青い花番外編・二次創作ストーリーを読んでみよう

Frankさんオススメの『青い花』二次創作、英語ではFan Ficと呼ばれる同人作品の一種ですが、『That Type of Girl』で紹介されていた『Don't Want to Know What I'll Be Without You』というショートストーリー、こちらを、せっかくの機会なので翻訳して、素晴らしい二次創作物語を日本語で楽しませていただきましょう。

作者であるハンドルネームkyuuketsukiruiことTravisさんに、翻訳して公開してもいいか確認してみたところ、速やかに快諾していただけました。

FanFiction.netには連絡先も公開されておらず、当初、どうやって翻訳許可を取ればいいか悩んだんですけど、幸いにしてkyuuketsukiruiという、めちゃくちゃユニークなHNのおかげ(吸血鬼ルイ…インタビュー・ウィズ・ヴァンパイアでしょうか?)で、Travisさんに辿り着くことができました。

 それでも最近は猫画像しか投稿されていなかったので、本当にこのTravis@kyuuketsukiruiさんが作者なのか不安だったんですが、検索したら…

青い花への言及ツイートがヒットしたので、あぁこれは間違いないなと安心してコンタクトを取ることができた形です。
(「青い花の翻訳版の発売が、また再開されるといいね」というツイートですね。)

 ツイッターもそうですが、Travisさんのインスタでは猫画像が満載だったので、猫好きの方はTravisさんのインスタもご覧になることをオススメですね!)


では早速参りましょう。

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Don't Want to Know What I'll Be Without You
(ふみちゃんじゃなきゃダメなんだ)

Aoi Hana (青い花)FanFiction


(著/kyuuketsukirui 訳/紺助)

 

「じゃあ、あーちゃんは友達になりたいだけなんだね。」

ふみちゃんはそう言うんだ。質問なんかじゃない。その声は低くて元気がないし、ふみちゃんは下を向いて、髪が顔にかかっている。

あきらはその表情を見たことがあった。そういう意味で自分のことを好きだと言ってくれた時のふみちゃんの静かな絶望を思い出すと、胸が痛くなるのである。もう二度とふみちゃんにそんな顔をさせないために、あきらは何だってするつもりだ。

それに、キスが嫌いとか、触られるのが嫌いとか(考えただけで赤面してしまう)、まあ、そういうわけでもないんだ。気持ち悪いと思ってるわけでもないし、男の子とするもんだと考えちゃうわけでもない。素敵なことだとさえ思ってる。舌を口の中に入れるのはちょっと変だけど、舌を使わないキスは好きなんだ。それにふみちゃんの手や指や唇は、誰かが口付けするなんて想像もしてなかったような場所でも、触れられると気持ちいいのも本当。

でも、それだけなんだ。想像したことがなかったし、今でもまだ、想像していないんだと思う。ふみちゃんは、あきらの耳元で、指を奥に埋めながら、妄想したこと、あきらにしたいことを全部、囁きかけるのである。

あきらも一度、妄想してみた。目を閉じて、毛布を顎の下まで引き寄せて、気分を楽にしてみた。あの日の午後、ふみちゃんの部屋で、おばさんが買い物に出かけている間に自分たちが何をしたのか考えてみたんだけど、いつの間にか気が散って、代わりにあの映画館での初めてのこと―暗闇の中でふみちゃんが手をつないで、誰にも気付かれないことを願ったあの時のことを考え始めてしまっていた。

セックスのことを考えると赤面してしまうけれど、やっぱり、ふみちゃんの手を握ったことを思い浮かべると、特別な気持ちで胸が痛くなってしまう。ふみちゃんに触れられない腕は空っぽで、でもそれはふみちゃんの望むような触れ方じゃないのかもしれない。

いつか、ふみちゃんに言えるかな。いつか、ふみちゃんが、「友達になりたいだけ」ではないことを信じてくれるくらいにまでなったら。

友達になりたいだけじゃない。それは無理なんだ。そう思うと涙が溢れてしまうし、胸が張り裂けそうになってしまう。

でも、あきらは演技がうまいし、みんながそう言ってるから、いつかその時が来るのを待とう。

…いつかね。

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程よい長さでありながらもとても味わい深い、大変良い二次創作でした。

ただ僕は当初、この文章の舞台はあーちゃんとふみちゃんのお別れから、嫉妬を感じた時含め、井汲さんの結婚式での再会までの間のこと(Frankさんが、「そこがちょっと急ぎ足に感じた」と書かれていたこともあり)なのかなと思ったのですが、その旨をFrankさんに尋ねてみたところ、「恐らく別れを切り出す直前、作中でいえば日本語版最終8巻冒頭か7巻の終わり頃の話ではないかと思う」というコメントをいただきました。

これに関しても、非常に丁寧な考察をいただいていたので、せっかくですしそちらも紹介させていただくとしましょうか。

(いくつかFrankさんに、解釈に迷う点の質問を投げていました。その回答という形ですね。)


-----Frankさんからいただいていたコメント-----
Q. 最後の方の「いつか友達になりたいだけではないことがうんぬん…」の文が、代名詞が多くて多少ややこしいんだが、こんな解釈で問題なさそうか?…というかそもそも、作中で友達うんぬんをあきらが伝えたことってあったっけ?少なくとも日本語版には、なかったような気がする。

A. この文章は、英語のネイティブスピーカーでも少し理解するのが難しいが、意図する意味は次のようなものだと思う:

1. あきらはふみに、自分(あきら)は「ただの友達」にはなりたくないと言った。言い換えれば、あきらはふみに、「自分(あきら)はふみにとって友達以上の存在になりたい」と言った。

2. あきらは、ふみが自分(あきら)の言っていることを信じてくれないのではないかと恐れている。つまり、ふみは、あきらが自分(ふみ)を恋愛対象として愛しているふりをしていて、実際にはあきらが自分(ふみ)にとって友達以上の存在になることはない、と思っている。

3. あきらは、時間が経つにつれて、自分(あきら)が本当のことを言っていること、そして自分(あきら)は「ただの友達」以上の存在でありたいと思っていることに、ふみが気付いてくれることを期待している。

4. しかし、あきらは、ふみがそのことに気付いてくれないことを恐れている。それどころか、いつかふみが自分(あきら)に「じゃあ、あーちゃんは友達になりたいだけなんだね」と言ってくることを恐れている。そこから、物語は始まる。

一方、漫画の中であきらがふみに「(ただの)友達になりたい」と言ったことはないと思う。実際、作中であきらは、ふみにそれほど自分の(あきらの)気持ちを話していないし、それ以外の人にも話していない。(あきらがふみとの関係について誰かに話そうとして、遮られたり、結局質問しなかったりするシーンが何度もあったね。上田、京子、日向子に対してそうだった)。

これはこの漫画の大きなポイントなわけだが、あきらはふみに自分のことを話していないし、逆に自分(あきら)の頭の中で悩んでいるだけなのである。この二次創作は、その点を踏まえて作られているわけだ。あきらが何を考えているかが重要で、あきらが何を言っているかが重要ではない。そして、あきらがふみの言うことを想像しているのであって、ふみが実際に何を言っているかということではないわけだね。

 

Q. 「演技が上手い」の文のsheも、あきらだよね?あきらは自分が「演技が上手い」から、ふみに、自分の気持ちは「ただの友達」ではなく「愛」だということを(演技と思われて)理解してもらうのに時間がかかりそうだ、みたいなことを考えている…??

A. そうだね、ここではあきらが「いい役者」ということだろう。

意味は基本的におっしゃる通りだと思うがしかし、そうはいっても、私も、あきらが「いい役者」として何をすることになっているのかはよく分からない。(ここも、ネイティブスピーカーでも意味が若干分かりにくい所である)。

私は、以下のような意味ではないかと、(あくまで個人的に)考える:

1. あきらは、今、自分(あきら)が友達以上の関係になりたいとふみに言っても、ふみは自分を信じてくれないだろうと考えている。だから、あきらは何も言わない。

2. いつかふみが自分(あきら)を信じてくれるかもしれない。しかし、その日は比較的遠い未来であろう。

3. それまでの間、あきらは「いい役者」になって、自分(あきら)の中では全てのことがオッケーで、ふみとの関係にも問題は何もない、というフリをしなければならない。


これこそが、私がこのファンフィクション作品を素晴らしく良いと思う理由の一つなのだ。これは、ふみと別れることを決意するまでの、あきらの心境を的確に捉えているように思う。あきらは自分の気持ちを誰にも話さず、ただ「自分の頭の中で頑張る」だけで、色々と悩み、自分にも(特に)ふみにも、「全部オッケー」というフリをしようとしているわけだ。

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いやぁ~、理解力の悪い僕なんかは、初読時はあやふやで良さをきっちり理解できていないぐらいでしたが、その辺をきちっと理解して読むと、実に申し分のないストーリー補完になっている、本当に素晴らしい作品でした!

なおTravisさんは日本語も堪能だということで、青い花以外にもデスノート・ブリーチ・ワンピースといったジャンプ漫画に始まり、よつばとから果ては少女漫画のNANAまで他にもいくつか二次創作を公開されており、これはぜひまた個人的に楽しませていただきたい限りです。


こういう二次創作、僕はこれまで全く触れたことがないレベルなんですけど、原作を愛する人の作品だから当然ですが、大変いいもんですね。

青い花の二次創作……僕も俄然興味が湧いて来ちゃいましたが、例えばそうですね…作中では宙ぶらりんになってしまったままの杉本先輩のその後のストーリーとか、全体的に若干報われなかったやっちゃんのためにもハッピーなのを用意してあげたくなってもきたものの…

「大学に入った恭己は、元来年上が好きな性質から、またしても出会った教官に恋をしてしまった。その男の名は紺助…」

と、ついつい自分に似たキャラでも出して自分とくっつけて「くぅ~感動しました、これにてハッピーエンドです!」とかそんなクッソしょうもない生ゴミストーリーしか書けなさそうなので、やめておきましょう(笑)。


まぁでも、話を広げるのであれば、やっぱり幸せな終わり方ではなかったキャラに日の目を見せてやりたいなぁ、って思うタイプなので、もし手を出すとしたら、作中断トツで可哀想な存在といえば異論の余地なく満場一致であの子……ズバリ、新聞部の部長とか、この『青い花』という光り輝くストーリーでただ一人、全面的に闇を受け持ってくれた彼女に少しでも報いてやりてぇけどなぁこれなぁ…って気がするかもしれません。

とはいえしかし、部長の話なんて正直マジで誰一人喜ばないでしょうから、まぁ難しいかもですね(笑)。
(そういえば、最後の最後、志村さんから公式にちゃんと彼女にとっての光に近い、とても温かい思い出はもらえてる感じだったともいえますしね。)


あとは、杉本やっちゃん以上に、冷静に考えたら地味に全くいい思いをしておらず、可哀想な目に遭ってばかりだった気もする、大野の春ちゃんとかが、動かし甲斐もあって楽しそうかもしれません。

姉の交友関係に悩まされて、演劇部・新井朋香さんの例のあの事件のときの本当に悲しそうな顔はもちろん、作中ほぼ最後ともいえるシーンでは組織全体に致命的なダメージを与えかねなかったうっかりミスをしてしまうなど、元気キャラで可愛いから見落としていましたけど、マジで俺らは春ちゃんの心からの笑顔を見れていないんじゃねぇか…?などと思えてきました。


しかし、青い花には春ちゃんにピッタリな男キャラってのはいないしな……オリキャラとかいうしょうもないものを出さずに春ちゃんを幸せにするのは難しいのだろうか……ってあぁそうか、青い花の舞台が、実は他の志村さんの作品とつながってたとして、他作品のキャラと幸せなカップルになれたとかいう話、これ結構良くない?!

…ほんなら例えば……って、春ちゃんに見合うような志村作品男キャラ、あんまりパッと浮かばねぇ~!

いや、志村作品にもカッコいいキャラはいっぱいいるんですけど、そこには既にペアがいたり、あとどうしてもやっぱり、志村作品は女性キャラがあまりにも魅力的過ぎて、男女比でいうと男性キャラが足りない=女性キャラがあぶれてしまうぜ…!!

ま、パッと浮かんだのでいうと、淡島百景のヅカ好きの少年とか(名前調べるまで覚えてすらいませんでしたが(笑)、柏木拓人くん)、春ちゃんにいいんちゃうかな?って気がしてきましたよ。

(っていうか、青い花にも、あっさり振られた田口少年にカラーゲくんをおごってくれたサナダとか、めっちゃナイスガイっぽいヤツもいるっちゃいることに気付きました。まぁ、流石にちょいキャラ過ぎますけどね(笑))


でもやっぱりこの子にはかなり年上キャラの方が良さそうかなぁ、いや待てよ、そもそも春ちゃん、何気に結構「素質」ありそうだし、お姉ちゃんに倣って百合カップリングもありなのか?!

あぁ!杉本やっちゃん!!作中ではただの一度も会話を交わしたことすらないはずだけど、元々憧れの対象だったんだし、この2人がくっつけば、万事解決じゃん!!

…と思ったけど、杉本先輩が春ちゃんみたいな小童を好きになるわけねぇ~、くぅ~困りました、これは難題です!!


…とかクッソしょうもなさ過ぎることを考えていたら、日が暮れていました(笑)。

中身がなさすぎる駄文、大変失礼しました。この辺にしておきましょう。


でも本当に、作品を愛してキャラ達のことがみんな大好きであるがゆえに、仮に公開などはしなくとも、自分であれこれ考えてみるっていうのも本当に楽しいですね。

中々、書いてみたいと言いつつどうせ形にする所までは到達できない気もしますが、自分もいつかきっとやってみたいなと思える、とても面白いお話でした(唐突なまとめ)。


最後、アイキャッチとかに使わせてもらうために記事内に1つは貼りたい画像ですけど、ちょうどファンアートで何かいいのがないかと思いましたが、よく考えたらそれも勝手に貼るわけにはいかないでしょうし、今回もまた青い花の無料お試し読み公開範囲にある巻頭カバーから使わせていただくといたしましょう。

日本語版青い花4巻・巻頭カラーページ、https://www.amazon.co.jp/dp/B00GBLFSC2/より


繰り返しですが、とても良い、あーちゃん愛に溢れたFan Ficを公開(&翻訳許可)していただき、Travisさんには最後改めてお礼申し上げたく存じます…!

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