日本人の食事摂取基準(2020年版)で取り上げられている13種のミネラルについて、ここ何回かにわたる記事で一通り触れ終えていました。
冗長ですが、各ミネラルについて、改めて一言まとめ・摂取基準(数値データ)の表・多く含まれる食品の例などなどを簡潔にまとめてみようと思います。
数値データのでかい表はただの上記PDFからの抜粋なので、それを見ればいいだけの話なんですけど、めちゃくちゃ長い資料ですし、多量ミネラルと微量ミネラルで飛び飛びになっていますし、1ページの記事で簡潔にまとめ直すことには一応意義があるのではと思っとります。
食品については、主に医薬基盤・健康・栄養研究所の解説記事からの抜粋です(13種の内、ナトリウムとカリウムの解説記事はなかったので、別のデータを参照)。
ちなみにマグネシウムやリンの話に触れていたこないだの記事で、「目安量は設定されていないけど、一応、推奨量は掲載されていました」とか書いてたんですけど、「目安量と推奨量の違いって何だよ?むしろ推奨量の方がより強く推されてるような気がするけど?」って僕自身正直見てて感じていたわけですが、まぁ文脈的に、目安量の方がより頑張る目標、推奨量はまぁこのぐらいは摂ることをオススメします的な弱い数値設定なのかなと思ったのですが……
…と、よく考えたらこれは厚労省監修の494ページにも及ぶ資料なので、「その辺の定義もちゃんとなされているに違いない」と調べてみたら、流石はお役所仕事、きちんと掲載されていましたね。
PDFファイル3ページ(資料内の通し番号)によると…
摂取不足の回避を目的として、「推定平均必要量」(estimated average requirement:EAR)を設定する。推定平均必要量は、半数の者が必要量を満たす量である。推定平均必要量を補助する目的で「推奨量」(recommended dietary allowance:RDA)を設定する。推奨量は、ほとんどの者が充足している量である。
十分な科学的根拠が得られず、推定平均必要量と推奨量が設定できない場合は、「目安量」(adequate intake:AI)を設定する。一定の栄養状態を維持するのに十分な量であり、目安量以上を摂取している場合は不足のリスクはほとんどない。
とのことです。
まぁ結局なんだか分かりにくいわけですけど、「推奨量」は、基本的に普通の食生活で誰でも簡単に満たせているただの参考数値、一方目安量は、推奨量の推測ができない場合に使われる数字で、「この量以上を摂取していれば欠乏症の不安はほぼない」(※多くの人が十分摂れているかどうかについては何もいっていない!)ということで、やはり目安量の方が、より参考にした方がいいデータといえましょう。
(…と思いきや、改めてまとめてみた後に気付きましたが、「気にしなくてもいい」とあっても目安量が掲載されているものも目立ったので、あんまりこだわる点ではなく、具体的な補足説明(「通常、欠乏することはない」など)を参考にした方がいいのかもしれませんね。)
以上を踏まえて、順番にまとめです。
…とその前に、今さらですが、「必須ミネラル」というのは、例の資料で取り上げられていた13種のみではなく、やっぱりそこに硫黄と、あとは塩素と、微量元素にコバルトも含まれている、合計16種のことを指すものだったようです。
上記スクショ画像は改めて医薬基盤・健康・栄養研究所のページからの抜粋でしたが、謎の絵(別に魚にも主要ミネラルは含まれるし、豆腐とかマメ(これ豆なの?(笑) キノコにも見えますね(笑))にも普通に微量ミネラルは含まれているので、マジで申し訳程度に絵を添えただけな感じで笑えます)はともかく、何順?という気もしますけど(…って、これは原子番号順ですね)、このサイトにも例の13種しか解説記事がなかった(ナトリウムとカリウムについては、含まれる食品等を書いてくれている個別解説記事はなかったですが、いずれにせよコバルト・塩素・硫黄の解説は一切ナシ)ので、改めて元ネタ資料の順番に見ていくとともに、独断と偏見で、やっぱり硫黄だけは最後に追加してみようと思います(まとめていったら無駄に長くなったので、やっぱりやめました)。
では、長い前置きを終え、簡単な全注目ミネラルまとめ…
(摂取基準の表は、全てhttps://www.mhlw.go.jp/content/10904750/000586553.pdfより)
1. ナトリウム(Na)
まさに食塩。細胞の外を満たす超重要ミネラルだけど、油断すると特に日本人はほぼ確実に過剰摂取気味になる(唯一の、上限側が数値目標のミネラル)。塩っ気の多いもの・しょっぱい食品にご注意!
多く含まれる食品:しょっぱいもの全て!
こちらのサイト(https://www.eiyoukeisan.com/calorie/nut_list/natrium.html)に各種食品の100グラムあたりナトリウム含有量がまとめられていたので、参考になるかもしれません。
また、CDC(アメリカ疾病予防管理センター)の調査(↓)によると…
www.cdc.gov
ナトリウムの摂取源となっている食品トップは、まさかのパン!
1. パン
2. ピザ
3. サンドイッチ
4. ハム・ベーコン
5. スープ
6. タコス
7. ポテチ・スナック
8. チキン
9. チーズ
10. 卵・オムレツ
まぁこれはアメリカ人の調査なので、日本人だとまた確実に違う気もしますが、ポテチとかバリバリムシャムシャ食べまくるアメ公さんたちですら圧倒的にパンの方が上ということですから、塩分摂取の量については、間食よりもむしろやはり主食に気をつけた方がいいというのはいえるのかもしれませんね。
2. カリウム(K)
ナトリウムを排除してくれる、塩分過剰摂取民の強い味方。具体的には、細胞の内部を満たしているミネラルで、その意味でもとても重要。
多く含まれる食品:こちらのデータ(https://www.810810.co.jp/list/kalium.pdf)によると、常用量で最も多くカリウムを含むのが、まさかのスナック菓子(しかも断トツ。100グラム中1200ミリグラム)でしたが、スナックの場合は確実にそれ以上にナトリウムも含むので、これはダメですよ!
非常に優秀に思えたのは、メロン(1食250グラムで850ミリグラム)で、カリウム食品の代名詞ともいえるバナナよりも優れている感じですね。でも、値段も考慮すると、やっぱりバナナの方がカリウム単価は安い…?
ほうれん草やイモ類も高カリウムですが、調理時に塩を足してしまいがちなので、減塩目的ではちょっと向かないでしょうか。
そう考えると、カリウム源としては、やはり果物が優秀かもしれませんね。
3. カルシウム(Ca)
誰もが知る、骨に含まれる(骨そのものである)カルシウム。その他の栄養素とのバランスも重要だといわれている(マグネシウムや、ビタミンDなど)。
多く含まれる食品(1食あたり):煮干し(330 mg)、低脂肪乳(260 mg)、木綿豆腐(140 mg)など。
4. マグネシウム(Mg)
代表的な2価イオンとして、生体反応の至る所で多用されている重要ミネラル。カルシウムとの比で2:1(カル2マグ1)となるように摂るとよいとのこと。
基本的には、通常の食事で欠乏することは稀。
多く含まれる食品(1食あたり):がんもどき(98 mg)、絹ごし豆腐(75 mg)、うまづらはぎ(61 mg)(って何それ?(笑) 一応、魚ですね)など。
5. リン(P)
DNAの塩基同士をつないだり、エネルギーのやり取りにおける最重要物質ATPを構成したりと、あまりにも重要なミネラル(C, H, O, Nの主要4元素以外では、個人的に生命科学・生化学において最重要)。
リンは「通常不足することはない」という記述があったので、目安量ではなく推奨量のみの記載だと思いこんでいたんですが、改めて表を見たら、これは目安量が掲載されている、むしろ珍しい方の例でしたね。
(そんなわけで結局目安量と推奨量の違いは微妙極まりない感じですが、リンはハッキリと「通常の食事では不足や欠乏することはない」と書かれていますし、まぁあまりその違いは気にしなくていいという結論でしょうか。
こないだの記事ではその辺について何か全然見当はずれのことを書いてしまっていたので、修正しておきました。)
多く含まれる食品(1食あたり):豚ヒレ(焼き)(380 mg)、きんめだい(生)(343 mg)、玄米めし(195 mg)など。
6. 鉄(Fe)
血液中で酸素を運ぶのに必要な、超重要元素(いや超重要ばっかじゃん(笑)って感じですが、結局必須ミネラルなわけですし、マジでどれも重要ということです)。
しっかり摂って、貧血を防ごう!
多く含まれる食品(1食あたり):あさり(缶詰、水煮)(12 mg)、豚レバー(5.2 mg)、がんもどき(3.6 mg)(がんもどき、何か色々強いっすね(笑))など。
7. 亜鉛(Zn)
ジンクフィンガーとしてDNAの合成や調節に多大なる影響を与えるタンパク質の相棒である亜鉛。精力増強のみならず、近年、若年成人女性において味覚機能の低下と低亜鉛状態との関連が報告されているとのことから、誰しもに重要なミネラルといえましょう。
多く含まれる食品(1食あたり):かき(生)(8.4 mg)(生牡蠣?危ない気もしますね…)、 牛ヒレ(焼き)(6.0 mg)、うなぎ(かば焼き)(2.2 mg)、がんもどき(1.6 mg)(植物性食品またもトップ!(笑))など。
8. 銅(Cu)
こちらも人体においては主に造血に関わっているなど、鉄と似た役割ももつミネラル分。でも鉄より重要度は低い(欠乏もほとんどしない)し、若干の二番手感もある…?
多く含まれる食品(1食あたり):牛レバー(生)(2.12 mg)、しゃこ(ゆで)(1.38 mg)、ピュアココア(0.68 mg)など。
9. マンガン(Mn)
電池では最重要成分ともいえるけれど、生体内においては不足することはほぼ絶対になく、特に意識する必要もなさそうなミネラル。一応、他の金属同様、機能するためにこいつが必要な酵素もあり、必須なミネラルであることには間違いないけれど。
多く含まれる食品(1食あたり):玉露(浸出液)(6.90 mg)、玄米めし(1.56 mg)、しじみ(生)(1.39 mg)、パインアップル缶詰(1.26 mg)など。
10. ヨウ素(I)
甲状腺にて重要な働きを見せる要素(ヨウ素だけに)。甲状腺異常の疾病は各種知られており、必ずしもヨウ素の摂取量が引き金になるわけではないものの、バランスよく摂取(過剰すぎず、不足しすぎず)することを心がけたいミネラル。
多く含まれる食品(1食あたり):刻み昆布(1万8400 μg)(桁違い!!)、ひじき(ステンレス釜ゆで)(576 μg)、しめさば(301 μg)など。
11. セレン(Se)
「21番目のアミノ酸」セレノシステインとして、特別なタンパク質に含まれる半金属元素。通常の食事で不足することはほぼないものの、毒性が強く、必要量と中毒量の差がとても小さいため、サプリメントなどの摂取には注意が必要とのこと。
多く含まれる食品(1食あたり):まがれい(焼き)(97 μg)、マカロニ・スパゲッティ(乾)(63 μg)、まつたけ(生)(25 μg)など。
12. クロム(Cr)
フルメタルメッキボディ!…を人間で作ることはできないけれど、インスリンなど、代謝に関与する重要なマイナーミネラル。
多く含まれる食品(1食あたり):がんもどき(8 μg)、ミルクチョコレート(7 μg)、ほうれん草(冷凍 ゆで)(5 μg)、まさば(4 μg)など。
13. モリブデン(Mo)
空気から肥料を作る偉大なる反応・窒素固定に必須のミネラルであり、また、硫黄とも結合性が高く、地球上の窒素・硫黄サイクル循環に大きく関わる、大切な元素。
生体内でも酸化還元反応を行う酵素で必要となるが、通常の食事で十分摂取でき、過剰量でも毒性はないので、日常生活では特に気にする必要もない成分かもしれない。
多く含まれる食品(1食あたり):納豆(116 μg)、そらまめ(生)(90 μg)、豚レバー(48 μg)など。
というわけで、各種ミネラルのまとめでした。
…ま、正直ぶっちゃけ、全ミネラルをバランスよく毎日欠かさず(過剰にならず)目標量バッチリ摂るなんて不可能に近いわけですが、どれも重要な栄養素なので、塩分は言うに及ばず、マイナーミネラルも多少意識して毎日の食事を楽しむと、より食卓に彩りが加わるかもしれませんね(適当まとめ)。
では次回は、何気にそもそもこれについてまとめる予定だった、ビタミンにいってみるとしましょう。