発表するなら世界の公用語で」ということをありがたく教わる、いい教訓として活用したい限りですね。

名前が違えど、鈴木梅太郎さんが偉大であったことには何一つ変わりがないですから。


ちなみに脚気といえば、もう一つ有名なのが森鴎外さんに関する話ですね。

こちらはちょっと悪評で有名なわけですが、文筆家であると同時に陸軍軍医でもあった森鴎外さんは、「脚気の原因は断じて栄養ではない。細菌の感染だ」という説を頑として曲げず、「白米だけではなく、ビタミンB1の含まれる麦飯を食べれば予防につながる」ということが知られつつあった中でも麦飯禁止令を出して犠牲を大きくし続けたなどのクズムーブにより(ちなみに、海軍の方は麦飯に肯定的で、陸軍と違い海軍は実際に麦飯を取り入れることで犠牲を減らしたといわれているようですね)、小説家としての高い評価とは異なり、特に医学系界隈の人たちからはボロクソにいわれていることで有名です。

でもまぁしかし、今より色々な知識がまだハッキリしていなかった時代のことですしね、全てにおいて正しい判断ができる人なんていませんから、今の時代から見て明らかにおかしかったとしても、それはやっぱり仕方ないんじゃないかな、なんて個人的には思えます。


あと森鴎外さんは、キラキラネームの先駆けとしても有名だったよな…と思いWikipediaを紐解いてみましたが、まぁ、中々、当時としてはかなりハイカラな、カッコいい名前のお子さん達っすね…!

森鴎外さんのWikipediaより)
於菟(おと)(長男)
茉莉(まり)(長女)
杏奴(あんぬ)(次女)
不律(ふりつ)(二男)
類(るい)(三男)

森鴎外さんって最早教科書に載ってる歴史上の偉人的感じですけど、次女森杏奴さんの長男小堀鴎一郎さんは、国立国際医療センター名誉院長を務められているようですが、今現在もご存命ということで、やはり歴史と人というのは綿々とつながっているものなんだなぁ…と感慨を覚えました(当たり前かもですが)。


ちなみに、読み応えがあったのでついついWikipediaを読みふけってしまいましたが、鴎外さんの2人目の妻・森志げさんの記事がかなりインパクト強くて笑えたので、ビタミンと全く無関係ですけど、引用コピペをさせていただきましょう。

ja.wikipedia.org
冒頭に「美人の誉れ高かったが、世間的には悪妻として有名だった」とあり、そんなこと書く?…と思ったものの、載せられていたエピソードが中々強烈で、1つだけ引用すると…

類の教師から「頭に病気が無い子では類さんが一番できません」と告げられると、志げは酷く嘆き、「頭に病気が有ったらどんなに肩身が広いだろう、病気が有りますように」と念じ、病院の診察で「病気が無い」と言われると、極度の失望から「死なないかなぁ、苦しまずに死なないかなぁ」と漏らした。

…と、これは凄い…!と思わずにはおれない、結構なクズエピですね…。

(でも、確かに、キリッとされた美貌の持ち主ですね。そんなにキツそうな感じには見えませんが…。)

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森鴎外記念館 館報 No.14より

…って、何か森鴎外さん・志げさん夫妻を悪くいうネタになってしまったかもしれませんが、両者の小説は素晴らしい作品との誉れ高いですし、いい所は褒める・悪い所はまぁまぁご愛嬌と笑って流す…みたいな感じで、楽しく平和にいきたい限りです(適当まとめ)。


では次回、ビタミンについてもうちょい詳しく見てみようかと思っています。

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