青い花・英語版で気になった所を挙げていこう:1巻その1

今回から、英語版・青い花である「Sweet Blue Flowers」(SBFと略記)を読んでいて、気になった部分に順に触れていこうかな、と思います。

最初は1巻からですが、意外と1巻だけでも結構なボリュームがあり、たった二項目だけですが、焦ってやるもんでもないため、一気に全部消化せずに二回に分けて取り上げさせていただきましょう。

各ポイントに対するFrankさんのコメントも紹介したいですし、一気に毎日消化していくとそれが間に合わなくなるかもしれない…ってこともありますし、そもそも常にネタ切れに苦しんでいる感じですしね、分けることで、ただ記事の水増しをしたいだけなのかもしれません(笑)。

しかし毎度長すぎるのも事実ですし、少しずつ読みやすい長さにしていきたい限りです。


では早速参りましょう。

僕がFrankさんにメールで送った質問(=英語話者には、気になる点は実際どうなのか?)に、Frankさんが回答してくれる、という形式になります。

(ページ番号は、今の所(第一巻は)日英どちらも共通ですが、ずれた後は、やはり持っている方の多い日本語版の方を掲載していく予定です。)


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(1) p. 65: 幼いふみが、千津に「こわい?」と聞かれて、「わかんない」と答えた後、"Actually, I knew... I wasn't scared."(「本当は、知ってた…怖くなかった」)と心の中で思う場面。

これ、おかしくない?この英文は、文字通り、「怖くなかった」って意味だよね?

オリジナルの日本語版では「わかんなくなんかないの  こわかったの 本当は」なので、もし英語版が「怖くなかった」という意味なら、完全に逆の話になってるし、そもそもそれって文脈的にちょっとおかしくない?


A.
私は、英語版でのこの部分を、次のように解釈している:

千津がふみに、「こわい?」と聞く。ふみは答える:「わからない」と。言い換えると、ふみは、自分(ふみ)自身が怖いかどうかわからないと千津に言っているのである。この台詞は、ふみ自身が、自分と千津との会話を思い出している状況のものである。

次の台詞(5コマ目)は、ふみの独り言である。英語版では、この部分は小文字で、一方実際の会話は大文字で書かれており、見た目が違うので、これは明らかである。

つまり、ふみは独り言のように考えている:"Actually, I knew." この意味は「怖いかどうか、わかっていた」というものだ。そして次の台詞が、"I wasn't scared."である。つまり、ふみは千津に、自分(ふみ)は怖いかどうかわからないと言ったけれど、実際は、自分(ふみ)は怖くなかったのである。

さて、最初の部分の日本語版についてだが、これはSBF公式訳と似ているように思える。"Actually it was not 'I didn't know'..."(※注:僕が日本語台詞をもとに、英語にしてFrankさんに送った英訳)は二重否定である。つまり、ふみが「怖いかどうかわからない」と言ったのは嘘だったということだ。次の部分がそれを補強している:"…but I knew…"。しかし、最後、"honestly I was scared..."では、SBF公式訳とは全く逆の意味になっている。

つまり、これも、公式の英訳が正しくないということなのかもしれないね。


追加質問:なるほど。ということは、読んでいて「ん?ふみは怖くなかったの?じゃあ、ふみは、虐待に負けないぐらいの強い子だったんだね」みたいな、そんな感想を持ったってことかい?

普通に考えたら、この流れだと、ふみは「怖かった」という気持ちを抱くのが自然に思えるけど。

A. 当然、彼女はどこか怯えているとは思ったよ。このページの真ん中のコマで、ふみは怖がっているように見えるからね。

追加質問:ん?じゃあ、実際はいくらか「変だな」と感じたってことかい?

考察本の「誤植」の章ではこの場面は挙げられていなかったから、英語版でも自然なのかと思っていたよ。

A. うーん、まぁ、ふみは勇気を出して、怖くないと自分に言い聞かせているんだろうと思った、という所かな。


(⇒追加の独り言:)と、そんな所で、このふみちゃんの心の独白、結構重要なシーンにも思えますが、そのせいで全く意味不明な形になるという訳ではないようであるものの、少なくとも英語版では真逆の意味、「怖くはなかった」という強がり(?)的な発言になってしまっているという感じですね。

ここはやっぱり、「本当は、怖かったの…」の方がしっくり来ますし、もし英語版に今後改訂される機会があれば、改訂してもいい点ではないかな、という気もします。


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(1) p. 108:康が、"AND SHE WAS WITH HER BROTHER."(「兄と一緒だったしね」)と言っているが、この台詞を読むと、何となくあきらが合コンに参加したと思えてしまう気もするんだけど、どう?

実際の日本語版では「お兄ちゃんと帰っちゃうんだもんな―」であり、合コンには参加せずに帰ったことが強く示唆されている。

英語版では、この「(参加せずに)即帰った」というニュアンスはなくなってるよね?

もちろんどっちでも別に大筋には関係ない、大した話でもないんだけど、これも明らかに描かれた状況が違うことになるのかな、と思って。


A. 英語版では、あきらが合コンに参加しなかったことは明示されていない。

しかし、p. 103のシーンで、あきらが、兄が一緒に来たことを明らかに恥じていることから、そう推測することもできるのではないかと思う。そう考えると、あきらはパーティーに参加せず、兄に車で帰るよう命じただけというのは、比較的分かりやすい結論ではないかな、とも思う。

このことは、作中であきらが実際にパーティーに参加しているコマが全く存在しないことから、さらに強く印象付けられるのではないだろうか。

ということで、おっしゃる通り、日本語の意味が消えてしまっている部分はある。

しかし、英語版が間違っているとは思わない。ただ、何が起こったのかについて、日本語版ほど明確でないだけといえよう。


(⇒追加の独り言:)
確かに、普通に考えれば、まぁ「お兄ちゃんと一緒だった」=兄とともに合コンに参加した……ってことには、別になんないですね。

なお、「青い花で学ぶ英語」第一弾として、「合コン」って英語版だとどうなってるのかな?と思ったら、これは「a singles party」(独身者パーティ)という、何となく「合コン」感がやや弱い語になっていました。

調べてみたら、アメリカだと、出会いを求める寄り合いはむしろもっと大人数で行われるものだそうで、まさに日本の合コンに近いものは「singles party」が一番分かりやすい呼ばれ方ではないでしょうか、と、天下のCanCam様が紹介してくれていました(笑)。

cancam.jp
また一つ賢くなりました。使う場面はないと思いますが(笑)。

 

あぁ、あと英語についていえば、台詞は全て大文字で、心の中の台詞なんかは小文字になっているというのは、日本語では実現出来ない、面白い違いですね(もちろん日本語の場合でも、書体が違うから区別は可能なわけですけど)。

台詞が全部大文字なのは、見ていてちょっとうるさくないのかな?とも最初思いましたが、そういう使い分けができる上でも、全大文字も悪くはないのかもしれませんね。

 

…とそんなわけで、まだ1巻で気になった部分はいくつかあるのですが、上述の通り、記事水増し&返事をもらうための時間的猶予作りを兼ねて、次の記事に回させていただくといたしましょう。


アイキャッチ画像は、日本語版3巻・英語版2巻で、まだ使っていないカラー画像(目次ページ)が1枚だけあったので、Amazonお試し読みから、そちらを使わせていただこうかと思います。

(マジで、Amazonにあったら勝手に使っていい、って訳では決してないとも思うのですが、営利目的ではなく、志村さんの良さの宣伝につながってくれたら嬉しいという意図のものなので、セーフ扱いしていただけたら幸いでございます…と勝手に自分に都合よく考えているものの、もし「良くないよ」という意見があれば、画像は遡って消していこうと思います。)

英語版2巻・目次ページ、https://www.amazon.com/dp/1421592991/より

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