永久にみんなの心に残り続ける、こどものおもちゃ

f:id:hit-us_con-cats:20220321115443p:plain話が行ったり来たりですが、今回はこないだ赤ちゃんと僕」の話に触れていたことから関連して、これまた懐かしめの作品(少女漫画)を取り上げてみるといたしましょう。


先述の通り、僕は子供の頃、姉が毎月買って読み終えた後にその辺に転がってた「りぼん」(たまに「なかよし」とかもありましたけど、やっぱり当時はりぼんが一番強かったし、毎月必ず購読していたのはりぼんでしたね)をこっそり読んでいたわけですが、僕の見てきた中でいわせていただくと、りぼん史上最高傑作は、圧倒的断トツでこちら(既に↑の漫画画像でも触れていましたが)……

小花美穂さんの『こどものおもちゃ』(全10巻)ですね!

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こどものおもちゃ」最終巻表紙より

もうちょっと上の世代だと、池野恋さんの『ときめきトゥナイト』や水沢めぐみさんの『姫ちゃんのリボン』、さらにもうちょい上だと一条ゆかりさんの『有閑倶楽部』などなどありますが、ちょっとまだ子供すぎて、少年の僕にはあんまり理解できなかったってこともあるため、やっぱり僕が中学生ぐらいの頃に読んだのがドンピシャになる感じなのです。

特にまだ小学生のチビっ子だった上記の連載作品がメインの頃は、さくらももこさんの、説明不要『ちびまる子ちゃん』なんかが断トツでりぼんで楽しみだったわけですけど、まぁまるちゃんはストーリーものってわけでもないですしね。

(小花さんはさくらさんのアシスタントをされていたらしく、彼女の才能を見抜いたさくらさんが「絶対に諦めないで頑張るように」と発破をかけたエピソードを小花さんのWikipediaで見かけましたが、素晴らしいですね…!)


時代背景についてもうちょい触れますと、ずーっと前の記事でも書いたんですが(参考・もう1年近く前の記事→思い出のドリンク(その8・中二の頃が最も印象に残る説))、やっぱり僕はあらゆる文化に「95年の壁」みたいなものを感じていまして、それ以前は何となく色々なものがどうにも古臭い感じがする…

…一方それ以降は、何となく世の中全体が垢抜けて、何といいますか色々子供騙しじゃない本物が生み出されていくようになってきたような……

…なんて思ってるんですけれど(まぁ、自分が大人になるタイミングだったので、都合よく自分中心にそう思ってるだけかもしれないんですけどね)、まさにこどちゃの1巻も1995年発売ですから、こちらはもう何か野暮ったさや子供騙し感のない、問答無用で素晴らしい作品といえるように思えるのです。


軽く検索してみたら、「みんなのランキング・りぼん掲載作品」では、やっぱりこどちゃが堂々の第一位に輝いてますねぇ~。

ranking.net
ま、このランキングサイトも、自分の好きなものでもたまに「そうかぁ?」と思えるやつもあるんですけどね、これは完璧に納得です。

割と長いことりぼんをこっそり読んだ読者として断言しますが、こどちゃだけはマジで別格の、りぼん史上に燦然と輝く最高傑作と思えてなりません。


まぁ、何かを褒めるときに何かを落とすのはあんまり良くないんですけど、ゆーて僕がりぼんを読んでいたのは小中学生の頃で、自分自身まだまだ子供の目ではあったといえるものの、多くのりぼん作品はやっぱり小学生のりぼんっ子向けといいますか、申し訳ないけど女児が楽しめるようなお子ちゃま向けレベルのものが圧倒的に多かったように感じるのです。

でも、こどちゃは違いましたね。

こどちゃは、間違いなく「大人の男が」「今読んでも」という少女漫画にはとても難度の高い難しい条件を加えても確実に「楽しめる!」と断言できるレベルの、凄まじいまでの傑作といえましょう。


その証拠に、僕は大学院時代、同じ研究室の同学年・先輩後輩だれかれ構わず割としばしばオススメ漫画を押し付けることもしていたんですけど、少年漫画オンリーで、全く少女漫画など一度も読んだことのないような先輩(ちびるぐらい頭の切れる、超有能な方)が、こどちゃにドハマリしてましたからね。

そして割と最近(まぁ1, 2年前ですが)、姉にも改めて「懐かしいでしょ。細部までは覚えてないだろうから、またこどちゃ読んでみたら」と送りつける際、自分もパラパラッと読み直してみましたけど、いやぁ~、最後まで読む手が止まりませんでしたもんね。


思い出補正とか抜きに、100%確実に今でも楽しめる、普遍的な良さを備えた大傑作といえるわけです。

読んだことない方、もしもつまんなかったら責任もって返金しますから、絶対に大人買いして損はない、少女漫画最高傑作といえるぐらいまであるかもしれませんよ!(いやまぁ返金対応は流石に冗談とはいえ(笑))


とはいえ、実は僕自身は連載時雑誌で見ていた頃は、当時の2大巨頭・小花さんと矢沢あいさんとで比べると、何気に矢沢さん派だったんですけどね(笑)。

絵だけでいうと、小花さんはやっぱりちょっとテンプレ少女漫画絵で、特に扉絵的なポスターみたいなタイプの一枚絵で、りぼんとは思えない圧倒的にハイセンスでオシャレ極まりない矢沢作品(こどちゃと同じ頃は、『ご近所物語』ですね)の方が、読んでいて更にワクワクしたといえるぐらいですけど(特に当時のレベルでは別格でしたし、「こんな上手い絵あり得るの…?」と、毎回思っていました)、ご近所もりぼん作品という括りでいえばNo. 2ぐらいの傑作に思えますが、内容含めた作品としてはやはりこどちゃがキングかな、って所でしょうか。

(でも矢沢さんは、やはりりぼんより対象年齢層が明らかに上過ぎたのか、その後掲載誌を移り、更に圧倒的に素晴らしい傑作を出されていくわけですけど、今回は「りぼん作品のこどちゃについて」ということで、矢沢あいさんについてはまたいつかその内改めて触れようかなと思っています。

 あ、あともうお一人、同時代で同じぐらい別格であった方に、吉住渉さん(『ママレード・ボーイ』など)もいらっしゃいましたね!)


まぁ、こどちゃも最初だけは、ちょっと普通のドタバタ学級コメディ感も若干あるものの(でも、絵も話も、最初からほぼ完成されていたように思います)、特に中盤以降のシリアス展開は神懸かってるの一言で(でも、紗南ちゃんの明るさなどで、暗すぎはしない本当に絶妙な感じ)、未読の方はぜひともご覧いただきたいの一言です。

(姉の感想は「記憶が曖昧で、昔適当に読んじゃってたから記憶違いも多くて改めて読んで、すごく感動したし面白かった!りぼん史上最強ってのもうなずける!」という、とにかく最高という感じでした。)


しかし、小花さんに関しては、まぁあんまりそうハッキリいうのも大変失礼ではあるかもしれないものの、小花さんご本人も度々その旨をあとがき的コーナーやインタビューで語ってらっしゃるのでまぁ正直にいってしまうと、やっぱり、こどちゃ以外は、ちょっと明らかに落ちちゃうかな、って気がするかもですね。


作者ご本人が「燃え尽き症候群」と語っていた通り、明らかに全精力をこどちゃに注がれた結果、その後の作品はちょっと見劣りがしてしまうかな…という感が否めません。

例えばこどちゃの続編的な感じにあたる、特別番外編の『Deep Clear』なんかは…

www.cmoa.jp
…もちろん悪かぁねぇ…!

純粋に「面白かったかつまらなかったか」でいえば十分面白くて楽しませてもらえたんですけど、やっぱりこどちゃにあった「歴史に残るレベルの傑作オーラ」みたいなものは、正直いうとちょっと感じられなくなってしまったかな…ってのが率直な意見かもしれません。

(しかし、こどちゃ再読で一気に改めて小花さんの大ファン・紗南ちゃんファンになった姉は「めっちゃくちゃ良かった!こどちゃの続きが読めて本当に嬉しい!!」と感激していましたし、ファンにとっては必読の作品とはいえるように思います。)


(ちなみに、後年読んだこどちゃ以前の作品(当然、小花さんは全作品見させていただきました)も、まだちょっとトップレベルの力ではないように感じたため、本当にいきなりこどちゃで小花さんのほとばしる才能が爆発し、4年超の連載を最後まで輝きながら走られ続けたと思えてやまない感じですね。)


…とそんなわけで、個人的には、やはりその後の小花さんはやや燃え尽き感もあるのかな、という所は否めないわけですけど、しかし、ハッキリ申し上げてこの「こどものおもちゃ」という作品にはそれだけの価値があった、本当に奇跡のように完璧なものだったんだ、ということの裏返しにも感じられます。


似たような話…と思いきやあんまり関係ない話かもしれませんが、主にゲーム音楽を手がけられる下村陽子さんという作曲家の方がいらっしゃるんですけど(スト2やスーパーマリオRPGの音楽担当という、彼女自身も大量の超名曲を産み出され続けている偉大な音楽家です)、下村さんの言葉で非常に印象的なものに、ドラクエ3の『おおぞらをとぶ』という、全少年少女の心に深く残るマジで超名曲(レジェンド・すぎやまこういちさん作)があるのですが、それについて…

「これほどの曲が作れたなら、その瞬間に死んでも構わない」と思わせる程の衝撃であった

…と語られているのが本当に記憶に残っているんですけど…

(何で見たのかな…と思ったら、普通に下村さんのWikipediaに掲載されていましたね。)

…僕も正直、(漫画家ですらないので偉そうなことはいえませんが)同じようなことをこどちゃに感じるといえるかもしれません。


人生を投げ打ってでも、これだけの傑作を残せる人はそう多くはない(まずいない)し、多少燃え尽きてもそれだけの価値はある、永久に色褪せない普遍性をもった大傑作に思います、小花さん、本当にありがとうございました…!

……みたいな感じですね(いや、別に小花さんは絶命したわけでも断筆されたわけでもないので、過去形は失礼ですが、それだけの敬意と謝意を表したい、ということですね!)


小花さんの魂が注がれたりぼん史上恐らく誰もが認める最高傑作こどものおもちゃ、改めて本当に大好きだし心からオススメです、というお話でした。

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