極上のサスペンス・予告犯!

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もう少し大好きな漫画紹介シリーズを続けさせていただきましょう。


今回は、短く簡潔にまとまっていて、それでいて読み応え抜群な、重厚・濃密な感じの作品で何かいいのはなかったかな…と考えてパッと浮かんだこちら、筒井哲也さんによる、『予告犯』(全3巻)です!

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「予告犯」1巻表紙より

心が物凄く揺さぶられた作品を読んだら、その作者の全作品のみならず作者ご本人の情報も余す所なく調べ尽くす僕ですが、筒井さんに関しては、Wikipediaに載ってる情報以上のものがほとんどない(=いくつかインタビュー記事(これとか↓)は拝見させてもらっていますが…

www.nippon.com
…作者ご本人がSNSをやっていたり表舞台で多くを語ったりすることがあまりない、という意味で、ですね)こともあり、僕の中ではかなり謎に包まれた作家さんなんですけど、逆にそれが却ってプロフェッショナルさを宣揚しているといいますか、作風も相まって、その、多くを語らない姿勢が、「筒井さん…マジでカッコいいぜ!!」…と思えてやまない次第だといえましょう。

 

↑の記事にもある通り、特にフランスでマジのガチで大受けしている(権威ある賞も受賞)という話もよく目にしますけれども、「分かる。フランス人、めっちゃ好きそ~」と思える、本格社会派・現代風刺・神プロット作品を数々出されていらっしゃる感じですね。

一言でいって、ストーリーが本当に素晴らしく緻密に練られている、本当に読ませる作品、これに尽きましょう。

「掛け値なしに有能な作者さんなんだろうなぁ…」と思えてやみません。


ちなみに僕は、もうかなり前、ネットでかなり話題になっていた(2002年!僕がネットを使い始めた最初期、もう20年も前ですか!!)、当時あった作者筒井さんのウェブサイトでDUDSHANTを見かけたのが筒井作品との初めての出会いでしたが……

…って、流石にもうサイトは存在しないと思った&先ほど「SNSをされない筒井さん…」とか書いていたのに、まだご自身のサイトを運営されていたとは!

www.pn221.com

単行本化したDUDS HANTも未だに公開されているようで、凄すぎぃ!

このダズハントが筒井さんにとってほぼ初めてのストーリー作品で、掲載当時は連載誌・出版社や編集といった後ろ盾も(恐らく)全くない中でここまでのクオリティのものを出されていたという時点で、やはり別格な人というのはもう最初っから違う・光るものがあるんだなぁ…と思わずにはおれません。
(といっても、僕よりちょっと年上で、2002年当時でももう20代後半だったようで、これほどのセンスの方にしては、漫画界においては割と遅咲きな方になる形なのでしょうか…?
 ダズハントの頃は、もちろん凄く面白かったですけど、そこまで熱心に追いかける程までではなかったので、当時のウェブサイトでの筒井さんご自身による発信とかはほぼ記憶になく、大変残念です…。)


とはいえ、ちょうど最初のインタビュー記事にもあった通り、その後しばらくの間、全然作品を見かけない時間が続いたんですけど、めちゃくちゃ久々の再会、僕の場合、それこそが今回取り上げた予告犯だったんですが、「あっ!DUDS HANTとか、マンホールの人だ!これはもう、マジで、究極に面白いに違いない」と思って読んでみたら、期待以上にあまりにも面白く、この先絶対に全作品を追わせていただこうと決めた次第であります。

 

例によって、作品の中身にはネタバレやら著作権やらで中々触れ辛いのですが、また姉を引き合いに出して恐縮ですけど、小難しいことがあんまり好きなタイプではない姉に読ませても大絶賛で…

「95点!こういうの好きだわー」

…という書き出しから、いくつか具体的に良かった点を色々語ってくれた最高レベルの感想が返ってきたので、どんな方でもほぼ間違いなくお楽しみいただけるように思います。

ただ、ネットネタが結構(というか割とふんだんに)散りばめられており、そういうのが好きではない方にはちょっとアレかもという点もありますが、そこはまぁ本質的な所ではないですし(ネタの使い方・使い所も大変上手で、元ネタを知っていれば2倍は楽しめる、という作りなだけですね。…いやまぁ2倍は言い過ぎか、1.2倍ぐらいですかね(笑))、ネットネタに大して詳しくない姉でも何にも問題なかった(そもそも気にもならない)ようでしたから、まぁOKでしょう。


あぁでもこの作品といえばあと、堀江さんにクッソ似ているIT企業の社長が、主人公に対し、マジで笑えるぐらい筋が通ってなさすぎる理不尽な流れで「ねえ!!ガキじゃねえんだからさ!!」などとキレ散らかすシーンがあまりにもインパクトが大きく、逆にその画像自体がネットでもかなり話題になっていましたけど…

(まぁ、引用の範囲を超えてる量かもしれないので、画像そのものはここでは貼りませんが、まとめサイトでいくらでも一連の流れが貼られていますね(↓など))

nandemoomosirosokuhou.doorblog.jp
僕は経験ないので「うっわ、正直分からんけどめっちゃ分かるわ…クッソリアルで、ブラック会社とかでありそうなパティーンだね…」とお気楽に読めましたが、実際にこういう理不尽さを経験されている方とかですと、「マジでこういうのやめてくれよ…。なんで漫画でこんな嫌な思いせんとあかんねん…」と、拒否反応を示すことがある…というのも、一般読者の反応として、何度か見かけた記憶があります。

でもまぁこの作品は「そういう理不尽に対して…」というものですし、そこはまぁフィクションと割り切っていただければ…と思える話なんですけど、漫画としてのレベルが高く、描写があまりにもリアルすぎるのも多少考え物なのかもしれませんね(笑)。

(なお、堀江さん自身がこの件に関し、強い不快感を露わにされていたのもニュースになっていましたが…

netgeek.biz
こればっかりは、流石に堀江さんが完全に被害者で、このシーンは僕はめっちゃんこ好きなんですけど、やっぱりあんまり実際の堀江さんに似せすぎているのは良くなかったですね…とは思えてしまうポイントかもしれません。


他には、以前の記事(改めまして、コメントありがとうございます俺達は機械じゃねぇ!! など)で、

「人としての尊厳・自尊心みたいなものは、この世の中・社会で生きていくうえで、一番上に来るぐらいに大切なものだと思う」

…的なことを何度か書いていたのですが、それは何気に、この作品からの影響を大いに受けていたといっても過言ではないかもしれません。

先ほどの理不尽な派遣いじめ的なシーンもそうですが、「人間の自尊心を踏みにじってはいけない」というのはこの作品の根幹テーマともいえる感じで、まぁ正直、「そんなの漫画で気付かされるとか、頭大丈夫?(笑)」と思われるかもしれませんが、もちろんそんなのはいうまでもなく当たり前なんですけれけども、改めて強くそう思った・意識した、って感じですね。


あと他にも沢山のグッと来るシーン・セリフ・行動などがあるのですが、あんまり細かく触れるのはやめておきましょう。

間違いなく面白いので、たった3巻で本当に素晴らしくキレイにまとめられている濃密なこの作品、興味がございます方はぜひお手に取ってみていただければ幸いに存じます。


ちなみに、ちょうど先ほどの堀江さんの記事にもあった通り、この作品は、2015年に映画化もされているようですね!

eiga.com
僕は圧倒的断トツで好きな媒体は漫画派で、やはり実写化はどうしてもイメージが……という気になってしまいがちなため未視聴ではあるんですけど、レビューも中々に高いですし、漫画を読まない方にもこの作品の良さが知ってもらえるという意味でも、映像化もそんなに拒否反応を示すべきものではないのかもしれませんね。

(とはいえやっぱり僕自身は、好きな漫画の実写は、ちょっと食指が動きにくいかなぁ、と思えてしまうのが正直な所でしょうか…。
(…まぁ、それ(実写化うんぬん)以前に、そもそも媒体として映画より漫画が好き、というのがあるんですけどね。))


ちなみに、筒井さんの作品からは一番最近の連載作品『ノイズ【noise】』も、まさに今年1月の公開、現在絶賛大ヒット上映中のようです!

wwws.warnerbros.co.jp
もちろんノイズも素晴らしかったですが、若干、「え?もう終わり…?」という物足りなさ(というか、もっと見ていたかった!…って感じですね)もあったので(ちなみに、ノイズの前・予告犯の後の、『有害都市』も、ちょうど同じ感じでした)、その点から、個人的には予告犯が最後畳み方まで本当に完璧だった(もちろん、まだ「読みてぇ~」感は大いにありましたけど、キレイに着地した満足感は一番高い、って感じでしょうか)ため、まぁやはり一番に挙げるなら、個人的には予告犯かな、という感じですね。


しかし、どれも(昔の作品も)本当に傑作揃いなので、未読の方がもしいらっしゃったら、超上質のサスペンス、筒井作品を心よりオススメいたします、という話でした。

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