人類の敵、嫌われ者……ヒスタミンとは?

いつの間にか始まっていた神経伝達物質に親しもうシリーズ、四大幸福物質のドーパミンセロトニンオキシトシンエンドルフィンを経て、アドレナリンノルアドレナリンの兄弟分子まで見ていました。

 

まぁ正直「もうえぇぞ…」と思えるワンパターンの極みだと、まとめてて自分でも感じるレベルなのですが(笑)、時間もネタも不足していることもあり、せっかくなのでもう少し他の有名神経伝達物質の、医療機関によるしっかりした解説を紹介させていただくといたしましょう。

 

今回は、記事タイトルにも挙げました、どっかで聞いたことのある気がするヒスタミン

 

今までの神経伝達物質は、幸せな気分になったりやる気になったりと、出せば出すほど嬉しくなるものばかりでしたが(まぁどれも、本当に過剰分泌になるとそれはそれで良くない…というのも、記事でまとめられていた通りですけどね)、今回のヒスカスは、何やら良くない方で聞くことが多い気がしますね…。

 

網羅的な解説なので、あまり日常的で分かりやすい説明ではないかもしれませんが、早速見ていきましょう、今回も元ネタはこちら、クリーブランド・クリニックのHEALTH LIBRARYからですね(↓)。

 

my.clevelandclinic.org

 

Histamine(ヒスタミン

ヒスタミンは、免疫系で放出される化学物質です。主にアレルギー症状を引き起こすことで知られています。しかし、ヒスタミンには他にも重要な働きがあり、例えば睡眠と覚醒のサイクルや、認知機能を調節する働きがあります。抗ヒスタミン薬は、ヒスタミンレベルを制御することができる一般的な薬です。

 

ヒスタミンとは何か?

ヒスタミンは、免疫系が異なる細胞間に情報を送るために分泌する、シグナル性の化学物質です。ヒスタミンにはいくつかの機能がありますが、主にアレルギーやアナフィラキシー症状を引き起こす役割の方が知られています。

アレルギーとは、異物であるタンパク質に対する体の反応のことです。通常、これらのタンパク質(アレルゲン)は無害です。しかし、特定のタンパク質にアレルギーを持っていると、そのタンパク質が体内に存在することに対して、免疫系が過剰に反応してしまいます。

一連の反応によりヒスタミンが分泌され、これがアレルギー症状を引き起こすのです。これらの症状は通常、身体の一部分に限定されています。もしも免疫反応が酷い場合はアナフィラキシーを引き起こし、これは全身の大部分に影響を及ぼします。アナフィラキシーショックは生命を脅かすものです。

体内のヒスタミンは主に組織内の肥満細胞(マスト細胞)と血液中の好塩基球に貯蔵されています。肥満細胞は白血球の一種であり、特に以下のような全身の結合組織に存在します:

  • 皮膚の下
  • 血管やリンパ管の近く
  • 神経内部
  • 肺や腸の中

好塩基球は白血球の一種です。

 

ヒスタミンは何をしているの?

ヒスタミンは無数の身体機能を調節し、身体の炎症反応において重要な役割を果たしています。ヒスタミンがもたらす作用は、どのヒスタミン受容体に結合するかによって決まります。研究により、4種類のヒスタミン受容体が同定されています。

 

H1受容体

神経細胞(脳細胞)、気道や血管の平滑筋細胞など、全身にわたってH1受容体が存在します。H1受容体が活性化すると、よく知られているアレルギーやアナフィラキシーの症状が起こります。以下のような症状を引き起こします:

  • 皮膚のかゆみ(皮膚掻痒症)
  • 血管の拡張
  • 血圧の低下
  • 心拍数の増加(頻脈)
  • 顔面紅潮
  • 気道の狭窄(気管支収縮)
  • 疼痛
  • 血管壁を通る体液の移動(血管透過性)

これらの身体的変化の一部は、くしゃみ、鼻づまり、鼻水(鼻漏)を引き起こします。

アレルギー反応以外でも、H1受容体は以下のような調節に役立っています:

  • 睡眠・覚醒サイクル
  • 食物の摂取
  • 体温
  • 情緒
  • 記憶
  • 学習

 

H2受容体

H2受容体は主に胃酸を分泌する胃の細胞、平滑筋細胞、心臓細胞に存在します。

H2受容体が活性化すると、以下のことにつながります:

  • 胃酸が分泌し、消化が進む
  • 気道の粘液腺の刺激
  • 血管透過性
  • 低血圧
  • 顔面紅潮
  • 頭痛
  • 頻脈
  • 気管支収縮

 

H3受容体

H3受容体は主に血液脳関門(BBB)の機能に関与しています。この受容体は中枢神経系の神経細胞に見られます。H3受容体はヒスタミンと、ドーパミン、ノルエピネフリンアセチルコリンのような神経伝達物質の分泌を調節しています。

研究者は現在、神経変性疾患の治療に使われる可能性のある、H3受容体拮抗薬(アンタゴニスト)の研究を行っています。

 

H4受容体

H4受容体は、骨髄と造血細胞(あらゆる種類の血液細胞に分化できる、未成熟な細胞)に存在します。特定の血液細胞の形成に関与しています。

また、炎症性疾患や自己免疫疾患においても重要な役割を果たしています。

 

ヒスタミンが悪さをして生じる症状は何?

ヒスタミンは、以下のような種々のアレルギー症状に対して、中心的な役割を果たしています:

  • アトピー性皮膚炎(湿疹)
  • ポイズン・アイビー(触るとかぶれるツタ・ウルシ)、香料、金属(ニッケルなど)、防腐剤などとの接触によって起こり得る、接触性皮膚炎
  • 花粉、ペットのフケ、ダニ、カビ、ゴキブリなどが原因で起こり得る、アレルギー性鼻炎(花粉症)
  • アレルギー性喘息アレルギー性鼻炎と同じアレルゲンが、アレルギー性喘息を誘発することがあります。
  • アレルギー性結膜炎。アレルゲンによって目の結膜が腫れたり炎症を起こしたりした際に発症します。

 

ヒスタミン不耐症とは?

ヒスタミン不耐症は、体内のヒスタミン濃度が高い場合に起こります。体内でヒスタミンが適切に分解されない場合に起こり得るものです。以下のような様々な症状を引き起こします:

  • 頭痛または片頭痛
  • 鼻詰まり
  • 疲労
  • 蕁麻疹
  • 消化器系の問題
  • 生理不順

 

ヒスタミンを体外に排出するには?

医療機関は、体内のヒスタミンレベルを管理するために、以下の薬を推奨または処方しています:

  • H1抗ヒスタミン: 花粉やペットのフケによって引き起こされるアレルギー症状の治療によく使われる薬です。H1受容体をブロックすることで効果を発揮します。抗ヒスタミン薬には処方薬と市販薬(OTC)があります。錠剤、液剤、クリーム、点眼薬など、様々な形態があります。
  • H2抗ヒスタミン: H2抗ヒスタミン薬は、消化性潰瘍、胃食道逆流症(GERD)、消化不良(ディスペプシア)といった消化器系疾患の治療に役立ちます。胃酸分泌の引き金となるH2受容体をブロックすることによって、胃酸分泌を抑制してくれます。
  • 副腎皮質ステロイドステロイドヒスタミンやアレルギーの炎症作用に効果があります。例えば、喘息の治療や予防に役立つ吸入薬の多くには、ステロイド薬が含まれています。
  • エピネフリン注射: この注射は、重度のアレルギー反応(アナフィラキシー)や突然の喘息発作を治療します。エピネフリンは気道を広げ、血圧を上昇させてくれます。
  • 特定のサプリメント: ビタミンC、銅、および/またはビタミンB6のサプリメントヒスタミンレベルを低下させる可能性があるという研究報告が存在します。サプリメントを摂り始める前に、かかりつけの医師に相談してください。

 

ヒスタミンの症状について、いつ医療機関を受診すべき?

もし季節性アレルギーやアレルギー反応の徴候が現れたら、特に症状が日常生活に影響を及ぼしている場合、かかりつけの医療機関にご相談ください。アレルギー検査を行い、治療法を提案してくれます。また、ヒスタミン不耐症の症状がある場合も、医療機関を受診してください。

 

クリーブランド・クリニックからのメモ

ヒスタミンは、睡眠・覚醒のサイクルや認知機能など、正常な身体機能の調節に重要な役割を果たしている一方、無害なアレルゲンに対して身体が過剰に反応してしまった際、大混乱を引き起こすこともあります。アレルギーが日常生活に影響を及ぼしている場合は、医療機関を受診しましょう。アレルギーを特定するための検査を行い、薬を処方してくれます。

 

…というわけで、ズバリ、ちょうどシーズンは多少過ぎた時期かもしれませんが、花粉症なんかでおなじみ、アレルギー反応を引き起こすクズとして有名なのが、このヒスタミンなんですね~。

 

とはいえまぁ、あくまで免疫系が過剰に反応してしまったことが原因といえますから、ヒスタミン自体はこれも適切な量であれば睡眠制御や情緒の安定など、生きるために重要な生体コントロールをしてくれている、大切な神経伝達物質でもあるのです。

 

例によってどんなブツなのか、いわゆる分子構造ですが、これは極めて単純な、こんな感じになっています。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒスタミンより

まさに花粉(=精子=オタマジャクシ)みてぇな形じゃねぇか!

(名前が似ていることからも分かる通り、これはアミノ酸の一種「ヒスチジン」が変形することで(=脱炭酸、CO2が取れるだけ)作られる物質になっています。)


見てるだけで痒くなってきますけど(いや流石にそんなこたぁないですけど(笑))、これはもう言うまでもなく、サプリメントや薬で摂取されるのは、これまでの神経伝達物質とは真逆の「ブロッカー」であり、具体的には↑のクリ・クリ記事にもありました通り、ヒスタミンの受容体をふさぐことで、ヒスタミンからの神経シグナルが次の神経へと伝わらないようにしてアレルギー反応を防ぐ…という仕組みのものですね。

 

ドパドパ分泌させて幸せな気分になるべく、積極的に摂り込む他の幸福物質とは真逆で何とも可哀想ではあるものの、まぁ花粉症に悩む方からしたらこの世から絶滅して欲しい分子No.1といえるかもしれません。

(とはいえ改めて、ヒスタミン自体は普通の量であれば生きるのに重要な役割を果たしてくれている物質なので、本来絶滅して欲しいのは花粉そのものではあるわけですけど、まぁヒスタミンがそこまで過剰反応さえしなければ別に花粉症にはならないので、やっぱりこいつが悪者ではありますね(笑)。)

 

僕は幸い花粉症ではないので(アメリカにはほとんど(少なくとも日本ほどは)飛んでないというのが理由として大きいですが)、治療法について詳しいことは分からないため、具体的に述べることは控えるものの、上記ヒスタミン受容体ブロッカーやステロイドも大変効果的と聞きますし、症状が酷い方は自分に合った薬が見つかるよう、色々試してみるのもいいかもしれません。


そんなわけで今回はヒスタミンでした、次回ももう少し神経伝達物質を見てみようかなと思います。

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