青い花・英語版で気になった所を挙げていこう:2巻その2

青い花・英語版であるSBF(Sweet Blue Flowers)を読んでて気になった点の、日本語版2巻相当部分・後半戦ですね。

実はもうあんまり大きなポイントはこの巻には残されていませんでしたが、早速参りましょう。

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(2) p. 159:"I'M THE FIRST TO ARRIVE!"(「私が一番乗り!」(ふみが部室に入ってきた時に、既にいた上級生部員がふみに向かってかけた台詞))

実はこれ、原文では「YOU'RE THE FIRST TO ARRIVE」(「君が一番乗り」)という意味の表現になってるんだけど……(これも、日本語では主語が省略されている。※日本語台詞原文は「おー  一番乗り」)

もしかしたら直訳しちゃうと、英語だとちょっと変になってしまうのかもしれないね(そもそも実際は、この台詞を言ってる生徒の方がふみより先に来ていたんだから)。

でも、日本語だと普通に意味が通るんだ。

めっちゃどうでもいい点だけどね。

A. 実は、英語でも、「You're the first」(あるいはそのもっと慣用的な表現)の方が、遥かに意味が通じる形になっていると思う。

だって、既にその場にいる人が、自分が最初に来ていたことを話すなんて変だろう?

むしろ、ふみが一番最初に来たという意味で、「Hey, you're the first one here」みたいな感じ(発言者を除き、ふみが最初に来た人だという意味)で、ふみに語りかけるように思う。


⇒(前回同様、追加メッセージで送ったコメントですが、特に返事はない感じです:)

あ、やっぱ英語でも、これは微妙に変なんだね。

そう、日本語でも、まさにおっしゃる通りの意味の台詞になってるよ。

これはやはりちょっとおかしな訳の一つかな?


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(2) p. 169:SUGIMOTO

京子はいつも杉本先輩のことを「YASUKO」と呼んでいたように記憶しているんだけど、ここでは「SUGIMOTO」だね。

こないだの苗字呼びに関する質問の続きだけど、状況によって呼び方が変わることってあるんかい…?


A. あると思うよ。ここでは、京子は恭己に対してより敬意を払おうとしている(基本的に、ここで京子は恭己に、自分を彼女として受け入れてくれるよう懇願している)ので、よりフォーマルな話し方になっているのだと思うね。


⇒(追加の独り言:)
…という質問でしたが、改めて読み直してみたら、何を勘違いしていたのか、京子は最初からずーっと、杉本先輩に限らず他の全員を「苗字呼び」(Ms.などの敬称なし。もちろん先生以外)していましたね。

(Frankさんからの指摘も特になかったですし、今回はしっかり読み直してはおらず、ばぁーっと流し読みチェックした程度ではありますけど、多分なかったように思いますねぇ。
 このシーンを見たとき「あれ?京子はYasuko呼びじゃなかったっけ?」と思ったからメモしたわけですが、何で勘違いしちゃったんでしょうかね…?)


なお、既にSBFを最終4巻まで一通り読み終わりましたが、井汲さんはやっぱり最後まで、あーちゃんだろうと先輩だろうと、ずっと苗字呼びのままでした。

やはり、どこか他人に完全には心を許さない…というと言い方が悪いですけど、気高さのある京子ちゃんならではのキャラ特徴付けなのかもしれませんね。

(実際、日本語版でも、一度も「あーちゃん」と呼んだりせず、最後まで「奥平さん」呼びですしね。むしろ、何でもかんでも下の名前呼びになるようなパターンより、遥かに日本語原典に近い形といえるでしょうか。

 ただ、大野の春ちゃんとかも、先輩後輩気にせずフレンドリーそうなのに、一貫してOkudaira呼びでした。
 ただこの子の場合、最終巻で唐突にAkira呼びをしている場面もあったので、やはり状況や関係によって呼び方が変わるってのは、当たり前っちゃ当たり前ですけど、普通にあるものといえそうです。)

 

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(2) p. 175:"YOU SAID IT DOESN'T MATTER."(「どうでもいいって言ったじゃん」)

今回も、自分の目からは少し日本語原文と違うんじゃないかなと思える点なんだけど、日本語版だとあきらはここで、"(Because I will go anyway, even if you won't go,) never mind!!"(「(仮にふみちゃんが行かなくても、私は行くから)気にしないで!」)と言っているんだ。

もちろん英語版の台詞でも、全く問題なく次の会話につながっていくからどっちでもいいんだけどね。

A. "Never mind"の部分は日本語の台詞に実際にあるもので、"Because I will go anyway, even if you won't go"の部分は暗示的に示されているものなのかい?

もしそうならば、SBFの英訳は、あきらの意図をより明確にするための試みなんだと思う。


⇒(追加メッセージ:)
そうそう、先の英文は、( )の中が暗示的で(でも、読者はみんな間違いなくその行間の意図を読み取れる)、「never mind」がここでのあきらの実際の台詞だね(※注:なお、原文の台詞は、前のページの「いやふみちゃん行かなくてもあたしは行くし……」という台詞を受けて、「だから別に気にしないで」というもの。…ってあぁ、よく見たら実際前ページではっきりとその前提条件は明言されていたので、暗示的も何も、「前述の通り」って感じだったかもしれませんね)。


ま、そだね、英訳の表現でもその前後とちゃんとつながっているので、どっちだろうとまさに「never mind」かもしれないね、ははは。
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青い花で学ぶ英語】

(以下、本巻の、英語翻訳で気になった点ではなく、単に個人的な発見・面白いと思ったような部分に関する話です。

 なので、Frankさんには特に送信していない、独り言的な内容ですね。)

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(2) p. 123:"Talk about the pot calling the kettle black."(「目くそ鼻くそを笑う」)

姿子ちゃんが、公理に向かって、日本語版では「下衆の勘繰りとゆうものよ」と語るシーン、英語ではどうなるのかと思ったら、原文とは微妙に違う気がするものの、このイディオムが使われていました。

「鍋がヤカンを黒いという」で、「自分のことを棚に上げて他人を批判する」という意、慣用句でいえばちょうど「目くそ鼻くそを笑う」というのがピッタリの表現とのことで、僕は知りませんでしたが面白い言い回しですねぇ~。


若干ニュアンスは異なる気もするものの、「下衆の勘繰り」に上手くはまるイディオムが恐らくなかったので、よりイディオムっぽいこちらが採用されたのだと思います。

文脈的には問題なく当てはまる台詞なので(公理姉ちゃんに対し、より辛らつな言葉ですが(笑))、いい英訳ですね。

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(2) p. 168:"BLABBERMOUTH SHRIMP"(「おしゃべりなちびっ子」)

「blab(秘密を漏らす)+口」でおしゃべりも面白いですが、「エビ?なぜ?」と思いきや、チビのスラングがshrimpとのことで、これまた知りませんでしたが面白いですねぇ~。

まぁ、使うことは絶対にないですけど(笑)。

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(2) p. 178:"BUSYBODY"(「おせっかい」)

「奥平さんっておせっかいねぇ」の場面で使われていた台詞ですが、ここはちょうどあーちゃんがトイレに行くシーンなので、

「BodyがBusyで、京子ちゃんはあーちゃんのことを『トイレが近い』とでも言ってるのかな?これは誤訳だ!Frankさんに報告せねば!!」

…と思ったら、普通にbusybodyという一単語が、まさかの「お節介・世話好き・何にでも首を突っ込む人」という意の話し言葉的単語ということで、驚きでした。

これも個人的には聞いたことがなかった、面白い表現ですね。

 

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※英語版巻末・脚注ページより

英語版には各巻の巻末に、いくつか欧米読者用に脚注があるのですが(「ohagiとは何か」など)、この中に一点、ずーっと勘違いしていたものがあったので紹介させていただきましょう。

(2) p. 47に、

「よぉ~しノッてるノッてる川崎マヤ~」

※川崎先輩の名前はマヤではない。

…という場面があるんですが、僕はずっと、「川崎マヤって、あの芸能人ね。英語読者…どころか、結構前の人だし、今の人は分かるんかな?」とか思ってたんですけど、まさかの、こちらの元ネタは、「ガラスの仮面北島マヤという漫画キャラクターのことである」と脚注にありました…!


マジけ?!川崎マヤって、あの人のことじゃなかったの?…と思って検索したら、まさかの、川崎麻世(まよ)さんとカイヤ川崎さんとがごっちゃになって、自分の脳内に川崎マヤさんという架空の芸能人が存在していただけでした(笑)。

いやぁ~何と、本当はガラかめの主人公のことで、川崎マヤなんて芸能人なんぞこの世にいなかったとは、危うく恥をかく所でしたよ、ハハハ!

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…といった所で日本語版2巻=英語版の1巻で気になったポイントも終わりですが……

あ、そういえば、こないだの記事で、「あーちゃんの名前は、編集・U村さん由来なのかな?ふみちゃんは分からないけどね」とか書いていたんですけど、ようやく空いた時間に待望のユリイカ志村さん特集号のインタビューページを読ませていただいた所、何とそこに、ふみちゃんの由来も紹介されていました!

…とはいえまぁこれは、ムック本の中の情報ということなので、読んだ人のお楽しみとしておきましょう。

ただ、あーちゃんの由来がU村さんというのは、インタビュアーの方によってはっきりと明言されていたので、これは間違いないですね。


そして前回書いていた「What the heck」という英語表現についてですが、無事SBFの作中でも使われている場面を見つけたものの、単独ではなく文の途中で使われているものだったのでこれは話に出ていたのとはまたちょっと違うものかもしれないんですけれど、その点含め追加でFrankさんに尋ねておきました。

もし返答をもらえたら、追ってそちらにも触れてみようと思います。

英語版『放浪息子』3巻表紙、https://www.amazon.com/dp/1606995332より

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