何だかすっかり難病をチェックして一人で勝手にブルブル震え上がる謎のブログになってしまっていますが(笑)、てんかんの薬が(片頭痛の予防にも使えるけれど、副作用として)SJSことスティーブンス・ジョンソン・シンドローム、そしてループス(SLE)こと全身性エリテマトーデスという難病を引き起こす可能性がある…という話を皮切りに、前回は、レイノー症候群というこれ自体はそこまで深刻な症状ではないものの、手先足先が変色することもある結構ビックリしそうな症状を紹介していましたが、今回も1つ、レイノー症候群記事で「レイノーを引き起こす可能性のある疾患」として挙げられていたものの中にまたまた名前を聞いたことのない初耳の疾患があったため、こちらについて知っておこうかなと思った次第です。
実は見知らぬカタカナ名の疾病は2つ挙げられていたのですが、今回は順番に、レイノーを引き起こす可能性のある疾患の筆頭として最初に挙げられていた(まぁ順番はあまり関係ないと思いますけどね)、バージャー病というものから見ていこうと思います。
リンクカードのサムネにも表示されている通り、こちらも何気に指の色が変わってしまい得るものなんですね。
早速参りましょう。
バージャー病(Buerger’s Disease)
バージャー病(閉塞性血栓血管炎とも)は、喫煙者に最も多く見られる、稀な病気です。脚、腕、足、手の血管が炎症を起こすことで、血液が通りにくくなります。血栓は問題を悪化させ、痛みや組織の損傷につながってしまいます。症状を改善する最善の方法は、禁煙です。
概要
バージャー病とは何?
バージャー病(閉塞性血栓血管炎)は、腕、脚、手指やつま先の血管に起こる、稀な病気です。血管に炎症が起こると血液が流れにくくなります。血栓が形成されることがありますが、これは血管内に障害物を産出するものです。その結果として、痛みや組織の損傷が手足の指から始まり、それが腕や足にまで広がることがあり得ます。
バージャー病はどのくらい一般的なの?
喫煙者の減少につれて、バージャー病は稀な疾患となっています。アメリカでは10万人中12~20人しか発症していません。タバコの使用量が多い他の国では、バージャー病の患者が多くなっています。
バージャー病では、血管の炎症によって手指、つま先、腕、および脚の血流が制限されます。 (※Artery;動脈、Poor blood flow;血流の悪化、Sore;ただれ、Low oxygen;低酸素などが図示され、右下には血管炎症(Blood vessel inflammation)による血流の制限(Constricted)が描かれています。)
症状と原因
バージャー病の症状は何?
バージャー病の初期徴候には、脚や腕の激しい痛みが含まれます。この痛みは、体が休んでいるときに起こるものです。
バージャー病の症状は、時間をかけてゆっくりと進行します。症状には以下が含まれます:
- 手や足の痛み(灼熱感やヒリヒリ感)
- つま先や指のただれ
- 歩行時の足首、足または脚の痛み
- レイノー症候群
- 皮膚の色や質感の変化
その他のバージャー病の症状は、発症後しばらくしてから現れる可能性があります。それには以下が含まれます:
- 筋肉のけいれん
- 血管内の血栓
- 手足の指が赤くなったり、青くなったり、青白くなったりする
- 手足の冷えやしびれ
- 壊疽
- 皮膚潰瘍
バージャー病の原因は何?
バージャー病の原因は分かっていませんが、専門家はタバコに含まれる何かが血管の内膜を傷つけるのではないかと考えています。バージャー病に罹るほとんどの方はタバコを使用しています。
遺伝子によってバージャー病になりやすいということもあるかもしれません。自己免疫疾患と考える専門家も中にはいます。
バージャー病の危険因子は何?
バージャー病の危険因子には以下が含まれます:
- タバコを吸う、噛みタバコをする、またはマリファナを使用する。
- 自分でタバコを作る。
- 男性であること、または出生時に男性に割り当てられた方。
- 20~45歳であること。
バージャー病の合併症は何?
バージャー病(閉塞性血栓血管炎)の稀な合併症・併発事項には以下が含まれます:
- 脳卒中
- 心臓発作
- 一過性脳虚血発作
- つま先や指の除去(切断)
- 腸の血管の問題
- 神経系の問題
診断と検査
バージャー病はどう診断されるの?
かかりつけの医療従事者が、以下の結果を考慮することでしょう:
- 身体検査
- 病歴
- 血管検査
- 尿検査
どんな検査でバージャー病を診断するの?
かかりつけの医療従事者が、以下の検査で血管を見ることが可能です:
- 超音波検査
- 足関節上腕血圧比(ABI)
- コンピュータ断層撮影(CT)
- 血管造影
- 磁気共鳴血管造影(MRA)
管理と治療
バージャー病はどうやって治療されるの?
バージャー病を根治する方法はありませんが、全てのタバコ、マリファナ、ニコチン製品の使用をやめることが、バージャー病を悪化させないための最善の方法になります。医療機関は、副流煙(他人からの煙)を避けることも推奨しています。
1日1本のタバコを吸うだけでも、病気は悪化し続ける可能性があります。
バージャー病の人が喫煙をやめると、症状は通常、快方へ向かいます。人によっては、喫煙をやめると病気が寛解する(症状がなくなる)こともあります。
特定の薬がバージャー病の症状を改善可能です。
バージャー病にはどんな薬が使われるの?
バージャー病の治療には、以下のような薬が役立ちます:
バージャー病にはどんな治療法が使われるの?
以下の方法で、バージャー病の症状を緩和できるかもしれません:
- 運動
- 腕や脚の圧迫療法
- 疼痛や血流改善のための手術
- 脊髄への刺激
- 感染症や壊疽が起きた際の、手指や足指の切除
治療法の合併症/副作用
禁煙に副作用は存在しません。多くの点で健康が改善されます。
全ての薬には副作用の可能性があり、それは薬によって異なります。かかりつけの医療従事者が、ご自身にとって最良の薬を慎重に検討してくれることでしょう。
指やつま先を切断すると、腫れ、痛み、または感染症が生じる可能性があります。
脊髄刺激療法には、以下を含む種々のリスクが存在します:
- 神経損傷
- 脊髄性頭痛
- 刺激装置による問題
予防
バージャー病のリスクを下げるにはどうすれば良い?
バージャー病にならないために、タバコおよびあらゆるタバコ製品を吸わないようにしましょう。ニコチンパッチやマリファナも避けるべきです。
見通し/予後
バージャー病に罹かったら何が考えられる?
バージャー病には根治法が存在しないため、タバコを吸う限り症状が出続けることになります。薬や手術も必要になるでしょう。しかし、禁煙すれば、症状を改善させることが可能です。
バージャー病はどのくらい続くの?
症状は一度に1~4週間続きますが、通常は再発します。全てのタバコ製品、ニコチン、およびマリファナをやめることが、バージャー病の症状を抑える最善の方法です。
バージャー病の見通し
バージャー病の根治法はありませんが、悪化させないためにタバコ製品の使用をやめることは可能です。タバコ製品を使い続けると、症状を改善するために、薬や場合によっては手術が必要になります。症状が本当に酷くなってしまうと、つま先や指を1本かそれ以上切除する必要が出てくるかもしれません。
受け入れる
どうセルフケアすれば良い?
バージャー病が悪化しないようにできる最善のことは、あらゆる種類のタバコの使用をやめることです。ニコチンパッチやマリファナも、バージャー病の持続や悪化を招く可能性があるため、避けるべきです。
タバコを使い続けるバージャー病患者さんの約50%は、最終的に指やつま先を除去(切断)する必要に見舞われます。禁煙したバージャー病患者さんは、ほとんど切断を必要としません。
その他の推奨事項には以下が含まれます:
- 血管を引き締めたり、血液を固まらせたりする薬は飲まない。
- 寒さを避ける。
- 患部の腕や脚を怪我から守る。
- 医療機関から処方された薬は飲み続ける。
いつ医療機関を受診すべき?
バージャー病の症状がある場合、または症状が悪化した場合は、医療機関の助けを求めてください。もしバージャー病であれば、かかりつけの医療機関で定期的な検査を受ける必要があります。
いつERに行くべき?
心臓発作や脳卒中を起こしたと思ったら、911に電話してください(※注:今さらの話で当然ですが、日本なら119番ですね)。また、バージャー病が腸に影響を及ぼしている場合や、感染症によって医療機関で手足の指を切除する必要がある場合は、緊急手術が必要になる可能性があります。
担当医にはどんな質問をすべき?
- 禁煙だけで私の症状は治まりますか?
- 禁煙を手伝っていただけますか?
- 禁煙の支援団体はありますか?
- 私にとって最善の治療法は何ですか?
その他のよくある質問
バージャー病とレイノー病の違いは何?
レイノー病やレイノー症候群は、バージャー病の症状のひとつです。レイノー病では、寒さを感じたり、ストレスがかかったりすることで、つま先や指の血管がつぶれてしまいます。血管を通る血液が不足するため、皮膚が白や青に変色します。数分から数時間後、皮膚は赤くなって、しびれたり、ヒリヒリしたりします。
単純に手を温めたり、手袋をはめたり、温かい靴下を履いたりするだけで、この症状は和らげることが可能です。バージャー病は痛みを伴い、レイノー病よりも多くの症状を有します。
クリーブランド・クリニックからのメモ
バージャー病は、手指、足指、腕、脚の血管に起こる、稀な病気です。症状に合わせて薬を服用することもできますが、バージャー病の最善の治療法は禁煙することです。バージャー病のほとんどの方は、禁煙すると症状が緩和されます。かかりつけの医療従事者に禁煙を手伝ってもらい、より快適になりましょう。
ボリュームの違いか、はたまた記事を執筆された方の力量の違いなのか、何となく前回のレイノー症候群の方がより「怖いなぁ」と思えましたけど(最後の追加質問にもあった通り、レイノー症はバージャー病の症状の1つに過ぎないので、そんなわけはないんですけどね(笑))、何気に日本でも指定難病に定められている、大変に恐ろしい病気ですね(ウィキペディアでは、バージャー病ではなく、より一般名といえる閉塞性血栓性血管炎(TAO)という名前の記事になっていました)。
レイノーとは打って変わって、こちらは圧倒的大多数が男性に発症するものということで気を付けたい限りですけど、幸いにして僕は非喫煙者なので、まぁ多分大丈夫なのかな、という気がします。
とはいえ非喫煙者でも原因不明で突然罹ることもあるのが希少難病の怖さですから、油断はしないようにしたい限りです(まぁ、油断しなかったら罹らない、ってもんでもないですけどね(笑))。