素粒子は他にもいるの?

それではまた少しずついただいていたご質問を進めて参りましょう。


まずは直近の、素粒子の同一性について見ていた記事(↓)への質コメからですね。

con-cats.hatenablog.com

これまで同様、こちらもアンさんよりいただいていたコメントになります。

毎度補足しておくべき内容を多く含むご指摘ご質問、感謝の極みにございます!

 

『実は分子や原子というものは、一切全く区別の付かない、神視点ですら違いを見分けることのできない、完っっ全に同じもの(素粒子)が集まって出来た物質でしかない』と書いてあり、『素粒子が組み合わさった…』という記述もありましたし、書かれていることの意味はわかりますが、同じといっても素粒子というのは少なくとも3種類(陽子と中性子と電子)はあるということですよね?

例えば、納豆を分子レベルで考えてみたら、まずは記号で表せて、頑張ればそれは陽子が何個で中性子が何個で電子が何個とまで言えるということになりますか?

 

⇒最初の「素粒子は同じといっても、3つある…ってコト?!」という部分は、これは完全に言葉足らずでしたね。


まさにその通りで、3種類というか、細かく見ればもっとあるわけですが、それぞれの素粒子に自己同一性がないから、それぞれの粒子は完全に区別がつかない(ただし、異なる粒子は当然区別がつく)、という話でした。


そういえばこの「自己同一性がない」という表現も、何とも紛らわしいわけですけど(「同一性がない」の部分が目に付いて、「違うもの…ってコト?!」と一瞬思えます(笑))、これは「アイデンティティがない」と言った方が多分わかりやすく、要は「個性がない」と言っているのと同じで、つまるところ「区別が付かない・全く同じ」ってことを言ってる表現だ、って感じですね。


当然、自己同一性のない粒子が結びついて出来上がった原子にも区別はないわけですけど、しかし、その組み合わせによって全く異なるものが出来上がる(水素原子2つと酸素原子が組み合わさったら水、水素原子2つと酸素原子2つが組み合わさったら過酸化水素…などなど)というのは、これぁ不思議で面白い点ですね。


(…ってあぁ、↑の段落自体もちょっと誤解を招きうる感じになっていましたね!

 素粒子が組み合わさって出来た原子は、同じ組み合わせなら全く区別がつかない同一の原子になるわけですけど(→例えば「陽子1電子1」で水素となり、その組み合わせの水素原子はこの世に存在する全てが全く同じ物質)、「組み合わせが異なるだけで違う物質になる」のは、よぉ考えたら原子の時点でそうだといえますからね…

 「陽子1電子1」で水素、「陽子2電子2」でヘリウム…などなど)


…っていうかさらにいえば、「自己同一性がない」のは素粒子単位の話にすぎず、それが集まってできた原子は、「区別はつかないけれど、自己同一性はもっている」粒子な気がしますね、これもよく考えたら…


(つまり、色も形も全く同じ赤いボールは、人間の目には区別がつかないけれど実際は異なる物質として神視点では区別できるものですが、原子も多分そういう扱いになるように思います。

 ↑のリンク記事で見ていた、一般的な確率論を無視する、いわゆる量子力学的な振る舞いをする「自己同一性をもたない」物質は、素粒子と呼ばれるレベルのミクロな物質までだと思われます…)


よって、先ほどの記述はかなり語弊があった感じですね。

…じゃあさっき書いてた段落消すか修正しとけよ、って話ですが、またちょっと今回も時間がかなりなく、この訂正文でスペースを稼いでおきたくなったため、そのままでいかせていただこうと思います(笑)

 

大変ややこしいですが、原子まで大きくなると、いわゆる素粒子的な振る舞いはなく、この世に存在する普通の物質と同じ扱いでいいのではないかな、と思う…って感じですね!

(例によって僕は素粒子物理学の専門家ではないので確証はないですが、僕の知る限りの話を総合して考えるとそう思う、って所です)

 

一方ご質問後半の、「納豆を分子レベルで考えてみたら、まずは記号で表せて、頑張ればそれは陽子が何個で中性子が何個で電子が何個とまで言える?」については、ちょうどこのご質問をいただいた後の記事でそれっぽいことを既に見ていましたね。

 

con-cats.hatenablog.com

もちろん成分分析を完全にしないと、「その納豆1粒」に含まれる分子の完全解明はできませんが、まぁ概算でいいなら、例のグリシニンが半分程度で、あともう半分も↑の記事で引っ張っていたリンクに載っていたと思いますが、そちらも分子式が分かっているタンパク質で……それから炭水化物や脂質も、ある程度の割合でどういう分子が含まれているかは分析すれば分かるでしょうし、それらを全部踏まえれば、含まれる原子の個数まで分かることになるので、原子に含まれる陽子やら電子やらは完全に決まっていますから、各素粒子が「おおよそ何個ぐらい」まではいえる感じですね。


ちなみに中性子に関しては、例の、中性子の数だけ異なる同位体が存在するため、完全に一意に定まった数にはならないわけですが、これも我々人類は既に「重水素中性子の1つ多い水素)の存在割合=0.015%」などと大体の割合を知っていますから、計算可能といえましょう。

 

ということで、コメントにありました「まずは記号で表せて、頑張ればそれは陽子が何個で…」という話、実は「頑張れば」という枕詞がかかる部分はちょっと適切じゃなく(笑)、頑張らなきゃいけないのはどんな分子がいくつ含まれているかの、「記号で表す」部分であり、それさえ分かればあとは全く頑張る必要もなく、自動的に陽子や中性子の個数は定まる感じですね(笑)。

 

では続いてのご質問段落に参りましょう。

 

そして恐らく、今までのパターンから予測すると、素粒子っていうのは、陽子と中性子と電子だけではなく、「それ以上言うてもややこしなるだけ」っていうことで、他にも存在するのではないかと勝手に思ってます笑


⇒まさにちょうど先ほどもチラッと触れていた話ですが、基本的には原子を原子たらしめる粒子は「陽子・中性子・電子」の御三家で完結しているといえますけど、もちろん他にも補助的な粒子は存在していまして、例えば前回の記事で一瞬名前だけ出していた「中間子」なんてやつは、これは日本人初のノーベル賞を受賞した湯川秀樹さんが提唱したものですけど、陽子と中性子を結びつける働きがあるものとして知られる素粒子の一種ですね。


しかし実は、そもそも陽子や中性子やこの中間子もそうですが、「素粒子」とは書いたものの、こいつらはまた別の素粒子が集まって出来た粒子であることが知られており…


(まさに、この記事(↓)でこれまた一瞬だけ触れていた、「uud」とかで表されるクォークといったものです)

con-cats.hatenablog.com

…現代物理学的にはあまり「素粒子」とは呼ばれず、「複合粒子」と呼ばれるものになっています。


ただし、最初に引用した記事で見ていた朝永さんの著書では、陽子とかも「素粒子の一種」と明記されていましたし、まぁクソ小せぇ素粒子がいくつか集まった所で、まだそいつらは小せぇ素粒子っちゃあ素粒子ともいえますから(笑)、そんな分類表記の違いについてはどうでもいいポイントですね。


…なお、原子構成粒子御三家のうち、電子だけは、バリクソ小さい粒子だっただけあって、これは(少なくとも現在の物理学では)複合粒子ではなく、単一の素粒子と考えられているやつになります。

これももしかしたら、科学がもっと発展したら、「素素粒子」みたいな、電子のもとであるより微細なものが見つかる可能性もあるのかもしれませんが……


そんなわけで、原子を構成する素粒子は他にもあるのみならず、実は陽子自体が複数の素粒子が組み合わさって出来たものだったということで、素粒子にはまだまだ色々あって、実に奥深い感じですね。


そんな素粒子道を究めたい方のために(いるわけないですが(笑))、素粒子の一覧を挙げておこう…と思いましたが、普通にウィキップ先生がもう挙げてくれていました(笑)。

ja.wikipedia.org

…なので、ここではもうわざわざ引用もしませんけれども、クォークと並んでよく聞くものに、レプトンという素粒子がありますね。

ja.wikipedia.org

何気に我らが電子は、このレプトングループの一員となっています。


他にも存在が確認されて、しっかりした理論が構築されている素粒子はいくつかあるようですが、正直これっぱかしも興味が惹起されないので、「気になる方はネットや文献をご参照ください」と、偉い人に丸投げしようと思います(笑)。

 

それでは続きのご質問、今回最後の部分に参りましょう。

 

海に流した水をコップですくったらそこに同じ陽子が戻ってくるのは、数はともかくとして、とりあえず納得できます。

(海に流したコップ1杯の水は、結局、どれだけ薄めても必ず元の分子は存在するということ?となると、コップ1杯ではなく、スプーン1杯でもそうなる?それは、一滴でも同じことが言えて、すくう量がどれだけ少なくても、そうなるということ?
まぁでも、分子レベルで考えるとそうなると言われれば、それは全然納得できますね。)


⇒あぁ、このご質問が一連のコメントだったので、こちらは最初の素粒子の同一性の記事の次、↓の水の記事にいただいていたものでしたか。

con-cats.hatenablog.com

まぁ出典はともかく、これは案外単純な話でして、コップ一杯の水で(かなりざっくりした丸めた数字での計算でしたが)大体1800分子が、太平洋全域に広がった後に、またすくい直しても手元に戻ってきてくれる水分子の数だったので、普通に、コップ一杯の1/1800の量までであれば、

「最低1分子は、元々自分が捨てた水分子が戻ってきてくれることが期待できる」

って計算になる感じになります。

(コップ1杯200 mLの1/1800なので、約0.11 mL……110 μLなので、これはまぁ、かなりでかい水滴1粒ぐらいですね。

 それぐらいの水滴であれば、悠久の時を経ても自分の手元に返ってきてくれる水分子がいてくれることになります。

…とはいってもこれはあくまでも確率的な期待値なので、必ず1分子というわけではないですけど、「水を太平洋に捨てて、十分な時間が経って世界中に分散した後に、すくいなおす」という実験を何度も何度も繰り返しやれば(そんな実験1回すらやりたくねぇですけど(笑))、平均1分子戻ってくる形に落ち着く、ってことですね)


それ未満の量だと、残念ながら海に放流した水分子ちゃんたちは、大海に呑まれて一人も返ってこない可能性の方が遥かに高い、って感じになってしまうという話になります。

(まぁ、これもあくまで確率ですし、たまたま1分子ぐらいは混じってくる可能性はありますけどね…!)

 

そんな所で、次回はまた保留状態だった少し前のご質問に戻っていこうと思います。


アイキャッチ画像は……名前だけは聞いたことがあるけれど、何のこっちゃよぉ分からない「ヒッグス粒子」のウィ記事に画像があったので、意味も分からぬまま、絵だけお借りさせていただくといたしましょう(笑)。

https://ja.wikipedia.org/wiki/ヒッグス粒子より

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