温めた方がモノは溶けやすそうだけど…

前回はスプレー缶が(特に空になる瞬間に)冷えるという例から、気体の「圧力と温度」の関係(…と思いきや、何気にこれは「体積と温度」の方が正確でしたが)について見ていました。

 

そっから気体の状態方程式の話なんかもしていましたけど、まぁこれは高校の理論化学で一番特訓させられる範囲の話で、それなりにややっこしい計算も絡んでくる難所であり、特に深入りも不要と思いますが、一点だけ補足で触れておくと…

 

状態方程式は「PV=nRT」というやつでしたが、これはつまり、体積 (V)、気体の分子数 (n)、温度 (T)が決まれば、自動的に必ず圧力 (P)も1つの値に定まるということで…

(まぁもちろん、別に圧力が未知である必要はなく、「圧力・分子数・温度が定まれば、その容器の体積が求まる」ともいえますけど、まぁ体積・分子数・温度は計測が容易(気体の分子数はそうでもないかもしれないものの…)なので、「圧力を求めたい」って場面がやっぱり割と多いのではないか、って気がする感じですね)

…これは逆にいえば、気体が作る圧力は、その3要素のみで決まるといえますから、時間や場所は一切関係なく…

(例えば「昔はこの暑さの日に、この量の酸素をこの容器に入れたら○気圧になっていたのに、最近は…」とか、「東京より高緯度のニューヨークで測った方が、同じ量・大きさ・温度の気体でも、圧力は小さくなる」みたいな話は絶対にないということ…もちろん後者つまり場所の違いは、あくまでも「温度が同じなら」という条件が付きますけどね)

…まぁ同じ気体の性質が時間や場所で変わるなんて普通に考えてないと思えますけど、極めて重要なポイントとして、この式には「何の気体か」ということが全く登場してこないといえるんですね…!

 

つまり、「1兆分子の酸素を1リットルの容器に入れて、25℃の部屋に置く」のと、「1兆分子のヘリウムガスを1リットルの容器に入れて、25℃の部屋に置く」場合とは、全然違う性質の気体なのに、容器内の圧力は完全に同じ値になる、という話になってるんですねぇ~。


…とはいえ厳密にいうと、これは「理想気体の状態方程式」と呼ばれている通り…


…その「理想気体」というのは名前の通り、現実の条件を無視した、想像上の理想の気体を考えたものであり(物理でよくある「ただし摩擦はないものとする」とか「棒の重さは考えないこととする」みたいなのと同じですね)、具体的には「分子の大きさはないものとし、分子間力は働かないものとする」みたいな条件込みなので(参考:Wikipediaの記事(↓))…

ja.wikipedia.org

…厳密にいうと、酸素とヘリウム…に限らず、水素も二酸化炭素も、同じ条件で作る圧力は微妙に異なるわけですけど、よっぽど極端な条件でなければ(分子間力の存在が主に理想状態から遠ざかってしまう条件なので、分子間力の働き辛い、気体分子が希薄に飛んでいる条件=低圧・体積大・分子数少・高温であればあるほど)、ほぼ理論通りの計算結果に一致する、って感じですね。

 

言うまでもなく、高校化学とかですと、「各分子は完全に理想気体として振る舞うものとする」という条件で計算をしていく感じです。

 

せっかくなので具体的に求めてみると、改めて窒素だろうがネオンだろうがメタンガスだろうが何の気体でもいいのですが、例えば、

「27℃の部屋に置かれた3ミリリットルの小型容器に、6000京個の分子が含まれている」

…という場合、単位に注意して…

(27℃=300 K、3ミリリットル=0.003 L、6000京個=6×1019個=約0.0001 mol)

 

P × 0.003 = 0.0001 × 0.082 × 300

⇔ P =0.82 (atm)


…となりますから、0.82気圧、分かりやすい単位(言う程全然分かりやすくないですけど(笑))でいうと、約830 hPaということで、親指大の大きさの容器に6000京個の気体分子が入っている快適な気温の気体が作る圧力は、約830 hPaという一般的な平地の気圧と比べたら超低気圧な感じだといえるわけですね。


この容器に、この1/4の量である1500京個の別の気体(もちろん同じ気体でもいいですけど)を加えたら、圧力は当然25%増えて、約1038 hPaになりますから、これだと一般的な気圧よりちょっと高気圧になる感じでしょうか。


まぁそんなこと言われても数がでかすぎて何のイメージもできませんが、大体親指ぐらいの大きさの空間に、大体7400京個ぐらい気体が存在しているのが普段我々の生活している大気の中の分子数だということが分かる、って感じですね…!


また、気体の性質的には、温度が上がると状態方程式を見ても分かる通り、圧力も上がることになるわけですが…

(他の条件は変わらないとすると、右辺が大きくなったら左辺も大きくなるので。あるいはシャルルの法則、「V/T=一定」の方が明快かもですが)

…しかし、マクロのレベルで地球規模の気象を考えた場合、もっと別の要因(上昇気流の発生とか、空気の密度変化とか)により、実は夏や南国トロピカル地域の方が気圧が低いというのは、以前見ていた通りでした(↓の記事など)。

con-cats.hatenablog.com

…といったところで、状態方程式について補足しておこうと思った点に触れてみた感じです。


この辺の話は正直、面倒な計算はともかく、イメージとしては案外直感にのっとってくれているので(温度を上げたら気体分子はより暴れて圧力が上がるとか)、個人的には初めて習ったときも、それなりに分かりやすい関係式ばかりだった印象があります。


(先ほどは触れませんでしたが、「別の気体を混ぜた場合、圧力は単純に足される」(6000京個の窒素分子入りの容器に、1500京個の酸素分子を加えたら、830+207.5=1037.5 hPaとなる)という話も、当たり前のようにそうしちゃいましたが、これは実は「ドルトンの分圧の法則」として習う話になっています。

…が、ぶっちゃけあまりにも当たり前すぎて「そんなもん仮にドルトンが発見してなくても、ワイでも発見できたわ(笑)」と思えた記憶がありますね(笑))

 

そんなわけで基本的にはイメージ通りの印象の多い気体に関する法則・関係式なのですが、初めて習ったときに「へぇ~そうなんだ、意外っ!」と思ったことをハッキリ覚えているものが1つありました。


それがズバリ、気体の溶解度


そもそも気体を液体に溶かすということ自体があまりイメージ湧き辛いんですけど、まぁどうやら溶かすことができるとして、気体の溶解度とその時の条件についての関係についてですね。

まず、例によって気体といえば圧力ですけど、気体の溶解度は、圧力が高いほど……まぁこれは何気にイメージ通りでして、強い圧力で気体を液体に押さえつければつけるほど水にガスが溶け込んでいくのは容易に想像できますから、これはズバリ、「高圧ほど気体の溶解度は大きくなる」んですね。


そしてこの話にも仰々しく発見者の名前が付いており、「ヘンリーの法則」として、高校化学でも習うやつになっています。

 

ja.wikipedia.org

これも「いや当たり前すぎる(笑)。こんなのに自分の名前残して、恥ずかしくないの?ヘンリー(笑)」と、まぁこちらはそこまでは思わなかった気もしますけど(笑)、分圧の法則もヘンリーの法則も直感通りでクソみたいに簡単なので、バカにしつつも受験生的にはありがたかったものです。

 

しかし問題は温度の方で、ズバリ、気体の溶解度は、温度を上げると……まぁ話の流れ的に、直感とは逆の方になるに決まってるんですけど、やっぱり、モノを溶かす場合、砂糖や塩…はあんまり意識しないかもしれないものの、コーヒーやココアを思い浮かべれば絶対にそう思えるといえましょう、何事も、温度が高い方がモノはよく溶けるに決まってますよね?


ところが気体の溶解度はまさかの全く逆で、一般的に、温度が低くなるほど溶解度が大きくなるんですねぇ~。

 

「ふぇ~意外!」と思えたものの、僕の高校の化学の先生はマジで分かりやすい説明に定評があって、

「お前ら、炭酸水思い浮かべてみろよ。冷えてる方がシュワッとしてて、ぬるくなったコーラなんて気が抜けてるだろ?

 気体の溶解度は、温度が低いほど大きくなるのは当たり前ってことだな」

…という説明をくれて、「確かに!気体の二酸化炭素が溶けた炭酸水は、よく冷えてるほどめっちゃ炭酸が強いな!」と心から納得がいったものです。

 

とはいえ冷静に考えると分子レベルの挙動を考えればこれも当たり前の話で、結局分子というのは熱運動のレベルが固体→液体→気体の順に大きくなるものですから…

固体を液体に溶かす際は、熱運動レベルがアップする変化=高温ほど溶けやすくなるといえるものの、気体を液体に溶かすのは、熱運動を下げるような変化になっているので、低温ほど溶けやすい……言い換えれば、温度が高ければ高いほど、分子は我慢できず気体となって逃げていってしまう…

…というのは普通に当然の話なんですけど、高校の頃はそこまで頭が回らず、ノートに「炭酸は冷えてるほどシュワっとしてるから、気体の溶解度は温度が低いほど大きい」とメモって最後まで覚えていた感じでした。

 

まぁ覚え方はともかく、一般的には気体の溶解度は温度が低いほど大きくなるわけですけど、何気に固体でも、実は温度が低いほど溶解度が大きくなる物質もあるように、例外的に温度が高いほど溶解度の大きくなる気体も存在する感じではあるようです。


固体の方は、その「逆パターン」の物質として、有名所では水酸化カルシウムなんかがありますけど、これは結局水に溶かした際に発生する水和熱が発熱か吸熱かによって決まるものであり、「分子の熱運動が大きくなって固体でつながってたものが液体に、液体でつながってたものは完全に自由な気体に」ってのはあくまでイメージにすぎず、詳しい反応機構を考える必要がある、ってことなんですね。


(ちなみに気体の溶解度の方は、具体的にこちら大阪教育大学の基本化学解説記事なんかで挙げられていましたが(↓)…

www.osaka-kyoiku.ac.jp

…水素やヘリウムなどの小さな分子の気体が、特にかなり高温になると関係が逆転するようで(ただし、こいつらも、低温帯では普通に温度が低いほど溶解度が大きい)、同じ分子でも温度帯によって挙動が変わるものなんですね!全く知りませんでした。)


…とはいえ気体の溶解度なんて、正直日常生活では炭酸水ぐらいでしかお目にかかりませんし、「冷えるとシュワッ」と覚えときゃ全く問題ないように思えます(笑)。

(そもそもそんなこと言ったら、別に気体の溶解度の挙動なんて覚える必要一切ありませんけど(笑))

 

ってな所で、今回も微妙な脱線ネタで時間切れとなってしまいました。

まぁこの辺も触れたいなと思っていたので、消化できて良かったです。

 

アイキャッチ画像は……炭酸水に関しては、幼い頃の悔しい思い出があるというのは以前の記事(↓)で書いていた通りですが…

con-cats.hatenablog.com

…ってまぁ、「小学校の理科実験で試し飲みできた炭酸水を、カッコつけて『ふ~ん、興味ないね』とスルーして後悔」という全くしょうもないクソみたいな話ですけど(笑)、そんな憧れの炭酸水、人気ランキング(↓)を見てみたら…

ranking.net

堂々の第一位はそんな炭酸水と縁のない男である僕でも名前は聞いたことのある、アサヒのウィルキンソンでした。

 

その栄誉を讃え、ウィルキンソンの画像をアイキャッチとして使わせていただきましょう。

https://www.asahiinryo.co.jp/products/carbonated/wilkinson_tansan/より

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