世界で最も信頼できる医療機関のひとつ、クリーブランド・クリニックが掲載してくれておりますヘルスケア記事を勝手に翻訳引用しているシリーズ、三大幸福物質のドーパミン、セロトニン、オキシトシンを経て、前回は第四の幸福物質といわれる(こともある)エンドルフィンの記事をお借りしていました。
ここまで来たらせっかくなので…という感じで、宣言通りもう少しクリ・クリのHEALTH LIBRARYから神経伝達物質・ホルモンの話をピックさせていただくといたしましょう。
今回目をつけたのは、似たような文脈で、興奮しているときに「〇〇が全開だ!」みたいな形でよく使われる物質……まぁドーパミンも結構聞く気はしますけどそれ以上に耳にする気がする、一番代表的な神経伝達物質といえるのではないでしょうか、ズバリ、アドレナリンですね!
まぁアドレナリンは以前、楽しい有機化学講座でドーパミンと一緒に簡単に触れたことがあったとともに(↓)……
…「アドレナリン」は、医学系の文脈、特にアメリカでは「エピネフリン」と呼ばれているため、HEALTH LIBRARYの項目一覧のアルファベットを選ぶところから「E」の項目をクリックしたのに、なんと、見つかりませんでした…!
「え?アドレナリンがないなんてあり得なくない?」と思ったのですが、念のため「A」をクリックしたらちゃんといてくれましたね……医学系(=「エピネフリン」呼びが多い)でかつアメリカ英語なのに「Adrenaline」という表記を使ってくれているとは、流石は俺たちのクリ・クリだぜ!!
そう、アドレナリンという名前は、日本の偉人伝でよく語られることもある高峰譲吉さんと助手の上中啓三さんが世界で初めて結晶化に成功し、「アドレナリン」という名前を付けたのですが、その後、同時期に別の生物から同じ物質を単離し、「エピネフリン」と名付けたアメリカの研究者が「俺が先に発見した、高峰はパクリだ!」と主張し、その後の調査で高峰・上中コンビの正当な功績であることは公に認められたはずですけど、アメリカでは未だにその名残なのか、アドレナリンではなくエピネフリンと呼ばれている……という流れがあるようで、アメリカでは医学界隈のみならず生命科学・生化学系でも「Epinephrine」が主流だったように記憶しています。
その辺の経緯については、ウィキペディア「アドレナリン」記事の#歴史の項に詳しく書かれていたためそちらをご覧いただければと思いますが…
…まぁアドレナリンそのものについても、普通にウィッキー先生の方が詳しく書かれてるまであるかもしれないんですけど(笑)、やはり(特に医学的見地に関する)情報の正確性・信頼度は我らがクリ・クリ記事の方が上であるため、改めてこちらを紹介させていただくといたしましょう。
ウィ記事を引っ張ったついでに、アイキャッチ用に分子構造の画像だけペタッと貼っておこうと思います。
今回紹介させていただくクリーブランド・クリニック記事はこちらですね(↓)。
早速参りましょう。
Adrenaline(アドレナリン)
アドレナリン(エピネフリン)は、ストレス過多あるいは危険な状況に備えるために、副腎(adrenal glands)が作るホルモンです。アドレナリンラッシュとは、アドレナリンが血液中に急激に分泌されることを意味しています。これにより、身体は「闘争か逃走か(fight or flight)」反応に備えることができるのです。
概要
アドレナリンとは何か?
アドレナリン(エピネフリン)とは、副腎から血流を介して送られるホルモンです。突然恐怖を感じたりストレスを感じたりすると、アドレナリンが素早く体内に送り込まれます。これは非常に速く起こるため、一般にアドレナリン・ラッシュという呼び名で知られています。「闘争か逃走か」という言葉を聞いたことがあるのではないでしょうか。アドレナリンは、危険と戦うか逃げるかの準備を体にさせる物質なのです。
アドレナリンに関連する病気はある?
副腎からアドレナリン(エピネフリン)やノルエピネフリンが過剰に分泌されると、褐色細胞腫による高血圧を引き起こし得ます。この細胞は、手術で取り除くことができる腫瘍です。高血圧だからといって、腫瘍があるとは限りません。逆にそれは稀です。かかりつけの医療機関で、血液検査や画像診断によって腫瘍の有無を調べることが可能となっています。
褐色細胞腫の症状は何?
褐色細胞腫の症状には、以下のようなものが含まれます:
- 高血圧
- 酷い頭痛
- 立ち上がったときのふらつき
- 大量の発汗
- 速い脈拍
アドレナリンが体に害を及ぼすことはある?
アドレナリンは、危険な状況での反応を助けるという目的で働いています。しかし、体にとって役に立たない場合もままあります。ニコチンはアドレナリンを分泌させますが、これにより心臓の鼓動は早くなり、血圧が上昇します。高血圧は、心臓に余計な負荷をかけるので良くありません。
不安がパニック発作を引き起こすと、身体は自分が危険な状態にあると思い、アドレナリンを分泌します。このような発作は、毎回体にストレスを与え、心臓に余計な負荷を与えます。
アドレナリンをコントロールするには?
恐怖、不安、またはパニック発作が身体にアドレナリンを分泌させているときに、それを打ち負かす方法を知っておくとよいですね。以下のようなことをして、気持ちを落ち着かせましょう:
- 深く呼吸する。
- 自然を散歩する。
- 瞑想アプリや心を落ち着かせる音楽を聴く。
- 友人や親戚と話す。
上記のような方法を試したのに効果がないこともある場合は、医療機関を予約してください。不安感を制御し、パニック発作のリスクを減らす方法を教えくれますよ。
機能
アドレナリンは何をしているの?
アドレナリンは副腎で合成され、ストレスや危険に見舞われた際にそこから体内に分泌されます。アドレナリンは、ストレスフルな「闘争か逃走か」の状況に直面したときに、身体に準備をさせるのです。
アドレナリンラッシュの症状は何?
アドレナリンが血液中に放出された際は、以下のような反応が起こります:
- 心臓の鼓動が速くなる。
- 呼吸が速くなる。
- 消化が遅くなることで、消化器官が通常使用する血液を他の筋肉が使用できるようにする。
- 強い警戒態勢に入る。
どのような活動がアドレナリンラッシュを引き起こすの?
危険で冒険的な活動やエクストリームスポーツは、アドレナリンラッシュを引き起こし得ます。
これには以下のようなものが含まれます:
また、以下のような事象から、想定外のアドレナリンラッシュを得る可能性もあります:
- パニック発作
- 交通事故
- 恐怖体験
解剖学的知見
人間には副腎が2つあります。それぞれ、2つある腎臓のすぐ上に位置しています。副腎はアドレナリンホルモンを作り、血流に送り込みます。
クリーブランド・クリニックからのメモ
副腎から分泌されるホルモンであるアドレナリンには、目的があります。身体に一時的な変化を起こすことで、危険な状況に立ち向かうのを助けてくれるのです。「闘争か逃走か」反応の一環として、心拍と呼吸が速くなります。これは、危険な状況にあるときには正常なことですが、危険な状況とは無関係にアドレナリン・ラッシュが起きるような場合は、かかりつけの医療従事者に相談するようにしてください。
…今までよりも若干あっさりめの解説でしたが、まぁ「臨戦態勢・興奮状態に入った時にドバドバ出ている物質」という、それ以上でもそれ以下でもないということですね。
(なお、英語では明らかなのですが、ウィキペディアにもその旨が書かれていた通り、「副腎」という器官が英語で「アドレナル・グランズ」(gland=腺)と呼ばれるので、アドレナリンってのは「副腎で作られるホルモン」という意味の名前になっている…というのは豆知識として知っておいてもいいかもしれません。)
しかし、実はアドレナリンといえば、名前もそっくりなノルアドレナリンという物質も存在するのでした。
解説記事中にもチラッと出ていましたが、アドレナリンとノルアドレナリンの違いとは…?
例によって、次回持ち越しで記事を水増しさせていただきましょう…!(笑)