前回紹介させていただいた、Travis@kyuuketsukiruiさんによる『青い花』二次創作ストーリー「Don't Want to Know What I'll Be Without You」、あーちゃんの揺れ動く気持ちを繊細に描いた面白いお話でしたが、これに関して、Frankさんからまた一通、補足のメッセージをいただいていました。
「友達でいたいだけうんぬん」に関する点で、「作中であーちゃんがその旨の発言してたことあったっけ…?」という質問についての、さらなる考察ですね。
納得の補足説明であったため、今回はこちらを紹介させていただくとしましょう。
-----Frankさんからいただいていた追記コメント-----
「友達うんぬん」という台詞について、改めてSBFを1ページずつ見て何かないかと探していたら、英語版第三巻39ページでふみがあきらに「Don't worry, Akira. I won't do anything to make you uncomfortable. So just ... be my friend.」と語っている場面を見かけた。(原文は日本語版第五巻37ページの「あーちゃんがいやがるようなことは絶対しないから あーちゃんと 友達でいさせて……」である。)
この会話は、あきらの記憶の回想として提示されている(4ページ前:「ふみちゃんと話した……内容は こう」)。これは、ふみがあきらに「そういうこと(セックスとか)をする、『好き』なの」と話した、すぐ後のことであった(SBF二巻/青い花四巻終了時点)。
ということで、漫画の中では、あきらはふみに「自分(あきら)は友達になりたいだけ」とは言っていない。しかしあきらは、ふみが言ったこと、つまりふみがあきらを友達として受け入れる覚悟があるということは、確実に考えている。ふみはこれを、二者択一で捉えているようだ:「恋人同士(セックスも含む)」か「ただの友達、それ以上ではない」かの。
この会話は、ほぼ間違いなく、あのストーリー(FanFic作品)のインスピレーションとなったものだと思う。FanFicストーリーの中であきらは、少なくとも自分の中ではこの二者択一を否定している:ふみとのセックスを二人の関係の重要な一部とは思えない、だけど同時に、ふみにとって「ただの友達」以上の存在でありたいと思っているわけだ。しかし、それをどう伝えればふみに信じてもらえるのか、彼女には分からないのである。
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なるへそ~!
そういえばふみちゃん側からは、友達うんぬんの発言はあった形でしたね。
そしてそれこそが、この二次創作ストーリーの源になったと……まさにもっともですね。
ただ改めて考えてみると、もちろん二次創作ストーリーはとても良かったし、Frankさんの考察も筋が通ってると思うんですけれども、なぜ最初このストーリーが、「あーちゃんがふみちゃんと別れて、嫉妬心を覚えてからのことなのかな?」と思ったかを冷静に思い返してみますと、個人的にはやっぱり、例の大学生ふみちゃん&友達が楽しそうにする姿を見て嫉妬心を覚えるまでは、あーちゃんはふみちゃんと友達以上の関係になりたいという気持ちは微塵もなかったのではないかなって気がする…というのもあるかもしれません。
ふみちゃんと別れるまでのあーちゃんの心の葛藤は、「ふみちゃんと友達の関係ではあり続けたい、でも、あまりにも気持ちの強さが違いすぎて、本当に申し訳ないんだけれど、こんな状態ではふみちゃんにも失礼に当たるだろうし、このまま付き合い続けるというのはどうしてもちょっと無理なんだ……」というのが根底にあったのではないかと思われるため、やっぱり「友達以上の関係にありたい」としっかりあーちゃん自身の中でハッキリと気付いたのは、嫉妬心を感じた以降の方がしっくり来る気もするっちゃするかな…という考えもふと浮かんできた形ですけど、こればっかりはやはり、それ(キャラの気持ちなど)は誰にも分からない、読んだ人それぞれが自由に浮かべられるといえる点だ…といえましょう。
そういう色んな人が色んな考えを持てるという所も、創作モノの素晴らしい部分ではないかな、と思います。
ちょうどこの辺に関連して、最終巻、あーちゃんが杉本先輩に心の葛藤を相談して、
わたし 先輩にいい加減な気持ちでふみちゃんとつきあってほしくないって 怒りましたよね
なのに同じことをしていると言う
…と持ちかけて、それに対して先輩が、
ちがうよ
ちがうよ あーちゃん
全然
…と、吹き出しではない形で語りかけてくれる場面があるんですけど、これマジでめっちゃ好きな場面なんですよ。
この思いやりの心に溢れた杉本先輩の温かい台詞……やっぱりやっちゃんは大人だし、素晴らしい先輩だなぁと思わずにはおれんわけですよ。
ちょうど、別の話が長すぎて当時の記事ではその辺の内容に触れられなかったんですけど、各務先生の結婚式の話(→青い花の同人誌『That Type of Girl』日本語訳その16:声を上げて・サヨナラ王子… )で、Frankさんが「恭己がコイツを好きになる理由が謎過ぎる。実際、最後言葉を交わすシーンでは、リアルなおっさんっぷりを目の当たりにしてしまい、恭己自身が当惑しているように見える」的なことを書かれていたんですが、ここは、「ちがうよ。それはちがうよフーちゃん(Frankさんのこと(笑))、全然…」と言いたくなってしまったポイントかもしれませんね。
あの会話は、やっちゃんが強がりというか冗談半分に「おっさんだもん」と言ってるだけで、彼女はまだ心の底から先生に惹かれているし、本音では好きでたまらない状況なんですよね。
でも先生は姉と結婚してしまうわけだし諦めなくてはいけないから、辛らつな言葉の一つも投げずにはおれないその乙女心……くぅ~、相変わらず羨ましいぜ、各務さんよぉ!
やっちゃん他杉本姉妹が各務先生に惚れたという点、これも、別に日本だけってこたぁないと思いますが、正直普通にいくらでもあるパターンで、不思議すぎる/説得力に欠けるというわけでは全くないんじゃないかな、と思います。
一定数の女性は、父親に近い(とまではいかなくとも、かなりの差がある)年齢の男性に惹かれるというのはマジでよく聞くあるあるな話で、実際結婚したカップルの例も多々ある(まぁ結婚となると、恋心以外の側面もあるので議論も難しいかもしれませんが)のが実際といえましょう。
女性を好きになる女性については完全なる理解をお見せになっていた一方、年上のあんまり冴えない男を好きになる点については最後まで全く一切理解できないという形だったようで、「あ、そっちの思想の自由は、認められない感じなのかな…?」と少し疑問に思った(難癖を付けているわけではなく、純粋に興味深い違いだった、という意味ですね)、という感じだったかもしれませんね。
ただこの辺の受け取り方の違いは、間違いなく日本語・英語の違い(文化の違いというよりむしろ、この作品で書かれている翻訳台詞による、印象の違い)が大いにある点といえることでしょう。
英語版を読めば、各キャラやイベントに全然違うイメージを抱いてしまうというのは、至ってあり得そうな普通のことではないかと思います。
そういえば僕の大好きな「ちがうよ。全然ちがうよ」の例のシーン(この書き方だと、別のネットミームになっちゃいますが(笑))、英語だとどう表現されてるのかな?と思ってチェックしてみたら、
NO, YOU'RE NOT. (いいや、あなたは違う。)
THAT'S NOT TRUE, AKIRA.(そうではないよ、あきら。)
IT'S NOT TRUE AT ALL.(全く正しくないよ。)
…という、まぁ英語の細かいニュアンスの響きが分からないだけでもしかしたら日本語と同じような味わい深さがあるのかもしれませんけど、多くを語らず簡潔な、しかしそれでいて心のこもったあの深い台詞とは、(予想はしてましたが)やっぱり少し違う感じになっちゃってるといる気もしちゃいますね。
(まぁそもそも日本語の台詞も、僕が勝手に心に響く痺れる形で受け取っているだけで、別に普通の台詞に感じる人も多くいるとは思うんですけどね。
でも、この志村さんならではの、多くを語らない、ちょっとした台詞でありながら胸に刺さる、決め台詞とも思えるこの手の表現、僕はしっかりと良さを受け止めているし、本当に心から大好きです、という一言に尽きる形です。)
…と、その辺をチェックしていてふと思いましたが、『青い花』日英両版の台詞を使って、「あの心に残る台詞、これは英語だとこう言うんだ!」というのがもし何かあったら、いくつか取り上げさせていただいて、「青い花で学ぶ英語」みたいなネタをまとめてみるのも面白いかもしれませんね…!
(まぁ、あんまり勝手に引っ張るのもアレですし、特に何か面白いのがあったら少しだけ、程度にすべきものかもしれませんが…)
最後は恒例のアイキャッチ用の画像……今回はまた『放浪息子』の英語版に戻らせてもらって、7巻はAmazonで裏表紙が公開されていなかったため(先述の通り、さおりんの、「まさに千葉さん!」とも思えるめっちゃ妖艶な表情で、ペタリと貼り付けたかった絵でしたが…)、英語版の最終巻にあたる8巻から拝借いたしましょう。
まさかの、土居さん…!
えっ?もしかしてアメリカだけに、ポリコレのあれがうんたらかんたらで、美しい女性の絵だけを載せ続けるのはアカンとかいうしがらみでもあるんすかね…?
(いやまぁ高槻くんがいるとはいえ、土居ちゃんの弟とか、マジでカバー絵にいらなくね?)
っていうかそれより何より、最終巻まで来て、安那ちゃんが一度も出てこなかったとか、そんなわけなさすぎない??
…ってそうか、よく考えたらこれは本当の最終巻ではなく、現在刊行が止まっているだけで、本来は続きがまだ出るはずだった途中の巻、ってことだったんですね、そういえば…!
そうすると、残り9-15巻の7冊は、多分安那ちゃんが4冊ぐらい、そしてまた千葉さんが2冊とか出演予定で、まぁポリコレに配慮して最終巻あたりはルルママにでもご登場いただければどこからも一切文句ないっしょ(笑)って感じで、うわぁ~これは楽しみだぁ!
…ま、冗談抜きに、名作『放浪息子』が8巻でストップとかあっていい話ではないので、欧米圏のファンのためにも、何とか翻訳版の続きが出ることを願いたい限りです…!!