「甘い!」は、sweetではなく…?

長いことダーティーワードを見ていくシリーズに逸れていましたが、途中状態になっていたご質問を振り返っていくコーナーに戻ってまいりましょう。


「脱線ばかりで恐縮です」などとしばしば書いていたものの、そもそもの元ネタが大したことないものだったため、残っているご質問の数もそんなに多くなく、むしろ隙あらばさらに脱線したいぐらいまであるわけですけれども(笑)、とりあえず改めてアンさんよりいただいていたご質問メッセージを取り上げて、適宜回答を試みていこうかと思います。


今回見るご質問を含むコメントは、いつの間にかもう1ヶ月以上前になっていましたが、こちらのスラング記事(↓)にいただいていたものですね。

 

con-cats.hatenablog.com

Saltyは、怒っているとか不機嫌とかそういった意味で使われるということですが、パッと見で日本語の「塩対応」が思い浮かびました。恐らく同じようなニュアンスで使われてますよね?

不機嫌というよりは、愛想ないとか素っ気ないとかそんな感じかと思いますが、「塩(しょっぱい)」の持つイメージがネガティブであるのは間違いなさそうです笑

 

⇒したり顔で偉そうに英語表現を取り上げておいてアレですが、僕自身別に普段使うようなスラングでもないため、この語も実はもうすっかり正しい意味を忘れてしまっていたぐらいですけど(笑)、「怒っている」というニュアンスがメインの「salty」、あぁ、言われてみれば、日本語にも割と新語といえる「塩対応」って言葉がありましたねぇ~!


とはいえ、もちろんネガティブな意味合いは共通であるものの、まさにアンさんがおっしゃられている通り、「塩対応」は「素っ気ない」というイメージが強い語であり「怒り」の要素は特に感じられないという点は、基本的に怒りの混じった、イライラ感が前面に出ている英語の「salty」とはちょっと違いがあるかな、とも思えるかもしれませんね。


しかし、「しょっぱい」というのが基本的にネガティブな意味になる(パッと考えてみても、「敵に塩を送る」という表現で「素敵な贈り物」みたいなナイス意味合いになっている表現以外、塩という語はほぼ全てマイナスなイメージで使われている慣用句ばかりでした)のが万国共通であるというのは面白いポイントです。


逆に、「甘い」は、「甘いひととき」「甘い歌声」など、味覚と直接は関係ない比喩表現でもポジティブな表現が目立ちますが……あぁでもこれも、「彼は甘い」だと、日本語の場合、もちろん「何でも許す優しいタイプ」的なポジティブなニュアンスに取ることもあるものの、どちらかといえば「周りをダメにする」「緊張感が足りない」みたいなややネガティブめなセンスもある気がしますもんね。

この場合、英語で「He's sweet.」と書くと、完全にポジティブな意味で「彼は優しい」という意味になりますから、こちらもやはりsalty同様、日本語と英語で若干違うニュアンスといえる感じでしょうか。


(一応、「sweet voice」なら、日本語とほぼ同じ意味合いになるとはいえますけどね。

 しかし、よく考えたら実際の声に味は無いわけで、それを日本語も英語も同じ味覚の言葉で、しかも「甘い」という単語で表すというのは、奇妙な一致といえるのかもしれません。

…いやまぁ音も味も同じ五感の1つですし、一番心地よい味覚が「甘い」なのはそら同じ人間なら文化を問わずそうでしょ、とも思えるので、そこまでの偶然(→この記事(↓)でも書いたことがありましたが…

con-cats.hatenablog.com

…「寝ている時に見るもの」「将来こうなりたいと思うこと」という、ほぼ全く意味が異なる概念だと思える両者が、日本語でも英語でも「夢」「dream」という同じ単語になっている現象ほどには)、奇妙な一致ってわけでもないかもですね。)

 

なお、「彼は甘い」的な、「息子を甘やかしすぎている」みたいなことを言いたい場合は、これを「He's sweet.」としてしまうと絶対に全くその意味にかすりもしないため、別の表現を用いなければなりません。


こちらは、結構有名な基礎単語の一種ではあるものの(まぁ中学レベルではないと思えますが)、英語にある程度慣れていないと絶対に出てこない表現筆頭に思いますけれども、「息子を甘やかしている」であれば「He spoils his son.」のように、「spoil」という単語の出番になる形ですね。


「spoil」は、原義的には「台無しにする」という意味の動詞で、高校の頃はそう覚えた記憶が強いですけど、そこから派生して…というかまぁほぼ似たような意味なので派生というわけでもないかもしれませんが、日常会話では「甘やかす」という意味で使われることも非常に多くある感じです。

 

もちろんこの語は動詞ですが、過去分詞形にすることで形容詞としても大変よく使われており、誰かのことを「spoiled」と表した場合、それはその人のことを「甘やかされて育った、何も出来ないダメ人間」と貶している表現になっている形ですね。

(まぁそこまで「完全に何も出来ない、生きてる価値のないゴミカス」ほどの強いニュアンスがあるわけではないものの(笑)、間違いなく「台無しにされた・ダメになった」という原義通り、かなりネガティブな意味を含んでいる表現だと思います。)

 

これ、印象に残っている話がありまして、ちょうどこないだ話に出した台湾人の子と車で買い物に行く途中の雑談で、既にその子がもうそれなりに上級生になってた頃のことになりますけど、その年にうちの研究科に入ってきた大学院生がどうも見事に全員イマイチな感じでして、「今年の新入生、結構ヤバイね。正直、年々学生の質が落ちてるような……。ってまぁ、それは単にうちの大学がそんぐらいのレベルってことなんかもしれんけどね(笑)」と話しかけてみた所、

「いやどこも同じだよ。私のボーイフレンドも、TA(※ティーチング・アシスタント=大学院生が、講義の手伝いみたいな感じで後輩の大学生の面倒を見るバイトみたいなものですね)で学部生を見ることが多いんだけど、ビックリするぐらいやる気のないレベル低い学生が結構な割合でいるって言ってたし。一部の優秀な子以外、全くモチベーションもない人が目立つのは、どこも一緒だって」

…と、There are really lots of spoiled students even in XX University.(XX大学でも、スポイルドな学生は大量にいるよ)みたいなことを教えてもらったのがとても印象的でした。

(うちの大学は全く世界的に著名なレベルではないですけど、その子のボーイフレンドは(別に伏せることはないものの、一応伏せておきますが…)、日本人でもほぼ全員が知ってるレベルの著名大学に通っていました。)


こないだこの記事(↓)で、大学生についてうんぬんについて触れていたときにも書こうと思っていたのですが…

con-cats.hatenablog.com

…まぁ記事では既に大学生をけちょんけちょんに貶してしまっていましたし、あんまり学生をバカにするのもアレなのでそのときは触れなかったものの(結局今触れてしまいましたが)、巷ではよく「アメリカの大学生はよく勉強するし、卒業するのが非常に難しい」なんていわれますけれども、まぁ一応内部にいる立場からいわせてもらうと、寄付入学枠とかも普通に存在している時点で、もちろんトップ層の子は本当に優秀ですけれどもそれは日本も同じですし、spoiledな学生も本当に(むしろ日本よりもっと)目立つのがアメリカの大学ともいえるかなぁ…なんて気がしてしまいます(改めて、自分のいる大学がレベル低いというわけでもなく、世界的に有名な大学ですらそんな感じみたいですしね)。


とはいえその子もその流れで続けて言っていた気がしますが、そういった寄付枠で入った子たちは、やる気はないものの大学という組織においてはとても重要な存在であり、結局は金かよという話になるものの、研究機関である大学の運営には多額のお金が必要なのも間違いなく、spoiledな子は、本人の姿勢がどうあれ、巨額の授業料を納めている時点で、大学への貢献度は計り知れないともいえるんですけどね。

(もちろん寄付枠で入った子でしっかり勉強して優秀な成績を収める子も少なからずいるため一概には言えないものの、まぁモチベーションが低い子はやっぱり目立ちますし、でも、その子のおかげでやる気のある学生がしっかり勉強・研究できるともいえるので、必ずしも苦言を呈するものでもありますまい、って感じだともいえるお話ですね。)

 

…と、また関係ない話に逸れましたが、その辺のネタも、何か偉そうな物言いというか内情暴露みたいな趣味の悪さがあるので、これ系の話はそのぐらいにしておこうと思います。

 

なお、この「spoil」という単語にはもう1つ大変よく使われる意味があるのですが、せっかくなのでクイズ形式にしてみましょう。


「台無しにする」「ダメにする」というニュアンスから、「甘やかされた軟弱者」という意味以外に、何か思い浮かぶものはありますでしょうか…??

 

まぁかなり漠然とした問なので、ヒントも何もないですしとっとと答にいきますと、これはズバリ、「ネタバレ」って意味にもなる感じです。

 

(ちゃんと気の回る人は、何かのコメント欄とかでネタバレの危険性があるときに、<Spoiler>のように、「ネタバレ注意」(いわゆる「spoiled alert」)という注意書きを添えてくれるような感じですね。)

 


そんなわけで今回は「salty」から「sweet」に移り、さらに「spoiled」という語に脱線させていただきましたが、またちょっと時間がないこともあり、今回はこの辺にさせていただきましょう。

次回はまた、続きのご質問からですね。


アイキャッチ画像は「甘やかし」で検索したらヒットした、こちら「過保護な親」のいらすとをお借りしてみました。

これは、「君はspoiledだ!」と子を責めるのではなく、「You spoil him!(あなた、子供を甘やかしてダメにしてるよ!)」と、ママの方を責めたくなってしまう感じかもしれませんね…!

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