今回も予告通り、前々回の「断食による心臓・血圧への影響」記事で取り上げられていました、略称・PSMFダイエットなるものがどういったものなのか、そしてそのPros/Cons(メリット/デメリット)がまとめられている記事(↓)を見て行こうと思います。
ダイエット記事はこないだ、少し前にクリーブランド・クリニックHEALTH LIBRARYで検索したら出てくるものは一通り見終えていたつもりでしたが、ブログ形式のhealth essentials記事にはまだ「Diet」と名の付く記事があった感じですね。
まぁこれは「Fast Diet」で、断食系の食事法なわけですけど、PSMFというのは上記リンクカードのタイトルにもあります通り、Protein-Sparing Modified Fastの頭字語で、これ、日本ではまだ全然広まっていないものらしく、日本語表記が全く見つからなかったのですが…
(英語版Wikipedia記事はあるものの、今のところ日本語記事はない感じですね↓)
…字義通り訳すと、「タンパク質節約・修正型・断食」で、前々回の記事で出てきたときはそのように記述していたんですけれども、「Sparing」が、本当に「節約」という意味で合っているのか、全く自信はなかったものの、一応代謝学の用語にProtein-sparingで「タンパク質節約」というものがあったため、そうしていた感じでした。
(「spare」という単語の第一義は「余らせる・節約する」という意味ですしね。そこから、日本語でもおなじみ「スペア=予備の」という意味にもつながる感じです。)
…しかし、内容を見てみると、どう考えても「タンパク節約」という意味とはまるで真逆の、タンパク質メインの食事を摂る形のようなので、ここはまぁぼんやりとした意味でゴリ押しできるカタカナのまま、「タンパク質スペア修正断食法」みたいな感じにしようかな、と思います。
(「タンパク質補助」とかが一番適切なのかもしれません。まぁ、基本的に「PSMF」表記がメインなので、そう呼べばいいだけなんですけどね(笑)。)
それでは今回も早速参りましょう。
タンパク質スペア修正断食ダイエット法について知っておくべきこと(What To Know About the Protein-Sparing Modified Fast Diet)
この短期ダイエットは、体重を素早く大幅に減らしたい方のためのものです
ダイエットの世界では、選択肢の多さに圧倒されてしまうことがあることでしょう―いくつか挙げるならば、ケト、パレオ、フレキシタリアンなどがあります。
しかし、体重を大きく減らそうとしている方には、タンパク質スペア修正ダイエット、またの名をPSMFダイエットが、短期的な選択肢として良いかもしれません。
医師は通常、肥満症の方にこの食事法を推奨しています。また、PSMFダイエット中は、医師または登録栄養士の指導を受けるべきだと言えます。
では、PSMFダイエットはどのように行われるのでしょうか?考え方としては、低カロリー、低炭水化物、高タンパク質を摂取することで、体重を短期間で減らすというものになります。
「これは、修正型のケトダイエットなのです」と登録栄養士のベス・ツェルウォニーRDがおっしゃいます。「カロリーの大半がタンパク質由来となります。脂肪はごくわずかで、控えめの野菜とともに、赤身のタンパク質が選択肢として挙げられます。果物、でんぷん質の野菜、パン、パスタは食べません。そうすることで、体が脂肪燃焼モードであるケトーシスに移行しやすくなるのです。」
ツェルウォニー栄養士が、PSMFダイエットの仕組みと、その長所および短所を説明してくださいます。
どう作用するのか
PSMFダイエットは2つの段階に分けられます: 集中(インテンシブ)期と再栄養(リフィーディング)期です。
集中期は通常約6ヶ月間続き、1日約800キロカロリーを摂取します。目標は、体重1ポンド(約454グラム)あたり約0.7グラムのタンパク質を摂取することです。
炭水化物に関しては、1日20グラム以下を目標にします―そしてこの炭水化物は野菜から摂ります。また、油やサラダドレッシングのような食品から摂る追加の脂肪も避ける必要があります。
「大抵の場合、飽きたり、疲れたり、変化が欲しくなったりして、平均で6ヶ月くらい続けることになる人が多いですね」とツェルウォニー栄養士が話します。
かかりつけの医師または栄養士が、栄養不足にならないよう監視を続けてくれ、また、マグネシウム、カリウム、かつ/またはナトリウムのサプリメントの摂取を勧められることもあるかもしれません。
「血圧が下がり過ぎないように、食品に塩を振ってもらうよう指示したこともありました」とツェルウォニー栄養士が語っています。
減量目標に達したら、再栄養期と呼ばれる、ダイエットの維持期に入ることになります。
「これは数週間かけて、ゆっくりと炭水化物を食事に戻していく期間です」とツェルウォニー栄養士が説明します。「よりバランスの取れた摂取をしていき、ケトーシスを止め、減量した体重を維持できるようにする、というのがその考え方です。理想的には、いつまでも維持期にい続けられるのが良いですね。」
PSMFダイエットで食べることができる食品
PSMFダイエット中は、主に以下のような高タンパク食品を食べることになります:
- 鶏肉および七面鳥、ガチョウ、アヒルといった家禽類
- 牛肉、豚肉、羊肉のような赤身肉
- オヒョウ(カラスガレイ)、タラ、ナマズといった魚介類
- 卵と卵白
- カッテージチーズ、スキムミルク、チーズなどの低脂肪乳製品
- 豆腐
葉物野菜、ブロッコリー、トマト、タマネギ、キャベツ、セロリといった、でんぷん質を含まない野菜も食べることが可能です。
避ける必要がある食品もあります:
- ブドウ、オレンジ、リンゴ、ベリー類といった果物
- トウモロコシ、エンドウ豆、ジャガイモのようなでんぷん質の野菜
- 小麦、オート麦、キヌアなどの穀類
- ピーナッツ、ひよこ豆、レンズ豆、黒豆といった豆類
- キャンディーバー、ポテトチップス、ファーストフードといった超加工食品
- ソーダ、スポーツドリンク、ジュースなどの甘味飲料
- バター、マーガリン、サラダドレッシング、オリーブオイルといった油脂類
- ヨーグルト、牛乳、チーズのような全脂肪乳製品
- 蜂蜜、黒砂糖、メープルシロップ、異性化糖などの甘味料
メリットとデメリット
PSMFダイエットのメリットとデメリットは以下の通りです:
メリット:体重を減らす役に立つ
肥満の方にとって、PSMFダイエットは一定の体重を減らすのに良い選択肢となり得ます。
ただし、このダイエット法は、かかりつけの医師や栄養士の指導のもとで行うことが望ましいということをお忘れなく。
メリット:血糖値を改善できる
PSMFダイエットのような低カロリー食は、2型糖尿病患者の血糖値を下げる可能性があることが複数の研究で示されています。
「炭水化物を制限しているため、血糖コントロールの改善が見られるのです」とツェルウォニー栄養士が言います。「よって、グルコースの数値が高い人は、改善が見られるかもしれません。」
メリット:高血圧を改善できる
摂取カロリーを減らすことで、血圧が下がる可能性があるという研究結果も複数あります。
「高血圧は体重と直接関係しているため、多くの場合改善が見られます」とツェルウォニー栄養士が指摘しています。
デメリット:長期的な継続が難しい
PSMFダイエットは、食べていいもの、食べてはいけないもの、そして摂取できるカロリーが非常に制限されているものです。多くの方にとって、長期的に続けることが難しい可能性があります。
「ほとんどの人が飽きてしまうのです。あるいは、休暇やパーティーで炭水化物の入ったものを食べてしまうと、ケトーシスから外れてしまい、空腹感が増してしまうのです」とツェルウォニー栄養士が話します。「それで、ケトーシスに戻るのが難しくなり、いわば悪い習慣をまた始めてしまうんですね。」
デメリット:万人向けではない
2型糖尿病、高血圧、痛風、および腎臓病などの持病がある方は、医学的な監視下でない限り、PSMFダイエットは避けるべきと言えます。
「既に痛風の既往歴がある方は、このダイエット法は非常に高タンパク食なので、再燃してしまいやすいかもしれません。また、非常に高タンパク食ですから、腎臓に負担をかけたくないのです」とツェルウォニー栄養士がおっしゃいます。
デメリット:筋肉量が減る
減量ということで言えば、その過程で、筋肉量が減る可能性が高いです。
「体重が減るにつれて身体が減っていくということですから、抵抗が少なくなることにより、歩いていても同じだけのカロリーが消費されなくなってしまうからですね」とツェルウォニー栄養士が説明しています。「できれば、十分なタンパク質を摂取することで、筋肉を保護できればいいのですが。身体活動は、筋肉と健康的な脂肪代謝を維持するためのプログラムの一部となっています。」
デメリット:脱水症状になる可能性がある
PSMFダイエット中は脱水症状になりやすいです。そのため、ツェルウォニー栄養士は、毎日少なくとも64オンス(約1.89リットル)の水分を摂取し、食品に塩をかけることが重要だと話しています。
「私たちはこれをケト・フル(※flu=インフルエンザ、風邪)と呼んでいます―これは本当に流動的(※fluidと先程のfluが英語ではかかってる感じですね。日本語なら、「ケト風邪は、ちょうど風が流れるように変わっていくものなんです」みたいな感じでしょうか)な状態の変化なのです」とツェルウォニー栄養士が続けます。「吐き気を催したり、頭痛やめまいを経験されることがあるかもしれません。」
脱水は便秘にもつながり得ます―そして、高タンパク食も便秘を引き起こすことが知られています。
「これは野菜を制限して食べているためで、電解質が低下することで起こる、筋肉のけいれんにつながり得るものなのです」とツェルウォニー栄養士が説明を加えます。「サプリメントもしっかり摂るようにしたい所です。」
デメリット:お金がかかる可能性がある
PSMFダイエット中は、予算を調整しなければならないかもしれません。食事のほとんどが赤身肉のような高タンパク食品なので、食費がすぐにかさんでしまう可能性があるわけです。
「大豆やレンズ豆のような伝統的なタンパク質の代用品は許可されていませんが、そういった選択肢はもう少し予算に優しい傾向がありますからね」とツェルウォニー栄養士が語っています。
PSMFダイエットは試すべき?
では、PSMFダイエットを試す価値はあるのでしょうか?それは、人それぞれだとツェルウォニー栄養士はおっしゃいます。
抗肥満薬、あるいは肥満手術など、他の選択肢について担当医に相談してみるのもよいかもしれません。
「かかりつけ医はあなたの長期的な目標を考慮してくれるはずです」と話すのはツェルウォニー栄養士。「多くの場合、問題なのは、人々がこのダイエットを行い、初回は非常に成功することです。それから2、3ヶ月か数年経つと、またやりたくなります。そして2度目はそれほど成功しなくなってしまうんです」
また、体重を減らしたいだけなら、このダイエットは適していません。
「そこまで極端なことをする必要はありません」とツェルウォニー栄養士が語っています。「甘い飲み物であれ揚げ物であれ、過剰なカロリーは控えるべきです。また、運動量にも目を向けて、それも増やすのがいいですね。」
…「短期間で急激に体重を落とすのに最適」と見ると大変魅力的ですが、意外とネガティブポイントも多く挙げられているように見受けられましたね。
特に、高タンパク質なのに「筋肉量が減る」というのも意外に思えましたが、それだけ体重減少の効果が大きいという感じでしょうか。
「制限が厳しいため、続けられない人が多発」という点に関しては、まぁこんな所で自慢してもしょうがないですけど(笑)、僕は100%絶対に永久に継続できる自信しかないですねぇ~。
というか、まぁ納豆や玄米は食べてますけど、なきゃないでマジで余裕ですし、ほぼ常時セルフPSMFしてるようなもんですから、この品目制限は365日同じもの食べても全く飽きないし問題ない僕にはチョロいもんです。
案外タンパク質も美味しいですし、何よりお肉が許容されているということで、意外と大丈夫な人も多いのではないでしょうか。
「医師の監督の下で行うべき」という話なので自分でやるのには向かないかもしれませんが、本気でダイエットを考えている方には、一考の価値がある方法な気がしますね…!