シュ、Schrödingerの猫…

順番がごちゃ混ぜすぎてどういう流れだったのかもやや判然としなくなってしまった、いただいたコメントを取り上げていくシリーズですが、再確認してみた所、前回も触れていた「コップの水を海に…」の記事で見ていたご質問(その後新しいご質問を優先していたという形でした)へと戻っていく感じですね。


…まぁ、流れは割とどうでもいい話ではありますが、かなり中途半端な所で途中状態になっていたので、再度同じご質問の引用紹介から始めさせていただきましょう。

 

なるほど。「区別ができない」というのは、「区別はできないくらい同じだけど、実は微妙に違う」という意味ではなく、「“同じ”どころか、“同じ仕組みで見た目も同じに見える同じもの”というよりももっと同じで区別すらできないくらい超絶同じ」という意味だったんですね。(それがどの程度の同じなのかはわかりませんけど笑)


「自己同一性をもたない」という言葉、聞き慣れなくてイメージできないんですけど、結局、「区別できない」ということなんですよね?


⇒この後半のポイントは、ちょうど前回補足で触れていた部分でした。

前回書いていた通り、かなり分かりにくい表現ですが、「『アイデンティティ=個性』をもたない」と考えれば、「区別できない」ということを意味しているのは掴みやすいようにも思えます。

(多分「identity」という英語、今でこそカタカナ語なんかでも割と耳にしますが、一連の素粒子話の元ネタを書かれた朝永さんが生きていらっしゃった頃はまだそんなカタカナ語もそこまで普及していなかったでしょうし、分かりにくいけれどあえて朝永さんが日本語にして表現されたのではないかな、って気がします。)

 

ここからまたご質問が続く感じですね。

 

しかも、区別できないレベルで超絶同じというだけでなく、それが故に俄には信じられないような挙動を示すと…?

それは、記事にあった実験を1億回やれば1:1:1の確率になるということ?

それって、現実的に何か問題あるんですか?「自己同一性をもたない」から、何がどうなるとかありますか?


⇒例の「2つの素粒子を投げて、箱ABに入れる実験」で、A2:A1B1:B2になる確率が……という話ですけど、まぁ僕は実験をしたことがあるわけではないものの、偉大なる朝永大先生によると、これは適切な系を組めば現実でも施行可能な実験だそうで、やってみれば実際の結果として、1:1:1の確率に落ち着くことが確かめられる…という話ですね。


現実の世界だとそれはありえない話(まぁ素粒子も現実世界の物質なのでそれはおかしな表現ですが、「一般的な物質だと」って意味ですね)ですから…

(いうまでもなく、「Aに粒子①・Bに粒子②」と「Aに粒子②・Bに粒子①」と、1つずつ分かれて入るパターンは(仮に粒子の見た目に全く区別がつかなかったとしても)2倍存在するので、普通は確率1:2:1になるわけですね)

…これは非常に面白い、「いやぁ~、素粒子って、ホント不思議ですね」と思える話になっているわけですが……


「で?」と問われますと、「いやぁ~、素粒子って、ホント面白いですね。それでは、サヨナラ サヨナラ サヨナラ」と(これだと偉大なる映画評論家お二人のパターンを勝手に組み合わせちゃってますが(笑))、全く何を返すことも出来ずにエンディングに突入する他ない形になっている……といえてしまいそうです(笑)。

 

ただまぁ問題があるといえば問題がある話で、当時の天才物理学者たちをもってしても、こういった素粒子が見せる不思議な挙動やそれに端を発するいわゆる量子力学という全く新しい理論が飛び交う世界における現象の解釈というのは極めて難解であり、喧々諤々と口角泡を飛ばす舌戦が繰り広げられるにまで至っていたようです。


この話に大変似ている(「一見面白いけど、結局だから何だよ」という部分はボンヤリしたままという点も含め(笑))ネタとして、パッと浮かんだものに「シュレディンガーの猫」ってのがありますね…!

ja.wikipedia.org

こちら、理系大学生が量子力学で習う、名前もインパクトがあれば、実験内容(あくまで思考実験ですが)もインパクトが大きく、理系オタクくんたちの鉄板ネタになってるわけですけど、あぁ、上記ウィ記事の末尾にもある通り、人気ゲーム/アニメのSteins;Gate(シュタゲ)なんかでも使われていたから、今では一般のオタクくんたち含めてみんな大好きなネタになってるのかもしれませんね(笑)。

 

非常に凝ったイラストも用意されていたので、アイキャッチ用に画像もパクらせていただきながら、簡単にこの話を紹介してみましょう。

(より詳しくはWikipediaなどに掲載の通りですが…)

 

https://ja.wikipedia.org/wiki/シュレーディンガーの猫より

ちょうど図にある通り、猫を鋼鉄の箱の中に閉じ込め、1時間あたりに50%の確率で原子崩壊を起こして放射線を出すラジウム原子と、崩壊によりα線を検出したらハンマーが振り下ろされる放射線検出器、およびハンマーの下には青酸ガス入りのフラスコを用意します。

放射線についてはちょうど、ついこないだ一連の記事で色々見ていましたけど、原子核が崩壊する現象なので、これはまさに量子論が絡んでくる現象の1つなんですね)


まぁめちゃくちゃな仕組みですけど(笑)、ラジウム原子が崩壊して放射線をぶっぱしたら、それに伴いハンマーがフラスコを砕き割り、青酸ガスが箱の中に充満して、猫は亡くなってしまう…という形になっている実験(あくまで脳内の思考実験)です。


このとき、1時間が経過した時点において、ラジウム原子がα崩壊を起こしている確率は50%であり、これは、箱を開けてみるまではどちらの状態なのか誰にも分かりません。

したがって、箱の中の猫が生きているか死んでいるかも50%ずつの確率であり、そのどちらであるのかは、箱を開けてみるまでは誰にも分からないといえることになるわけです。


当時の量子力学の世界では、この「観測者効果」みたいなのが議論の種になっており、ある流派(「コペンハーゲン解釈」と呼ばれていますが)では、

量子力学の世界では、観測者が現象を観測するまでは、結果は確定していない。

 原子崩壊の例でいえば、箱を開けるまで、崩壊した原子と崩壊していない原子が半分ずつ、両方の状態が共存した、いわば壊れた原子と壊れていない原子が重ね合わせのように存在している

 箱を開けて観測者が現実の様子を観測したその瞬間、原子はどちらか1つの状態に収縮する」


…みたいな主張(かなりざっくりすぎるまとめですけど)がなされていたのですが、シュレディンガーさんは、「その考え方はおかしい」として、例の猫の実験を提唱し、


「では、この箱の中には、生きている猫と死んでいる猫が50%ずつ、重ね合わせのように共存しているとでもいうのか?」


…と主張し、「観測者が状態を決定する」と考える流派のおかしさを指摘したわけですね。

(要は解釈違いの相手への攻撃材料がこの猫だったということで、今の時代にも頻繁に見受けられる光景の1つかもしれません(笑))

 

その後もちろん議論は発展し、「観測者による観測が、現実の状態を決定する」という主張は正直おかしい気もするわけですけど、しかし、僕が認識している限り、量子力学においてはそれが成り立つと考えられる場面もあるということで(不確定性原理とか、そういうより難解な議論につながっているように把握しています)、ぶっちゃけ結局何が言いたかったのか、およびどのような結論が得られているのかは、素人目には「よぉ分かりません。サヨナラ×3」としかいえない感じですね(笑)。


とはいえ思考実験としては大変面白く、名前や中身のインパクトもあって、みんなに愛されているのがこの「シュレディンガーの猫」だといえましょう(小学生並の感想(笑))。

 

ちなみにこのシュレディンガーさん、原語ではSchrödingerさんですけど、これを見たとき…というか正直今でも(笑)、「いやシュディンガーやんけ!」と思えてならないわけですが、まぁこの「ウムラウト」のついたoである「ö」は、どうやら「オ」と「エ」の中間ぐらいの音になるそうで、カタカナ表記だとやっぱり「エ」に近いんですかねぇ…?


僕はドイツ語選択ではなかったのでこの文字には親しくないのですが、ウィッキー先生の冒頭に、発音の音声ファイルも掲載されていましたね!

en.wikipedia.org

早速聴いてみましたが……

…いや、こんなの「ウー」が一番近いやんけ!!


Schrödingerさんは、シュレディンガーでもシュロディンガーでもなく、まさかのシュルゥディンガーさんである可能性が、微粒子レベルで存在…?


まさに観測者効果で、シュレ・シュロ・シュルの三者は等確率で共存していたものの、僕が観測した瞬間、シュルディンガーの存在がこの世に確定したのであった……とかいう書いてて自分でも意味分からん冗談はともかく(笑)、しかし、英語版のシュルデンさんの記事(↓)を見てみたら…

 

en.wikipedia.org

英語だと、ウムラウトはほぼ無視して、「シュロウディーンジャー」みたいな発音で呼ばれているんですねぇ~!

 

…結局学生時代僕の思ってた呼び方が、国際的には一番スタンダードじゃねぇか!(笑)


まぁ、人名は時々原語読みを尊重したり、時々英語読みが優先されるなどルールは不明ですが、僕はこれからは本来の音を尊重し、自分なりの原音に近い形「シュルゥディンジャー」とお呼びさせていただこうと思いますよ。

(…と、この先の人生でSchrödingerさんの名を呼ぶことなどほぼ確でないため、適当ぶっこいてるだけの模様(笑))

 

あぁ後もう1つ脱線ネタとして、シュレディンガーさん(結局多数派の読みかよ(笑))といえば一番有名なのが「シュレディンガーの猫」ですし、量子力学を学ぶ前にこの話だけはどこかで耳にして知っていたわけですけど、僕なんかは、この「生きた猫と死んだ猫が50%ずつ重ね合わせて存在しているのはおかしい」というしょうもない話、ちょうどニュートンさんが、林檎が木から落ちるのを見て「重力がある!」と発見したという逸話に対して感じたのと全く同様、

「あっほくさ、そんなもん小学生のワイでも発見できるわ…」

…などと思っていたものですが、実はいうまでもなく、シュレディンガーさんは「猫を箱に入れましてぇ…」みたいな話だけを発表したわけでは全くありませんで、量子力学における波動関数を表すシュレディンガー方程式を導出した、クソほど優秀な物理学者さんだったんですね…!

(…ちなみに、どっかでしていたと思っていたニュートンさんの話は、既にこの記事で触れたことがありましたね(笑))、

 

どのぐらい凄いかというと……実際の数式の意味不明さをお示しするのが一番でしょう。

lim(極限)の部分がテキストで表すのが難しかったので、スクショをお借りしますと……

https://ja.wikipedia.org/wiki/シュレーディンガー方程式より

はい意味分からん~(笑)。


…ってまぁ、学生時代量子力学の講義で習わされましたし、一つ一つの項目は実はそこまで難解でもないので、ここまではギリギリ試験で問われて答えるぐらいはできたんですけど、ベクトル空間の微分とか、極限やノルム(‖  ‖記号)が絡んでくる数式のパッと見の難しさはマジで異常……

ということで、シュレさんのことを「猫を閉じ込めた思考実験でニヤニヤしていたキモイおっさん」と思ってらっしゃる方は大勢いるでしょうから、「シュレディンガーさんは頭良かったんだぞ!バカにするな!!」ということを、難解な数式を出すことで強く主張したくなってしまった次第にございます(そもそも誰もそんなこと思ってねーよ(笑))。


では続きのご質問はまた次回見ていこうと思います。

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