前回の「夢の意味」に関する記事内で触れられていた話で、個人的に一番気になったのが、悪夢を繰り返し見る症状の改善のために行われる「イメージトレーニング療法」というもので…
(英語では「rehearsalセラピー」なので素直に訳せば「リハーサル療法」という感じですが、日本語では「トレーニング療法」と表記されることが多いようです)
…記事内で軽く内容にも触れられていましたが、これは面白そうだと思いリンクを開いてみた所、どうもメインはイメトレ療法ではなく、「明晰夢」に関する記事であり、イメトレについては治療法として軽く挙げられているだけの形でした(↓)。
とはいえまぁ明晰夢も気になるっちゃ気になりますし、英語では、リンクカードのタイトルにもあります通り「ルシード(マンダムの商品的にこう呼びたくなりますけど笑、英語の発音的にはルーシッドの方が近いですね)・ドリーム」と呼ばれるこちらを今回は見てみようと思います。
何となく字からも分かるものの、どんな症状なのか詳しく説明しろと言われたら自信もって断言できないような気もしますから、どんなものなのか、イメトレ療法含め参考にさせていただくといたしましょう。
明晰夢とは何か、そしてどうやって見られるものなのか?(What Are Lucid Dreams and How Can You Have Them?)
睡眠の大きな謎のひとつを理解していきましょう
夢はいつの時代も、人間の生活の内、どこか謎めいた部分であり続けてきました。脳が引き起こす幻覚は、どんなに空想的なものであっても現実味を帯び、悲しみから恐怖までさまざまな感情を生み出し得るものです。そしてそれは、明晰夢という概念によって、さらに別のレベルへと進みます。
明晰夢とは、夢の中で、そう、これは夢であって現実ではない、と悟ることであり、人によっては夢の展開に合わせて「筋書き」を変えることができる、夢の現実化という概念なのです。
しかし、そのどこまでが本当で、どこまでが夢そのもののように人間の脳が作り出したものなのでしょうか?睡眠障害の専門家であるアリシア・ロスPhD(博士)に、明晰夢と、夢を見ていると気付いた時に起こっている現実について、話を伺いました。
明晰夢とは何?
「明晰夢の基本的な定義は、夢の中にいる間に、自分が夢を見ているという事実に気が付くことです」とロス博士が語っています。様々な研究から、世界人口の約半数が明晰夢を経験していると推定されています。
夢をコントロールしたり操作したりする能力があると主張する人々については、知られていることがあまりありません。「明晰夢に関する研究は、ほとんどが夢を見ている方々の自己申告に頼っています。明晰夢を測定する客観的な方法はほとんどないのです。」とロス博士が付け加えています。
「明晰夢であれ、普通の夢であれ、悪夢であれ、客観的に測定するのは非常に難しいんですね」とロス博士が続けます。「人がいつレム睡眠に入っているかを知ることができる方法はあります。睡眠ポリグラフやMRIスキャナーで観察すれば、脳の変化を見ることが可能なのです。しかし、研究者にも、いつ夢を見ているのかを正確に知ることさえできていません。」
何が明晰夢を引き起こすの?
改めて、ここでもデータが不足しており、明晰夢がどのようにして起こるのかを正確に解明することは難しいのです、とロス博士が付記しています。しかし、そのほとんどはレム睡眠中に起こります。「レム睡眠は最も鮮明な夢が現れる時であり、」ロス博士が続けます、「また、脳が非常に活発に活動している時でもあるのです。睡眠検査をされたなら、レム睡眠中の脳は、起きているときの活動パターンとよく似ていることが分かりますよ。」
睡眠障害、特にレム睡眠に影響を与える睡眠障害が、明晰夢の頻度に影響を与える可能性はあります。
ある研究では、ナルコレプシー(※日中に異常な眠気をきたす病気)の患者さんは、対照群よりも明晰夢を見る頻度が高いという結果が見出されました。別の報告では、レム睡眠の夢を見ている間に「覚醒方向への脳活動のシフト」が明晰夢への移行を引き起こし、「レム睡眠と覚醒の両方の特徴」を含む「ハイブリッド」な状況を作り出すことが示唆されています。
しかし、今のところ、明晰夢の実際の原因や、なぜ明晰夢を見る人と見ない人がいるのかさえ、未解決のままとなっています。
明晰夢を見る方法
ロス博士が指摘したように、信頼性に欠ける自己申告データの性質を考慮すると、特定の技術がどれほど効果的であるかを実際に知ることは難しいです。しかし、被験者が効果的だったと示唆した、ごく一握りの特定の手法に焦点を当てている研究がいくつか存在します。ただ、話半分で受け止めるようにしてください。
リアリティ・テスト法
リアリティ・テスト法のプロセスでは、起きている間中、周囲の「現実(リアリティ)」を常時テストします。例えば、鏡に映った自分の姿を見たり、固いものを押してみたり、鼻をつまんで呼吸してみたりといったことさえ含まれます。考え方としては、起きている間にこれを十分に行えば、夢の中でも行うようになり、また、夢を見ている状態でこういったテストが違っていることに気付けば、自分が夢を見ていることに気が付くであろう、というものです。
明晰夢のニーモニック(※記憶補助)誘導(Mnemonic induction of lucid dreamsの頭文字を取って、MILD)
MILDアプローチでは、未来に何かをすることを記憶する意思というものを活用します; この場合、夢を見ることです。これは通常、数時間眠った後に目を覚まし、直近の夢を思い出し、そして「次に夢を見るときは、自分が夢を見ていることを認識しよう」という型の命令を暗唱するものになっています。
二度寝(Wake-up-back-to-bedの頭文字を取って、WBTB)
この手法は、典型的にはMILDアプローチと組み合わされ、睡眠妨害が行われます。しばらく眠った後、アラームでわざと目を覚まし、一定時間起きていて、その後また眠りに就くというものです。
外部刺激
他のアプローチでは、レム睡眠中の人に外部刺激を与える装置が用いられます。点滅する光、音、あるいは匂いであることもありますが、その目的は、そういった刺激が睡眠者の夢の中に取り込まれ、明晰夢を引き起こすかどうかを確認することにあります。
明晰夢のメリットは何?
明晰夢研究の他の側面と同様、明晰夢がどれほど有益なものであるかを確認できるデータは限られています。
ダーツを投げることを含む、少なくとも2つの研究で、明晰夢が運動技能に役立つかどうかが調べられました。どちらの研究でも、明晰夢がパフォーマンスを向上可能であると示唆するデータが見出されました。
さらにもう2つの研究が、明晰夢を見る人はより創造的である可能性を示唆しています。
こういった知見はあくまで予備試験的なものであり、具体的な主張をするためには更なる研究が必要ですが、ロス博士が経験的に証明されている明晰夢のメリットは少なくともひとつあります、と指摘しています。
不安や悪夢を和らげる
「ある説では、レム睡眠は脳が自分の人生や一日を自分なりに整理している状態であり、これはちょうど散らかっている仕事机を片付けるようなものだと主張されています」とロス博士が話しています。「脳は、覚えておくべき重要なこととそうではないこととを判別しているのです。そして夢は、脳が物事を整理して配置するプロセスと言えるわけです。」
悪夢は、脳が有害な方法で物事を整理しようとしているときに起こるのです、とロス博士が注釈を加えています。そのパターンを断ち切るための一つの方法が、イメージトレーニング療法と呼ばれる治療法です。
「まず、患者さんが目を覚ましている間に、心地よい誘導イメージを描けるように訓練することから始めます。五感をフルに使って、何か好きなことをする場面を作ることに集中する方法さえもご教示することがありますよ」とロス博士がおっしゃいます。「就寝直前にこれを始めると、時折うまく夢の中に入ってくることもあるんです。」
しかし夜間は、不安な夢の状況や悪夢が起こっている際に、それを認識することにより重点を置いていきます。「患者さんは悪夢の物語を書き出し、その後、それを別の終わり方に書き直すのです」とロス博士がおっしゃっています。「私たちは、夢のホットスポット、つまり夢がおかしくなるポイントを特定し、そこから物語を書き直す手助けをしているわけです。」
患者さんはその後、物語を読み直し、それを視覚化することで、夢のリハーサルを行っていきます。ロス博士によると、患者さんの中には、再記述された物語を、スマートフォンを使って自分でムービーにする方もいらっしゃるそうです。「再記述された夢をリハーサルすることで、有益なやり方で脳を整理することができるわけですね」とロス博士が語っています。
患者さんが夢の中のホットスポットに到達すると、その状況を夢として認識したり、再記述された道筋を辿ったりできるようになるとのことです。
明晰夢は体に悪いの?
改めて、ここでも具体的なデータがないため、明晰夢が本当に人間にとって「有害」かどうかを知るのは難しいです。しかし、明晰夢に入るために睡眠パターンを妨害している方は、睡眠不足になり、注意力、記憶力、ストレスに影響し、高血圧や糖尿病などの問題につながる可能性さえあるかもしれません。
明晰夢は、白昼夢と一瞬ごっちゃになる気もしますが、「明るい時に見る夢」ではなく、単純に「夢の中で明晰な状態=夢と認識できる夢」ってやつですね。
できたら面白そうな気もするものの、何となく「いつか現実とごっちゃになって、現実を夢かのようにコントロールしようとしてしまうのでは…?」と不安にもなりますし、僕自身はあまり自ら深入りしたくなるものでもないかな、って気がします。
イメージトレーニング療法に関しては、結局どういうものなんだ…?という気もしてしまいましたが、まぁ、そんな簡単に分かるようなら医者なんて要らねんだよ、って話かもしれませんし、素人はすっこんでろ、って話なのかもしれません(笑)。
(まぁ、書かれてる通り以外のものじゃないでしょ、って気もしますが、具体的にどんな風にイメージを描くのか気になる、って感じはしちゃいますね。)
しかし、前回の記事のイメトレ療法について語られていた同じ段落に、「誘導イメージ」に関するまた別の記事も目に付いたので、せっかくなので次回はそちらも見てみようかな、と予定しています。