片頭痛の予防薬としても使えるお薬シリーズ、これまでにモノクローナル抗体系(これは、他のグループのものよりは片頭痛予防効果を狙って開発されたものと言えますけどね)、そして主に血圧を下げる意図で使われることの多いβブロッカー、カルシウムチャネル・ブロッカーと来て、前回は抗うつ剤として使われるのがメインといえる、SNRIを見ていました。
今回は次の片頭痛予防薬グループに行こうと思ったのですが、前回のSNRI記事内で、「似てるけど違うもの」としてSSRIというものが挙げられていました。
前回のSNRIは「セロトニン(Serotonin)・ノルアドレナリン(Noradrenaline)の再取り込み(Reuptake)を阻害するもの(Inhibitor)」という分子でしたが、こちらはセロトニン専用ということで、Sのひとつは同じセロトニンであるものの、もう一つが「Selective(選択的)」という語になった、日本語では選択的セロトニン再取り込み阻害薬になる感じですね。
まぁ正直、パッと見ただけで一部コピペすら目立つ、あまりにも似たような記事だったんですけど(ちなみにどちらかといえばSSRIの方が歴史も古いオリジナル分子で、それを改変改良して産み出されたのがSNRIといえるため、むしろ前回の記事がパクリなんですどね(笑)。URLも、前回が通し番号24797だったのに対し、今回のはすぐ前に作られた記事であろう、24795でした)、せっかくなので今回はこちらを参考にさせていただくといたしましょう。
完全なる水増し記事ですね(笑)。
SSRI(Selective Serotonin Reuptake Inhibitors; 選択的セロトニン再取り込み阻害薬)
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は、うつ病、不安障害、および過食症を含む、種々の症状の治療に役立つ、FDA承認済みの薬です。この薬は、脳内の特定の化学情報伝達物質を活性のある状態に保つことで作用します。最も一般的に処方される抗うつ薬の1つです。
概要
SSRIとは何?
SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)は抗うつ薬の一種で、主にうつ症状の治療に役立つものです。医療従事者は、この薬を、他の症状に対しても処方することがあります。
抗うつ薬にはいくつかの異なるクラスが存在します。SSRIは、他の抗うつ薬と比較して一般的に副作用が少なく、また重篤にもなりにくいため、医療従事者が通常、うつ病に対して最初に処方する選択肢となっています。
SSRIにはどんな種類があるの?
現在、アメリカで医療従事者が処方しているSSRI(およびその商品名)には、以下のものが含まれます:
- シタロプラム(セレクサ®)
- エスシタロプラム(レクサプロ®)
- フルオキセチン(プロザック®)
- フルボキサミン(ルボックス®)
- パロキセチン(パキシル、ペクセバ®)
- セルトラリン(ゾロフト®)
- ビラゾドン(ビブライド®)
SSRIはどんな疾患の治療に役立つの?
SSRIはアメリカ食品医薬品局(FDA)により、以下の疾患の治療薬として承認されています:
- 臨床うつ病(大うつ病性障害)
- 全般性不安障害(GAD)
- 神経性過食症
- 双極性障害の抑うつ発作
- 強迫性障害(OCD)
- パニック障害
- 月経前不快気分障害(PMDD)
- 心的外傷後ストレス障害(PTSD)
- 社会不安障害(社会恐怖症)
医療従事者は時に、SSRIを他の疾患に対して処方することがあります。これは適応外、すなわちFDA非承認状態における薬の使用とみなされます。適応外使用の例としては、以下が含まれます:
- 過食性障害
- 身体醜形障害
- 慢性骨盤痛症候群
- 関節リウマチ
- 早漏
SSRIはどのくらい一般的?
SSRIは非常に一般的な処方薬です。アメリカでは10人に1人以上が抗うつ薬を服用しており、SSRIは最もよく処方されるタイプの抗うつ薬になっています。
最もポピュラーなSSRIは何?
フルオキセチン(プロザック®)が、恐らく最も有名なSSRIでしょう。
手順の詳細
SSRIはどう作用するの?
SSRIは、脳内のセロトニン濃度を増加させることで作用します。セロトニンは、気分、食欲、睡眠、記憶、社会的行動、および性欲の調節に重要な役割を果たしている、神経伝達物質(化学的な情報伝達物質)です。
セロトニンは情報を伝達した後、通常、脳の神経細胞によって再吸収されます(再取り込みと呼ばれます)。その名前―選択的セロトニン再取り込み阻害薬―が示すように、SSRIは再取り込みをブロック(阻害)することで作用しています。つまり、脳内でより多くのセロトニンがアクティブな状態であり続けるということです。
他のクラスの抗うつ薬とは異なり、SSRIはドーパミンやノルエピネフリンといった他の神経伝達物質にはほとんど作用しません。SSRIが他の抗うつ薬に比べて副作用が少ないのはこのためかもしれませんね。
SNRIとSSRIの違いは何?
SSRIはセロトニンの再取り込みを阻害することにより作用し、脳内のセロトニン濃度を増加させます。一方SNRI(セロトニン・ノルエピネフリン再取り込み阻害薬)は、セロトニンとノルエピネフリンの両方の再取り込みを阻害することで作用します。これにより、脳内のセロトニンとノルエピネフリンのレベルが上昇するのです。
SNRIとSSRIは作用が異なるため、副作用も異なります。しかし、どちらもうつ症状の治療には効果的です。
SSRIはどうやって服用するの?
SSRIは錠剤やカプセルや液剤を含む、様々な形で経口(口から)摂取することが可能です。通常、1日1回服用します。かかりつけの医療従事者が一定の量を処方し、服用の指示を出してくれます。
リスク/メリット
SSRIの副作用は何?
SSRIの各タイプやブランドにはそれぞれ固有の副作用があります。注意すべき副作用の可能性について、必ずかかりつけの医療従事者や薬剤師に相談するようにしてください。
一般的に、SSRIのよくある副作用には以下が含まれます:
- 性機能障害(オーガズムに達しにくい)
- 頭痛
- 睡眠障害
- 体重変化
- 不安症の悪化
- めまい
- 吐き気や嘔吐のような胃腸障害
- 口の渇き(口腔乾燥症)
SSRIのリスクや合併症は何?
SSRIに関連する、可能性のある合併症には以下が含まれます:
SSRIの過剰摂取や毒性は珍しいもので、死に至ることは非常に稀です。薬は常に処方された通りに服用してください。
自殺念慮または自殺行動
子供、ティーンエイジャー、および25歳未満の成人の場合、SSRIを服用すると、特に初めて服用する際や異なる用量を摂取する際に、自殺念慮や自殺行動が増加することがあるかもしれません。
ご自身やお子様が自殺念慮や自殺行動を起こした場合は、直ちに薬を処方した医療従事者に連絡してください。電話で988をダイヤルすれば、自殺・危機管理ライフラインにつながります。
(※注:もちろんこれはアメリカの場合で、日本だと厚労省協賛の「#いのちSOS」0120-061-338などがあるようです。)
セロトニン症候群
セロトニン症候群とは、体内のセロトニンが多すぎるために生じる、生命を脅かす可能性のある薬物反応です。
セロトニン症候群は、SSRIを新たに服用したり、用量を増やしたりした場合に起こることがあり得ます。しかしこの症状は、MAOIやリネゾリドなど、セロトニン濃度を上昇させる他の薬剤に加えてSSRIを服用した場合に起こることが最も多いです。
新しい薬の服用を開始する前に、現在服用している薬やサプリメントを必ずかかりつけの医療従事者に伝えるようにしてください。こういった措置はセロトニン症候群の予防に役立ちます。
セロトニン症候群の症状には以下が含まれます:
- 神経過敏
- 吐き気と嘔吐
- 下痢
- 瞳孔散大
- 引きつり、不随意収縮、痙攣や硬直といった、筋肉の問題
- 発汗および震え
- 眼球振とう
重篤な症状には以下が含まれます:
- 錯乱またはせん妄(精神状態の変化)
- 心拍数の急上昇(頻脈)
- 高血圧
- 発熱
- 脳卒中などの発作
- 意識喪失
このような症状がある場合は、直ちに医療機関を受診してください。セロトニン症候群は、すぐに治療しないと命に関わることがあります。
SSRI離脱症状とは何?
SSRIの「離脱症状」は、実際には抗うつ薬中止症候群 と呼ばれています。少なくとも6週間SSRIを服用していた場合、突然服用を中止すると起こる可能性があるものです。
抗うつ薬中止症候群の症状には以下が含まれます:
- 疲労、頭痛、痛み、発汗といった、インフルエンザ様症状
- 不眠症
- 吐き気
- めまいやふらつき
- 灼熱感、ヒリヒリ感、「ブーン」という感じ、または軽い電気ショックなどといった、感覚の問題
- 不安、イライラ、焦燥感
こういった症状は通常軽度ですが、不快な場合もあります。医療従事者に相談することなくSSRIの服用を中止しては絶対にいけません。抗うつ薬の服用を中止する最も安全な方法は、かかりつけの医療従事者の指導のもと、ゆっくりと止めていくことです。
抗うつ薬は中毒性の薬ではないため、抗うつ薬中止症候群は、厳密には離脱症状ではありません。オピオイド、アルコール、あるいはニコチンといった他の物質のように、抗うつ薬に生理的に依存するということはあり得ないのです。
回復と見通し
SSRIはどのくらいで効果が出るの?
通常、SSRIの効果が十分に感じられ、症状の改善が認められるまでには6~8週間程度かかることがあるかもしれません。この期間を過ぎても症状が改善されない場合は、かかりつけの医療従事者にご相談ください。
いつ医師に連絡するか
いつ医療機関に連絡すべき?
効果がどの程度あるのかを評価するためにSSRIを服用している間は、かかりつけの医療従事者と定期的な面談をする必要があります。
それ以外の場合は、以下のようなことが見られた際に、かかりつけの医師に相談してください:
- 煩わしい副作用が現れた場合
- 症状が改善しない、または悪化した場合
- 服薬の中止を考えている場合
救急医療を受けるべきなのはどんな時?
セロトニン症候群の症状がある場合、または自殺念慮がある場合は、911に電話するか、最寄りの救急治療室に行ってください。
その他の詳細
SSRI服用中に飲酒していいの?
医療従事者は一般的に、SSRIを含むあらゆる種類の抗うつ薬を服用している間の飲酒を推奨していません。これは、アルコール(抑制物質)が抗うつ薬の効果を打ち消し、うつ症状を悪化させる可能性があるからです。
飲酒習慣を変えることに不安がある場合は、かかりつけの医療従事者にご相談しください。
ポストSSRI(=SSRI後)の性機能障害とは何?
ポストSSRI性機能障害(PSSD)とは、SSRIの使用を中止した後に、性機能障害の副作用が続く状態のことです。これは比較的新しい知見であり、研究者がその原因やどの程度一般的なことかについて、まだ解明を試みている最中です。
一般的なPSSDの症状は以下が含まれます:
- 外陰部や陰茎の痛み、圧迫感、触覚の減少または消失(性器麻痺)
- 性的快感の喪失、または弱いオーガズム
- 性欲減退
- 勃起不全
クリーブランド・クリニックからのメモ
SSRIは、うつ病やその他の症状の治療に役立ち得る、一般的な処方薬です。ご自身に最適なSNRIや抗うつ薬を見つけるには時間がかかることがあります。不安や質問があれば、かかりつけの医療従事者に相談してください。必ず助けになってくれますよ。
ほぼ、最後の追加質問コーナーで、飲酒と服用後の性機能障害の可能性について追加されているだけでしたね。
まとめる側としては、ほぼ前回の記事まんまでありがたい限りでした(笑)。
アメリカで最も人気なのはフルオキセチン(商品名:プロザック®)とのことでしたが、こちらは日本では未承認なので、その下にいた、こちらは日本でも承認されているフルボキサミン(商品名:ルボックス®)の構造をアイキャッチ画像用にウィッキー先生からお借りさせていただきましょう。
…まぁ、やっぱり日本語の響き的には、できれば「フルボクサミン」という表記にして欲しかったところですけど(笑)、そんな中学生レベルの下ネタでキャッキャするのはともかく、SSRIはその他の分子を見ても、フッ素元素・F(フッ素化合物は英語で「フルオロ…」なので、「フル」で始まる名前が多い感じですね)が含まれるのが目立つ気がしました。
だからどうということもないですが、前回の記事で、「セロトニン専用のSSRIよりセロトニンにもノルアドレナリンにも効果があるSNRIの方が効果的と思いきや、特にそういうわけでもない」とあったように、今でも普通にSNRIよりSSRIの方が使われることも多い感じですね。
そもそも、生体分子というのは絶対に「0か1か」という作用はあり得なく、ちょうど解説記事前半にもそんな感じのことが記述されていた通り、あくまで「セロトニン以外にはあまり作用しない」であり「完全にセロトニンのみ、他のものには一切作用しない」というわけではありませんから、あくまでも程度問題で、SNRIもSSRIも、この辺の神経伝達物質の再取り込みを阻害するという意味ではまぁそこまでハッキリした違いもないものといえるように思います。
(もちろん比べたら、SNRIの方が、SSRIよりもノルアドレナリンの再取り込みブロック効果が如実に高いのは間違いないはずですけどね。)
これも記事にあった通り、(概ね)セロトニンにしか効かないけれど、それは同時に「副作用が小さい」とも言えますから、やはり自分に合った薬を探すのが一番大切といえるのかもしれませんね。