前回の記事で触れていたご質問はまだまだ途中状態だったので、早速続きに参りましょう。
改めて、こちらはアンさんよりいただいていたご質問から抜粋させていただいている形です。
毎度、話の広がるとてもナイスなご指摘ご疑問、誠に深謝の至りにございます!
素粒子が自己同一性をもたないから、その実験をすればその結果になるということはわかりました。(これって、区別できない人が実験をするから判定不能なんだとしてもそういう問題ではなく、実は1:(0.5:0.5):1になっているとかそういう考え方すらも存在しない、みたいなことなんですかね?←読み返してみたら、自分でも何言ってるかわかりませんけど笑、伝わりますか?)
⇒引き続き素粒子の不思議な動態についてに関するご質問ですが、こちらは難しいポイントですね。
そもそも普通の確率論的な話が成り立たない話なので、数字で考えるのも無理があるのですが、例の電光掲示板の光(この記事(↓)で見ていた話ですね)において、2箇所から移動してきたものが同じ1つの電球を灯している瞬間の状況を考えて…
「この光のうち、どの部分が上にある電球から来た光由来で、どの部分が下の電球から来た光由来か?」
…と考えるのが無意味というか不可能であるのと同じで、Aの箱Bの箱に分かれた素粒子を、どちらがどちらか考えること自体が不可能になっている…という話であるため、「1:(0.5:0.5):1になっている…」みたいな考え方も、言わんとされることは分かるものの、まぁそう考えるのも無理がある話になってる、って感じでしょうか。
本当に、量子力学は、専門に進むのでもなければ、「深く考えたら負け」といえるぐらいかもしれません(笑)。
では次の段落に参りましょう。
電光掲示板の説明も、「素粒子はそういうものなんか…光とかも区別できんしね、ようわからんけど、素粒子なんか小さそうやし、そういうのもあるんかもね」くらいで、無理矢理納得することもできます。
ただ、それで何がどうなって…というところには繋がっていかないです。
「水素の陽子とヘリウムの陽子は同じ」の「同じ」が、自己同一性をもたない「同じ」だから、何がどうなんでしょう?
(それでもやっぱりリンクは読めないですけど笑)
⇒これは結局、前回見ていた話に帰着するポイントといえそうですね。
「素粒子は、神視点であっても区別がつかない物質になっている。
だから、いわゆる量子力学という学問分野でしばしば展開される、巨視的な物質では決して見られない非常に不思議な性質・挙動を示すことにつながるのだ」
…ってのが、まぁ「だから何なん?」と問われたときに、上手くかわすための回答と言えそうですけれども、結局そもそもずっと言ってる「量子力学」って何だよ、って話だったかもしれませんが(笑)、これは簡単に言えば、アインシュタインさんあたりが中心になって発展させた学問分野で……
詳しくはやはり↑のウィ記事などをご参照いただくのがベストに思いますけれども、一言でいえば…
「物質をめちゃくちゃ細かいレベルで観測できるようになった結果、ニュートン以来発展し続けてきた一般的な力学では説明つかない事象が出てきてしまった。
その矛盾を上手に説明するために、偉い人が必死で考えて作り出した理論体系が、量子力学」
…と、全然一言じゃなかったですが(笑)、まぁそんな感じの話で、さらに簡潔に言えば、「クッソ難しい」の一言に尽きる感じですね(笑)。
まさに、本業の物理学者たちが、解釈違いから猫の生死がどうちゃら言って争い出すぐらい(笑)、天才たちでも頭の中でイメージするのが極めて困難な話だといえるように思えます。
それでは続いて、また別のタイミングでいただいていたコメントを紹介させていただきましょう。
今回のこちらは、記事のミスをご指摘いただけたものになります!
『元々の余計な中性子は、電気を失うことで陽子に変換される…』という、水素がヘリウムになるというお話、前にも触れましたが、これは面白いなぁと思って記憶にもあったはずなのに、“三重水素”に惑わされて、「電子は3個でプラス2だから水素の中性子は通常1個で…(と思い込んで笑)、1個は陽子に変わるから、結局陽子2個と中性子2個なら普通のヘリウムじゃん?!あれ?なんかおかしい…!」となって、まぁ過去記事を読んでみたらすぐに気付いたには気付いたのですが、、
ちなみに、重水素「2H」やトリチウムが放射線をぶっぱした成れの果ての「3He」は、地球上での存在比こそメチャクチャ少ないものの物質的には安定した原子であり、こいつらは放射能をもちません(=自己崩壊することはない)。
逆に「3He」や「32P」は不安定で、既に何度も書いている通り放射線を発射しながら事故崩壊して安定状態に落ち着くため、こいつらは(先ほども既に書いていましたが)「放射性同位体」と呼ばれている形になります。
↑過去記事
これって合ってます??
3Heは恐らく安定で、不安定なのは3Hなのでは…?とか、、安定ってなんやねん!と思ってるくせに、そんなこと考えてるのも笑えますが、これ間違えてたらまた0からですね笑
…と、ここで引用されていたのは、この記事(↓)で…
初稿では「3Heは…安定した原子であり…」という話をしていた直後に「3Heは不安定で…」となっている文、おかしいにも程がありすぎたわけですけど(笑)、普通に再読チェックした際も気付かず、ミスのままになっていました(笑)。
このコメントをいただいて、「不安定な原子の例として、放射性同位体は他にいくらでもあるのに、何でよりにもよって安定同位体である『3He』を挙げてしまったのだろう(笑)」と思い、しれっと放射性同位体のヘリウムである「5He」に直しておいたのですが、何気にこれは、アンさんがコメントでご指摘していただけていた通り、「3H」と書くつもりで間違えて「e」を付けてしまった…というミスであったと考えるのが自然ですね。
そんなわけで、「5He」にしれっと訂正しておいたのですが、それもやっぱり変な例なので(ヘリウム・ファイブなんてマイナーな放射性同位体すぎるので)、さらに再度しれっと、「3H」に訂正させていただきました(笑)。
しかし、その後よく読んでみたら、そもそももっととんでもない間違いが放置されていたことに気付いたのです…!
ズバリ、そのトリチウムこと三重水素「3H」がベータ崩壊して生じる原子は、まさにアンさんもその旨書かれているとおり、「陽子1・中性子3」の中性子1つが陽子に変わるのですから、「陽子2・中性子2」で、質量数は合計4の、普通のヘリウム「4He」になるんですよね!!
地味に、この初出記事のみならず、確認してみたらその後何記事かで、ずーっと
「トリチウムがベータ崩壊を起こしたら、安定的なヘリウム・スリー(3He)になるんでぇ…」
という話をほざき続けてしまっていました…!
(一応ヘリウム・スリーが安定同位体なのはそうなんですが)どう考えてもトリチウムが崩壊して生じるのは普通の「ヘリウム・フォー」になるに決まっているのに、これには思わず僕も赤面、あまりにもしょうもないケアレスミスに、お詫びの言葉も申し上げようがございません……
お読みになって、無駄に混乱させてしまっていましたら、本当に申し訳ない限りにございます。
これは流石にしれっと直すわけにもいきませんし、過去記事のミスは取り消し線込みで、追記注として訂正しておく形を取らせていただきました。
そんなわけで、今回は「ご質問」というよりも、「ミスのご指摘」をいただけたというのがより正しかった感じですね。
言い訳のしようもないガンミスであり、心からお詫び申し上げるとともに、発見につながった貴重なコメントをいただけたアンさんには改めて心よりのお礼を述べさせていただきたい限りにございます。
(あそこで「3H」を「3He」と打ち間違えていなかったら、もしかしたらアンさんからの質問ご指摘も入らなかったかもしれませんし、ミスしてて逆に良かったです(笑))
アイキャッチ画像は、件の「ヘリウム・スリー」の原子電子配置図が、目玉がバッテンマークでこてんぱんにされている人の顔みたいな感じに見えて、今の僕の気持ちに大変近かったため(笑)、こちらをお借りさせていただきました。
「オレはトリチウムが崩壊してできるやつじゃないよ…(トホホ)」みたいなツラしてらっしゃいますし(笑)、これを機に、そんな勘違いは二度としないことをここに誓わせていただきたい限りにございます…!