冷凍庫を閉めて、すぐに開けると…?

圧力シリーズのまとめに入りながらまたちょこちょこと脱線している所ですが、少々時間がないこともあり(最近ずっとそれしか言ってませんが(笑))、軽い小ネタを挟んで少しずつ歩を進めて行こうかと思います。

 

こないだの圧力まとめシリーズからここしばらくは、基本的に気体の分子数を変えることで圧力を変化させる…という話を見ていました。


まぁどっちもあんまり日常生活では馴染みがない気もするものの、吸引機(掃除機もその一種ですね)で、ある空間に含まれる空気分子を吸い出して減らしたり(部屋の方が低圧になる=部屋の中の粒子を外に漏らしたくない、危険物取扱いブースとかで採用)、逆に空気のスプレーとか、送風機みたいなもので空気を送り込んでやれば、空気分子を増やすことで部屋を加圧してやることも可能(部屋の中から外という気流を作ることで部屋をキレイに保ちたい、クリーンルームなどで採用)という話ですね。

 

とある空間(部屋でも、袋の中とかでもペットボトルとかでも、何か一定の容器によって囲まれている空間ですね)の中には通常気体の分子が大量に含まれており、これを増やせば圧力は当然高くなるし、減らせば圧力も小さくなり、完全に気体分子をその空間から取り除いたら真空になるということでした。


これは、まぁ「気体は目に見えないため、想像するしかない」という問題はあれど、理屈の上では非常に分かりやすい話になっていると思います。

 

ある部屋の中で、例えば1兆個の気体分子が1気圧を作っているとしたら(まぁ、よっぽど小さい部屋でもない限り、実際はどう考えてももっと大量に分子は存在しますけど、あくまで例え話ですね)、半分の5000億個を掃除機で吸い取って部屋から追い出してやればその部屋の気圧は0.5気圧になりますし、逆に、空気を送り込んで3兆個の気体分子が存在するようになったら、その部屋は3気圧になるという、分子数と気圧の間には極めて分かりやすい、完全比例関係があります。

半分の分子数しかなければ「壁を押す力」は半分になるし、3倍の分子数があれば当然押す力は3倍になる、まあまあ当たり前といえましょう。


しかし、圧力を決定するのは気体の分子数のみではなく実はまだまだ因子がありまして、それがズバリ、温度体積になるんですね。

 

実は、(大して詳しくは触れていなかったものの)これについては既にこないだ触れたことがあって(検索し直してみたら、この2記事(↓)でした)…

 

con-cats.hatenablog.com

con-cats.hatenablog.com

…それが、高校化学で習う、「ボイルの法則」と「シャルルの法則」というものであり、まぁ用語とか式で表すのとかはどうでもいいので無視するとして、これまた話としては非常に分かりやすいもので…

  • 体積が大きくなると圧力は小さくなる

  • 温度が大きくなると圧力も大きくなる

…という関係になっており、これは非常にイメージがしやすいものではないかと思います。


改めて、圧力というのは気体の分子が飛び回って、その空間を作っている壁を押すことで生まれる力になりますから、体積が大きくなる=空間が大きくなると、壁を押すチャンスが減ることになるわけで、その分当然、気体の作る圧力は小さくなるんですね。

(多分逆の方がイメージしやすく、体積を小さくする=容器が小さくなると、その中で跳ね返りまくっている気体の分子は当然、よりガンガン壁に当たるようになりますよね?

 なので、体積が小さくなると、圧力が大きくなるわけです。

…って、別にあんまりイメージしやすくなるわけでもなかったかもですが(笑))

 

一方、温度が大きくなると、分子の熱運動が盛んになりますから、より早くビュンビュン飛ぶようになり、当然、壁にぶつかる力が大きくなりますから、その気体が形成する圧力も大きくなるといえるわけです。

 

これは本当に完全に直感通りといいますか、理屈の上でも経験的にも納得できる大変分かりやすい話になっており、しかも、式で考えても非っ常~に分かりやすい関係になっていまして…

先ほど「分子数を2倍にしたら圧力も2倍になる」と書いていましたが、体積や温度も全く同じで、体積を3倍にしたら圧力は1/3倍になりますし温度を2倍にしたら圧力も全く同じように2倍になります。

 

…って、「『温度が2倍』って何だよ、20℃って10℃の2倍暑いっていえるんか…?」と思われるかもしれませんが、これは微妙にそういうわけではないんですね。


これは高校化学で習う概念で、こないだダイヤモンドの記事(↓)で一瞬触れてた感じですが…

 

con-cats.hatenablog.com

我々が普段使っている「摂氏温度」は、「水の融点を0℃・沸点を100℃とし、その間を百等分」という分かりやすい&日常生活で扱いやすいものなのですが、分かりやすい代償として化学の計算には不向きでして、「5℃が10℃の半分の熱さ」つまり、分子の運動に着目した場合、「5℃の分子は10℃の分子の半分の速さで運動」という関係にはなっていません。


その比例関係を成り立たせるためには、いわゆる「絶対温度」(単位:K (ケルビン))を使う必要があるんですね!


ただ、Kと℃の関係は極めて単純でして、0 K=マイナス約273℃で、当然、273 K=0℃となる、純粋に「K = ℃ - 273」という計算で変換可能な関係になっています。


なので当然、300 Kの部屋を600 Kにまで暖めたら、その時その部屋の圧力は2倍になるといえるんですけど(絶対温度が2倍になってるので)、これを摂氏温度に直すと、「27℃の部屋を327℃にする」ということになりますから、これは相当な温度変化といえましょう。

つまり、体積を2倍(これは普通に、1リットルが2リットルで2倍ですね)にするのよりも「温度を2倍にする」ってのは地味に(我々の日常世界の温度を基準に考えると)物凄いエネルギーが必要で、これは裏を返せば、圧力に変化を与える上で、温度変化が与える影響は微弱、っていえる感じなわけですね!

 

(もちろん、5 Kが10 Kになったら温度2倍ですけど、これは-268℃が-263℃になるという変化ですから、元の数字が小さい条件ですと、低温すぎて通常ありえない温度になっている、といえる感じになります。

 日常世界の環境だと、やはり300 K前後のものが主流ですから、それが10K(10℃)上がったところで、倍率変化としてはごく小さくなるんですね。)

 

とはいえ、温度の変化も圧力に影響を与えるのは間違いなく、実は日常生活でも、それを実感できる場面があるっちゃあるといえるのです。

 

それがズバリ、記事タイトルにもしてみました、「冷凍庫を開けて、しばらく色々作業して閉めたあと、即また開ける」って状況ですね!

 

とはいえ、家庭用の小さい冷凍庫だと、そこまで空気の寒暖差が生まれないかもしれず、「よっぽど長いこと開けっ放しにして、冷凍庫の中の温度が上がってしまった」状況でしか経験できないかもしれないので、中のものが溶けてしまうかもしれませんし実験するのをオススメはしませんが、例えば僕のいる生命科学系の研究室では、「ディープフリーザー」と呼ばれる、-80℃で試薬や実験サンプルを保存するけったいな冷凍庫を使っています。

(ちなみに、一般家庭の冷凍庫は、大体-20℃程度ですね。)

 

これぐらいの強力な冷凍庫ですと、開けて、試薬ボックスから目的のものを取り出し、すぐ閉めたつもりでも結構内部の空気は一時的に温度が上がってしまい、フリーザーを閉じて、「あ、あの試薬取るの忘れた!」と思ってすぐに開けようとしても、なんと、フリーザーの扉がしばらく全く開けられない状況になるんですね!

 

これはなぜかといいますと、まず、試薬を取り出すためにフリーザーを開けると、普段ずっと-80℃だったフリーザー内の空気に、室温=20℃とかの外気がどんどん入り込でいきます。

で、フリーザーを閉めると、その閉じ込められた外気は、フリーザー内部の冷気によって、一気に急激に冷やされます。

そうすると、気体の「温度と圧力」の関係により、温度が下がると圧力も下がりますから、暖かかった空気の温度が急激に下がる=冷凍庫内部の圧力が急激に低下する=外開きのドアが、圧力差によって、内側に向かって強烈に引っ張られているといえる状態になるからなんですね!

 

まぁ「温度と圧力」というか、モノが冷えると「キュッ」と縮こまるのは一般的な常識としてイメージできると思うんですけど、個人的にはまさにその感じで、暖かい空気が一気に冷やされて「キュッ」と縮こまることで、内部の空間がギュッと押さえ込まれる=空間全体が縮こまるような感じで、ドアが内側に強く引っ張られる…というような絵面を頭に浮かべてますけど、とはいえこれはあくまでイメージであり、「気体が縮こまる=体積が小さくなる」と考えてしまうと全く逆の関係(体積低下=圧力上昇)になってしまいますから、やはり「温度低下=圧力低下」と考えるのが適切といえるかもしれません。


まぁ考え方のイメージはともかく、冗談抜きに、しばらく開けて閉じたばかりのディープフリーザーは凄まじい陰圧で引っ張られて、全体重をかけて扉を開けようとしてもマジでビクともしないんですけど、それは圧力差によって発生することなわけですね。

ただ、家庭用の冷凍庫だと、そこまでの圧力差が発生することは稀かもしれません。

(温度差があまり生じないのもそうですが、あと、そういう業務用のフリーザーより、家庭用のものは扉と本体の間のシーリングなんかも厳密じゃなさそうですしね。

 でも、「開けられない」まではなくとも、結構長時間開ける→閉める→割とすぐに開けようとする…というステップを踏むと、内部の暖気が一気にキュッと縮こまる結果、開ける際に普段よりも結構な抵抗を感じるのではないかと思います。

 改めて、中のものも悪くなるかもしれませんし、そんなこと試してみるのをオススメはしませんが(笑))

 

と、またちょっと時間がなさすぎたのでそんなちょいネタに触れただけで終わりとなってしまいますが、次回は体積も絡めた話をちょろっと見ていこうかと思っています(言う程大したネタもなさそうなんですけどね)。

 

アイキャッチ画像は、その「ディープフリーザー」は大体こんなものです、ということを示すべく、検索したらヒットしてきた、日本フリーザー社のそれっぽいものをお借りさせていただきましょう。

www.nihon-freezer.co.jp

https://www.nihon-freezer.co.jp/products/tank2.htmlより

正直あんまり高解像度の写真じゃなかったですが(笑)、まぁどんな感じかは伝わるかと思います。

(縦置き型の他に、扉が上開きの積み込み型とかもありますが、やっぱり縦置きの方がメジャーですね。

 ちなみに、日本にいた頃は「ディープフリーザー」と呼んでいましたが、英語だとあんまりそう呼ぶ人はおらず、基本的に全員「minus eighty(マイナス・エイティー)」と呼んでいます(わざわざ「freezer」まではつけず)。

 ネイティブの学生の中には「negative eighty(ネガティブ・エイティー)」と呼ぶ人もいましたが、最初何て言ってるか全く分からず、何度も聞き直しまた記憶があります(笑))


画像のように、大抵の場合左手側にハンドルがついていて、前面は全体(ファンのある最下部を除き)が扉であり、最近のやつにはこの製品のように温度管理のモニターとかもついていますけど(貴重なサンプルを置くことが多いので、アラームとか温度管理も徹底されています)、こういうやつを開けて、十数秒程度でも色々やった後閉じると、まぁ大体30秒~1分ぐらいはマジで、どう頑張っても開けられない状態になる感じです。

そのために、空気開放用のコック(=空気を内部に入れて、圧力差を戻す)が横についていることも多いですが、まぁあんまり温かい空気をフリーザー内部に送り込むのも嫌ですし、圧力が安定するまで待たなければいけない感じですね。

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