それでは予告通り、前回の「断食による心臓・血圧への影響」や、それ以前の断食記事でも触れられていました、5:2断食法なるもののPros/Cons(メリット/デメリット)を見て行こうと思います。
何も難しいことはなく、1週間7日の内、「2日を絶食(減食)・5日を普通の食事」とするだけのようですけど、最新医学的にはどんなものと考えられているのでしょうか、早速参りましょう。
5:2ダイエットについて知っておくべきこと(What To Know About the 5:2 Diet)
週に2日カロリーを制限する、間欠的断食の一種です
世の中にはたくさんのダイエット法が存在します。その中から自分に合った健康的な食事法を見つけるのは不可能に思えるかもしれません。試行錯誤の連続になり得るものとも言えましょう。
間欠的断食は、減量に効果的な可能性がある食事プランとして人気があります。この方法は、断食と、制限のない(しかし健康的な)食事とを交互に繰り返すものです。間欠的断食には多くの方法が存在しています。
そのひとつが、5:2ダイエット法です。
登録栄養士のジュリア・ズンパノRD/LD(登録栄養士/管理栄養士)が、5:2ダイエットの101(※日本語で言う「イロハ」)と、それを採用する前に考慮すべき長所と短所を説明してくださいます。
5:2ダイエットってどんなもの?
5:2ダイエットでは、1週間の内、5日間は「普通に」食事をします。これが非断食日です。残りの2日間は断食日になります(※英語の場合同じ「fasting」ですが、完全に断つわけではないので、以後「減食」と表記しようと思います)。減食日は、出生時に割り当てられた性別に応じて消費カロリーを減らします:
5日間連続で普通に食べて、2日間連続でカロリーを減らすのがベストだと思われるかもしれません。しかし、それは理想的ではありません。
「5:2法のスケジュールを立てるときは、減食日をできるだけ分けるようにしましょう」とズンパノ栄養士が語ります。「理想的な間隔は、減食日と減食日の間に2~3日、非減食日を挟むことです。減食日の間には、少なくとも1日は非減食日を設けることが必須です。」
5:2ダイエットでは何を食べるべきか
カロリー制限日(減食日)以外、5:2ダイエットでは何をどう食べるかは特に指定されていません。
「そのため、とても自由度が高いんですね。しかし、必要な栄養素を確実に摂るためには何を食べればいいのか、迷うこともあることでしょう」とズンパノ栄養士が注釈を加えています。
減食日に何を食べるべきか
減食日には、低カロリーで栄養価の高い食品を摂ることをズンパノ栄養士が勧めています。赤身のタンパク質と、でんぷん質を含まない野菜を中心に据えてみましょう。こういった食品は、以下の役割をもった栄養素と食物繊維を与えてくれます:
- 消化を助ける
- 血糖値を管理する
- 満腹感を長持ちさせる
減食日に避けるべき食品には以下が含まれます:
- カロリーの高い飲み物。これには、アルコールや、砂糖、ミルク、クリームといった食品を含むコーヒー飲料も含まれます。無糖のブラックコーヒーはOKです。
- パン、パスタ、米、ジャガイモ、および多くの果物といった、炭水化物。
- 脂肪成分の多い、バター、オイル、ナッツ類、ソース、調味料といった、脂質。
減食日のカロリー摂取方法はご自身の考え次第です。カロリーを2~3回の小食に分けたり、食事と間食を組み合わせても良いかもしれません。
「250キロカロリーの食事として、手のひら大の白身魚1切れとほうれん草4カップ、または鶏肉と野菜のスープ1杯を試してみるのはいかがでしょうか」とズンパノ栄養士が提案してくれています。「150キロカロリーのプロテインシェイクを昼間のおやつに食べても、まだ100キロカロリーか200キロカロリーは残されています。」
こちらのイタリアン野菜スープのレシピをお試しあれ。タンパク質のためにチキンを加えるか、サイドメニューとして鶏胸肉を添えてお楽しみください。
非減食日には何を食べるべきか
1週間の内、他の5日間の食事も重要です。5:2ダイエットの効果を最大限に発揮するためには、推奨カロリーを守り、できるだけヘルシーな食事を心がけましょう。
非減食日に楽しむと良い食品には以下が含まれます:
- 果物と野菜
- 赤身のタンパク質
- 大豆やレンズ豆を含む豆類
- 低脂肪・無脂肪の乳製品
- ナッツ類と種子類
- 全粒穀物
- エクストラバージンオリーブオイル、ナッツ類、種子類といった、ヘルシーな脂質
5:2ダイエットで本当に痩せられるの?
理論的には、5:2ダイエットはカロリーの欠損を生み出しますから、体重を減らすのに役立ちます。研究がこの理論を裏付けています。
あるレビュー論文では、複数の異なる断食プラン―5:2ダイエットを含みます―の調査研究が評価されていました。その結果、全てのプランで減量に役立つことが判明しています。その減量効果は、断食を含まない従来のカロリー制限ダイエットとほぼ同じものでした。
5:2ダイエットのメリットとデメリット
あるひとつの食事プランが、誰にとっても正しいということはありません。5:2ダイエットの長所と短所を見ていきましょう。
メリット: 簡単に実行できる
毎日カロリーを計算する必要がないため、シンプルなプランとなります。そのため、ダイエットの継続が容易になるわけですが、詰まる所これが本当に重要なことなのです。
「人気のあるダイエット法を比較すると、そのほとんどが長期的な減量に効果的なのです―ただし、もし続けることができれば、の話なんですけどね」とズンパノ栄養士がおっしゃっています。
メリット: カスタマイズできる
減食する日や何を食べるかは自分で決めることが可能です。嫌いな食べ物や簡単に手に入らないものを食べるように指示してくる、特定のガイダンスはありません。
メリット: 他にも健康上の有益性がある
5:2ダイエットそのものに関するデータは限られていますが、間欠的断食に関する研究は、幅広い健康上の利点の可能性を示唆しています。
「研究によると、間欠的断食は体の様々なシステムやプロセスに影響を与えるようです」とズンパノ栄養士が認めています。全容を解明するには更なる研究が必要ですが、研究者たちは、間欠的断食は以下の役に立つかもしれないと考えています:
デメリット: 非減食日に食べ過ぎてしまう可能性がある。
最大の挑戦のひとつは、非減食日にカロリーを摂りすぎないことです。「減食による空腹感が、翌日に持ち越されてしまう可能性はありますね」とズンパノ栄養士が注意を促しています。
デメリット: 栄養不足につながり得る
食事内容に細心の注意を払っていないと、重要な栄養素を摂り損ねる可能性があるかもしれません。例えば、減食中の食事には、ヘルシーな脂肪を摂る余地がほとんどありません。そのため、減食日以外の日にその分を補う必要があるわけです。サーモン、ナッツ類、および種子類は、健康的な脂質の良い供給源となっています。
マルチビタミンも、不足しているビタミンやミネラルを補うのに役立ちます。ただし、十分な食事と一緒に摂らないと吐き気を催すことがあるかもしれません。可能であれば、必要な栄養素は食品から摂取するのがベストだとズンパノ栄養士はアドバイスしています。
デメリット: 何を食べるべきかの指針がない
5:2ダイエットのシンプルさは、長所でもあり短所でもあります。確かに、実行するのは簡単です。しかし、何を食べるべきかというガイダンスがないため、間違ったものを食べてしまいがちになってしまっています。
栄養価が低く、炎症を引き起こしがちな食品を摂ると、5:2ダイエットの効果も全体的な成功も台無しになってしまいかねません。ズンパノ栄養士は、以下を含む食品を避けるよう勧めています:
- ポテトチップスやその他の不健康なスナック菓子
- 市販の焼き菓子
- ファストフードや揚げ物
- ソーダ(炭酸ジュース)やその他の砂糖入り飲料
- 超加工食品
デメリット: 断食日は気分が優れないかもしれない
空腹感に加え、5:2ダイエットを実践している方々は、減食日に以下のような様々な症状があることを報告しています:
- 疲労感
- 頭痛
- イライラ感
- 集中力の低下
- ふらつきやめまい
ズンパノ栄養士によれば、電解質の不足がこういった症状のいくつかを引き起こしている可能性があるとのことです。そのため、電解質を強化した水で補うのが効果的となるかもしれません。
また、食事量を徐々に減らしていくのも役立ち得ます。まずは、減食日のカロリーを900~1000キロカロリーに抑えて、徐々に慣らしていきましょう。その後、ゴールである500~600キロカロリーに達するまで、100~200キロカロリーずつ減らしていくと良いですね。
しかし、体調が優れないときは、自分の体の声に耳を傾け、何か食べるようにしてください。時間とともに減食に慣れるかもしれませんが―誰しもが慣れるものではないのです。もし症状が続くようであれば、別の食事プランを試すか、医療機関に相談するべきだと言えましょう。
デメリット: 万人向けではない
5:2ダイエットは、以下のような人には向いていないかもしれません:
- 妊娠中または授乳中(胸式授乳)の方
- 摂食障害、低体重、または低栄養状態にある方
- 処置されていない糖尿病またはその他の慢性的な健康疾患をお持ちの方
これらいずれかの状況に当てはまる方は、新しい食事プランを始める前に、かかりつけの医療従事者に確認を取るようにしてください。
健康的な食事プランを選ぶために最も大切な要素は、持続可能であることと、健康に悪影響を与えないことが確証されていることなのです。
それが5:2ダイエットなら、素晴らしいですね!しかし、地中海式ダイエットなど、他にも試す価値のある健康的な減量法は沢山ございます。少しの時間と忍耐、そして医療チームからの助けがあれば、ご自身に合った食事プランがきっと見つかるはずです。
新しいダイエット法を始める前に、かかりつけ医や登録栄養士といった医療従事者に相談しましょう。ご自身にとって最良の選択肢をアドバイスしてくれますよ。
…まぁ、「そりゃそうでしょうね」といいますか、言われずとも常識的に明らかな話が今回も多かった気がしますし、何だかデメリの方が多いようにも思えてしまいましたけど(笑)、とはいえ1週間の内半分未満、2日だけ減食すればいいのなら、確かに毎日食事に気を遣い続けるよりは楽と言えるのかもしれませんね。
(とはいえ、「残り5日も、できればヘルシーな食事を心がけましょう」って、それ常に苦行やん、って気もしてしまいますけど(笑))
他人事で恐縮ですが、僕はダイエットは全く必要としていないしやったこともないのでどれだけ精神力が必要かは測りかねるんですけれども、「5日は気にせず食べてOK」というのは、やっぱり幾分気持ちの上では楽だと言えそうではある気もします。
完全に科学的に証明されたわけではないとはいえ、健康促進効果も示唆されている「週2日減食法」、試してみる価値はあるかもしれませんね!
今回の記事にも意外と面白そうな食事ネタがいくつかあってまた追って見てみたいですが、次回は前回の記事で挙がっていた、PSMFダイエットなる食事法を見てみようかなと予定しています。