ダイエット・栄養関連の話で気になったものを見て行くシリーズ、これまでの記事で出てきたネタはまだいくつかあるのですが、前回の「妊娠中、特に重要な栄養素」で挙げられていたものの中に、そんなに気になるものではないものの、「この栄養素は、あなたが思っている作用とは全然違うんです」というタイトルのものがあり、「むむ、どう違うんだ…?」と地味に気になってしまったため、今回はそちらを見てみようかと思います。
それがズバリ、DHAをはじめとする、魚油(フィッシュ・オイル)!
…まぁ「あなたが考えている作用とは違うんです」とか言われても、「別にフィッシュオイルが何してるんだかなんて、そもそも考えたことすらなかったんやが(笑)」としか思えない気もするものの(笑)、まま、DHAといえば、「頭が良くなる」と言われていて、力水にも含まれているアレですね(↓)(そんなまとめ方されるのも、DHAさん的に不本意かもしれませんが(笑))。
まぁ分子的には、これもずーっと前の「楽しい有機化学講座」で見ていた通り、典型的な脂肪酸なわけですけど(↓)…
…果たしてお魚に含まれる脂質はどのような作用がメインなのか、早速クリーブランド・クリニックのまとめ記事を参考にさせていただくといたしましょう。
フィッシュ・オイルの錠剤は、あなたが思っているようなことをしているわけではないのです(Fish Oil Pills Aren’t Doing What You Think They’re Doing)
市販の製品はどんなに良くても役に立たないもので、処方薬の中には不整脈のリスクを高めるものもあります
サプリメントコーナーのスーパースターであるフィッシュオイルは、心臓の健康に様々な効果があると言われています。しかし、本当に誇大広告に見合った効果があるのでしょうか?
フィッシュオイルの錠剤は、どんなに良く見ても健康に役立つことはあまりなく―最悪の場合、脳卒中のリスクを高める可能性があることが判明しました。
予防心臓専門医のルーク・ラフィン医師が、フィッシュオイルサプリメントに関して、事実と虚構とを分けてくださいます。
フィッシュオイルは何をしているものなの?
推進派の方々は、フィッシュオイルは血圧とコレステロール値とを下げることによって、心臓病のリスクを下げることができると主張しています。その理由は、フィッシュオイルのサプリメントはオメガ3脂肪酸を錠剤にしたもので、オメガ3脂肪酸とは、何十年も研究され、心臓の健康に役立つことが証明されてきたものだから、というものです。
オメガ3脂肪酸は、ニシン、天然サーモン、クロマグロ、サバなどの魚に含まれる必須栄養素です。オメガ3脂肪酸は人間の体内で作ることができないため、オメガ3脂肪酸を多く含む魚は健康的な食生活の重要な一部となっているわけです。
「オメガ3脂肪酸を含む魚を多く食べている人々の集団は、心臓病の発症件数が少ないのです」とラフィン医師が言及しています。オメガ3系脂肪酸を1日に1~数グラム摂取すると、以下のような効果があり得ます:
市販の(OTC)フィッシュオイルサプリメントには、低用量(約1グラム)の2種類のオメガ3脂肪酸が含まれています: ドコサヘキサエン酸(DHA)とエイコサペンタエン酸(EPA)です。処方薬として投与されるフィッシュオイルサプリメントには、DHA/EPAのコンボまたは純粋なEPAが約4グラム含まれています。
フィッシュオイルのサプリメントは効果があるの?
市販のフィッシュオイルサプリメントに関して言えば、ひとつだけ警告があります: 市販サプリが心臓血管に良いという確かな証拠は一切ありません。
「魚を食べることによってオメガ3脂肪酸を多く摂取している人は、心血管イベントのリスクが低いことが分かっていますが…」とラフィン医師が語ります、「しかし、市販のフィッシュオイルの用量程度では、研究でその効果が証明されておりません。」既存のデータは単に、十分な説得力がないのです、ともラフィン医師は述べています。
「非常に信頼性の高い組織による非常に大規模な研究がいくつも行われましたが、心血管リスクの減少やその他の健康上の有益性に、特に違いは見られなかったのです。」
処方薬のフィッシュオイルには、特別な懸念あり
処方されるフィッシュオイルに関しては、相反しており、議論の的となっているいくつかの情報を整理する必要があります。
「これは論争の領域となっています」と語るのはラフィン医師。「多くの心臓専門医は、処方フィッシュオイルの効果について、あまり良い証拠は揃っていないという立場をとっています。フィッシュオイル製剤の摂取を強く勧めるためには、もっと多くの研究が必要です。」
ある大規模な研究では、純粋なEPAフィッシュオイル錠剤を摂取したグループは、プラシーボ(偽薬)を摂取したグループに比べて、心血管疾患のリスクを25%減少させたことが示されたものもあります。
これは良いニュースのように思えます。しかし、そのプラシーボは、実は全くプラシーボではなかったのです; それはミネラルオイルであり、ミネラルオイルはその後、炎症を増加させるなど、心臓血管に悪影響を及ぼすことが明らかになったのでした。
「プラシーボが悪い作用をしていれば、薬は良く見えるかもしれませんよね」とラフィン医師が説明しています。
2021年の研究では、高用量のフィッシュオイルは、心血管疾患のリスクが高い方々において、主要心血管イベントを減少させる効果を有しないことが見出されました。この研究は、コレステロールを下げるために既にスタチンを服用している、1万3000人以上の患者を対象として行われました。プラシーボはコーン油で、これはミネラルオイルよりも毒性がないと考えられています。この研究では、以下の事象において、有意な減少は見られませんでした:
- 心臓発作
- 脳卒中
- 死亡
フィッシュオイルは一切何の有益性も示さず、かつ、脳卒中につながる不整脈(不規則な心拍)の一種である心房細動の可能性を高めることが明らかになったため、この研究は早期に終了となりました。
「心臓病のリスクが高い方々は、スタチン以外の優れた治療法があまりないので、場合によっては、純粋なEPAフィッシュオイルの効果が潜在的なリスクを上回ることもあるかもしれません」とラフィン医師が語っています。
フィッシュオイルの副作用
市販サプリメントは、アメリカ食品医薬品局(FDA)の規制を受けていないため、服用には常にリスクが伴います。
「効果が証明されている薬を服用したいものです」とラフィン医師がアドバイスしています。「フィッシュオイルに関しては、良く言っても全く何もしないサプリメントであり、これにお金を払うのは損でしかありません。最悪の場合、悪影響を及ぼすこともあり得ます。」
中には、消費者団体によって検査され、水銀が検出されたフィッシュオイルサプリメントもあります。また、安全で低用量のフィッシュオイルサプリメントでさえ(改めて、これも見分ける方法はありませんが!)、以下を含む不快な副作用があり得ます:
- いわゆる「魚のゲップ」を含む、生臭い後味
- 口臭
- 吐き気
- 胃の不調
高用量の処方フィッシュオイルには、さらなるリスクが伴います:
- 心房細動: 処方のフィッシュオイルは、脳卒中を引き起こす可能性のある不規則な心臓のリズムである、心房細動のリスク増加を伴います。
- 出血: フィッシュオイルは出血のリスクも高め得ます。
心臓病のリスクが高い方は、リスクを下げるための最善の選択肢について、かかりつけの医師に相談しましょう。また、オメガ3脂肪酸の効果を確実なものにしたいのであれば、フィッシュオイルのサプリメントはやめて、代わりに夕食をサーモンにするのが一番です。
…どうやらアメリカでは、「心臓にいいサプリ」として有名なのが、あの黄金色に輝くソフトカプセル入りのFish oilだったんですね。
こないだ貼っていた、食品パッケージの至る所についている「心臓フレンドリー」マーク含め(↓)、アメリカの人は心臓を守ることに関してだけは意識が高いんだと言えましょう。
その筆頭が魚油サプリなんだと思いますが(やけにデカいですし、見た目もゴールドで目立ちますから、本当にサプリコーナーでめちゃくちゃ目に付きます)、けちょんけちょんな言われようでしたねぇ~(笑)。
僕はこのサプリには全く惹かれなかったので、相変わらず健康に関する自分の直感は鋭いと自画自賛したい限りですが、しかし、DHAの「頭が良くなる効果」についても、これまた議題にも挙がらないレベルで眉唾な感じなのかもしれません。
まぁ「神経伝達物質は脂質が重要な構成要素→良質な脂質であるDHAを摂れば、記憶力UP!」みたいな流れで喧伝されてた話だと思いますけど、実際に力水を飲んで頭が良くなった実感など微塵もありませんし、流石にちょっと論理が飛躍しすぎた誇大広告だったとは言えるかもしれないですね(笑)。
とはいえ、おいしい力水を飲んで勉強が捗ったみたいなことはあるかもしれないので、元・力水愛飲ボーイとしては、「いい飲み物だったよ」と肯定的に捉えてあげたい限りです(笑)。
力水はともかく、別においしくも何ともないフィッシュオイルサプリは、まぁラフィン医師がズバリ「金ドブ」と明言している通り、これは飲む必要がなさそうだということが分かって何よりでした。
(これだけボロクソに言われているのに、未だに我が物顔でサプリコーナーの王様気取りで大量に鎮座しているのも謎っちゃ謎ですけどね(笑)。)